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第五章、【灰色の知恵】と【黒の理解】ラジエル&ザフキエル
D-29 二人の手
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みんなは人の腕を見たことあるだろうか。
性別によって形は違い、また職業によっても形が変わる。
言ってみれば指紋みたいなもので注意力がある人が見れば腕だけで人物がわかるのだ。
目の前に転がっている左腕には以前見せびらかしていた婚約指輪。
少しゴツゴツとした男性の手ですらっと長いところから魔術士の腕ということがわかる。
つまり、
これは先ほどまで王天使と戦っていたアレイスターのものだった。
王天使二体による突然の自爆。
戦いの前に不干渉の結界が貼られていたので逃げ場はない。
聖夜はゴロンと転がったアレイスターの手を拾い上げる。
「し、死んだのか……。」
涙は一粒もこぼれなかった。
聖夜の人間としての時間はずいぶん前から止まったままだ。
人が一人死ぬくらいでは涙は出ない。
「…………や。」
中性的な声が聖夜を呼ぶ。
この声は、
「天之川か!?」
聖夜は急いで声の方に向かう。
辿り着いた先にいたのは下半身が吹き飛び、血が吹き出している天之川だった。
「大丈夫か!!」
「あ、あぁ……。王天使とアレイスターが死んだ瞬間結界が剥がれてね、なんとか時間を止めて僕だけ逃げれたってわけだよ。まぁ無事ってわけじゃないけど。」
強がりな笑顔を見せる天之川の顔はどんどんと青白くなっていく。
「くそっ、この損傷じゃ回復魔術でも治せない!!どうすれば…………。」
「…………石……。」
「え?」
「聖夜くんがこの世界に来た元凶でもある『神王の奇石』を二つ探して………。それと僕たちの体の一部が有れば僕たちは生き返れる……。」
そう言って天之川は腕を手首から切り落とした。
「じゃあそろそろ逝くよ……、頼んだよ聖夜………………。」
そういうと天之川はがくりと顔面から地面に横たわった。
「『神王の奇石』……。」
かつて聖夜が過去に来る羽目になった『逆行時計』の軌道につかわれた神秘の石。
大量の魔力と神の力が宿っており、死人を生き返らせる力がある。
ただし条件が2つあるのだ。
①生き返らせるにはその人物の一部、もしくは死んだ瞬間に奇石を所持していることが前提。
②一度生き返らせた人物を再度生き返らせるには数百年のクールタイムが必要。
(クールタイムは曖昧で時代によって前後するが最低100年はかかる。)
聖夜も一度この石を使って生き返ったことがある。
ただしこの力ゆえにこの広い世界にたったの5つしか存在しない。
「絶対生き返らせてやるからな。」
聖夜はアレイスターと天之川の手を強く握りしめた。
性別によって形は違い、また職業によっても形が変わる。
言ってみれば指紋みたいなもので注意力がある人が見れば腕だけで人物がわかるのだ。
目の前に転がっている左腕には以前見せびらかしていた婚約指輪。
少しゴツゴツとした男性の手ですらっと長いところから魔術士の腕ということがわかる。
つまり、
これは先ほどまで王天使と戦っていたアレイスターのものだった。
王天使二体による突然の自爆。
戦いの前に不干渉の結界が貼られていたので逃げ場はない。
聖夜はゴロンと転がったアレイスターの手を拾い上げる。
「し、死んだのか……。」
涙は一粒もこぼれなかった。
聖夜の人間としての時間はずいぶん前から止まったままだ。
人が一人死ぬくらいでは涙は出ない。
「…………や。」
中性的な声が聖夜を呼ぶ。
この声は、
「天之川か!?」
聖夜は急いで声の方に向かう。
辿り着いた先にいたのは下半身が吹き飛び、血が吹き出している天之川だった。
「大丈夫か!!」
「あ、あぁ……。王天使とアレイスターが死んだ瞬間結界が剥がれてね、なんとか時間を止めて僕だけ逃げれたってわけだよ。まぁ無事ってわけじゃないけど。」
強がりな笑顔を見せる天之川の顔はどんどんと青白くなっていく。
「くそっ、この損傷じゃ回復魔術でも治せない!!どうすれば…………。」
「…………石……。」
「え?」
「聖夜くんがこの世界に来た元凶でもある『神王の奇石』を二つ探して………。それと僕たちの体の一部が有れば僕たちは生き返れる……。」
そう言って天之川は腕を手首から切り落とした。
「じゃあそろそろ逝くよ……、頼んだよ聖夜………………。」
そういうと天之川はがくりと顔面から地面に横たわった。
「『神王の奇石』……。」
かつて聖夜が過去に来る羽目になった『逆行時計』の軌道につかわれた神秘の石。
大量の魔力と神の力が宿っており、死人を生き返らせる力がある。
ただし条件が2つあるのだ。
①生き返らせるにはその人物の一部、もしくは死んだ瞬間に奇石を所持していることが前提。
②一度生き返らせた人物を再度生き返らせるには数百年のクールタイムが必要。
(クールタイムは曖昧で時代によって前後するが最低100年はかかる。)
聖夜も一度この石を使って生き返ったことがある。
ただしこの力ゆえにこの広い世界にたったの5つしか存在しない。
「絶対生き返らせてやるからな。」
聖夜はアレイスターと天之川の手を強く握りしめた。
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