双子ぷろでゅーーす!!!

nagiyoooo

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迫るテスト、女優の本気

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 中間テスト。

 それは文化祭直後に行われ、生徒らのテンションを天から地へ一気に落とすイベント。

 俺たちは今、その鬼畜の所業を三日後に控え、大分焦っていた。

「お兄ちゃん、このテスト赤点だとだいぶやばめだよね?」

「ああ、俺たちは仕事で学校サボりがちだからな。平常点なんかあったもんじゃない」

「兄さん、私ここの部分習った記憶が全くないわ」

「ああ、お前はその時撮影だったからな」

 カリカリと両隣でペンを走らせる音がする。

「お兄ちゃん、一回休憩して作戦会議しようよ」

「ダメだ、そんな時間があったら一問でも解け」

「兄さん、板谷先輩呼んでもいいかしら」

「ダメだ、奴はうちに来ると騒ぎだす」

 ぱらぱらとページをめくる音だけが鳴る。

「お兄ちゃん」

「兄さん」

「あああああ!!!!!! お前ら、ちょっとは集中しろよ!」

 突然鳴り響く俺の叫び声に、二人は身体をビクっとさせる。

「ことの重大さがわかってんのか? お前らは赤点回避でも単位認定が怪しいんだぞ! この前お前らの担任にちょっぴり脅されたんだからな!」

 千代は知らないふりをして、ならない口笛を吹いている。

 隣で景がぽかんとした表情をしている。

「兄さん、こればっかりはどうしようもないの」

「そんな顔で言うな! 俺が悲しくなってくるわ!」

 伸びきった髪をクシャクシャと掻き、俺は考えた。

「なら景、頭のいいひとの演技をすればいいんだ」

「どういうこと?」

「お前、役に入り込むとほんとにその人みたいになるじゃないか。それを利用して頭のいいキャラとか、集中力の高いキャラを演じるんだよ」

 景は顎に手を当ててしばらく考えた後、

「それ、いいわね」

 と言って、再び何か考え始めた。おそらくキャラを思い浮かべているのだろう。

「それで、千代は・・・・・」

 俺の景に対する名案に感心していた千代は、俺がしばらく悩んでいるのを見て表情が暗くなっていく。

「あ、あれ、お兄ちゃん? 私は?」

「あー、うん、千代は、わからないことがあったら言いなさい。お兄ちゃんが教えてあげるよ」

「えーー」

 それは本来俺がすべき反応だ。

「一瞬で暗記できる方法とかないの?」

「あるか!!」

 頬を膨らませて、千代は教科書をパラパラとめくる。

 ふと、景の方を見てみると、さっきまでとは比べ物にならないほど、真剣な表情になっていた。

「け、けいちゃん?」

 声を掛けても、俺の方を見る素振りもない。

「これは、完全に入ったな」

「うん、これは入ったね」

 俺と千代は並んで景を見つめていた。

 すると、視線を感じたのか、景がゆっくりこっちを見た。

「なんだお前ら」

 その声は低く冷たかった。

「ひいっ、何でもないです」

「そうか」

 そういうと景は再びノートに向かった。

「俺、あいつなんかのアニメで見たことあるぞ」

「だね」

 俺と千代は、しばらく景をそっとしておくことにした。

「千代は、勉強のできる友達とかいないのか?」

「うーん、いるのはいるけど、テストも近いし迷惑かけるのもな~」

「だよな~」

 しばらく沈黙になり、勉強を進めていた俺たちだったが、突然千代が焦りだしたように言った。

「お兄ちゃん、どうしよう・・・・」

「ん? どうした」

 見るとそこには、バツがたくさん書かれた紙があった。

「私、木曜日は決まって休みだったから、英語ほとんど受けてないのよね・・・」

「・・・・・」

 正直、この小テストの出来の悪さはシャレにならない。

 そして俺も英語はそれほど得意ではない。

「お兄ちゃん、英語あんまできなかったよね・・・」

「・・・・・ああ・・・」

 小声で返答した。

「これは、新マネージャーの出番かな」

 俺は決め切った声で言った。

「え?! 結局雇ったの?」

「ああ、まだ正式には決めてないが、ほぼ確定だ!」

「じゃあ、さっそく呼ぼうよ!」

 そう、俺は前回から悩みに悩んで、新マネージャーを一人、仮入隊させたのだ。

 俺はスマホを取り出し、電話を掛けた。

 数分後、誰かがインターホンを鳴らした。

「私、開けてくる!」

 千代がシャーペンを放り投げ、小走りで玄関に向かった。

「くそ、この手は使いたくなかったが・・」

「お邪魔しまーーす!」

 聞きなれた声が玄関から聞こえてくる。

「どうぞどうぞ、入って」

 千代が俺たちのいるリビングに招き入れる」

「失礼しまーす。新入社員の板谷です。緊急の案件と聞いて伺いましたー」

「やあ板谷君、今日君に来てもらったのはほかでもない。君にしかできないことだ」

「はい! 何でしょう社長!」

「こやつに、勉強を教えたまえ!」
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