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本編
対象者その2 ロビア·ディオーレル辺境伯令息
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お次はロビア·ディオーレル辺境伯令息を調べる事にしました。
ロビア様はオリーブ色の真っ直ぐで艶やかな髪を後ろで一つに縛り、知的なマリンブルーの瞳を眼鏡の奥に隠した涼やかな美貌の令息です。
ディオーレル辺境伯家は代々隣国のルディーシュ皇国と我が国ロージェンス王国を繋ぐ関所を守る一族で、ロージェンス王国が誕生した当初から続く名家でもあります。ディオーレル辺境伯家の人々は生真面目で文武両道な方が多く、ロビア様のお父様は国王陛下の補佐官として名を馳せています。ロビア様ご自身もとても能力が高く、エミリオ殿下が国王となった暁には摂政となる事が決定されています。
「·····そういえば、魅了の効果を上げる魔法具とはどのような物なのですか?」
「うん?·····実は、僕は良く知らないんだ。」
「え、そうなのですか?」
「ああ、文献にはそのような魔法具が存在する事が載ってはいるんだけど、実はその魔法具は隣国のルディーシュ皇国にあるらしいんだ。流石にルディーシュの事は僕の範囲外だからね。」
「魔法具がルディーシュ皇国に····ですか。」
「うん。だから本来あの女が持っている事自体がおかしいんだ。あの国は魔法具の使用を固く禁じているからね。持ち出す事すら重罪にあたる禁具····、奴はどうやって手に入れたんだ···?」
ルディーシュ皇国ではその昔魔法具を使い人々を洗脳し、大量虐殺を行うなどといった残酷な事件が起こった事が原因で当時のルディーシュ皇王は魔法具の使用を固く禁じる事にしたそうなのです。ただ魔法具は壊す事が出来ない為、王宮の宝物庫で厳重に保管しているそう。
「それが出来るという事は、リディナ様に魔法具を渡した方はルディーシュ皇国の、それも皇族関係者であるという可能性が非常に高くなりますね。」
「そうだね。······随分ときな臭くなってきたものだ····。」
正直に言って、リディナ様はあまり頭の良い方ではありません。良くも悪くも自分の為になる事しかしない方に魔法具を渡せばどうなるのか分かっていてやっているのでしょうか。
「·····と、着いたな。ロビアはいつも生徒会室にいるから、多分今日もいると思うが···。」
「ロビア様は確か生徒会で副会長をしていらっしゃいましたね。」
「ああ、摂政になるための勉強だと言ってとても良く働いてくれている。彼がいてくれて助かっているよ。」
殿下が生徒会室のドアをノックすると、中からロビア様が出てきました。
「おや·····、殿下と、トレンティス様······。此方にいらっしゃるのは、珍しい、ですね····。」
「あ、ああ、ロビアに聞きたい事があったのだが·····その、大丈夫か?」
殿下が心配そうにロビア様に聞きます。無理もありません。ロビア様は何故かとても窶れていたのです。いつもピッシリとしている服も、髪もヨロヨロで顔色もあまり良いとは言えませんでした。
「ロビア様、何があったのですか?」
「まさか、また仕事を溜め込んだのか?」
「い、いえ·····仕事自体はそんなに大変ではありません。ただ、ピンク髪の口喧しい害虫が私の周りをブンブンブンブン付きまとうせいで···。」
「「·······またか/ですか·····」」
十中八九リディナ様でしょうね。あっちでもこっちでも問題を起こしているような気がします····。
「それで、そのピンク頭の害虫は君になんと?」
「思い出すだけで怖気が走ります·····。どこから仕入れてきたのか私が女性恐怖症である事を知っていたようで、『今まで辛かったでしょうね···。でも、もう大丈夫よ。この聖女たる私が貴方の心の傷を癒してあ·げ·る♡』と何故か服を開けさせながら迫ってきて····。私がどんなに拒否しても『私がいくら可愛いからって照れなくてもいいのにぃ♡』などとほざいて話が全く通じないんです······!!!!!」
「キショ······」
「········それは、なんとまぁ、愚かな······」
余程リディナ様が恐ろしかったのでしょう、ロビア様は全身を震わせながら涙を流しております。·····普段どんな事があろうと冷静さを欠いた事のないロビア様をこんな風にするなんて····、ある意味大物としか言えませんね。
「だから!!!!!女は!!!!!嫌いなんだ!!!!!」
「も、申し訳ありません······?」
「ロビア?それはアイネをあのキチガイと同列に並べているという事か?いくら君でもアイネを侮辱するなら許さないよ?」
「トレンティス様は良いのです!!私を気持ちの悪い目で見てくる女どもが嫌いなのです!!!!!」
「殿下、私は気にしておりませんから。ロビア様をお責めにならないで下さいませ。」
「アイネ······、うん、分かったよ。」
ロビア様の女性恐怖症は筋金入りですから、こうして普通に会話が出来ているのも奇跡なのです。それを色仕掛けで迫るなど······ロビア様の心に一生ものの傷が付いてしまいます。
「殿下·····この学園に害虫駆除の依頼をお願いしてもよろしいですか?」
「あぁ、問題が解決したら奴は然るべき場所で然るべき対処をしてもらう。その時までの辛抱だ。」
