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本編
自称ヒロインは婚約者よりもヤバイ人
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「エミリオ殿下ぁ~♡おはようございまぁ~す!」
背後から甘ったるい声が聞こえたと思ったら、薄桃色の髪と琥珀色の瞳を持つリディナ·オルヴァリーク男爵令嬢が殿下に抱き付いたと言うには少々強烈なタックルをかましていました。
「ぐ·····っ!?お、はよう、オルヴァリーク男爵令嬢。」
······この方は仮にも貴族となったのにも拘わらず婚約者のいる異性に不用意に近付いてはならないと教わらなかったのでしょうか?
「おはようございます、リディナ様。婚約者の居る殿方にそのように抱き付いてはいけませんよ。しかも、その婚約者の目の前で。」
流石に目に余る行動だったので、思わずリディナ様に注意をしました。するとリディナ様はとてもご令嬢とは思えない笑みを浮かべ、昨日見せた嘘泣きをまたし始めました。·····私は貴女が隠し持っていた目薬を差したのを見逃していませんよ。
「ご、ごめんなさい、アイネリーゼ様···。私貴族のルールに慣れていなくってぇ。でも、それくらいいいじゃないですかぁ。」
「良くありません。婚約者がいる異性にそのように馴れ馴れしく接してはいけないというのは、貴族のみならず平民にも言える事ではないのですか?」
「で、でもぉ、私殿下と仲良くしたくってぇ···。」
「では聞きますが、先程の行動が一生徒同士としての交流だと言えるのですか?」
「私の暮らしていた所は皆距離が近くて、男女関係なくスキンシップが多かったんですぅ。」
「ここは貴族の令嬢、令息が通う場所です。慣れないから仕方ないのではなく、一刻も早く貴族としての決まりを身に付けるべきです。」
「アイネリーゼ様、ひどぉい!そこまで言わなくてもいいじゃないですかぁ····っ」
······昨日の棒読みも酷かったですが、今日は大袈裟すぎてイラッとします。何ですか、あの間延びした口調。しかし周りの方々(主に男性)の多くはリディナ様に同情的な態度でした。······あの態とらしい演技に騙されるんですか、あなた方·····。
と、今まで黙っていた殿下が口を開きました。
「アイネの言う通りだ。オルヴァリーク男爵令嬢、婚約者がいる異性に対してそのような距離感はあまり良くない。(訳:さっさと離れろ。)」
殿下の凍てつくような眼差しを受け、流石のリディナ様も殿下から離れました。······しかし、何故彼女は氷点下の瞳で見られたというのに嬉しそうに(ニヤニヤデュフデュフと)笑っているのでしょう?まさか、リディナ様は被虐的思考の方·····?
「アアアアアアッッッ!!!!エミリオルートのスチルゲットシーン来たぁぁぁぁ!!!!昨日のプロローグのスチルも良かったけど個人的にはこっちの方が好みぃぃぃぃッ!あの凍てつく視線が堪らなぁぁぁい♡♡♡」
·······どうしましょう。リディナ様が壊れてしまいました。
「·······アイネ、行こうか。そろそろ教室に行かなくては遅刻していまうからね。」
「え、えぇ····。ですが、あの、リディナ様は····?」
「ん?誰だい、それは。ここには僕と君しかいないよ。」
あ、殿下がリディナ様を記憶からデリートしたみたいです。
リディナ様とは昨日初めて会ったのでまだあまりよく知りませんが、一つ言えることがあります。
Q.リディナ様はどのような方か?
A.殿下よりもヤバイ人。
背後から甘ったるい声が聞こえたと思ったら、薄桃色の髪と琥珀色の瞳を持つリディナ·オルヴァリーク男爵令嬢が殿下に抱き付いたと言うには少々強烈なタックルをかましていました。
「ぐ·····っ!?お、はよう、オルヴァリーク男爵令嬢。」
······この方は仮にも貴族となったのにも拘わらず婚約者のいる異性に不用意に近付いてはならないと教わらなかったのでしょうか?
「おはようございます、リディナ様。婚約者の居る殿方にそのように抱き付いてはいけませんよ。しかも、その婚約者の目の前で。」
流石に目に余る行動だったので、思わずリディナ様に注意をしました。するとリディナ様はとてもご令嬢とは思えない笑みを浮かべ、昨日見せた嘘泣きをまたし始めました。·····私は貴女が隠し持っていた目薬を差したのを見逃していませんよ。
「ご、ごめんなさい、アイネリーゼ様···。私貴族のルールに慣れていなくってぇ。でも、それくらいいいじゃないですかぁ。」
「良くありません。婚約者がいる異性にそのように馴れ馴れしく接してはいけないというのは、貴族のみならず平民にも言える事ではないのですか?」
「で、でもぉ、私殿下と仲良くしたくってぇ···。」
「では聞きますが、先程の行動が一生徒同士としての交流だと言えるのですか?」
「私の暮らしていた所は皆距離が近くて、男女関係なくスキンシップが多かったんですぅ。」
「ここは貴族の令嬢、令息が通う場所です。慣れないから仕方ないのではなく、一刻も早く貴族としての決まりを身に付けるべきです。」
「アイネリーゼ様、ひどぉい!そこまで言わなくてもいいじゃないですかぁ····っ」
······昨日の棒読みも酷かったですが、今日は大袈裟すぎてイラッとします。何ですか、あの間延びした口調。しかし周りの方々(主に男性)の多くはリディナ様に同情的な態度でした。······あの態とらしい演技に騙されるんですか、あなた方·····。
と、今まで黙っていた殿下が口を開きました。
「アイネの言う通りだ。オルヴァリーク男爵令嬢、婚約者がいる異性に対してそのような距離感はあまり良くない。(訳:さっさと離れろ。)」
殿下の凍てつくような眼差しを受け、流石のリディナ様も殿下から離れました。······しかし、何故彼女は氷点下の瞳で見られたというのに嬉しそうに(ニヤニヤデュフデュフと)笑っているのでしょう?まさか、リディナ様は被虐的思考の方·····?
「アアアアアアッッッ!!!!エミリオルートのスチルゲットシーン来たぁぁぁぁ!!!!昨日のプロローグのスチルも良かったけど個人的にはこっちの方が好みぃぃぃぃッ!あの凍てつく視線が堪らなぁぁぁい♡♡♡」
·······どうしましょう。リディナ様が壊れてしまいました。
「·······アイネ、行こうか。そろそろ教室に行かなくては遅刻していまうからね。」
「え、えぇ····。ですが、あの、リディナ様は····?」
「ん?誰だい、それは。ここには僕と君しかいないよ。」
あ、殿下がリディナ様を記憶からデリートしたみたいです。
リディナ様とは昨日初めて会ったのでまだあまりよく知りませんが、一つ言えることがあります。
Q.リディナ様はどのような方か?
A.殿下よりもヤバイ人。
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