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高校時代 〜結衣side〜

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「にしても、ホントに来ねえとはな」

レンが多分全員が思っているであろう事を口に出す

いや、あいつはそういう奴だよレン
本物の気分屋だから

それに自己中でオマケに性格の悪い"不思議ちゃん"

「ここのコンビニお酒の揃い悪いんだよねぇ」

ハルも飲むつもりらしくその揃いの悪いお酒たちを眺めることも無くサッと手に取る

………私お酒飲んだことない

「ゆい何飲む?ハルちゃんの奢りだよ」

「自分で出すしあんたも自分で出しなよ」

「おれ財布置いてきちゃった」

この男…セナと同じだ

私の勘は当たっていた

「大丈夫だよゆい!私出すから!!」

「いいよいいよ、自分の分は自分で出すから」

てかそれが当たり前だし

にしても、お酒って何が美味しいんだろ

「おーい、どれにするんだよ」

急かすレンにちゃんと急かされる私がテキトーに手に取ったのはカルピスサワーの缶チューハイ

「へぇー、案外可愛いとこあんじゃん」

「なに?」

「何でもねえよ」

レンが小声で囁いた言葉が私の耳に届くことは無かった





とりあえず買うもの買って海に戻ると
セナは海辺の階段に座って海を眺めていた

「へぇ、ちゃんと居るじゃんあいつ」

レンは何が言いたいのかよく分からない言葉が多い

レンの言葉をスルーしながらセナの居る階段に徐々に足を運ぶ

いつもみたいにセナ~って駆け寄ろうとするハルが口を噤んだのを見て不思議に思いセナの方を見ると





歌っていた




スマホをマイク替わりに持って





まるでそのスマホが良くあるビンテージマイクに見える





「あ、さっきの」





思わず口に出る言葉




さっきの…バイクに乗ってる時に聴こえた
知らない歌





「あ、おかえり」

唖然としてる私たちに気づいたセナは何も無かったかのように私たちに駆け寄ってきた

「セナ…すごい」

ハルがそう言うとセナは困ったように頭を搔く

「そんな事ねえよ、普通だよ」

「いや、そんな事あるって」

そう言ったのはレン

「お前が作ったの?その曲」

レンが聞くとまぁなと答えるセナ

「すげぇすげえよセナ」

ハハッと笑うセナ







「苦しそう」





思わず出た言葉だった



「あぁ…おれ喉1回壊してから歌い方わからなくなって」

「そうじゃない」

歌が…歌が苦しそう

私はそう思った

まるで泣いているような

まるで心の奥底にある辛さをぶつけてるような

まるで……………………

叶わない恋をしているような…


「おれさ…いまフリーなんだよね」

「え?先月一緒にやってた奴らは?」

レンがそう聞くとセナはあっさりと答える

「あれが最後」


どうやらセナはバンドメンバーが居なくなってライブが出来ないらしい

「勿体ねえよセナ、すぐ探すべきだって」

「じゃあお前がやる?おれと」

レンにそう言うとレンは少し俯く

「おれは……………考えとく」

これは何かあるな

「え、てかセナ凄いね」

今度はハルが口を開く

いや、あれは凄い

ホントに凄いよ

あんな歌聞いたことない

「もうこんなに飲んでるんだもん」


…………?

セナの手元を見てみるとさっき袋に入ってた瓶のお酒がほとんど無くなっていた

「え、お前これ直で飲んでんの?」

レンが聞く

「おん、おれ海賊になりたいから」

そのお酒を見てみるとラム酒って書いてあった

よく海賊映画で出てくるお酒だから名前は聞いたことある

「よく飲めるなこんな強いの」

「そうか?ガッハッハッ」

バカ笑いしているセナの瓶を奪い取ってちゃんと見てみる

「アルコール度数…………40!?」

私が飲んでるのは3%

「セナ凄い!!!」

ハルが褒める

褒められてまたバカ笑いするセナ

「あんた普段からこんな飲んでんの?」

私の問いにセナはガッハッハッと言うだけ

腹が立って頭を叩いた

ツッコミのつもりだったんだけど







バタンッ






「セナ!?!?!?!?」

一同驚く

セナがぐったりと倒れる

「ゆ、ゆい…お前まさかゴリラの子孫なのか?」

「殺すよ?」

「ゆいが…セナ殺しちゃった」

「んな訳ないでしょーが!!!」

スースー音が聞こえて3人ともその音の方を見るとセナだった



爆睡だ



「きっちり全部飲み切ってるし…化け物かこいつ」

「声が出しずらいのは確実に酒のせいね…あとタバコ」

「セナ凄い!!!」

私たちも飲み切っていた事もあってハルの家に行こうって話になった。

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