世界のためなら何度でも

つぼっち

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第二章、災をもたらす神々

D-12 【荒神】

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天之川は液体と対峙する。

液体は絶えず蠢き、隙を見せない。

「魔術が効くか分からないけどやってみるしかないよね。【時間停止(タイムストップ)】!!!!」

カチリと音がして頭上に時計が出現する。

「10秒後、この魔術が発動してお前は死ぬ!!」

「〇〇。」

ビーカーが突然カタカタと揺れ始める。

「な、なんだ?」

天之川が瞬きをした瞬間、


もうそこに荒神はいなかった。

倒れたビーカーだけがポツンと地面に転がっていた。

天之川は辺りを見渡すがそこには誰もいない。

逃げたのか?

そう思った瞬間、


「い、痛い!!!」

体に激痛が走った。

強酸で溶かされながら業火に燃やされ腕をゆっくりと引きちぎられ、窒息させられ体の内部から食い散らかされるような激痛。

「あがぁぁぇぃぁ!!!」

言葉にならない叫びを上げながらもがき苦しむ天之川。

徐々に霞んでいく目には体のどこにも傷はないように写っている。

「はやぁぃがぁぁああうぅう。」

おかしい。

もう何十分もこの激痛で苦しめられているのにも関わらず時間が停止しない。

無効化された形跡はないようにみえる。

思考がぼやけてきた。

こんな激痛を味わうくらいなら死んだほうがマシだ………。















痛みがなくならないまま約1時間が経過した。

すると時計がゆーーーっくりと光を放って時間が止まった。

「ぶはぁぁ!!!」

時間が止まった中では痛みも苦しみも感じない。

痛みから開放された途端ブワッと涙が出てきた。

痛みが止まった安堵と時間が動き出せば再びこの痛みが襲ってくるという恐怖。

「い、嫌だ!!もう僕はここから出たくない!!!!」

時間が止まっている中では空腹もない。

そして天之川が解除した時にしか世界は動き出さない。

体力を減らさないように動かずに過ごせば……。



バリィィィィィィィン!!!!



ガラスが砕けるような音がした。

それと同時に頭上の時計がゆーーーっくりと再び動こうとしていた。

「ひぃ!!」

天之川は自分で解除していない。

なのに世界の時間が動き出した。

そんなことよりも時間が動き始めれば再びあの苦痛が襲ってくる。

「嫌だぁぁぁぁぁ!!!助けて……助けてくださいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!」

みっともなく涙と鼻水を垂れ流しながら荒神に懇願する。

完璧に時間が動き始めた時、そこに倒れたビーカーもあの痛みもなかった。




天之川は腰を抜かして失禁し、そのままばたりと気を失った。

僕らはとんでもないものに喧嘩を売ってしまったとかもしれない。
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