21 / 370
6.いざ…
1
しおりを挟む
何故かピクニックを兼ねて魔法を教わった翌日、俺たちはワクワクしながら迷宮に向かった
「何層から行く?」
「21層から…って思ってたけど、昨日のを試すなら16層?」
「練習がてら使って20層のボスに再挑戦!」
俺が尋ねるとルークもシャノンも同じように考えていたらしい
20層の熊を倒した後25層のボスにはまだたどり着けてない
だから比べるなら20層の熊が一番いい
「昨日は本当に楽しかったよね」
シャノンが興奮気味に言う
「色んな人がいたおかげで色んな使い方があるって初めて知ったよ」
「そう考えると魔法って面白いよね」
2人はそう言いながらも向かってくる魔物を倒す
俺も念動力と魔法を組み合わせるのが楽しくなってきた
「シアそれ何?」
魔物を倒した直後ルークがすかさず聞いてくる
「落とし穴の要領?」
「「落とし穴?」」
2人が首を傾げるってことはこの世界に無かったのか?
自分にとっての当たり前が人にとってもそうとは限らない
これは母さんが俺によく言う言葉
母さんも俺も別の世界の知識があるから余計に心に止めとかなきゃならない
でもこういうの、意外と多いんだよな…
「地面に穴掘ってそこに落ちたところを攻撃した」
「…鬼畜」
シャノンが呟く
「魔物相手に関係ないって。火熊の足元凍らせんのと一緒だろ?」
「う…」
「まぁでも、人に対してすりゃ鬼畜だな」
凹んだシャノンの頭をなでながら言うとふにゃりと笑う
これがあるからこいつは可愛い
「シア、俺にもできる?」
「地魔法の『フォール』だ。昨日の切り株を浮かせるのと逆だな。下向きに穴を掘るイメージ」
「穴を掘る…?」
「砂場でよく掘ってたろ?」
「あ、なるほど」
見えない地中ではぴんと来なくてもこっちは分かったようだ
実はこの世界に砂場は無かったらしい
母さんが庭に作った砂場で遊んでるのを見て、カルムさんが子供の遊び場の為にって領主に働きかけて広まったみたい
今では孤児院や広場に当たり前にあるんだけどな
でもそれが全部昨日のトータさんに教えてもらった地魔法で作られたって聞いたときは滅茶苦茶驚いた
砂場だけじゃなくうちにあった色んな玩具も実は母さんが作ったもので、この世界には娯楽って概念自体が無かったって言うから、前世と比べたらつまんない世界だったんだなって思う
そう考えたら母さんってやっぱただ者じゃないよなぁ
だって知ってても、それを実際に作れるかって言われたら普通は無理だろ?
「シア早く!」
シャノンに呼ばれて周りを見るとかなり先に進んでいた
「ボケッとしてたら危ないよ?」
ルークが俺の背後で魔物を地中に埋めていた
埋めたと言っても足元だけだったけどな
「はは…悪い。助かった」
そう言えばここは迷宮の中だった…
「うまい具合に落とせたな?」
「へへ…」
ルークが嬉しそうに笑う
「これ便利。もっと深く掘れるようになれば余裕もってとどめを刺せる」
「確かにデカくて重い奴ほど使えるな。上から岩を落として閉じ込めたら時間稼ぎくらいできそうな気もするけど…」
「それやってみたい」
ルークはワクワクしながら次の魔物に対峙する
シャノンもナターシャさんに教わった光魔法でやたらと首を切り落としていた
何か俺の弟妹のたくましさが凄い
そんな感じで色々新しいことを試しているうちに、気付いたらボス部屋の前に到着していた
「何層から行く?」
「21層から…って思ってたけど、昨日のを試すなら16層?」
「練習がてら使って20層のボスに再挑戦!」
俺が尋ねるとルークもシャノンも同じように考えていたらしい
20層の熊を倒した後25層のボスにはまだたどり着けてない
だから比べるなら20層の熊が一番いい
「昨日は本当に楽しかったよね」
シャノンが興奮気味に言う
「色んな人がいたおかげで色んな使い方があるって初めて知ったよ」
「そう考えると魔法って面白いよね」
2人はそう言いながらも向かってくる魔物を倒す
俺も念動力と魔法を組み合わせるのが楽しくなってきた
「シアそれ何?」
魔物を倒した直後ルークがすかさず聞いてくる
「落とし穴の要領?」
「「落とし穴?」」
2人が首を傾げるってことはこの世界に無かったのか?
自分にとっての当たり前が人にとってもそうとは限らない
これは母さんが俺によく言う言葉
母さんも俺も別の世界の知識があるから余計に心に止めとかなきゃならない
でもこういうの、意外と多いんだよな…
「地面に穴掘ってそこに落ちたところを攻撃した」
「…鬼畜」
シャノンが呟く
「魔物相手に関係ないって。火熊の足元凍らせんのと一緒だろ?」
「う…」
「まぁでも、人に対してすりゃ鬼畜だな」
凹んだシャノンの頭をなでながら言うとふにゃりと笑う
これがあるからこいつは可愛い
「シア、俺にもできる?」
「地魔法の『フォール』だ。昨日の切り株を浮かせるのと逆だな。下向きに穴を掘るイメージ」
「穴を掘る…?」
「砂場でよく掘ってたろ?」
「あ、なるほど」
見えない地中ではぴんと来なくてもこっちは分かったようだ
実はこの世界に砂場は無かったらしい
母さんが庭に作った砂場で遊んでるのを見て、カルムさんが子供の遊び場の為にって領主に働きかけて広まったみたい
今では孤児院や広場に当たり前にあるんだけどな
でもそれが全部昨日のトータさんに教えてもらった地魔法で作られたって聞いたときは滅茶苦茶驚いた
砂場だけじゃなくうちにあった色んな玩具も実は母さんが作ったもので、この世界には娯楽って概念自体が無かったって言うから、前世と比べたらつまんない世界だったんだなって思う
そう考えたら母さんってやっぱただ者じゃないよなぁ
だって知ってても、それを実際に作れるかって言われたら普通は無理だろ?
「シア早く!」
シャノンに呼ばれて周りを見るとかなり先に進んでいた
「ボケッとしてたら危ないよ?」
ルークが俺の背後で魔物を地中に埋めていた
埋めたと言っても足元だけだったけどな
「はは…悪い。助かった」
そう言えばここは迷宮の中だった…
「うまい具合に落とせたな?」
「へへ…」
ルークが嬉しそうに笑う
「これ便利。もっと深く掘れるようになれば余裕もってとどめを刺せる」
「確かにデカくて重い奴ほど使えるな。上から岩を落として閉じ込めたら時間稼ぎくらいできそうな気もするけど…」
「それやってみたい」
ルークはワクワクしながら次の魔物に対峙する
シャノンもナターシャさんに教わった光魔法でやたらと首を切り落としていた
何か俺の弟妹のたくましさが凄い
そんな感じで色々新しいことを試しているうちに、気付いたらボス部屋の前に到着していた
106
2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます
子供達の親のお話はこちら
■ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました(長編/ファンタジー)
この機会にご一読いただけると嬉しいです
■召喚に巻き込まれたけど元の世界に戻れないのでこの世界を楽しもうと思います
■あなた方が呪いと呼ぶそれは本当は呪いではありません
子供達の親のお話はこちら
■ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました(長編/ファンタジー)
この機会にご一読いただけると嬉しいです
■召喚に巻き込まれたけど元の世界に戻れないのでこの世界を楽しもうと思います
■あなた方が呪いと呼ぶそれは本当は呪いではありません
お気に入りに追加
656
あなたにおすすめの小説
魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜
西園寺わかば🌱
ファンタジー
公爵家に生まれたエリクは転生者である。
4歳の頃、前世の記憶が戻って以降、知識無双していた彼は気づいたら不自由極まりない生活を送るようになっていた。
そんな彼はある日、追放される。
「よっし。やっと追放だ。」
自由を手に入れたぶっ飛んび少年エリクが、ドラゴンやフェンリルたちと気ままに旅先を決めるという物語。
- この話はフィクションです。
- カクヨム様でも連載しています。

