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第二章、抜け落ちた記憶
#129 主人公ではない男
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しばらくの沈黙が訪れる。
「選択者も大アルカナも全て聖夜を助けるために私が作った存在。グラトニーと名前を変えたのは初代神王に気づかれないためよ。」
「待て、俺はそんなこと教えられてないぞ!!」
「正義はすぐ人に喋るでしょ。」
「うぐっ!!」
「この大いなる空間の次の神王、つまり主人公の名前は神成天夜。神成聖夜は他の神成とともに絶対に死ぬ運命なの。その運命をねじ曲げようと私が特定の人間を選択者に装わせて本来取得するはずではなかったエクストラスキルを覚えさせたの。でもそれも初代神王に気づかれて悪役である天之川がさらに強くなってしまった。もうあなたを、聖夜を助けることはできないの。」
ユイはボロボロとこぼれた涙をハンカチで拭う。
ゼロとミルドもあまりの真実に呆然と立っていることしかできなかった。
そして当の本人は、
「え、俺主人公じゃねぇの?なーんだつまんね。」
一人悠々と鼻くそをほじっていた。
その様子をみたダークもブフッと吹き出す。
「ちょ、なんでそんな呑気でいられるの?聖夜は抗えない運命によって殺されるんだよ!?」
「まぁ別に死にたくはねぇよ。だから俺は運命に争う。」
「無理よ!!だって相手は大いなる空間の絶対神である初代神王よ、勝てるわけないじゃない!!!!」
「……。確かに俺だったらこんなバカでかい相手に敵うわけないって戦う前から諦めてたよ。でも、」
俺はクルッと後ろを向き、呆然としていたゼロとミルドにがっしりと腕を組む。
「俺にはこいつらがいる。それにここにはいなくても正義、委員長ヨルムン、国のみんながいるさ。だから俺は諦めない、やれるところまでやってみるさ。」
「マスター……。」
「主人あるじよ……。」
その俺の言葉にユイは心を打たれたらしい。
「……、やっぱり聖夜は昔と変わらず真っ直ぐね。」
ユイの目にはもう涙は見えなかった。
「いいわ。私も私たちができることはなんでも協力する!!」
ユイはバッと大きな紙をホワイトボードに貼る。
「まず聖夜の神王へのポイントはもうすぐでたまる。だからあとは天之川魔術研究会を倒すだけで神王への道ができるはずよ。」
「神王への道か。でも俺は言えば廃棄予定の神成だろ?そんな奴になんで道があるんだよ。」
「あぁそれね。あの人バカだからその抜け道に気付いてないらしいの。あの人バカだから。」
「二回も行ってやるな。」
「それで大アルカナに捜索してもらった結果、地図のここの部分に天之川魔術研究会の本拠地があるらしいの。だからあとはここを潰せば聖夜は死なずに済むんだけど……。」
「俺の力じゃ天之川を倒すのは難しいと。」
「うん……。」
「心配すんな。」
さっきまで話を聞いてるだけだったダークが口を開く。
「お前には悪魔たちの技を習得できた。だから勝てる、必ずな。」
「だってさ。俺は死ぬ気はねぇよ。心配してくれてありがとな。」
ユイの目にまた涙が溢れる。
「泣き虫なのは相変わらずだな。」
「だって~。」
ユイは泣きながら俺に地図を渡してくる。
「俺は死なねぇよ。また生きてここに帰ってくるから。」
そう言って俺はユイの部屋を出て玄関へ向かう。
そして玄関のドアを開けようとすると、
「聖夜!!」
ユイがものすごい勢いで走ってきて俺に飛びつく。
そしてその勢いのまま唇を……
チュッ
「生きて必ず帰ってきてね!!」
そう言い残してまた走って部屋へと帰っていった。
「選択者も大アルカナも全て聖夜を助けるために私が作った存在。グラトニーと名前を変えたのは初代神王に気づかれないためよ。」
「待て、俺はそんなこと教えられてないぞ!!」
「正義はすぐ人に喋るでしょ。」
「うぐっ!!」
「この大いなる空間の次の神王、つまり主人公の名前は神成天夜。神成聖夜は他の神成とともに絶対に死ぬ運命なの。その運命をねじ曲げようと私が特定の人間を選択者に装わせて本来取得するはずではなかったエクストラスキルを覚えさせたの。でもそれも初代神王に気づかれて悪役である天之川がさらに強くなってしまった。もうあなたを、聖夜を助けることはできないの。」
ユイはボロボロとこぼれた涙をハンカチで拭う。
ゼロとミルドもあまりの真実に呆然と立っていることしかできなかった。
そして当の本人は、
「え、俺主人公じゃねぇの?なーんだつまんね。」
一人悠々と鼻くそをほじっていた。
その様子をみたダークもブフッと吹き出す。
「ちょ、なんでそんな呑気でいられるの?聖夜は抗えない運命によって殺されるんだよ!?」
「まぁ別に死にたくはねぇよ。だから俺は運命に争う。」
「無理よ!!だって相手は大いなる空間の絶対神である初代神王よ、勝てるわけないじゃない!!!!」
「……。確かに俺だったらこんなバカでかい相手に敵うわけないって戦う前から諦めてたよ。でも、」
俺はクルッと後ろを向き、呆然としていたゼロとミルドにがっしりと腕を組む。
「俺にはこいつらがいる。それにここにはいなくても正義、委員長ヨルムン、国のみんながいるさ。だから俺は諦めない、やれるところまでやってみるさ。」
「マスター……。」
「主人あるじよ……。」
その俺の言葉にユイは心を打たれたらしい。
「……、やっぱり聖夜は昔と変わらず真っ直ぐね。」
ユイの目にはもう涙は見えなかった。
「いいわ。私も私たちができることはなんでも協力する!!」
ユイはバッと大きな紙をホワイトボードに貼る。
「まず聖夜の神王へのポイントはもうすぐでたまる。だからあとは天之川魔術研究会を倒すだけで神王への道ができるはずよ。」
「神王への道か。でも俺は言えば廃棄予定の神成だろ?そんな奴になんで道があるんだよ。」
「あぁそれね。あの人バカだからその抜け道に気付いてないらしいの。あの人バカだから。」
「二回も行ってやるな。」
「それで大アルカナに捜索してもらった結果、地図のここの部分に天之川魔術研究会の本拠地があるらしいの。だからあとはここを潰せば聖夜は死なずに済むんだけど……。」
「俺の力じゃ天之川を倒すのは難しいと。」
「うん……。」
「心配すんな。」
さっきまで話を聞いてるだけだったダークが口を開く。
「お前には悪魔たちの技を習得できた。だから勝てる、必ずな。」
「だってさ。俺は死ぬ気はねぇよ。心配してくれてありがとな。」
ユイの目にまた涙が溢れる。
「泣き虫なのは相変わらずだな。」
「だって~。」
ユイは泣きながら俺に地図を渡してくる。
「俺は死なねぇよ。また生きてここに帰ってくるから。」
そう言って俺はユイの部屋を出て玄関へ向かう。
そして玄関のドアを開けようとすると、
「聖夜!!」
ユイがものすごい勢いで走ってきて俺に飛びつく。
そしてその勢いのまま唇を……
チュッ
「生きて必ず帰ってきてね!!」
そう言い残してまた走って部屋へと帰っていった。
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