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☆第2章☆リエン山
2ー66★準備
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俺は自分で持ってきたギーや塩といったものは極力フェンに預け、彼からは代わりに精神回復薬を受け取り、アンテロからは消えない傷の治療薬を受けとる。
二人とも結構な量を俺に渡してきたのだが、それでもアイテムボックスの方の容量がじゅうぶんだったので問題なく対処ができた。
問題は最後のノルドの方なのだが…
昨日、話した段階でノルドが俺に渡す物は装備品と資金といっていた。
それを覚えていた俺は、装備品は腰に差せる剣とかそういった武器。
後は腕に装着できる盾や普段から装備をできる鎧をはじめの防具などで、それほどスペースの心配などをしなくてもいいと考えていたのだが…
どうやら俺の予想というのは甘かったらしい。
先ず最初に出てきたのは資金。
ノルドが前日、任せてくれと言うだけあって詳しくは数えてないが結構な量が出て来た。
パッと見た感じ銅や鉄で出来た通貨が中心で、銀貨や金貨といったものはほとんど無い。
目の前のテーブルに無造作に置かれる通貨の山。
『すいません。ナカノ様、山奥だと袋とかも結構貴重なので、こんな感じでもいいですか?もちろん収容袋(中)はそのまま使ってもらっても構いませんので…』
無造作にたくさんの通貨をテーブルの上に流して、このようにノルドが言ってきたのだが、俺には最初彼が何を言っているのか分からなかった。
不思議に思い彼の方を見ようとしたときに、俺の向かい側にフェンが座り
『よし、時間無いですからね!さっさと始めましょう!』
なんてことを言い出した瞬間、俺はやっと理解する。
これらの山のように置いてある通貨を自分のカードに入れる手段がないということを…
一応、心の中で「まさかな?」とか「ひょっとして?」と思いながらフェンに聞いてみる。
『なー、フェン。この通貨ってどうやって持っていくんだ?あの、ギルドとかお店とかで見るカードに入れるマジックアイテムっぽいやつないよね?』
『はい、無いですね!なので、これら通貨をこのまま収容袋(中)の方にいれたのであれば、スペースが無駄です。なのでこれらは先ず通貨別に整頓させた後、しまえる分を先ずはアタルさんのアイテムボックスの方に仕舞い、残りを収容袋(中)の方に仕舞いましょう!』
ということをサラッと言ってきたのだ…
ちなみに、フェンにもし銀貨や金貨を持っているなら交換してくれないかと持ちかけてみたら、無言の上で笑顔という微妙な反応をされてしまった…
そんなことで、そこそこの時間を費やした後でも旅の準備というのはまだ終わらない。
資金面の補充が終了しても、次はノルドからの装備品と言うものを考えなければいけないからだ。
とは言っても、こっちの方は自分に合ったものを選べばいいだろうと軽く考えていたのだが、どうやらノルドの方では違うように考えていたらしい。
俺はノルドの案内で小屋の指定の部屋に通されたのだが、その部屋は他の部屋と違いかなり異質な部屋だった。
壁には何種類もの剣や槍、弓矢など武器以外にも盾や杖など、様々なものが飾られている。
また、部屋の隅には木箱のようなものが置いてあり中を見るとマジックアイテムなのか、投擲系の武器なのかよく判別できないようなものまで確認できた。
そして極めつけは部屋の中央に何種類もの鎧などが集められているのだが、ハッキリ言ってこの中からどうぞといきなり言われたところで、俺には選べる自信など無い。
ノルドに聞いてみると、得意な武器とか普段の戦い方とか様々なことを聞いてくるので、俺はひたすらに苦笑いで耐える時間だけが増えていった。
ただ、そうは言ってもゆっくりと気兼ねなく選んでいる暇もない俺としては、とりあえず扱いやすさを重視できる装備を中心にノルドに選んで貰った。
『一応、今ナカノ様が装備をされている物とは別に、収容袋(中)の中に予備として短剣2セット。長剣2セット。槍2セット。鎧2セット。盾2セット、それに投擲系の武器をいくつか入れておきますので』
『あー、ありがとう。でも…、そんな必要か?俺の方としては、なるべく戦闘しない方向で考えているんだけど…』
『んー、どうでしょうか…なるべくなら、私の心配が無駄な努力で終わればいいとは思うのですが…』
(私の心配?)
俺は今、左手に甲冑籠手付きの盾、体は軽鎧、左の腰に自分の前腕と同程度の短剣と長剣を差し、両足に脛当てを装備と言った格好をしている。
自分の人生において、これ以上はないと言うくらいの重装備を重ねていた。
一応、これで不安が完全になくなるかと言われると、そんなことはないのだが…
とりあえず、これほどの重装備をしなくてもそれなりに今までやってきたという小さな自信のようなものもあるにはある。
なので、そこまでする必要などあるのかな?などと思っていたのだが…
どうやらノルドの中では、まだまだ俺のことが心配らしい…
本当なら詳しい理由とかを聞くべきなのかもしれないが、あまり聞きすぎて決心が鈍ってしまうと何にもなら無いので、俺はとりあえずノルドの方に、そろそろということを伝え、いよいよ行動を開始することにした。
二人とも結構な量を俺に渡してきたのだが、それでもアイテムボックスの方の容量がじゅうぶんだったので問題なく対処ができた。
問題は最後のノルドの方なのだが…
昨日、話した段階でノルドが俺に渡す物は装備品と資金といっていた。
それを覚えていた俺は、装備品は腰に差せる剣とかそういった武器。
後は腕に装着できる盾や普段から装備をできる鎧をはじめの防具などで、それほどスペースの心配などをしなくてもいいと考えていたのだが…
どうやら俺の予想というのは甘かったらしい。
先ず最初に出てきたのは資金。
ノルドが前日、任せてくれと言うだけあって詳しくは数えてないが結構な量が出て来た。
パッと見た感じ銅や鉄で出来た通貨が中心で、銀貨や金貨といったものはほとんど無い。
目の前のテーブルに無造作に置かれる通貨の山。
『すいません。ナカノ様、山奥だと袋とかも結構貴重なので、こんな感じでもいいですか?もちろん収容袋(中)はそのまま使ってもらっても構いませんので…』
無造作にたくさんの通貨をテーブルの上に流して、このようにノルドが言ってきたのだが、俺には最初彼が何を言っているのか分からなかった。
不思議に思い彼の方を見ようとしたときに、俺の向かい側にフェンが座り
『よし、時間無いですからね!さっさと始めましょう!』
なんてことを言い出した瞬間、俺はやっと理解する。
これらの山のように置いてある通貨を自分のカードに入れる手段がないということを…
一応、心の中で「まさかな?」とか「ひょっとして?」と思いながらフェンに聞いてみる。
『なー、フェン。この通貨ってどうやって持っていくんだ?あの、ギルドとかお店とかで見るカードに入れるマジックアイテムっぽいやつないよね?』
『はい、無いですね!なので、これら通貨をこのまま収容袋(中)の方にいれたのであれば、スペースが無駄です。なのでこれらは先ず通貨別に整頓させた後、しまえる分を先ずはアタルさんのアイテムボックスの方に仕舞い、残りを収容袋(中)の方に仕舞いましょう!』
ということをサラッと言ってきたのだ…
ちなみに、フェンにもし銀貨や金貨を持っているなら交換してくれないかと持ちかけてみたら、無言の上で笑顔という微妙な反応をされてしまった…
そんなことで、そこそこの時間を費やした後でも旅の準備というのはまだ終わらない。
資金面の補充が終了しても、次はノルドからの装備品と言うものを考えなければいけないからだ。
とは言っても、こっちの方は自分に合ったものを選べばいいだろうと軽く考えていたのだが、どうやらノルドの方では違うように考えていたらしい。
俺はノルドの案内で小屋の指定の部屋に通されたのだが、その部屋は他の部屋と違いかなり異質な部屋だった。
壁には何種類もの剣や槍、弓矢など武器以外にも盾や杖など、様々なものが飾られている。
また、部屋の隅には木箱のようなものが置いてあり中を見るとマジックアイテムなのか、投擲系の武器なのかよく判別できないようなものまで確認できた。
そして極めつけは部屋の中央に何種類もの鎧などが集められているのだが、ハッキリ言ってこの中からどうぞといきなり言われたところで、俺には選べる自信など無い。
ノルドに聞いてみると、得意な武器とか普段の戦い方とか様々なことを聞いてくるので、俺はひたすらに苦笑いで耐える時間だけが増えていった。
ただ、そうは言ってもゆっくりと気兼ねなく選んでいる暇もない俺としては、とりあえず扱いやすさを重視できる装備を中心にノルドに選んで貰った。
『一応、今ナカノ様が装備をされている物とは別に、収容袋(中)の中に予備として短剣2セット。長剣2セット。槍2セット。鎧2セット。盾2セット、それに投擲系の武器をいくつか入れておきますので』
『あー、ありがとう。でも…、そんな必要か?俺の方としては、なるべく戦闘しない方向で考えているんだけど…』
『んー、どうでしょうか…なるべくなら、私の心配が無駄な努力で終わればいいとは思うのですが…』
(私の心配?)
俺は今、左手に甲冑籠手付きの盾、体は軽鎧、左の腰に自分の前腕と同程度の短剣と長剣を差し、両足に脛当てを装備と言った格好をしている。
自分の人生において、これ以上はないと言うくらいの重装備を重ねていた。
一応、これで不安が完全になくなるかと言われると、そんなことはないのだが…
とりあえず、これほどの重装備をしなくてもそれなりに今までやってきたという小さな自信のようなものもあるにはある。
なので、そこまでする必要などあるのかな?などと思っていたのだが…
どうやらノルドの中では、まだまだ俺のことが心配らしい…
本当なら詳しい理由とかを聞くべきなのかもしれないが、あまり聞きすぎて決心が鈍ってしまうと何にもなら無いので、俺はとりあえずノルドの方に、そろそろということを伝え、いよいよ行動を開始することにした。
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