58 / 75
新学期
9
しおりを挟む
話は少し前に遡る。
優と出会ったのは……そう、夏休みだった。
セナ達と遊んだあの時から少し日にちが経った頃、バイト先の女の子に誘われて行ったバーに同じくお客として来ていた優。
「へぇ、ゆいちゃん一人暮らしなんだ。」
その言葉に全て詰まって居たんだと思う。
彼が家に通うようになるのに時間はかからなかったし、彼と"大人"の関係になるのも時間はかからなかった。
「いいんじゃね?付き合っちゃおうぜ。」
そんな軽い一言で始まった私たちの関係。
だけど、私はこの時正直救われていた。
"やっと、セナの事で悩まなくて済むんだ"
そんな事ない、ただの思い込みだって今ならわかるけど。
でも…この時は本気で安心していたんだ。
『良かったな。大事にしてもらえよ。ってか幸せにならなかったらキレるかんな!!!』
セナから来てたこのメッセージ、今でもたまに思い出しちゃうな。
いつもの様に、朝起きて学校の支度をしていると、珍しくスマホが鳴った。
「珍し…誰だろ。」
あれからセナとは連絡を取ることも少なくなり、学校にもたまにしか姿を表さないのもあって、もう友達とは呼べる距離感には無くなっていた。
画面を確認すると、『ハル』と表示されていた。
そういえば、ハルもレンも全然連絡してなかったかも。
『ゆい!久しぶり~!!』
少し上にスクロールしてみると、最後に連絡取ったのはもう2ヶ月以上前だった。
『ハル~!ごめんね全然連絡出来なくて。どうしたの~?』
すぐに既読がついた。
『全然だよ!こちらこそごめんね。いきなりなんだけどさ、週末暇だったりしない??』
あー、この文からハルらしさが伝わってくるっていうか…
久々だからかもだけどすっごい癒される。
『週末か…わかんない、バイト休みだけど、彼氏に聞いてみるね!』
『ありがとう!わかったらまた連絡して!!』
あれっ、そういえば会うのはいいんだけど何するのか聞いてない。2人でご飯とか?かな?
そんなことを考えながらも時計に目をやるといい時間になっていて、私は学校に向かった。
教室の扉を開けると真ん中の方でちょっとした人の塊が出来ていた。
私はすぐ気づいた。
「おはよー、セナ。」
人だかりが少し横に掃けて私はそれこそ数ヶ月ぶりに彼を見た。
「おはよ~、相変わらず可愛いねぇゆいちゃん。」
笑えなかった。
可愛いなんてふざけて言ってきた事じゃないよ?
セナを見て笑う事が出来なかった。
このまま会話することも、いつもみたいに戯れる事も出来なかった。
そこに居たのは、今までのセナじゃなかった。
「おれ、愛しのゆいちゃんの顔見たら満足しちゃったし帰るわ~、今日まだ寝てねえし。」
「はぁ?お前まだHRすら始まってねえっての!!」
周りにいたクラスメイトがそう言って、教室内はガヤガヤと騒がしくなった。
「堀田の言う通りだぞ、久しぶりに顔見せたと思ったらお前…………。いや、何でもねえ、好きにしろ。」
いつの間にか教室に居た担任が口を開くなりそう言って
セナは笑顔で「どーも」と頭を下げ、周りの静止を振り切って帰ってしまった。
正直、こんな姿は見たくなかったし、他のクラスメイト達が何も気づいてない様子なのが違和感でしか無かった。
肌は今まで以上に白く、その浮かべている笑顔にはまるで感情が無いみたいで…正気というものが全く感じられなかった。オマケに痩せたよね、前よりずっと。
でも、原因だけは気づきたくなくて。
私は目を逸らしてしまった。
優と出会ったのは……そう、夏休みだった。
セナ達と遊んだあの時から少し日にちが経った頃、バイト先の女の子に誘われて行ったバーに同じくお客として来ていた優。
「へぇ、ゆいちゃん一人暮らしなんだ。」
その言葉に全て詰まって居たんだと思う。
彼が家に通うようになるのに時間はかからなかったし、彼と"大人"の関係になるのも時間はかからなかった。
「いいんじゃね?付き合っちゃおうぜ。」
そんな軽い一言で始まった私たちの関係。
だけど、私はこの時正直救われていた。
"やっと、セナの事で悩まなくて済むんだ"
そんな事ない、ただの思い込みだって今ならわかるけど。
でも…この時は本気で安心していたんだ。
『良かったな。大事にしてもらえよ。ってか幸せにならなかったらキレるかんな!!!』
セナから来てたこのメッセージ、今でもたまに思い出しちゃうな。
いつもの様に、朝起きて学校の支度をしていると、珍しくスマホが鳴った。
