ephemeral house -エフェメラルハウス-

れあちあ

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新学期

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「おまたせ」

大人しく待っていたであろうセナに声をかけると申し訳程度にニコッと笑いかけてすぐにスマホに目を落とし真剣な表情に変わった

何だか邪魔しない方がいい雰囲気…

よく見ると耳にコードのイヤホンを付けている

なにか聴いてるってこと…?

とにかく邪魔したらいけないと思い待っているとものの数分でもう終わったらしくイヤホンを取った

「わり、タイミングミスったわ」



なんのこと?

「もうちょいゆいちゃん時間かかると思ってたんだけど意外と早かったから」

私がもっと時間かかると思っててその"何か"を始めたけど思ってたより早かったから
それならやらないでおけば私を待たすこと無かったのに~ごめんね

って言いたいみたい

「いや、全然私はいいんだけどさ」

私は全然気にしてないけど何やってたかは気になる、当然気になる。

「いいんだけど、何やってたの?それが気になる」

「え?あー、ゲーム」

あ、これ嘘だ

「嘘つき」

「え~なんでよ~」

もうセナとは一生分くらい毎日喋ってるからわかるようになってきた

セナは嘘つく時大体「え?あー」って言うし
そういう時大体そっぽ向く

で、もっと食いつくと「なんでよ」って言う

しかもこういう時は絶対話に向き合ってくれない

正直ムカつく!!!

「いいじゃん教えてくれても!!言えないこと?」

「いや、そういう訳じゃないけど…」

何だか珍しくいつもと立場逆転してる??

「んー、だからさ、あれだよ、あれ」

「…………どれだよ」

セナはそれこそ耳を澄まさないと聞こえないくらい小さい声でボソッと答えた

「………自分の作った歌聴いて変なとこないかチェックしてた」

え、それだけ?

「…なんだ、もっと変なことかと思った」

「いや、恥ずいだろ普通に」

…まぁセナってそういう人だよね

もうちょっといじめてやろう

「私にも聞かせて!」

「え!?いや…それは………」

「へぇ~、嫌なんだ?じゃあもう今日は解散…」

「わ、わかったから!聴かせりゃいいんだろ」

ぶっきらぼうにイヤホンの片耳を渡してきてそれを付ける

……当たり前のことだけど顔ちっか

全身が熱くなるのがわかる

「------♪♪♪」

曲が流れる

「1人で作った訳じゃねえぞ、ドラムはよくわかんねえからその辺の編曲は知り合いに頼んだ」

でも他はやったって事でしょ?すごいじゃん

………なんか切ない曲

………

……………………

……………………………

これって

「ねぇ、これさ」

「言うな、何も言うな」

うわ、やっぱりそうだ

「これ私たちだよね、完全に」

「だから言うなってー!!!!」

「おまえきっしょ!!!!!」

だーから嫌だったんだよ!!!って喚きながら途中でイヤホンを奪い取ってそそくさと閉まってしまった

「最後まで聞きたかったのに」

「キモいんだろ、聴かなくていいわ」

拗ねながらヘルメットを私に渡してバイクにまたがる

私もそれに続いて後ろに乗るとセナはエンジンをつけいつも通りの爆音と共にバイクを走らせる

いい曲じゃん

この言葉はバイクの音でかき消された
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