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4章 鳥籠
囚われの乙女
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ウィリアムはアイリスを抱き上げ王宮の奥深くへ進んで行った。
「へ、陛下!どこへ行くのですか!?」
「『ウィル』だよ。」
「····ウィリアム、様。」
「うーん、まあ今はそれでもいいよ。そのうち呼びたくなるようにするから。」
ウィリアムのその言葉に背筋がゾクリと粟立つのが感じた。それは恐怖からか、あるいは別の何かからか。自分でもよく分からない感情が胸を占めていた。アイリスは怖くなってウィリアムの腕の中から抜け出そうと踠く。するとウィリアムは、更にアイリスを抱き締める力を強めながら低い声で囁く。
「私から逃げようとしても無駄だよ。手荒な事はしたくないから、大人しくしていて?」
決して声を荒げている訳ではないのに、従わなければいけない気になる。アイリスが小さく頷くと、ウィリアムは優しく額に口づけた。
*****
「さあ、着いたよアイリス。」
ウィリアムが足を止めたのは王宮の最奥に位置するとある部屋の前だった。周辺には人1人おらず、とても静かな部屋はとても広いが物が殆ど無かった。
「ここ、は···。」
「ここが今日から私たちが暮らす部屋だよ。」
大人の男が五人程寝そべっても余裕がありそうな天蓋付きのベッドに、大きな収納棚、椅子が2脚とティーテーブルが置いてあるだけの酷く殺風景な部屋だ。それに、窓が天井辺りに1つあるだけで他にはない。出入口と、風呂場へ続く扉があるのみで監禁部屋と呼ぶ方が相応しい。ウィリアムはアイリスをベッドに下ろすと上に跨がった。彼の瞳は仄暗い光を宿していていつもの雰囲気とは明らかに違った。
「これでやっと君を私だけのものに出来る。」
「ウィ、リアム、様····?」
「その瞳に、私だけを映して欲しかった。その声を、私だけしか聞こえないようにしたかった。何度····、君を汚す想像をしたことか。」
今、アイリスの目の前にいるこの人は誰なのだろうか。こんな風に狂気に満ちたウィリアムをアイリスは知らない。
「これからはもう、私以外に見る者はいない。私だけの為にその瞳を開いて、私だけの為にその声を聞かせて?」
「や、帰して···っ!」
「どこに帰ると言うの?アイリスの居場所はここなのに。」
おかしな事を言っているとばかりな顔をするウィリアム。
「こ、んなの私が知ってる貴方じゃない···っ」
「そりゃあ、我慢していたからね。君を怖がらせないように、君の望む私でい続けたんだ。これが本来の私だよ。」
「そんな····。」
「私はね、アイリス。君以外の人間はどうでもいいんだ。この国も、民も、どうなったって構わない。ただ君がこの国にいたいなら私は良き王でい続けるし、民を守りたいと思うならより良い国にしていくよ。」
ウィリアムの瞳は彼の言葉が嘘ではないことを物語っている。
と、ウィリアムが徐にアイリスの服を脱がし始めた。
「!?や···っ」
「じっとしていて、痛いのは嫌だろう?」
「····っ」
アイリスが大人しくなったのを確認したウィリアムは、慣れた手付きでドレスを脱がせていった。下着も取り払われ、生まれたままの姿になったアイリスは恥ずかしさのあまり思わず顔を背けた。
「綺麗だね、この姿を見るのも私だけだ。」
「や、見ないで····っ」
「見るよ、私のものだから。」
そう言うと、ウィリアムはアイリスの身体のあちこちに口づけを落とした。強く吸われ、ピリッとした痛みが走る。
「····っ、?な、に···?」
「所有印だよ。君が私のものだという証拠。」
アイリスが自分の身体を見ると、赤い鬱血痕が花弁のように散っていた。ウィリアムは、その痕を恍惚の表情で撫でる。
「アイリス、今夜は初夜だ。---うんと、可愛がってあげる。」
