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19.遠い道のり
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「?」
首を傾げるシャノンの頬に回復魔法をかける
「基本的には自然治癒に任せた方がいいけど…」
「…ありがと」
爪で引っかかれたであろう深めの傷は跡形もなく消えた
正直そのことにホッとする
「お前の顔に傷つけたまま帰ったら俺が父さん達に殴られるからな」
「確かに!」
ルークがすぐに同意する
「そんなことないと思うんだけど?」
「あるよ。お前が冒険者になるって言いだした時の事思い出してみろ」
あの時の父さんたちの剣幕は凄かった
文字通り父さんだけでなく、カルムさん達弾丸メンバーもバルドさんも全力で反対してたし…
なんせシャノンはミリアが来るまでたった一人の女の子でお姫様扱いだったからな
あの時は流石に母さんも呆れてたような気がする
「あぁ…うん。全員の許可が出るまで採取しかさせてもらえなかったかも…」
「そんなお前の顔に傷つけたまま帰ったらどうなると思う?」
「…想像したくない」
「だろ?まぁ酷い傷でも母さんがきれいに消してくれるだろうけどな」
それがあるから皆しぶしぶ納得したくらいだし
「とにかく今日は終了。お前らはどうするんだ?」
「ギルド寄って帰る」
「僕はデート。晩御飯いらないって言っといて」
ルークはギルドカードを俺の方に出しながらそう言った
ホント軽いヤツ
「じゃぁよろしく」
ニカッって効果音が出そうな笑顔を見せてからルークは走って行った
「…いくか」
「だね」
シャノンを促しギルドに向かう
いつものように依頼ボードを見て受けれそうなものだけ完了させた
「散財は自粛か?」
「うん…流石にしばらくは怖くて」
賭博に付随する色んなことがかなり効いてるらしい
「じゃぁ帰るぞ」
シャノンの頭を軽くなでてから歩き出す
「シア」
「ん?」
「私ね」
「うん」
「シアがいてくれてよかった。でも私は役立たずだね…」
家の少し手前まで来た時、俺の上着を掴んで泣きそうな顔でシャノンはそう言った
「ばぁか」
立ち止まってシャノンの頭を引き寄せる
俺の胸に顔を埋めて泣くシャノンは迷宮内のシャノンとは全く違う
寂しがり屋でちょっとしたことで不安になる可愛い妹だ
まぁこれが他人だったらうざいだけで、可愛いなんてかけらも思わないだろうけど
シャノンが声を掛けられた時期はルークがランクアップした頃だ
賭博は好奇心もあったけど、どこかで寂しさや不安を抱えきれなくなってたのかもしれない
母さんの言葉で納得しながらも、最近まで同じペースで成長してきたルークとの差が開いてきてるのは明らかだしな
首を傾げるシャノンの頬に回復魔法をかける
「基本的には自然治癒に任せた方がいいけど…」
「…ありがと」
爪で引っかかれたであろう深めの傷は跡形もなく消えた
正直そのことにホッとする
「お前の顔に傷つけたまま帰ったら俺が父さん達に殴られるからな」
「確かに!」
ルークがすぐに同意する
「そんなことないと思うんだけど?」
「あるよ。お前が冒険者になるって言いだした時の事思い出してみろ」
あの時の父さんたちの剣幕は凄かった
文字通り父さんだけでなく、カルムさん達弾丸メンバーもバルドさんも全力で反対してたし…
なんせシャノンはミリアが来るまでたった一人の女の子でお姫様扱いだったからな
あの時は流石に母さんも呆れてたような気がする
「あぁ…うん。全員の許可が出るまで採取しかさせてもらえなかったかも…」
「そんなお前の顔に傷つけたまま帰ったらどうなると思う?」
「…想像したくない」
「だろ?まぁ酷い傷でも母さんがきれいに消してくれるだろうけどな」
それがあるから皆しぶしぶ納得したくらいだし
「とにかく今日は終了。お前らはどうするんだ?」
「ギルド寄って帰る」
「僕はデート。晩御飯いらないって言っといて」
ルークはギルドカードを俺の方に出しながらそう言った
ホント軽いヤツ
「じゃぁよろしく」
ニカッって効果音が出そうな笑顔を見せてからルークは走って行った
「…いくか」
「だね」
シャノンを促しギルドに向かう
いつものように依頼ボードを見て受けれそうなものだけ完了させた
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「うん…流石にしばらくは怖くて」
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「じゃぁ帰るぞ」
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「ん?」
「私ね」
「うん」
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母さんの言葉で納得しながらも、最近まで同じペースで成長してきたルークとの差が開いてきてるのは明らかだしな
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2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます
子供達の親のお話はこちら
■ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました(長編/ファンタジー)
この機会にご一読いただけると嬉しいです
■召喚に巻き込まれたけど元の世界に戻れないのでこの世界を楽しもうと思います
■あなた方が呪いと呼ぶそれは本当は呪いではありません
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