ロビア様の為にも早く終わらせないといけませんね····。害虫駆j·····ゲフンゲフン
ロビア様はオリーブ色の真っ直ぐで艶やかな髪を後ろで一つに縛り、知的なマリンブルーの瞳を眼鏡の奥に隠した涼やかな美貌の令息です。
ディオーレル辺境伯家は代々隣国のルディーシュ皇国と我が国ロージェンス王国を繋ぐ関所を守る一族で、ロージェンス王国が誕生した当初から続く名家でもあります。ディオーレル辺境伯家の人々は生真面目で文武両道な方が多く、ロビア様のお父様は国王陛下の補佐官として名を馳せています。ロビア様ご自身もとても能力が高く、エミリオ殿下が国王となった暁には摂政となる事が決定されています。
「·····そういえば、魅了の効果を上げる魔法具とはどのような物なのですか?」
「うん?·····実は、僕は良く知らないんだ。」
「え、そうなのですか?」
「ああ、文献にはそのような魔法具が存在する事が載ってはいるんだけど、実はその魔法具は隣国のルディーシュ皇国にあるらしいんだ。流石にルディーシュの事は僕の範囲外だからね。」
「魔法具がルディーシュ皇国に····ですか。」
「うん。だから本来あの女が持っている事自体がおかしいんだ。あの国は魔法具の使用を固く禁じているからね。持ち出す事すら重罪にあたる禁具····、奴はどうやって手に入れたんだ···?」
ルディーシュ皇国ではその昔魔法具を使い人々を洗脳し、大量虐殺を行うなどといった残酷な事件が起こった事が原因で当時のルディーシュ皇王は魔法具の使用を固く禁じる事にしたそうなのです。ただ魔法具は壊す事が出来ない為、王宮の宝物庫で厳重に保管しているそう。
「それが出来るという事は、リディナ様に魔法具を渡した方はルディーシュ皇国の、それも皇族関係者であるという可能性が非常に高くなりますね。」
「そうだね。······随分ときな臭くなってきたものだ····。」
正直に言って、リディナ様はあまり頭の良い方ではありません。良くも悪くも自分の為になる事しかしない方に魔法具を渡せばどうなるのか分かっていてやっているのでしょうか。
「·····と、着いたな。ロビアはいつも生徒会室にいるから、多分今日もいると思うが···。」
「ロビア様は確か生徒会で副会長をしていらっしゃいましたね。」
「ああ、摂政になるための勉強だと言ってとても良く働いてくれている。彼がいてくれて助かっているよ。」
殿下が生徒会室のドアをノックすると、中からロビア様が出てきました。
「おや·····、殿下と、トレンティス様······。此方にいらっしゃるのは、珍しい、ですね····。」
「あ、ああ、ロビアに聞きたい事があったのだが·····その、大丈夫か?」
殿下が心配そうにロビア様に聞きます。無理もありません。ロビア様は何故かとても窶れていたのです。いつもピッシリとしている服も、髪もヨロヨロで顔色もあまり良いとは言えませんでした。
「ロビア様、何があったのですか?」
「まさか、また仕事を溜め込んだのか?」
「い、いえ·····仕事自体はそんなに大変ではありません。ただ、ピンク髪の口喧しい害虫が私の周りをブンブンブンブン付きまとうせいで···。」
「「·······またか/ですか·····」」
十中八九リディナ様でしょうね。あっちでもこっちでも問題を起こしているような気がします····。
「それで、そのピンク頭の害虫は君になんと?」
「思い出すだけで怖気が走ります·····。どこから仕入れてきたのか私が女性恐怖症である事を知っていたようで、『今まで辛かったでしょうね···。でも、もう大丈夫よ。この聖女たる私が貴方の心の傷を癒してあ·げ·る♡』と何故か服を開けさせながら迫ってきて····。私がどんなに拒否しても『私がいくら可愛いからって照れなくてもいいのにぃ♡』などとほざいて話が全く通じないんです······!!!!!」
「キショ······」
「········それは、なんとまぁ、愚かな······」
余程リディナ様が恐ろしかったのでしょう、ロビア様は全身を震わせながら涙を流しております。·····普段どんな事があろうと冷静さを欠いた事のないロビア様をこんな風にするなんて····、ある意味大物としか言えませんね。
「だから!!!!!女は!!!!!嫌いなんだ!!!!!」
「も、申し訳ありません······?」
「ロビア?それはアイネをあのキチガイと同列に並べているという事か?いくら君でもアイネを侮辱するなら許さないよ?」
「トレンティス様は良いのです!!私を気持ちの悪い目で見てくる女どもが嫌いなのです!!!!!」
「殿下、私は気にしておりませんから。ロビア様をお責めにならないで下さいませ。」
「アイネ······、うん、分かったよ。」
ロビア様の女性恐怖症は筋金入りですから、こうして普通に会話が出来ているのも奇跡なのです。それを色仕掛けで迫るなど······ロビア様の心に一生ものの傷が付いてしまいます。
「殿下·····この学園に害虫駆除の依頼をお願いしてもよろしいですか?」
「あぁ、問題が解決したら奴は然るべき場所で然るべき対処をしてもらう。その時までの辛抱だ。」
ロビア様の為にも早く終わらせないといけませんね····。害虫駆j·····ゲフンゲフン
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