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本編
貴方仮にも王子でしょう
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私はリディナ様と殿下が結ばれてしまうのを回避すべく、殿下にリディナ様が仰っていた『おとめげーむ』の事を話ました。
リディナ様の話だと私は殿下を取られたくないあまり、彼女に虐めをするとか。ノートを破ったり足を引っ掛けたり···、終いには彼女のドレスにジュースを引っ掛けて台無しにしてしまうらしいのです。·····『しなりお』の中の私、中々に過激ですね。やる事為す事とても小さいものですが、よくまあそんなネチネチとした虐めをしたものです。しかし私よりも衝撃的だったのは殿下でした。
「全く····、乙女ゲームの中の僕は何をしているんだ。こんなに天使のように愛くるしくて、女神のように麗しい婚約者が目の前に居ると言うのに他のそれもあんな頭の可笑しな女に現を抜かすとは·····。」
どうやら『げーむ』の中の殿下は私に微塵も興味がなく、反対に私が殿下に熱をあげていたのだとか。······私に冷たい態度をとる殿下、想像出来ませんね。
「あ、それとこれは私の友人が教えて下さった事なのですが、リディナ様の周りに居る男子生徒の言動が可笑しいようなのです。」
「······そりゃあ頭の可笑しい女の周りには、同じような頭の可笑しな奴らが集まってくるだろう。」
「それがそうではなく、洗脳魔法のような何かで操られている可能性が高いらしいのです。」
「洗脳魔法····?そんなものあったか····、!『魅了』か!」
「『魅了』····?」
初めて聞いた言葉に私が首を傾げると、殿下が説明をして下さいました。
「『魅了』と言うのはその名の通り、周りの人間を自分の虜にさせる事が出来る能力だ。だが通常効果は1日かそこらしか持たないんだ。しかも、軽い惚れ薬のような効果が出て1日その相手の事しか考えられなくなってしまう程度なんだけど···。」
「成る程、つまりリディナ様はその『魅了』の能力を底上げする魔法具を持っている可能性がある······という事ですか?」
「多分ね。ただ、魔法具はおいそれと手に入れられるようなものじゃない。僕たち王族やアイネのような上級貴族ならまだしも、オルヴァリーク男爵のような男爵の中でも位が低い貴族がそう易々と持てる訳がないんだよ。」
リディナ様の家系であるオルヴァリーク男爵家は建国当初からある貴族と比べ、歴史が浅く突出した何かがある訳でもない貴族の地位にギリギリ居るような家系です。もしかすると、彼らよりも平民の豪商の方が良い暮らしをしているかもしれません。
「リディナ様に協力者が居る、と考えるのが妥当でしょうか?」
「そうだね。流石、僕のアイネは美貌にも頭脳にも秀でているね。僕の自慢の女神だよ。」
腰に腕を回して、頬を後頭部に擦り付けてくる殿下をいなしながら私は殿下に疑問を投げ掛けてみました。
「そう言えば、殿下はリディナ様が傍に居ても魅了に掛かっていなかったようですけれど、何故なのですか?」
ああ、と殿下が私に首に掛かっている私の瞳の色と同じ薄紫色の宝石が付いたネックレスを見せてきました。それは私が殿下にプレゼントされたネックレス(勿論殿下の瞳の色の宝石です)と対になるものでした。
「アイネにも渡したこのネックレス、実は魔法具でね。あらゆる魔法から身を守る効果があるんだよ。僕の婚約者として、そして次期王妃として狙われる事があると思うんだ。そんな時にこれがあれば、そんな事は億が一にも有り得ないけど僕が傍に居られない時でも君の安全を守る事が出来る。」
「このネックレスにそんな効果が····。」
渡された当初は『絶対に肌身離さず持っていてね。寝る時も、お風呂に入っている時も····身に付けていないと分かるから。』と言われ相変わらず愛が重いなあ、と思っていたのですが、まさか私を守る為だなんてとても嬉しいです。
「どんな時も、君を守るのは僕でありたいからね。」
「エミリオ様······。」
殿下の私への愛に、胸がときめいていたのですが······。
「それに、アイネのネックレスには居場所を関知する効果もあるから、アイネが何時何処で何をしているのか知る事も出来るしね。」