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!
えながゆうき
ファンタジー
妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!
剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!
アリスと魔法の薬箱~何もかも奪われ国を追われた薬師の令嬢ですが、ここからが始まりです!~
有沢真尋
ファンタジー
アリスは、代々癒やしの魔法を持つ子爵家の令嬢。しかし、父と兄の不慮の死により、家名や財産を叔父一家に奪われ、平民となる。
それでもアリスは、一族の中で唯一となった高度な魔法の使い手。家名を冠した魔法薬草の販売事業になくなてはならぬ存在であり、叔父一家が実権を握る事業に協力を続けていた。
ある時、叔父が不正をしていることに気づく。「信頼を損ない、家名にも傷がつく」と反発するが、逆に身辺を脅かされてしまう。
そんなアリスに手を貸してくれたのは、訳ありの騎士。アリスの癒やし手としての腕に惚れ込み、隣国までの護衛を申し出てくれた。
行き場のないアリスは、彼の誘いにのって、旅に出ることに。
※「その婚約破棄、巻き込まないでください」と同一世界観です。
※表紙はかんたん表紙メーカーさま・他サイトにも公開あり

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜
青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ
孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。
そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。
これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。
小説家になろう様からの転載です!

異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!
アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。
->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました!
ーーーー
ヤンキーが勇者として召喚された。
社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。
巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。
そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。
ほのぼのライフを目指してます。
設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。
6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。
【番外編】貴族令嬢に生まれたからには念願のだらだらニート生活したい。
譚音アルン
ファンタジー
『貴族令嬢に生まれたからには念願のだらだらニート生活したい。』の番外編です。
本編にくっつけるとスクロールが大変そうなので別にしました。

不遇職【薬剤師】はS級パーティを追放されても薬の力で成り上がります
山外大河
ファンタジー
薬剤師レイン・クロウリーは薬剤師の役割が賢者の下位互換だとパーティリーダーのジーンに判断され、新任の賢者と入れ替わる形でSランクの冒険者パーティを追放される。
そうして途方に暮れるレインの前に現れたのは、治癒魔術を司る賢者ですら解毒できない不治の毒に苦しむ冒険者の少女。
だが、レインの薬学には彼女を救う答えがあった。
そしてレインは自分を慕ってパーティから抜けて来た弓使いの少女、アヤと共に彼女を救うために行動を開始する。
一方、レインを追放したジーンは、転落していく事になる。
レインの薬剤師としての力が、賢者の魔術の下位互換ではないという現実を突きつけられながら。
カクヨム・小説家になろうでも掲載しています。

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる