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第四章、VS《錬王》キャラメル=フラメル
#137 神剣エクスカリバー
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「仲間に手を出すなんて狂ってる!!」
「…………私だって。」
悔しさを隠すように唇をギュと噛んだ後、
「私だってこんな人の道を外れた魔術なんて欲しくなかったさ。」
悲しそうな声でそう呟いた。
「僕は錬金術師の家庭で育ったからこんな対価を求める魔術の術式しか作れなかった。でも会長は!!翔かけるは、そんな私のおぞましい魔術さえ認めてくれたんだ。」
キャラメルは目に涙を浮かべながら空中の血の刃をミルドに向ける。
「翔の期待に応えるんだ。じゃないと恩を仇で返すことになってしまう。」
キャラメルはゆっくりとミルドに狙いを定める。
「私の命は研究会の、翔のために!!」
血の刃が一斉にミルドの方に飛んでいく。
「ぬぅ!!」
五本と一人を一本で相手するだけあっていくら剣帝でも体力の消耗も激しい。
さらに生贄魔術によってキャラメルの身体能力は格段に上がっている。
だが、
「私も主人のために負けられないのですよ!!」
ミルドは空間に穴を開けてそこに聖剣を突っ込む。
そしてゆっくりと引き抜いていくと聖剣は先ほどまでと違い金色の剣が出てきた。
「それは……。」
「私のエクストラスキル、『神剣エクスカリバー』です。」
「だからなんです、所詮ただの剣でしょう。」
キャラメルは血の刃をタイミングをずらして違う方向から飛ばす。
パパパパパ
ミルドはまるで見切っていたように全ての血の刃を弾き落とした。
「後ろに目でもあるんですか……。」
圧巻すぎてため息しか出ない。
これが選ばれたものと選ばれなかった者の差なのかと。
「すべて神剣が教えてくれた。このエクストラスキルは剣を体の一部のように共有化するスキル。剣が見ている限り奇襲などもできんだろう。」
「なんですかそのぶっ壊れスキル。」
「ただし剣を振り回しすぎるとオウッ、目が回る。そして今もウップ、吐きそうだ。」
「馬鹿じゃないか。」
「う、うるさい!!私も気にしているんだ!!!!」
ミルドは怒ってキャラメルの懐に潜り込む。
(馬鹿め!!)
キャラメルは一瞬でもう一本の血の刃を作り、ミルドの胸に突き刺す。
しかしミルドはそれを見切っていたように高速でバックステップで後ろに下がる。
「な!?さっきまであんなに早く動いてたのに急に方向転換できるわけないだろ!!」
「これがエクストラスキルのもう一つの力、身体超強化だ。」
そして一歩前に足を出し、剣をキャラメルの胸を突き飛ばした。
「!?」
突き飛ばされたキャラメルはその勢いのまま闘技場の壁に体をぶつけ、ずるずると力なく倒れた。
「し…、死んでない?」
どう考えてもあの勢いで剣を突き刺されたら三流の剣であっても心臓を貫かれて死んでいたはずだ。
なのに体には背中をぶつけたダメージしか無い。
「エクストラスキルはその人物の覚悟を表すもの。だからこの神剣で人を殺すことはできないようになってるのですよ。」
「……。」
キャラメルはぐったりと仰向けに寝転がる。
「完敗です。」
「しばらく安静にしてればその背中の打撲も治るはずだ。大人しくしとくんだな。」
「もう抵抗なんてしませんよ。」
キャラメルは最後に誰にも聞こえないような声でボソリと、
「こんな人を傷つけるような魔術師の私でもあなたのようになれますかね。」
キャラメルはゆっくりと目を閉じた。
「…………私だって。」
悔しさを隠すように唇をギュと噛んだ後、
「私だってこんな人の道を外れた魔術なんて欲しくなかったさ。」
悲しそうな声でそう呟いた。
「僕は錬金術師の家庭で育ったからこんな対価を求める魔術の術式しか作れなかった。でも会長は!!翔かけるは、そんな私のおぞましい魔術さえ認めてくれたんだ。」
キャラメルは目に涙を浮かべながら空中の血の刃をミルドに向ける。
「翔の期待に応えるんだ。じゃないと恩を仇で返すことになってしまう。」
キャラメルはゆっくりとミルドに狙いを定める。
「私の命は研究会の、翔のために!!」
血の刃が一斉にミルドの方に飛んでいく。
「ぬぅ!!」
五本と一人を一本で相手するだけあっていくら剣帝でも体力の消耗も激しい。
さらに生贄魔術によってキャラメルの身体能力は格段に上がっている。
だが、
「私も主人のために負けられないのですよ!!」
ミルドは空間に穴を開けてそこに聖剣を突っ込む。
そしてゆっくりと引き抜いていくと聖剣は先ほどまでと違い金色の剣が出てきた。
「それは……。」
「私のエクストラスキル、『神剣エクスカリバー』です。」
「だからなんです、所詮ただの剣でしょう。」
キャラメルは血の刃をタイミングをずらして違う方向から飛ばす。
パパパパパ
ミルドはまるで見切っていたように全ての血の刃を弾き落とした。
「後ろに目でもあるんですか……。」
圧巻すぎてため息しか出ない。
これが選ばれたものと選ばれなかった者の差なのかと。
「すべて神剣が教えてくれた。このエクストラスキルは剣を体の一部のように共有化するスキル。剣が見ている限り奇襲などもできんだろう。」
「なんですかそのぶっ壊れスキル。」
「ただし剣を振り回しすぎるとオウッ、目が回る。そして今もウップ、吐きそうだ。」
「馬鹿じゃないか。」
「う、うるさい!!私も気にしているんだ!!!!」
ミルドは怒ってキャラメルの懐に潜り込む。
(馬鹿め!!)
キャラメルは一瞬でもう一本の血の刃を作り、ミルドの胸に突き刺す。
しかしミルドはそれを見切っていたように高速でバックステップで後ろに下がる。
「な!?さっきまであんなに早く動いてたのに急に方向転換できるわけないだろ!!」
「これがエクストラスキルのもう一つの力、身体超強化だ。」
そして一歩前に足を出し、剣をキャラメルの胸を突き飛ばした。
「!?」
突き飛ばされたキャラメルはその勢いのまま闘技場の壁に体をぶつけ、ずるずると力なく倒れた。
「し…、死んでない?」
どう考えてもあの勢いで剣を突き刺されたら三流の剣であっても心臓を貫かれて死んでいたはずだ。
なのに体には背中をぶつけたダメージしか無い。
「エクストラスキルはその人物の覚悟を表すもの。だからこの神剣で人を殺すことはできないようになってるのですよ。」
「……。」
キャラメルはぐったりと仰向けに寝転がる。
「完敗です。」
「しばらく安静にしてればその背中の打撲も治るはずだ。大人しくしとくんだな。」
「もう抵抗なんてしませんよ。」
キャラメルは最後に誰にも聞こえないような声でボソリと、
「こんな人を傷つけるような魔術師の私でもあなたのようになれますかね。」
キャラメルはゆっくりと目を閉じた。
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