世界のためなら何度でも

つぼっち

文字の大きさ
上 下
131 / 281
第二章、抜け落ちた記憶

#131 長い長いエレベーター

しおりを挟む
「……。」

俺は天高くそびえる塔を見つめる。

ここが天之川魔術研究会の本拠地、『天への道ミルキーウェイ』と呼ばれる塔だ。

ここに天之川、そして幹部が3人いる。

「眺めてるだけじゃ何もわかんねぇしとりあえず中に入るか。」

俺は塔のすぐそばまで近寄る。

するとそこには、

「インターホン?」

近未来的な造形の建物にインターホンがついてるのは調子狂うが俺はインターホンを押す。


ピンポーン


しばらくしてガチャっと音がし、男の声が聞こえる。

「あれ、もうグラトニーくんきちゃったの?ちょっと待ってて、すぐ部屋片付けるから!!」

そう一方的に話しかけられ、声は途切れた。

「……、お茶でも飲みますか?」

「そう……だな。」

釈然としないまま茶を飲みながら待っていると扉がガチャリと音を立てた。

「入ってこいってわけか。」

「行きましょう。」

「絶対に生きて帰りましょうね。」

俺たちは扉を潜った。

扉の先には大きなエレベーターがあり、そこには張り紙が貼ってあった。

『このエレベーターで指定の場所に来てね。
焔帝竜→239階生物実験室
ミルド君→315階大型闘技場
ゼロちゃん→483階汚染物質研究室
グラトニーくん→499階モニタールーム』

「ご丁寧にルミナのまで書いてるぜ。」

「罠という可能性はないでしょうか?」

「多分大丈夫だと思いますよ。天之川は姑息な手は使いませんから。」

「ゼロがいうんだったら大丈夫だ。さ、行こうぜ。」

俺たち4人はエレベーターに乗り込む。

エレベーターの広さは元の大きさのルミナがすっぽりと入るくらい広かった。

ボタンは500階まであり、それぞれの階のボタンを押して閉めるボタンを押す。


シュイーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン


長いエレベーターの音が止まり、ルミナの行くべき239階にたどり着いた。

「ルミナ、絶対勝てよ。」

俺がそういうとルミナは首をこくりと振り、奥へと進んでいった。

しばらくしてミルドの315階に着いた。

「それでは行ってまいります。」

「絶対死ぬなよ。」

「はい。主人もお気をつけて。」

またしばらくしてゼロの483階へたどり着く。

「マスター、死なないでくださいね。」

「わかってるさ。」

俺はそう返事をし、閉めるボタンを押す。

そして俺も、499階にたどり着いた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

【完結】「財産目当てに子爵令嬢と白い結婚をした侯爵、散々虐めていた相手が子爵令嬢に化けた魔女だと分かり破滅する〜」

まほりろ
恋愛
【完結済み】 若き侯爵ビリーは子爵家の財産に目をつけた。侯爵は子爵家に圧力をかけ、子爵令嬢のエミリーを強引に娶(めと)った。 侯爵家に嫁いだエミリーは、侯爵家の使用人から冷たい目で見られ、酷い仕打ちを受ける。 侯爵家には居候の少女ローザがいて、当主のビリーと居候のローザは愛し合っていた。 使用人達にお金の力で二人の愛を引き裂いた悪女だと思われたエミリーは、使用人から酷い虐めを受ける。 侯爵も侯爵の母親も居候のローザも、エミリーに嫌がれせをして楽しんでいた。 侯爵家の人間は知らなかった、腐ったスープを食べさせ、バケツの水をかけ、ドレスを切り裂き、散々嫌がらせをした少女がエミリーに化けて侯爵家に嫁いできた世界最強の魔女だと言うことを……。 魔女が正体を明かすとき侯爵家は地獄と化す。 全26話、約25,000文字、完結済み。 「Copyright(C)2021-九十九沢まほろ」 他サイトにもアップしてます。 表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。 第15回恋愛小説大賞にエントリーしてます。よろしくお願いします。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

【完結】妹が旦那様とキスしていたのを見たのが十日前

地鶏
恋愛
私、アリシア・ブルームは順風満帆な人生を送っていた。 あの日、私の婚約者であるライア様と私の妹が濃厚なキスを交わすあの場面をみるまでは……。 私の気持ちを裏切り、弄んだ二人を、私は許さない。 アリシア・ブルームの復讐が始まる。

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。

克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位 11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位 11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位 11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位

【完結】え、別れましょう?

須木 水夏
恋愛
「実は他に好きな人が出来て」 「は?え?別れましょう?」 何言ってんだこいつ、とアリエットは目を瞬かせながらも。まあこちらも好きな訳では無いし都合がいいわ、と長年の婚約者(腐れ縁)だったディオルにお別れを申し出た。  ところがその出来事の裏側にはある双子が絡んでいて…?  だる絡みをしてくる美しい双子の兄妹(?)と、のんびりかつ冷静なアリエットのお話。   ※毎度ですが空想であり、架空のお話です。史実に全く関係ありません。 ヨーロッパの雰囲気出してますが、別物です。

処理中です...