世界のためなら何度でも

つぼっち

文字の大きさ
上 下
2 / 281
第一章、長い長い英雄譚のはじまりはじまり

#2 与えられたアメとムチ

しおりを挟む
そう言って女神は魔術か何かで空間に穴を開け、何かを取り出した。

「あ、あった! はいこれ。この中から好きなのを選んでね。」

そう言って何枚かのカードを渡される。

カードには文字が書かれていている。

「何ですかこれ?」

「えぇ~? 言わなくてもわかるでしょ。はぁー、これだから大罪認定されるバカは…」

いちいちムカつくやつだな。

今度顔面をグーで殴ってやる。

「これは好きな魔術を1属性だけプレゼントしてあげるカード。ほら、さっさと選んで。次の人がつっかえてんだから。」

「なんでこんなものを俺に?」

「異世界転移の特典ってやつ。大罪人にも渡さないといけないのよ。ほら、武士の情けってやつよ」

「武士って、あんた女神だろ」

「……別にいいでしょ!!女神の情け!!!!」

俺はあらためてカードを見る。

ほんとだ、魔術の属性と詳細みたいなのが書かれている。

えーっと、どれどれ?


火炎魔術・・・灼熱の炎を操る魔術。


氷結魔術・・・絶対零度の氷を操る魔術。


猛毒魔術・・・敵を苦しめる猛毒を操る魔術。


雷鳴魔術・・・轟く雷鳴を操る魔術。


浄化魔術・・・ものを清め、直すことができる魔術。


死霊魔術・・・死体や魂を操る魔術。


ふーむ。

こういうところでは間違った選択が生死を分けるからな、慎重に選ばないと。


30分経過

「ねぇまだ? そろそろ次の人たちが詰まってきたから早くしてくれない?」

「もうちょっと待ってください!」



1時間経過

「チッ」

女神がイラついてとうとう舌打ちまでしてきた。

だが、ここで下手に選べば死ぬ可能性もある。

焦らず、じっくり考えないと



2時間経過

「スースー」

女神はよほど暇になったのか30分前に寝てしまった。

そして肝心な俺はというと

「これだ!」

試行錯誤を繰り返し、たどり着いた答えは

〈火炎魔術〉

だ。

「おい女神。もう選んだから送ってもらっていいぞ」

「あ、まだやることが残ってるわよ」

そういうと、女神の手のひらから青黒く、禍々しいオーラのようなものが出る。

「あ、あのー女神様? それは一体……」

「あら? まさか大罪人をそのまま野放しにすると思った?これは〈大罪スキル〉って言って大罪を犯したものへの足枷みたいなものよ。」

そういうと、禍々しいオーラは俺の体に吸い込まれていった。

「グァァァァァァァァ!」

全身を突き刺すような痛みが襲う。

「名前も異世界っぽく改名しましようか。そうね、暴食だしグラトニーとかどう?ふふ、罪人にぴったりな名前ね。」

女神が何か言っているが痛みで何も聞こえない。

だんだん意識が遠のいていく。

「さてと、そろそろ時間ね。それじゃあこの世界で自分の罪を償いなさい。さようならグラトニー。」

そのまま俺は視界が暗くなっていくのを感じ、目を閉じた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

司書ですが、何か?

みつまめ つぼみ
ファンタジー
 16歳の小さな司書ヴィルマが、王侯貴族が通う王立魔導学院付属図書館で仲間と一緒に仕事を頑張るお話です。  ほのぼの日常系と思わせつつ、ちょこちょこドラマティックなことも起こります。ロマンスはふんわり。

『モンスターカード!』で、ゲットしてみたらエロいお姉さんになりました。

ぬこぬっくぬこ
ファンタジー
 えっ、なんで?なんで絵柄が――――バニーガールなの?  おかしい、ゲットしたのはうさぎのモンスターだったはず…  『モンスターカード』というスキルがある。  それは、弱ったモンスターをカードに取り込む事により、いつでも、どこにでも呼び出す事が出来るようになる神スキルだ。  だがしかし、実際に取り込んでみるとなぜか現物と掛け離れたものがカードに描かれている。 「もしかしてこれは、ゲットしたらエロいお姉さんになる18禁モンスターカード!?」 注)当作品は決してエロいお話ではありません☆  小説家になろう様、カクヨム様でも掲載しております。

百姓貴族はお呼びじゃないと言われ婚約破棄をされて追放されたので隣国で農業しながら幸せになります!

ユウ
恋愛
多くの女神が存在する世界で豊穣の加護というマイナーな加護を持つ伯爵令嬢のアンリは理不尽な理由で婚約を破棄されてしまう。 相手は侯爵家の子息で、本人の言い分では… 「百姓貴族はお呼びじゃない!」 …とのことだった。 優れた加護を持たないアンリが唯一使役出るのはゴーレムぐらいだった。 周りからも馬鹿にされ社交界からも事実上追放の身になっただけでなく大事な領地を慰謝料変わりだと奪われてしまう。 王都から離れて辺境地にて新たな一歩をゴーレムと一から出直すことにしたのだが…その荒れ地は精霊の聖地だった。 森の精霊が住まう地で農業を始めたアンリは腹ペコの少年アレクと出会うのだった。 一方、理不尽な理由でアンリを社交界から追放したことで、豊穣の女神を怒らせたことで裁きを受けることになった元婚約者達は――。 アンリから奪った領地は不作になり、実家の領地では災害が続き災難が続いた。 しかもアンリの財産を奪ったことがばれてしまい、第三機関から訴えられることとなり窮地に立たされ、止む終えず、アンリを呼び戻そうとしたが、既にアンリは国にはいなかった。