いつの間にか空には月が出ていて、ウィリアムの顔を窓から射し込む月明かりが照していた。
「へ、陛下!どこへ行くのですか!?」
「『ウィル』だよ。」
「····ウィリアム、様。」
「うーん、まあ今はそれでもいいよ。そのうち呼びたくなるようにするから。」
ウィリアムのその言葉に背筋がゾクリと粟立つのが感じた。それは恐怖からか、あるいは別の何かからか。自分でもよく分からない感情が胸を占めていた。アイリスは怖くなってウィリアムの腕の中から抜け出そうと踠く。するとウィリアムは、更にアイリスを抱き締める力を強めながら低い声で囁く。
「私から逃げようとしても無駄だよ。手荒な事はしたくないから、大人しくしていて?」
決して声を荒げている訳ではないのに、従わなければいけない気になる。アイリスが小さく頷くと、ウィリアムは優しく額に口づけた。
*****
「さあ、着いたよアイリス。」
ウィリアムが足を止めたのは王宮の最奥に位置するとある部屋の前だった。周辺には人1人おらず、とても静かな部屋はとても広いが物が殆ど無かった。
「ここ、は···。」
「ここが今日から私たちが暮らす部屋だよ。」
大人の男が五人程寝そべっても余裕がありそうな天蓋付きのベッドに、大きな収納棚、椅子が2脚とティーテーブルが置いてあるだけの酷く殺風景な部屋だ。それに、窓が天井辺りに1つあるだけで他にはない。出入口と、風呂場へ続く扉があるのみで監禁部屋と呼ぶ方が相応しい。ウィリアムはアイリスをベッドに下ろすと上に跨がった。彼の瞳は仄暗い光を宿していていつもの雰囲気とは明らかに違った。
「これでやっと君を私だけのものに出来る。」
「ウィ、リアム、様····?」
「その瞳に、私だけを映して欲しかった。その声を、私だけしか聞こえないようにしたかった。何度····、君を汚す想像をしたことか。」
今、アイリスの目の前にいるこの人は誰なのだろうか。こんな風に狂気に満ちたウィリアムをアイリスは知らない。
「これからはもう、私以外に見る者はいない。私だけの為にその瞳を開いて、私だけの為にその声を聞かせて?」
「や、帰して···っ!」
「どこに帰ると言うの?アイリスの居場所はここなのに。」
おかしな事を言っているとばかりな顔をするウィリアム。
「こ、んなの私が知ってる貴方じゃない···っ」
「そりゃあ、我慢していたからね。君を怖がらせないように、君の望む私でい続けたんだ。これが本来の私だよ。」
「そんな····。」
「私はね、アイリス。君以外の人間はどうでもいいんだ。この国も、民も、どうなったって構わない。ただ君がこの国にいたいなら私は良き王でい続けるし、民を守りたいと思うならより良い国にしていくよ。」
ウィリアムの瞳は彼の言葉が嘘ではないことを物語っている。
と、ウィリアムが徐にアイリスの服を脱がし始めた。
「!?や···っ」
「じっとしていて、痛いのは嫌だろう?」
「····っ」
アイリスが大人しくなったのを確認したウィリアムは、慣れた手付きでドレスを脱がせていった。下着も取り払われ、生まれたままの姿になったアイリスは恥ずかしさのあまり思わず顔を背けた。
「綺麗だね、この姿を見るのも私だけだ。」
「や、見ないで····っ」
「見るよ、私のものだから。」
そう言うと、ウィリアムはアイリスの身体のあちこちに口づけを落とした。強く吸われ、ピリッとした痛みが走る。
「····っ、?な、に···?」
「所有印だよ。君が私のものだという証拠。」
アイリスが自分の身体を見ると、赤い鬱血痕が花弁のように散っていた。ウィリアムは、その痕を恍惚の表情で撫でる。
「アイリス、今夜は初夜だ。---うんと、可愛がってあげる。」
いつの間にか空には月が出ていて、ウィリアムの顔を窓から射し込む月明かりが照していた。
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