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本編
もしかしなくとも私、マウントを取られましたか?
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私と殿下は、リディナ様を放って教室へ向かいました。(ちなみに、私のクラスは殿下と同じでした。何か言ったのですかと尋ねても『世の中には知らなくても良いことがあるんだよ。』と言われました。ワタクシハナニモシラナイ·····。)
教室へ着き皆さんが揃うと、先生からお話がありました。何でも、これから魔力適性検査を行うとのこと。魔力適性検査とは、その名の通り自分の魔力がどの魔法属性に適しているかを調べるものです。学園にある特別な水晶に手を翳すだけで簡単に分かるようになっています。ちなみに自分に合った属性は魔力が高ければ高い程多いとされていて、必然的に王族や上位貴族たちがより多くの魔法を使えるのです。ちなみに平民に魔力はなく、魔法に触れる機会も殆どありません。なので学園には平民はいないのです。魔法の適性としては治癒魔法が一番適性率が低く、稀有なものとされています。国内にも、治癒魔法を使える者は数少なく、その殆どが王宮にて国王陛下に仕える最精鋭の医療チームとなっています。治癒魔法を扱うことが出来る方の多くは上位貴族出身であるため、男爵家の庶子であるにも関わらず豊富な魔力と治癒魔法の適性を持つリディナ様はとても希少な存在なのです。·····本人の性格は別として。そして治癒魔法を頂点とした時に次にくるのは光魔法で、これは王族にのみ使うことが出来る魔法です。光魔法は人に祝福の光を与えることが出来ます。それを浴びた人は、魔力量が膨大に増えるのみならず、その先の人生を病気も、大きな怪我もすることなく幸せに人生を全う出来るのです。とても強大な魔法ですがその分魔力の消費も激しく、光魔法を使えるのは人生において一度きりで、使用者が心からの幸せを願うたった一人にのみ祝福を与えることが出来るのです。歴代の王族の方たちは皆、己の配偶者に対してその祝福を行っています。
光魔法の下は雷·火·水·風·土·闇となっています。雷から土は五大魔法と呼ばれており、基本的な魔力です。日常生活においても使うことがあり私たちが生きていく上で非常に大切なものです。平民の方たちは、貴族が使う雷魔法を電気へと変えて生活をしています。
そして、闇魔法。これは世界で最も忌避されている魔法です。闇魔法を扱うことが出来るのは魔族のみで、魔族は闇魔法を使って魔獣を造り出しています。そのため私たちには関わりのない魔法ではありますが、中には好奇心と言う名の悪魔に唆され闇魔法に手を出してしまい、人の道を外れてしまう者もいるのです。
▽▼▽▼▽▼▽▼
「では、新入生は呼ばれた者から前に出るように。」
新入生たちが集められた講堂で、先生の声が響きます。名前を呼ばれた生徒が次々に水晶の前へ移動していきます。水晶に手を翳すと、それぞれの属性の色に光ります。属性への適性が複数ある場合は、一番適性のある属性の色がより濃くあらわれるのです。ちなみに、色はそれぞれ治癒魔法は白、光魔法は紫、雷魔法はオレンジ、火魔法は赤、水魔法は青、風魔法は緑、土魔法は黄色、そして闇魔法は黒となっています。
「お次は、エミリオ·ロージェンス第一王子。」
殿下の番になりました。殿下が水晶へ手を翳すと紫が一番濃い、治癒魔法と闇魔法を除いた全ての属性の色に光りました。すると周囲が俄に騒がしくなりました。それもその筈、殿下が一番適性があるとされた光魔法は年々適性が薄くなってきているのです。国を栄えさせる為には他の国々との交流を持つことが重要です。王族の婚姻によって結ばれるそれは、悔しくも王族特有の魔法を薄れさせていったのです。しかし殿下は歴代でも一二を争う程秀才で魔力量も多いので、光魔法が濃く現れたのでしょう。
「ここまでの濃さとなると、歴代でも珍しいのではないでしょうか?」
「流石、将来有望の第一王子だな。エミリオ殿下が王となれば、この国は安泰だ。」
周りの方々は称賛の眼差しで殿下を見つめていますが、当の殿下は気にかける様子もありません。······こんなに他人に興味がない殿下ですのに、何故私にあんなに執着するのでしょう?
「次、アイネリーゼ·トレンティス公爵令嬢。」
「はい。」
私の名が呼ばれました。私は水晶の前へ移動し手を翳しました。すると水晶は治癒魔法、光魔法、闇魔法、雷魔法を除いた属性に適性がありその中でも特に風魔法の緑が濃いようです。私の家系は代々風魔法に特化した人が多いので当然ではありますが。
「八属性の内四つに適性がありますね。上位貴族としては充分に優秀な部類に入りますよ。」
「ありがとうございます。」
先生方に挨拶をしてから自分の席へ戻ります。その時、ふとリディナ様と目が合ったように感じました。彼女はどこか私を嘲るような笑みを浮かべたあと、名前を呼ばれて水晶の前へ移動しました。リディナ様が水晶に手を翳すと、水晶が乳白色に光りました。分かってはいた事ですが、こうして初めて見ると彼女がとても稀有な存在かが分かりますね。·····本人の性格は別として(大事な事なので二回言います)。
するとまた、リディナ様と目が合いました。彼女の顔には、『希少な魔法が使える私の方が優秀な殿下に相応しい』···と書いてある気がします。明らかなマウントと分かってはいるのですが、確かにそうなのかもしれません。多少性格に難があるとしても、彼女は男爵令嬢にして希少な治癒魔法を扱うことが出来ます。片や私は上位貴族としても中の中。殿下に相応しいとは言えないかもしれません。殿下は私をそれはもう砂糖を煮詰めたような甘さで愛して下さいますが、そもそも王族とは時に利益を考えて婚姻を結ぶ時があります。
·····私は、殿下の婚約者の座を譲るべきなのでしょうか·····?
