チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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2.旅に出たい

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「旅に出たい?」
時々一緒に依頼をこなしながらずっと話してた夢って言うのかな?
3人で色々調べて計画も立ててたから父さんに聞いてみようってことになったんだ

「そ。海のある街に行ってみたい」
シャノンは甘えるように父さんの前にしゃがむ

「海、ねぇ…」
父さんはう~んと唸る
ここは4世帯が集まるリビングとは別の、俺達家族だけのファミリールームだ
スカイは窓際で手芸に勤しんでるし、母さんはケインと一緒に庭のハーブの手入れをしに行った

「海のことはシアが教えたのか?」
普通ならなじみのないはずの言葉に父さんはそう尋ねて来た
俺は一瞬息を飲む

「…久々に海が見たいなって。そしたら2人が海って何って聞いてくるから…」
怒られるかもしれないと内心冷や冷やなのを必死で隠す

「病室から海が見えてたんだったか…?」
父さんの言葉に頷く
この家に住んでる人は皆、俺と母さんが前世の記憶を持ってることを知ってる
まぁ俺の前世の記憶は3歳までしかないんだけどな
しかも病気で入院してたから病院の中の記憶しかない
それ以外の事は母さんと話してる中で教えてもらったことが多い
おかげで俺は前世の知識と今の知識が同じくらいある

「海のある町ってことはセトイカあたりか…」
「流石父さん」
ルークの目が輝いてるのは気のせいか?

「あそこまえでは4~~5か月かかるぞ?」
「分かってる」
「それでも行ってみたいの」
ルークとシャノンも本気なのだと訴える

「…まだ早いな」
父さんの言葉に俺達は凹んだ
それでも行きたい気持ちが無くなったりはしない

「じゃぁ母さんがいいって言ったら?」
「サラサも同じ意見だと思うぞ?」
「そんなの聞いてみなきゃわかんないよ」
シャノンの言葉に父さんはため息を吐く

「スカイ」
「なーに?」
「サラサを呼んできてくれるか?」
「わかった」
スカイは手に持っていたものをテーブルに置いて部屋を出て行った

「お父さん、どうしてもだめ?」
シャノンが父さんの顔を伺う様に尋ねる

「死ぬのが分かってて許可を出す親はいない」
父さんの言葉は俺達の胸に突き刺さった
父さんが俺達の力量をきちんと把握してるのは分かってる
だからこそ、その上で告げられた言葉は重い
それはルークとシャノンも同じだったみたいで2人ともしょんぼりうつむいてしまった

母さんが入ってきたのはそんなタイミング
「用があるって?」
母さんは抱いていたケインを降ろすと、スカイに任せてから父さんの横に座った

俺達は一旦顔を見合わせて頷きあってから、父さんに伝えたように旅に出たいと告げた
勿論行先は海のあるセトイカだと言うことも

「そうね…」
母さんはそう言いながら目の前で何かを操作する
それを父さんも横から見てるのは、母さんが閲覧許可を出してるからってだいぶ前に聞いた気がする
俺達は母さんだけが使えるスキルだってことは知ってるけど、そこに何が表示されているのかはわからない
でもすごく便利なスキルだってよく言ってる

母さんの顔が少し険しくなった
やっぱり反対されるのかな?
でもだからと言って簡単には諦めるつもりはないんだけど

「お願いお母さん」
「僕も行きたい」
ルークとシャノンも母さんに懇願する
でも母さんの判断は俺達に味方してくれるものではなかった

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