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つぼっち

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第十章、正義を求めて

#62 至高の王

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「ぐぅ!!」

「なんだ?威勢だけかよ。」

ガブリエルはベルゼブブに押されていた。

いくら聖天使といえども七柱の大悪魔を仮初の体で相手をするのは無理があった。

「面白くねぇな。」

ベルゼブブはつまらなそうに嵐を放つ。

『正義、まだなの?』

『よし、いける!!!』

正義とガブリエルの二人は心の中で会話し、タイミングを図る。

「そろそろ楽にしてやるよ。」

そう言ってベルゼブブは特大の嵐を作り出す。

その一瞬の隙を正義は見落とさなかった。

「いまだ!!大魔術、《封魔の浄化》!!!!」

「な!?」

封魔の浄化は悪魔に対して超強力なダメージを与える大魔術。

たとえ大悪魔であってもグラトニーとの融合は解除できるほどだろう。

浄化の光がベルゼブブを包み込み、大爆発した。

「よし!!!」

「やったわね。」

二人はベルゼブブとグラトニーの融合を切ることができた。

そう思っていた。


グチャァ


正義の肉が裂ける音がした。

速すぎて何かわからないものが一瞬のうちに正義の体を貫通し、肉をえぐる。

ガブリエルも正義も思考が止まっていた。

「せ、正義!!!」

そして状況を整理し、ガブリエルは倒れた正義に駆け寄り、回復魔術をかける。

「うっ…あ、、、。」

正義はかろうじて一命を取り留めた。

ガブリエルは何かが飛んできた方向を見る。

そこには爆発した時の黒煙がまだ残留していた。

その黒煙の中からチラチラと眩い光がさしている。

「ふはははははははははははははははははははは!!!!!!!!!」

聞いたものを不快にさせるような聴き慣れた高笑いが黒煙の中から聞こえる。

そして暴風と共に黒煙は晴れ、光に包まれた人物が出てくる。

しかしそれは先ほど見た蝿の王たる姿ではなかった。

蝿としての面影は消え失せ、ただただ神々しい鎧を身に纏っている。

その姿を一言で表すなら『王』であった。

「道を開けよ、俺様こそが〈至高の王〉バアル・ゼブル。嵐と慈雨を司る『神』である!!」

神によって堕天され、失われていた神の力を取り戻したベルゼブブ改めバアル・ゼブル。

もはや正義とガブリエルに勝ち目などなかった。

「なーにしてんのあんた達?」

上空から声がした。

「おいおい、なんでお前がいんだよ。クソが。」

声の主は女性。

言葉遣いは現代風で背中には神々しい翼を持っている。

頭には神を表す天輪が乗っていた。

そう、こいつこそがバアル・ゼブルを堕天させ、グラトニー(神成 聖夜)を理不尽なこの世界に送った張本人、〈断罪の女神〉であった。
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