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07・高等科白魔導師クラス

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魔導高等科、白魔導師クラス。
「えっ!?」
高等科は特別クラスはなく、ジョブやレベルでクラス分けがされている。
黒魔導師と白魔導師は違うクラスになるので、マリンとマロンは違うクラスになると分かっていたが。
白魔導師となったマリンのクラスには、見慣れた2人の女子生徒が居た。
「ユラちゃんっ、ミシーユちゃんっ!」
マリンは驚きながら2人の名を呼ぶ。

白魔導師のクラスは、選択する人数が少ないので学年で1クラスしかない。
その7割が女子生徒で残り3割程度が男子生徒だ。
ちょうど10人しかいないようで、7人が女子で3人が男子生徒だった。
ちなみに黒魔導師のクラスはS、A、Bクラスと別れていて1クラス30人前後の人数がいる。

マリンに名を呼ばれたユラとミシーユは、マリンに苦笑顔を向けている。
「ど、どうして…?」
マリンは声を震わせながら、2人を交互に見る。
王子の婚約者候補である2人が白魔導師を選ぶなんて…!
本来ならば、全員が黒魔導師を選んでいるのが普通なのだ。
ここは、黒魔導師の国、王族の9割以上は皆黒魔導師である。
マリン達はどちらかが白魔導師になれと王子にも言われていたので、片方がここに居る事は不思議ではない。
だが、ユラやミシーユがここに居るのはおかしい。
王子の婚約者候補としては、マズイだろう。
2人の優しく穏やかな性格としては、白魔導師の道の方が合っているとは思うが。
「ゴメンね、何も話していなくて。」
ミシーユが苦笑しながらマリンの傍まで来て、ユラもその後ろに続いて小さく頭を下げる。
マリンは心配そうに2人を交互に見た。
「ずっと迷ってたんだけどね、やっぱり自分のやりたい道を行こうって、決めたの。
元々、黒魔法は得意じゃなかったし。」
「私も、婚約者候補として選んで頂いた事でずっと悩んでいましたが…。
この先、もう白魔法が使えなくなってしまう事を考えたら、自分の進みたい道に進もうと、決心しました。」
ミシーユは穏やかに。
ユラはいつになく真剣な瞳をマリンに向けている。
2人は、バカなマリンやマロンにも、いつも真剣にそして優しく話してくれた。
「それでね、私達はメロウ王子の婚約者候補から外れる事になったんだ。」
「先日決まった事で、話すのが今日となってしまった事、ゴメンなさい。」
「ミシーユちゃん…、ユラちゃん…。」
2人が婚約者候補から抜けるーーーー。
悲しいが、彼女達が自分で考え決めた道だ、これ以上の干渉は出来ない。
「もう候補生ではないけど、高等科の間はずっと同じクラスだから。
仲良くしてね。」
「お願いします。」
2人がそっと右手を出して来たので、マリンはその2つの右手をぎゅっと抱き締め。
「よろしくねっ、よろしくっ…!」
暑苦しく返すのだった。
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