上 下
66 / 75
結衣の1年間

3

しおりを挟む

「ねぇ、優起きてよ~。」

時刻は13時を回った所。

「うるせぇなぁ。」

そう呟いて、また目を閉じる優。

今日は、ずっと楽しみにしていたデート当日だ。

「お願いだから起きて」

何度身体を揺すっても起きない、何度も何度も繰り返すと手が飛んでくるわ足蹴食らうわ……。

こうなる予想が着いて無いわけでは無かった。



「明日、朝早いから優もすぐ寝なきゃだよ」

パソコンの前で最近お気に入りのゲームをしてる優にそう声をかけると、話半分にテキトーな返事が返ってくる。

「わたしもう先寝るからね?優も早くおいで」

そう伝え、ベッドに行く。流石に日付変わる前には来て欲しいなぁ、なんて考えながら眠りについた。

朝、7時に起きるつもりだったけど、トイレで目覚めた時私は目を疑った。

時刻は5時。隣で寝ていると思っていた優が居ない。

リビングの電気が着いている。

……いや、でも流石にまだゲームしてるって事は無いでしょ。リビングで寝落ちしちゃったとか…。

なんて考えは甘く、リビングのドアを開けるとまだゲームをしてる優の姿があった。

「ねぇ優くん」

「あれ?起きるの早いね」

なにそれ、ちょっとイラッとするんだけど。

「いや、トイレで起きちゃっただけだけどさ。なんでまだ起きてんの?」

優の顔が曇るのがわかる。

「だめ?」

声色で、機嫌が悪くなってるのが伝わる。

「いや、ダメとかじゃなくてさ。起きれんのって。」

「……なに?ゲーム辞めればいいんでしょ?」

ゲームを切り止めて、乱暴に寝室に行く優。

なんで私が怒られなきゃいけないの?

私もトイレを済ませ二度寝をして、当初起きる予定だった7時には起きて、支度を始めた。

ホントは同じタイミングで、優も起きて欲しかったけど、流石に少ししか寝てないから、私が支度終わってから起こす事にした。




そして、今に至る。

「……はぁ。」

ここまで来るとため息しか出ない。

とりあえず、優が起きるまでの間に、家の事はほとんど済ませちゃったからもうやる事も無いし……。

あ、お金下ろさなきゃだ。

「優くん、先にお金だけ下ろし行ってくるからちゃんと起きて支度しといてね。」

目を閉じながらコクリと頷いたのを確認して、コンビニに向かう。

お金下ろしたら、とりあえずちょこっと食べれるものと飲み物買っとこ。多分優くん夜中ずっと起きてたってことはタバコもそろそろ切れるだろうから買っとくか。

なんてことを考えながらATMをいじってる時、とんでもない事に気がついた。

普段、残高なんて中々確認しないんだけど、今日は何となく見てみた。目を疑った。

「14万…?」

…………ちょっとヤバいかも。

多分今月の家賃とか色々引き落としは、済んでると思うんだけど、でも14万は流石に笑えない。私これまで何してたの?

何がヤバいのか、なんでヤバいのか。

それは、私の口座は元々200万くらいは貯金してたからだ。

特に貯めてる理由は無かった。元々使うものもそんなに無かったし。

何でそんなに無くなったか。理由は明白だ。

「…生活の仕方変えないと。」

誰かのせいにするつもりは全く無いけど、でもほとんど原因は優だ。いや、私にも問題はあるんだけど、ここまで2人で過ごしてきて、実は何をするにしても全て私がお金を出していた。

2人の生活費は勿論だけど、ゲームを買うにしても、お酒にしても、タバコにしても。

優は働いてないから、私が出すしかない。

……でも、たった半年?くらいでこんなにお金って減る?
一応私結構働いてるよ?。

いつか…いつか言わなきゃな。

とりあえず、今回は4万は飛ぶだろうから、引いて残り10万。

………はぁ、これからもっと頑張ろ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

【完結】失いかけた君にもう一度

暮田呉子
恋愛
偶然、振り払った手が婚約者の頬に当たってしまった。 叩くつもりはなかった。 しかし、謝ろうとした矢先、彼女は全てを捨てていなくなってしまった──。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...