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第一章、夜が明ける
T-2 墓の仕掛け
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「おや、先客がいましたか。」
足音の主は綺麗な緑色の髪をしていた。
ちゃんと王の墓に立ち入る許可証を首からぶら下げている。
「あ、すみません。どきましょうか?」
「いえいえ構いませんよ、お花を変えにきただけですので。」
男はそっと花を変える。
そういえばこのお墓の花はいつも綺麗で枯れているところを見たことがなかったけどこの人が変えていたのかもしれない。
「ここには毎日来るんですか?」
「えぇ、じゃないと彼が寂しいじゃないですか。」
青年は花を変え終えると手を合わせて目をつむる。
僕もそれを見て手を合わせた。
「……あなたの父は立派な方だった。」
「今何か言いました?」
「いえ、なんでもないです。」
そう言って青年は立ち上がり去っていった。
「あ、お名前は?」
「……いつかまた会えますよ。」
スッと墓の門を押して青年は去っていった。
その時、青年の懐から何かのカードがスルッとまるで墓に吸い込まれるように落ちた。
「あ、あの。」
僕が呼び止めた頃には青年はもういなかった。
このお墓は異次元につながっていて許可証を持って墓に行きたいと念じればどこからでも入ることができる。
逆にどこからでも入れると言うことは出口もどこにでもつながる。
門を出てしまえば追跡は不可能なのだ。
僕はカードを拾い上げる。
カードには何やら読めない文字が書かれている。
中にICチップが入っているのかな?
毎日きてそうだしお墓に置いてればまた拾いにくるよね。
僕はポンとカードを墓の上に置いた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
カードを墓に置いた途端、地面が揺れてハッチが出現した。
「え、えぇ!?」
父の墓にこんなギミックがあったなんて驚きだ。
でもそれ以前にあの青年は何者なんだ?
…………入っても怒られないかな。
僕は恐る恐るハッチの扉を開け、中に入っていった。
この出来事から僕の物語は加速し始めていった。
足音の主は綺麗な緑色の髪をしていた。
ちゃんと王の墓に立ち入る許可証を首からぶら下げている。
「あ、すみません。どきましょうか?」
「いえいえ構いませんよ、お花を変えにきただけですので。」
男はそっと花を変える。
そういえばこのお墓の花はいつも綺麗で枯れているところを見たことがなかったけどこの人が変えていたのかもしれない。
「ここには毎日来るんですか?」
「えぇ、じゃないと彼が寂しいじゃないですか。」
青年は花を変え終えると手を合わせて目をつむる。
僕もそれを見て手を合わせた。
「……あなたの父は立派な方だった。」
「今何か言いました?」
「いえ、なんでもないです。」
そう言って青年は立ち上がり去っていった。
「あ、お名前は?」
「……いつかまた会えますよ。」
スッと墓の門を押して青年は去っていった。
その時、青年の懐から何かのカードがスルッとまるで墓に吸い込まれるように落ちた。
「あ、あの。」
僕が呼び止めた頃には青年はもういなかった。
このお墓は異次元につながっていて許可証を持って墓に行きたいと念じればどこからでも入ることができる。
逆にどこからでも入れると言うことは出口もどこにでもつながる。
門を出てしまえば追跡は不可能なのだ。
僕はカードを拾い上げる。
カードには何やら読めない文字が書かれている。
中にICチップが入っているのかな?
毎日きてそうだしお墓に置いてればまた拾いにくるよね。
僕はポンとカードを墓の上に置いた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
カードを墓に置いた途端、地面が揺れてハッチが出現した。
「え、えぇ!?」
父の墓にこんなギミックがあったなんて驚きだ。
でもそれ以前にあの青年は何者なんだ?
…………入っても怒られないかな。
僕は恐る恐るハッチの扉を開け、中に入っていった。
この出来事から僕の物語は加速し始めていった。
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