「珍し…誰だろ。」
あれからセナとは連絡を取ることも少なくなり、学校にもたまにしか姿を表さないのもあって、もう友達とは呼べる距離感には無くなっていた。
画面を確認すると、『ハル』と表示されていた。
そういえば、ハルもレンも全然連絡してなかったかも。
『ゆい!久しぶり~!!』
少し上にスクロールしてみると、最後に連絡取ったのはもう2ヶ月以上前だった。
『ハル~!ごめんね全然連絡出来なくて。どうしたの~?』
すぐに既読がついた。
『全然だよ!こちらこそごめんね。いきなりなんだけどさ、週末暇だったりしない??』
あー、この文からハルらしさが伝わってくるっていうか…
久々だからかもだけどすっごい癒される。
『週末か…わかんない、バイト休みだけど、彼氏に聞いてみるね!』
『ありがとう!わかったらまた連絡して!!』
あれっ、そういえば会うのはいいんだけど何するのか聞いてない。2人でご飯とか?かな?
そんなことを考えながらも時計に目をやるといい時間になっていて、私は学校に向かった。
教室の扉を開けると真ん中の方でちょっとした人の塊が出来ていた。
私はすぐ気づいた。
「おはよー、セナ。」
人だかりが少し横に掃けて私はそれこそ数ヶ月ぶりに彼を見た。
「おはよ~、相変わらず可愛いねぇゆいちゃん。」
笑えなかった。
可愛いなんてふざけて言ってきた事じゃないよ?
セナを見て笑う事が出来なかった。
このまま会話することも、いつもみたいに戯れる事も出来なかった。
そこに居たのは、今までのセナじゃなかった。
「おれ、愛しのゆいちゃんの顔見たら満足しちゃったし帰るわ~、今日まだ寝てねえし。」
「はぁ?お前まだHRすら始まってねえっての!!」
周りにいたクラスメイトがそう言って、教室内はガヤガヤと騒がしくなった。
「堀田の言う通りだぞ、久しぶりに顔見せたと思ったらお前…………。いや、何でもねえ、好きにしろ。」
いつの間にか教室に居た担任が口を開くなりそう言って
セナは笑顔で「どーも」と頭を下げ、周りの静止を振り切って帰ってしまった。
正直、こんな姿は見たくなかったし、他のクラスメイト達が何も気づいてない様子なのが違和感でしか無かった。
肌は今まで以上に白く、その浮かべている笑顔にはまるで感情が無いみたいで…正気というものが全く感じられなかった。オマケに痩せたよね、前よりずっと。
でも、原因だけは気づきたくなくて。
私は目を逸らしてしまった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
【R18】もう一度セックスに溺れて
ちゅー
恋愛
--------------------------------------
「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」
過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。
--------------------------------------
結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。
優しく微笑んでくれる婚約者を手放した後悔
しゃーりん
恋愛
エルネストは12歳の時、2歳年下のオリビアと婚約した。
彼女は大人しく、エルネストの話をニコニコと聞いて相槌をうってくれる優しい子だった。
そんな彼女との穏やかな時間が好きだった。
なのに、学園に入ってからの俺は周りに影響されてしまったり、令嬢と親しくなってしまった。
その令嬢と結婚するためにオリビアとの婚約を解消してしまったことを後悔する男のお話です。
皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
一年で死ぬなら
朝山みどり
恋愛
一族のお食事会の主な話題はクレアをばかにする事と同じ年のいとこを褒めることだった。
理不尽と思いながらもクレアはじっと下を向いていた。
そんなある日、体の不調が続いたクレアは医者に行った。
そこでクレアは心臓が弱っていて、余命一年とわかった。
一年、我慢しても一年。好きにしても一年。吹っ切れたクレアは・・・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる