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☆第2章☆リエン山
2ー110★階段が完成
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太陽も真上を過ぎしばらくたった頃、俺とフィリアはやっとお互いの行動に一区切りつけることができた。
『いやー、やっと出来ましたね~。ありがとうございます、フィリアさん』
『はい。時間は掛かったかもしれませんが…思いの外順調に行ってワタクシ自身もホッとしております』
時間は掛かったか…
そう思いながら俺は彼女の方をチラリと見る。
彼女の方は実に清々しいやりきったと言うような表情を俺の方に見せていたのだ。
彼女は俺の話を聞いた後、ひたすら魔法を使い氷を生成、そしてそれを繰り返しみるみるうちに小屋から木へと続く階段を完成させていた。
『そうですか?俺の方ではもっと時間かかると思っていたのですけど…』
俺は彼女と会話をしながら、とりあえず彼女が作った階段の一番最初の段に足をかける。
『んー、そうですね。最初は私の方で久しぶりの水魔法に慣れていなかっただけなんですが…』
『へー、そうなんですか?でも、まー。ここからは俺の番ですね』
階段作りと言うのは、ほとんどを彼女に任せてしまった。
とは言っても俺は魔法が使えるわけでもないし特別な力を持っているわけではないので、それは仕方がないことだとは思う。
そして彼女自身も、それで良いとは言ってはくれていたが…
だが元々、言い出したのは俺なわけで、彼女が作業を進めているのにも関わらず、言い出した俺の方が見ているだけと言うのは何ともばつが悪い感じがしたのは事実だった。
それだけに、ここから先はしっかりと働こうとは思う。
『はい。ここからはお任せします。ただ、具体的にはどうするんですか?』
俺が二段目の段差に足をかけた時、彼女は俺に何をしようとしているのかを質問をしてきた。
確かに今までの段階で俺は彼女に対して、これから俺が何をしようとしているのかは教えていない。
恐らく何かを探したいと言うのは彼女の方でも気づいているようではあったが…
ただ詳細を知るのなら早い段階で知っておきたいと言うのだろう。
それであれば先に説明をした方がいいのかな?
『えーっと、木に登って探したいと言うか、先ず見たいのは周囲の様子ですね』
『それはノルド様たちのことと言うのは分かるのですが…でも、それは見つかるのでしょうか?』
やはり探したいものの一つは彼女の方でも気づいていたようだ。
とは言え、彼らを探すことと言うのは今や俺たちにとっては最優先事項のような気もする。
なので、分かると言えば分かるのかもしれない。
そして、それが難しいのだろうと言うことも彼女にはまた想像がついているのだろう。
『んー…、詳しくは登ってみないと分からないですけど…こいつがどれだけよく見えるかは分からないですけどね…』
俺はそう言いながら彼女に眼鏡のようなマジックアイテムを見せた。
調合集にあった説明によると、どうやら遠くのものをハッキリと見たいときに使うと効果的なマジックアイテムのようで、恐らくは望遠鏡とか双眼鏡といった類いのものなのではないかと俺は思う。
『それは…?』
『はい、さっきノルドの部屋を失礼しまして、探してみたときに見つけたやつなんですけど、どうやら遠くのものとかがハッキリと見えるマジックアイテムのようですよ』
『あー、そうなんですか!』
俺が見せたマジックアイテムをまじまじと見つめる彼女。
彼女の反応を見る限り、どうやらこっちの世界ではも珍しいのか、もしかしたらノルドのオリジナルなマジックアイテムなのかもしれない。
『とは言っても、彼らの方はこの近くにいるかどうかも分からないですから、もし本気で探そうと思ったら、ここを離れて探しにいくしかないかもしれないですね』
『はぁ…やっぱりですか…』
彼女は俺の言葉に溜め息をつく。
恐らくではあるが、この辺りのことも彼女の中ではもしかしたら想像はしていたのかもしれない。
でも今の状況を見てここを離れてなんて聞いたら誰でも気分は落ちると思う。
『それで、ここを離れるのに必要なアイテムがこの近くにあるはずなんですけどね…?』
『えっ?そんな便利なものがあるんですか?』
俺のこの言葉に彼女は目を大きく見開いた。
よっぽど予期せぬ言葉だったのだろうか?
