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売れっ子は今日も忙しい
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キーンコーンカーンコーン
校内に鳴り響くチャイム。
テストが終わり、歓喜をもらす生徒たち。
「日向~、放課後カラオケでも行こうぜ」
「悪い、今日は仕事が残ってて」
「またかよ~、たまには付き合ってくれよ~。ついでに妹たち連れてきてくれてもいいんだぜ?」
「お前らとは一緒に行かせねーよ」
テストが一段落ついた俺だが、仕事に一段落なんてものはない。
このテスト期間中も新しい企画に案件、メールのチェック、アポ取りなど勉強どころではなかった。
そして最近、結局やることになってしまった格闘技を習いに行ったりと、俺の日常はてんこ盛りだった。
「お兄ちゃん!」
教室で帰る準備をしている俺に、ドアから顔だけをだして千代が呼んでいた。
「どした?」
俺はドアのところまで行き、千代に聞き返した。
「今日友達とショッピングに行くんだけど、いいかな?」
千代は上目遣いで俺に近づいて聞いてくる。
教室にいる生徒はみんな見ているし、そんな頼まれ方をすると断れない。
「はあ、いいよ。でもちゃんと変装はしていけよ」
「うん、わかった! 7時には帰るから!」
ビシッと敬礼をして、千代は足早に去っていった。
廊下の向こうにはぱっと見4,5人の生徒が千代に手を振っている。
「相変わらずあいつは、友達付き合いがうまいな」
仕事でもそうだが、千代は裏表を感じさせない、不思議な雰囲気を持っている。
そしてフェロモンを垂れ流しにしているかの如く、周囲の人を魅了し寄せ付ける。
「あれがお前の妹とは信じられんな」
尾朝が、千代を眺めていた俺の肩をぽんぽんと叩いていった。
俺は返事代わりに睨みつけておいた。
カバンを持って教室を出ようとしたところで、景が待っているのが見えた。
「景か?」
「兄さん、今日の予定は?」
いつも天然でふわふわした感じのある景だが、今はなにか真剣な感じがする。
「なにかあったのか?」
「ええ」
ゴクリとつば飲み込んだ。
「私、ラブレターを貰ったみたいなの」
・・・・・・。
数秒間の沈黙が流れた。
「ら、らぶれたー? ホントなのかそれは、よく読んだのか?」
「ええ、読んだわ。OKなら今日の放課後、校舎裏に来てほしいと」
校舎裏とはベタなことをするなと思ったが、よく考えると千代はしょっちゅう貰っていた。
千代の性格もあるのだろうが、はじめの頃は俺も頭を抱えたが最近は千代一人で対処している。
「千代に聞いてみたら、なにかいい方法があるかもしれない」
「そうね、先に千代ちゃんに聞くべきだったわ」
軽く侮辱された気がしたんだが。
景が千代を探しに行こうとしたところで、千代は遊びに行ったことを思い出した。
「待て景! 千代は遊びに行ったんだった」
「え」
じゃあこの頼りない兄しかいないのかと言わんばかりの表情だ。
「どうしよう、もう放課後だし、やっぱり行ってはっきり断るしかないわ」
俺もそれがいいと思ったが景のことだ、なにか上手く言いくるめられて騙されては困る。
「待て、景!」
数メートル進んだ景は、不思議そうな顔で俺を見る。
「お、俺が行く!」
「え」
勢いで言ったので、この先のことは考えていない。
校内に鳴り響くチャイム。
テストが終わり、歓喜をもらす生徒たち。
「日向~、放課後カラオケでも行こうぜ」
「悪い、今日は仕事が残ってて」
「またかよ~、たまには付き合ってくれよ~。ついでに妹たち連れてきてくれてもいいんだぜ?」
「お前らとは一緒に行かせねーよ」
テストが一段落ついた俺だが、仕事に一段落なんてものはない。
このテスト期間中も新しい企画に案件、メールのチェック、アポ取りなど勉強どころではなかった。
そして最近、結局やることになってしまった格闘技を習いに行ったりと、俺の日常はてんこ盛りだった。
「お兄ちゃん!」
教室で帰る準備をしている俺に、ドアから顔だけをだして千代が呼んでいた。
「どした?」
俺はドアのところまで行き、千代に聞き返した。
「今日友達とショッピングに行くんだけど、いいかな?」
千代は上目遣いで俺に近づいて聞いてくる。
教室にいる生徒はみんな見ているし、そんな頼まれ方をすると断れない。
「はあ、いいよ。でもちゃんと変装はしていけよ」
「うん、わかった! 7時には帰るから!」
ビシッと敬礼をして、千代は足早に去っていった。
廊下の向こうにはぱっと見4,5人の生徒が千代に手を振っている。
「相変わらずあいつは、友達付き合いがうまいな」
仕事でもそうだが、千代は裏表を感じさせない、不思議な雰囲気を持っている。
そしてフェロモンを垂れ流しにしているかの如く、周囲の人を魅了し寄せ付ける。
「あれがお前の妹とは信じられんな」
尾朝が、千代を眺めていた俺の肩をぽんぽんと叩いていった。
俺は返事代わりに睨みつけておいた。
カバンを持って教室を出ようとしたところで、景が待っているのが見えた。
「景か?」
「兄さん、今日の予定は?」
いつも天然でふわふわした感じのある景だが、今はなにか真剣な感じがする。
「なにかあったのか?」
「ええ」
ゴクリとつば飲み込んだ。
「私、ラブレターを貰ったみたいなの」
・・・・・・。
数秒間の沈黙が流れた。
「ら、らぶれたー? ホントなのかそれは、よく読んだのか?」
「ええ、読んだわ。OKなら今日の放課後、校舎裏に来てほしいと」
校舎裏とはベタなことをするなと思ったが、よく考えると千代はしょっちゅう貰っていた。
千代の性格もあるのだろうが、はじめの頃は俺も頭を抱えたが最近は千代一人で対処している。
「千代に聞いてみたら、なにかいい方法があるかもしれない」
「そうね、先に千代ちゃんに聞くべきだったわ」
軽く侮辱された気がしたんだが。
景が千代を探しに行こうとしたところで、千代は遊びに行ったことを思い出した。
「待て景! 千代は遊びに行ったんだった」
「え」
じゃあこの頼りない兄しかいないのかと言わんばかりの表情だ。
「どうしよう、もう放課後だし、やっぱり行ってはっきり断るしかないわ」
俺もそれがいいと思ったが景のことだ、なにか上手く言いくるめられて騙されては困る。
「待て、景!」
数メートル進んだ景は、不思議そうな顔で俺を見る。
「お、俺が行く!」
「え」
勢いで言ったので、この先のことは考えていない。
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