転生幼児は夢いっぱい

meimei
ファンタジー
日本に生まれてかれこれ27年大学も出て希望の職業にもつき順風満帆なはずだった男は、 ある日親友だと思っていた男に手柄を横取りされ左遷されてしまう。左遷された所はとても忙しい部署で。ほぼ不眠不休…の生活の末、気がつくとどうやら亡くなったらしい?? らしいというのも……前世を思い出したのは 転生して5年経ってから。そう…5歳の誕生日の日にだった。 これは秘匿された出自を知らないまま、 チートしつつ異世界を楽しむ男の話である! ☆これは作者の妄想によるフィクションであり、登場するもの全てが架空の産物です。 誤字脱字には優しく軽く流していただけると嬉しいです。 ☆ファンタジーカップありがとうございました!!(*^^*) 今後ともよろしくお願い致します🍀

ハニーローズ  ~ 『予知夢』から始まった未来変革 ~

悠月 星花
ファンタジー
「背筋を伸ばして凛とありたい」 トワイス国にアンナリーゼというお転婆な侯爵令嬢がいる。 アンナリーゼは、小さい頃に自分に関わる『予知夢』を見れるようになり、将来起こるであろう出来事を知っていくことになる。 幼馴染との結婚や家族や友人に囲まれ幸せな生活の予知夢見ていた。 いつの頃か、トワイス国の友好国であるローズディア公国とエルドア国を含めた三国が、インゼロ帝国から攻められ戦争になり、なすすべもなく家族や友人、そして大切な人を亡くすという夢を繰り返しみるようになる。 家族や友人、大切な人を守れる未来が欲しい。 アンナリーゼの必死の想いが、次代の女王『ハニーローズ』誕生という選択肢を増やす。 1つ1つの選択を積み重ね、みんなが幸せになれるようアンナリーゼは『予知夢』で見た未来を変革していく。 トワイス国の貴族として、強くたくましく、そして美しく成長していくアンナリーゼ。 その遊び場は、社交界へ学園へ隣国へと活躍の場所は変わっていく…… 家族に支えられ、友人に慕われ、仲間を集め、愛する者たちが幸せな未来を生きられるよう、死の間際まで凛とした薔薇のように懸命に生きていく。 予知の先の未来に幸せを『ハニーローズ』に託し繋げることができるのか…… 『予知夢』に翻弄されながら、懸命に生きていく母娘の物語。 ※この作品は、「カクヨム」「小説家になろう」「ノベルアップ+」「ノベリズム」にも掲載しています。  表紙は、菜見あぉ様にココナラにて依頼させていただきました。アンナリーゼとアンジェラです。  タイトルロゴは、草食動物様の企画にてお願いさせていただいたものです!

ゲームの《裏技》マスター、裏技をフル暗記したゲームの世界に転生したので裏技使って無双する

鬼来 菊
ファンタジー
 飯島 小夜田(イイジマ サヨダ)は大人気VRMMORPGである、『インフィニア・ワールド』の発見されている裏技を全てフル暗記した唯一の人物である。  彼が発見した裏技は1000を優に超え、いつしか裏技(バグ)マスター、などと呼ばれていた。  ある日、飯島が目覚めるといつもなら暗い天井が視界に入るはずなのに、綺麗な青空が広がっていた。  周りを見ると、どうやら草原に寝っ転がっていたようで、髪とかを見てみると自分の使っていたアバターのものだった。  飯島は、VRを付けっぱなしで寝てしまったのだと思い、ログアウトをしようとするが……ログアウトボタンがあるはずの場所がポッカリと空いている。  まさか、バグった? と思った飯島は、急いでアイテムを使用して街に行こうとしたが、所持品が無いと出てくる。  即行ステータスなんかを見てみると、レベルが、1になっていた。  かつては裏技でレベル10000とかだったのに……と、うなだれていると、ある事に気付く。  毎日新しいプレイヤーが来るゲームなのに、人が、いないという事に。  そして飯島は瞬時に察した。  これ、『インフィニア・ワールド』の世界に転生したんじゃね?  と。  取り敢えず何か行動しなければと思い、辺りを見回すと近くに大きな石があるのに気付いた。  確かこれで出来る裏技あったなーと思ったその時、飯島に電流走る!  もしもこの世界がゲームの世界ならば、裏技も使えるんじゃね!?  そう思った飯島は即行その大きな岩に向かって走るのだった――。 ※『小説家になろう』様、『カクヨム』様にも投稿しています。

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ
ファンタジー
目の前に、女神を名乗る女性が立っていた。 麗しい彼女の願いは「自分の代わりに世界を見て欲しい」それだけ。 使命も何もなく、ただ、その世界で楽しく生きていくだけでいいらしい。 厳しい異世界で生き抜く為のスキルも色々と貰い、食いしん坊だけど優しくて可愛い従魔も一緒! 忙しくて自由のない女神の代わりに、異世界を楽しんでこよう♪ 13話目くらいから話が動きますので、気長にお付き合いください! 最初はとっつきにくいかもしれませんが、どうか続きを読んでみてくださいね^^ ※お気に入り登録や感想がとても励みになっています。 ありがとうございます!  (なかなかお返事書けなくてごめんなさい) ※小説家になろう様にも投稿しています

処理中です...