世界のためなら何度でも

つぼっち

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第二章、【黄の美貌】ミカエルと【預言者】

D-40 【預言者】

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地平線が見えるほどの白。



ほこりやちょっとの凸凹さえない。



「…………こんなところにずっといたら気が狂いそうだ。」



誰もいない何もない、音も聞こえないし匂いもない。



『この世界になにか用か。』



後ろを振り向くと体全体を包み込むような服装の人型の生物が立っていた。



『私は預言者、リャペィアン。神王の付き人である。』



女性でも男性でもない中性的な声で自らをリャペィアンと名乗った。



「預言者、俺は神王の奇石を使ってここまできたんだよな。早く願いを叶えて帰りたいんだけど。」



『まぁ待て、この【【ナニモナイセカイ】】にいる間は外の時間は止まっている。それに貴様に有意な情報も与えてやるぞ。』



【【ナニモナイセカイ】】と呼ばれたこの世界が預言者の一言一言でまるで脈を打つように静かに揺れている気がする。



「それで預言者さんは何を教えてくれるんだ?」



『預言者は我が王から賜った職の名だ、私の名はリャペィアン…………そういえば人間にこの発音は難しいか。』



預言者はふむふむと頷く。



『まぁ今のところは預言者でいい。ちょうど都合が良いし神言語の話でもしようか。』



「神言語……ってあの死神が喋ってたような言葉か。」



『神言語とは始まりの言語。貴様らの話す人間の言葉も元々は神言語を簡略化させて人間にも発声できるよう改良したものだ。』



預言者はパラパラと持っているとても分厚い本をめくる。



『神言語は魔術にも精通している。例えば簡単な人間の魔術に使ってやろう。』



ポワンと預言者の目の前に火の玉が浮かぶ。



『これは火の玉を生み出す《ファイアボール》と呼ばれる魔術、これだけだと全く強くはない。そして次に水の玉を生み出す《アクアボール》、これも当たり前だが殺傷能力はない。』



預言者は人間が誰しも通る初心者用魔術を見せてくる。



初級の魔術はあくまで基礎を学ぶためのものなので殺傷能力0の無害な魔術だ。



『この二つの魔術の中の術式、《属性で玉を作る》を変えずに《火》と《水》という意味を持った神言語で魔術を使う、《@@@@@》。』



預言者が何か聞き取れないような謎の言葉を発する



すると空中に綺麗な水の玉が浮かび上がる。



玉はそのままふわふわと聖夜の顔の方にやってくる。



そしてゼロ距離まで近づいた瞬間、水の玉が聖夜の顔を覆い尽くした。



「モガボッ!!」



水の玉が顔を覆い尽くした結果、擬似的に溺れたような感覚に陥る。



しかし水の玉を振り解こうと手のひらで玉に触れるが火傷をするぐらい熱くなっていた。



パチンと預言者が指を鳴らす音が聞こえると水の玉がまるで水風船が割れるようにバシャっと地面に垂れ落ちる。



『表面は燃えるように熱い、しかし水の特性を持った水を作り出した。それを可能にするのが神言語だ。」



その預言者の言葉に聖夜は一言、



「もうそれ熱湯でよくね?」
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