······殿下、流石にそれはドン引きです。そんなストーカーじみた真似を仮にも王太子の貴方がしないで下さい。
リディナ様の話だと私は殿下を取られたくないあまり、彼女に虐めをするとか。ノートを破ったり足を引っ掛けたり···、終いには彼女のドレスにジュースを引っ掛けて台無しにしてしまうらしいのです。·····『しなりお』の中の私、中々に過激ですね。やる事為す事とても小さいものですが、よくまあそんなネチネチとした虐めをしたものです。しかし私よりも衝撃的だったのは殿下でした。
「全く····、乙女ゲームの中の僕は何をしているんだ。こんなに天使のように愛くるしくて、女神のように麗しい婚約者が目の前に居ると言うのに他のそれもあんな頭の可笑しな女に現を抜かすとは·····。」
どうやら『げーむ』の中の殿下は私に微塵も興味がなく、反対に私が殿下に熱をあげていたのだとか。······私に冷たい態度をとる殿下、想像出来ませんね。
「あ、それとこれは私の友人が教えて下さった事なのですが、リディナ様の周りに居る男子生徒の言動が可笑しいようなのです。」
「······そりゃあ頭の可笑しい女の周りには、同じような頭の可笑しな奴らが集まってくるだろう。」
「それがそうではなく、洗脳魔法のような何かで操られている可能性が高いらしいのです。」
「洗脳魔法····?そんなものあったか····、!『魅了』か!」
「『魅了』····?」
初めて聞いた言葉に私が首を傾げると、殿下が説明をして下さいました。
「『魅了』と言うのはその名の通り、周りの人間を自分の虜にさせる事が出来る能力だ。だが通常効果は1日かそこらしか持たないんだ。しかも、軽い惚れ薬のような効果が出て1日その相手の事しか考えられなくなってしまう程度なんだけど···。」
「成る程、つまりリディナ様はその『魅了』の能力を底上げする魔法具を持っている可能性がある······という事ですか?」
「多分ね。ただ、魔法具はおいそれと手に入れられるようなものじゃない。僕たち王族やアイネのような上級貴族ならまだしも、オルヴァリーク男爵のような男爵の中でも位が低い貴族がそう易々と持てる訳がないんだよ。」
リディナ様の家系であるオルヴァリーク男爵家は建国当初からある貴族と比べ、歴史が浅く突出した何かがある訳でもない貴族の地位にギリギリ居るような家系です。もしかすると、彼らよりも平民の豪商の方が良い暮らしをしているかもしれません。
「リディナ様に協力者が居る、と考えるのが妥当でしょうか?」
「そうだね。流石、僕のアイネは美貌にも頭脳にも秀でているね。僕の自慢の女神だよ。」
腰に腕を回して、頬を後頭部に擦り付けてくる殿下をいなしながら私は殿下に疑問を投げ掛けてみました。
「そう言えば、殿下はリディナ様が傍に居ても魅了に掛かっていなかったようですけれど、何故なのですか?」
ああ、と殿下が私に首に掛かっている私の瞳の色と同じ薄紫色の宝石が付いたネックレスを見せてきました。それは私が殿下にプレゼントされたネックレス(勿論殿下の瞳の色の宝石です)と対になるものでした。
「アイネにも渡したこのネックレス、実は魔法具でね。あらゆる魔法から身を守る効果があるんだよ。僕の婚約者として、そして次期王妃として狙われる事があると思うんだ。そんな時にこれがあれば、そんな事は億が一にも有り得ないけど僕が傍に居られない時でも君の安全を守る事が出来る。」
「このネックレスにそんな効果が····。」
渡された当初は『絶対に肌身離さず持っていてね。寝る時も、お風呂に入っている時も····身に付けていないと分かるから。』と言われ相変わらず愛が重いなあ、と思っていたのですが、まさか私を守る為だなんてとても嬉しいです。
「どんな時も、君を守るのは僕でありたいからね。」
「エミリオ様······。」
殿下の私への愛に、胸がときめいていたのですが······。
「それに、アイネのネックレスには居場所を関知する効果もあるから、アイネが何時何処で何をしているのか知る事も出来るしね。」
······殿下、流石にそれはドン引きです。そんなストーカーじみた真似を仮にも王太子の貴方がしないで下さい。
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