教室へ着き皆さんが揃うと、先生からお話がありました。何でも、これから魔力適性検査を行うとのこと。魔力適性検査とは、その名の通り自分の魔力がどの魔法属性に適しているかを調べるものです。学園にある特別な水晶に手を翳すだけで簡単に分かるようになっています。ちなみに自分に合った属性は魔力が高ければ高い程多いとされていて、必然的に王族や上位貴族たちがより多くの魔法を使えるのです。ちなみに平民に魔力はなく、魔法に触れる機会も殆どありません。なので学園には平民はいないのです。魔法の適性としては治癒魔法が一番適性率が低く、稀有なものとされています。国内にも、治癒魔法を使える者は数少なく、その殆どが王宮にて国王陛下に仕える最精鋭の医療チームとなっています。治癒魔法を扱うことが出来る方の多くは上位貴族出身であるため、男爵家の庶子であるにも関わらず豊富な魔力と治癒魔法の適性を持つリディナ様はとても希少な存在なのです。·····本人の性格は別として。そして治癒魔法を頂点とした時に次にくるのは光魔法で、これは王族にのみ使うことが出来る魔法です。光魔法は人に祝福の光を与えることが出来ます。それを浴びた人は、魔力量が膨大に増えるのみならず、その先の人生を病気も、大きな怪我もすることなく幸せに人生を全う出来るのです。とても強大な魔法ですがその分魔力の消費も激しく、光魔法を使えるのは人生において一度きりで、使用者が心からの幸せを願うたった一人にのみ祝福を与えることが出来るのです。歴代の王族の方たちは皆、己の配偶者に対してその祝福を行っています。
光魔法の下は雷·火·水·風·土·闇となっています。雷から土は五大魔法と呼ばれており、基本的な魔力です。日常生活においても使うことがあり私たちが生きていく上で非常に大切なものです。平民の方たちは、貴族が使う雷魔法を電気へと変えて生活をしています。
そして、闇魔法。これは世界で最も忌避されている魔法です。闇魔法を扱うことが出来るのは魔族のみで、魔族は闇魔法を使って魔獣を造り出しています。そのため私たちには関わりのない魔法ではありますが、中には好奇心と言う名の悪魔に唆され闇魔法に手を出してしまい、人の道を外れてしまう者もいるのです。
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「では、新入生は呼ばれた者から前に出るように。」
新入生たちが集められた講堂で、先生の声が響きます。名前を呼ばれた生徒が次々に水晶の前へ移動していきます。水晶に手を翳すと、それぞれの属性の色に光ります。属性への適性が複数ある場合は、一番適性のある属性の色がより濃くあらわれるのです。ちなみに、色はそれぞれ治癒魔法は白、光魔法は紫、雷魔法はオレンジ、火魔法は赤、水魔法は青、風魔法は緑、土魔法は黄色、そして闇魔法は黒となっています。
「お次は、エミリオ·ロージェンス第一王子。」
殿下の番になりました。殿下が水晶へ手を翳すと紫が一番濃い、治癒魔法と闇魔法を除いた全ての属性の色に光りました。すると周囲が俄に騒がしくなりました。それもその筈、殿下が一番適性があるとされた光魔法は年々適性が薄くなってきているのです。国を栄えさせる為には他の国々との交流を持つことが重要です。王族の婚姻によって結ばれるそれは、悔しくも王族特有の魔法を薄れさせていったのです。しかし殿下は歴代でも一二を争う程秀才で魔力量も多いので、光魔法が濃く現れたのでしょう。
「ここまでの濃さとなると、歴代でも珍しいのではないでしょうか?」
「流石、将来有望の第一王子だな。エミリオ殿下が王となれば、この国は安泰だ。」
周りの方々は称賛の眼差しで殿下を見つめていますが、当の殿下は気にかける様子もありません。······こんなに他人に興味がない殿下ですのに、何故私にあんなに執着するのでしょう?
「次、アイネリーゼ·トレンティス公爵令嬢。」
「はい。」
私の名が呼ばれました。私は水晶の前へ移動し手を翳しました。すると水晶は治癒魔法、光魔法、闇魔法、雷魔法を除いた属性に適性がありその中でも特に風魔法の緑が濃いようです。私の家系は代々風魔法に特化した人が多いので当然ではありますが。
「八属性の内四つに適性がありますね。上位貴族としては充分に優秀な部類に入りますよ。」
「ありがとうございます。」
先生方に挨拶をしてから自分の席へ戻ります。その時、ふとリディナ様と目が合ったように感じました。彼女はどこか私を嘲るような笑みを浮かべたあと、名前を呼ばれて水晶の前へ移動しました。リディナ様が水晶に手を翳すと、水晶が乳白色に光りました。分かってはいた事ですが、こうして初めて見ると彼女がとても稀有な存在かが分かりますね。·····本人の性格は別として(大事な事なので二回言います)。
するとまた、リディナ様と目が合いました。彼女の顔には、『希少な魔法が使える私の方が優秀な殿下に相応しい』···と書いてある気がします。明らかなマウントと分かってはいるのですが、確かにそうなのかもしれません。多少性格に難があるとしても、彼女は男爵令嬢にして希少な治癒魔法を扱うことが出来ます。片や私は上位貴族としても中の中。殿下に相応しいとは言えないかもしれません。殿下は私をそれはもう砂糖を煮詰めたような甘さで愛して下さいますが、そもそも王族とは時に利益を考えて婚姻を結ぶ時があります。
·····私は、殿下の婚約者の座を譲るべきなのでしょうか·····?
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