チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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9.弟妹

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「俺、これ貰った時嬉しかったんだ」
「…?」
「手に取った瞬間父さんの魔力を感じて…でもその後の言葉が痛くてお礼も言えなかった」
「あれは…」
父さんが何かを言おうとしたのに気づいた俺はただ首を横に振った

「何度もこれに救われたんだ。だから感謝してる」
俺は商会の親父の言葉だけで充分だ

「シア」
それでも目を合わせることが出来ない俺を見て、父さんがこっちに戻ってくるのが分かった

「…これを」
「え?」
俺が顔を上げると、父さんは自分の左腕に嵌めていた皮のブレスレットを外して俺の手に嵌めた

「これ…母さんが父さんに…」
装飾品は基本金属でできてる
でも父さんが金属が苦手だから母さんは父さんのためだけに皮で装飾品を作る
この世界に一つしかないものでもある

「ああ。サラサからのプレゼントだった」
ブレスレットから2人の魔力を感じる

「シア、この間も言ったがこれから旅に出るまでも、旅に出てからもお前は色んな壁にぶつかるだろう」
「…」
「3人でパーティーを組んでると言っても、ルークもシャノンもお前を兄として無意識に頼るのは分かるだろ?」
そう問われて俺は頷いた
実際そうなる未来しか見えない

「年は1つしか違わないのにお前は精神的にも実力的にもはるかに上だから仕方がないかもしれないな」
「俺の実力が…?」
「ルークとシャノンが力を合わせて挑んでる道をお前は1人で通ってきたんだから当然だろ」
「あ…」
そう言われてみればその通りだ
信頼して背を預けて戦える仲間を2人は当然のように持ってる
でも俺はそういう相手にはまだ巡り会えていない

「きっとお前をそうさせてしまったのは俺のせいでもあるんだろうがな」
父さんはそう言いながら苦笑する

「お前が本当の意味でルークとシャノンに頼ることは無いかもしれない。戦う面ではそれなりに頼りにはなっても、あの2人は精神的にはお前と違って年相応か下手したらそれ以下だ」
「それは…」
違うとは言えなかった
特にシャノンは甘やかされてきた分幼い

「旅に出て、どれだけ困ってもお前は1人で抱え込むだろう。それで乗り切れる分にはいい。でも…」
「でも、何?」
乗り切れなくなったら冒険を諦めろと続けられそうで俺は身構えてしまった
けど…

「どうしても抱えきれなくなった時には俺達の事を思い出せ」
父さんはそう言ってブレスレットに触れた

「俺もサラサも、何があってもお前の味方だ」
「!」
「お前たちが自分で決めたことだ。実力がつけば反対はしない。でも本当に困ったときはちゃんと頼ると約束してくれ」
「父さん…」
「これは側にいてやれない俺達の代わりだ」
「でもこれは世界に一つしか…」
「だから、だ」
その言葉に息を飲む
これじゃまるで弟妹達の誰よりも…
そんなあり得ないことを考えてたら父さんは何とも言えない表情をしていた

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