チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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8.わだかまり

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「そんなサラサの血を引いたお前を愛してないはずがないだろう?」
「父さ…」
真っすぐ入ってきた言葉にずっとこらえていた涙が溢れ出す
思ってたのと真逆
なのにそれが本心だって伝わってくる

「愛してるよシア。お前は俺の宝だ」
ずっと欲しかった言葉だった
ルークに、シャノンに、スカイに、ケインに…
父さんに大好きだと告げる皆に囁くのを俺はただ聞いていた

「俺も…ずっと…父さんが大好きだった…今も…」
「ああ、俺も大好きだよ」
そう言って抱きしめてくれる父さんにしがみ付く
俺はいい年して、久しぶりに泣いた。子供の様に…
そんな俺を父さんはずっと抱きしめてくれていたんだ


「ようやく、長年こじれた親子関係が修復されたみたいね」
「サラサ?」
「母さん!」
背後からかけられた声に思わず父さんから離れた

「あら、そんな風に離れたらレイが寂しがるわよ?」
「サラサ…」
そんなはずないって思ったけど、父さんがため息交じりに言うところを見ると本当…なのか?

「何でここに…?」
「妖精が呼びに来てくれたのよ。シアが大泣きしてるって。凄く心配されてたわよ?」
「!」
事実だけにいたたまれない
そう思ってると柔らかい温もりに包まれた
これは母さんの温もりだ
いくつになっても事あるごとに愛してると伝えてくれる温もり
これがなかったら俺は皆の前で笑えなかったかもしれない

「ごめんねシア」
「え…?」
「もっと早く解決してあげたかったんだけど…私が間に入ると余計に変な方向に行っちゃってね…」
母さんは苦笑しながらそう言った

「シアは変に距離を置くようになっちゃうし、レイはそのたびにショックを受けて落ち込むし…でもシアが成人する前に落ち着いてくれてよかったわ」
俺の中のわだかまり
母さんはそれを解決してから旅に出ろって言った
ずっとわかってたんだと思うと嬉しい反面情けなくなる

「これからは素直に甘えなさい。成人してもあなたが私たちの子供なのは変わらないんだから」
「…Thanks.」
そう言った俺を母さんはじっと見て来た
何だ?
別に変なことは言ってないはず…

「…シア、照れ臭くなったら英語で言う癖何とかしなさいよ?」
「!」
そこまでバレてるのか…?
本当に母さんには叶わないらしい

「今のはなんて言ったんだ?」
「えっと…」
「ありがとうって言ったのよ」
俺が誤魔化す前に母さんは言う
たのむから明かさないで欲しい


「Thank you.とも言うわ。ちなみに愛してるはI love you.やloving you.ね」
「母さんそれは…!」
咄嗟に母さんの口を塞いでも遅かった

Laving you.
それはルークたちが父さんに言ってるのを見ながら思わずつぶやいてた言葉
父さんはそのたびにこっちをみて首を傾げてた
つまり、父さんはこの言葉に心当たりがあるってことで…
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