まだ結果として全てを喋っているわけではないのにも関わらず、彼女の表情が見るからに嬉しさを全開にしている。
『はい。フィリアさんは、最初にここに来たときのことを覚えていますか?』
『初めて来たときですか?はい…あまり思い出したい記憶ではないですが…』
彼女はそう言うと苦笑いを浮かべていた。
確かにここに来る前、ろくにモンスターと戦う準備をしていない俺たちは、不意に大量のモンスターと遭遇して追いかけられてしまっただけに、彼女の方で思い出したくないとして苦笑いを浮かべるのも頷ける。
『はい、そうですね。でもちょっと思い出してください。あの時って、どうやってこの小屋にたどり着いたんでしたっけ?』
『はい?あの時ですか…?ん~?』
そう言いながら首をかしげる彼女。
本当であれば、俺は直ぐにタネを明かして、上にいきたかったのだが…
彼女の方では自分で答えを導きだしたかったようで、俺の方からタネを明かすのを断られ、俺はこの後そこそこの時間待ちぼうけをくらうことになった。
『いやー、やっと出来ましたね~。ありがとうございます、フィリアさん』
『はい。時間は掛かったかもしれませんが…思いの外順調に行ってワタクシ自身もホッとしております』
時間は掛かったか…
そう思いながら俺は彼女の方をチラリと見る。
彼女の方は実に清々しいやりきったと言うような表情を俺の方に見せていたのだ。
彼女は俺の話を聞いた後、ひたすら魔法を使い氷を生成、そしてそれを繰り返しみるみるうちに小屋から木へと続く階段を完成させていた。
『そうですか?俺の方ではもっと時間かかると思っていたのですけど…』
俺は彼女と会話をしながら、とりあえず彼女が作った階段の一番最初の段に足をかける。
『んー、そうですね。最初は私の方で久しぶりの水魔法に慣れていなかっただけなんですが…』
『へー、そうなんですか?でも、まー。ここからは俺の番ですね』
階段作りと言うのは、ほとんどを彼女に任せてしまった。
とは言っても俺は魔法が使えるわけでもないし特別な力を持っているわけではないので、それは仕方がないことだとは思う。
そして彼女自身も、それで良いとは言ってはくれていたが…
だが元々、言い出したのは俺なわけで、彼女が作業を進めているのにも関わらず、言い出した俺の方が見ているだけと言うのは何ともばつが悪い感じがしたのは事実だった。
それだけに、ここから先はしっかりと働こうとは思う。
『はい。ここからはお任せします。ただ、具体的にはどうするんですか?』
俺が二段目の段差に足をかけた時、彼女は俺に何をしようとしているのかを質問をしてきた。
確かに今までの段階で俺は彼女に対して、これから俺が何をしようとしているのかは教えていない。
恐らく何かを探したいと言うのは彼女の方でも気づいているようではあったが…
ただ詳細を知るのなら早い段階で知っておきたいと言うのだろう。
それであれば先に説明をした方がいいのかな?
『えーっと、木に登って探したいと言うか、先ず見たいのは周囲の様子ですね』
『それはノルド様たちのことと言うのは分かるのですが…でも、それは見つかるのでしょうか?』
やはり探したいものの一つは彼女の方でも気づいていたようだ。
とは言え、彼らを探すことと言うのは今や俺たちにとっては最優先事項のような気もする。
なので、分かると言えば分かるのかもしれない。
そして、それが難しいのだろうと言うことも彼女にはまた想像がついているのだろう。
『んー…、詳しくは登ってみないと分からないですけど…こいつがどれだけよく見えるかは分からないですけどね…』
俺はそう言いながら彼女に眼鏡のようなマジックアイテムを見せた。
調合集にあった説明によると、どうやら遠くのものをハッキリと見たいときに使うと効果的なマジックアイテムのようで、恐らくは望遠鏡とか双眼鏡といった類いのものなのではないかと俺は思う。
『それは…?』
『はい、さっきノルドの部屋を失礼しまして、探してみたときに見つけたやつなんですけど、どうやら遠くのものとかがハッキリと見えるマジックアイテムのようですよ』
『あー、そうなんですか!』
俺が見せたマジックアイテムをまじまじと見つめる彼女。
彼女の反応を見る限り、どうやらこっちの世界ではも珍しいのか、もしかしたらノルドのオリジナルなマジックアイテムなのかもしれない。
『とは言っても、彼らの方はこの近くにいるかどうかも分からないですから、もし本気で探そうと思ったら、ここを離れて探しにいくしかないかもしれないですね』
『はぁ…やっぱりですか…』
彼女は俺の言葉に溜め息をつく。
恐らくではあるが、この辺りのことも彼女の中ではもしかしたら想像はしていたのかもしれない。
でも今の状況を見てここを離れてなんて聞いたら誰でも気分は落ちると思う。
『それで、ここを離れるのに必要なアイテムがこの近くにあるはずなんですけどね…?』
『えっ?そんな便利なものがあるんですか?』
俺のこの言葉に彼女は目を大きく見開いた。
よっぽど予期せぬ言葉だったのだろうか?
まだ結果として全てを喋っているわけではないのにも関わらず、彼女の表情が見るからに嬉しさを全開にしている。
『はい。フィリアさんは、最初にここに来たときのことを覚えていますか?』
『初めて来たときですか?はい…あまり思い出したい記憶ではないですが…』
彼女はそう言うと苦笑いを浮かべていた。
確かにここに来る前、ろくにモンスターと戦う準備をしていない俺たちは、不意に大量のモンスターと遭遇して追いかけられてしまっただけに、彼女の方で思い出したくないとして苦笑いを浮かべるのも頷ける。
『はい、そうですね。でもちょっと思い出してください。あの時って、どうやってこの小屋にたどり着いたんでしたっけ?』
『はい?あの時ですか…?ん~?』
そう言いながら首をかしげる彼女。
本当であれば、俺は直ぐにタネを明かして、上にいきたかったのだが…
彼女の方では自分で答えを導きだしたかったようで、俺の方からタネを明かすのを断られ、俺はこの後そこそこの時間待ちぼうけをくらうことになった。
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