チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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「やだ…ケイン?」
母さんのそんな声がしたのは1時間ほどしてからだった
その後はケインの部屋に向かうんだろう足音が2人分

「あら、いないわ」
「ならシアの部屋だろ」
父さん正解
心の中で呟きながら苦笑する
行動をしっかり把握してる当り愛されてるなと思いながら2人の足音が近づいてくるのを聞いていた

「シア、入るわよ?」
「ああ」
返事を返すと2人が入ってきた

「やっぱりここにいたか」
「何かあった?」
「あら、シアの仕業でしょう?」
「何のこと?」
とぼけて見せるものの母さんは確信してるっぽい
なんでだ?

「シアは忘れてしまったのかしら?」
「ん?」
「この世界では紙は高級品なのよ」
「あ…」
そうだった
だからこの世界で手紙を書く習慣はない

「誤解しないでよ?俺が書けって言ったわけじゃないから」
「そうなの?」
「そんなの強制できないって。ただケインの不安が少しでも減るならって教えてやっただけ」
「ケインの不安?」
「何かあったのか?」
母さんが俺の横に座るのを見て父さんは向かいのソファーに座った

「俺らが旅に出たら甘えん坊タイムが取れない日があるかもしれないから」
そう言うと2人は顔を見合わせた

「確かにそれは…」
「今でもシアに頼ってる部分があるものね」
「ケインは多分全部伝える必要はないと思うんだ。でも伝えることを選べる状態でもないからひたすら話すだけじゃないかな」
「そうね。それは私も感じてるわ」
「だよね。だから少しずつでもそうやって文字にしていくことで、本当に伝えたいことが見えて来るんじゃないかって思って」
「文字にするには整理する必要があるものね。書くのに慣れてないケインなら余計かしら」
「うん。あとはその手紙に反応を返してもらえればちゃんと伝わったって実感すると思うんだ。当分の間は甘えん坊タイムと並行してもその時間は減るんじゃないかな。ただ…」
「ただ?」
「母さんに頼みがあって」
「頼み?何かしら」
「創ってもらいたいものがあるんだ。でも妊娠してる間はやめた方がいい?」
母さんの創造は魔力をかなり消費するって前に聞いたことがある

「一応聞いてから判断すればいいんじゃないか?応用で創れるならましなんだろう?」
「そうね」
「じゃぁ…手紙を転移させれる道具って作れないかな?」
「手紙を転移?」
「ケインの魔力と俺の魔力を目印にして飛ばす感じ。前に通信具は作ったことあるって言ってたから出来るんじゃないかって思ったんだけど」
「…出来るわね」
「本当?」
「ええ。でも魔力を起点にするよりは魔法陣に位置情報を記録した方が簡単かしらね」
「そんなことできる?」
「ふふ…あなた達が生まれる前に元の世界に戻れないかなーって色々やってみた時期があるのよ」
「ええ?」
それは初めて聞いた
もし成功してたら俺生まれてないんじゃ…

「レイにね、元の世界を見せてあげたいと思ったのよ。でも出来たのは指定した座標にモノを飛ばすことだけだったわ」
「指定した座標にモノを飛ばす…?でもそれじゃ無理だよ。俺ら移動するし」
「大丈夫よ。座標の部分をGPSにすれば問題ないから」
「GPS?」
父さんが首を傾げた

「位置を特定する機能よ」
「でも母さん、GPSは衛星を使ってたんじゃなかったっけ?」
「それも大丈夫。この家から魔力を辿るタイプにしてあるから」
「してあるからってことはもうあるってこと?」
「もちろん」
「お前まさかあの事件の後に作ってたのが?」
「そうよ」
あの事件はきっと誘拐事件の事だよな?
母さんマジでやばいかもしれない

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