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☆第2章☆リエン山
2ー65★うっかり
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ノルドの小屋での各メンバーとの話し合いから一夜空けた。
今日から俺たちは、それぞれの役割に向けて本格的に動くことになる。
中でも俺の役割は、自分でも結構重要な役割と思っていて、絶対にミス無く取りこぼさずやっていきたい。
なので、ここは気持ちよくノルドの小屋を離れたいと思っているのだが…
現実は、そう甘いものではなかった。
今、俺の前には二人の女性がいて、二人とも暗い雰囲気で俺を見つめ、さんざん謝罪の言葉を繰り返すばかりだ。
一人目はアンテロ。
アンテロからの問い[旅の理由]。
これについて、俺は一晩中考えることになってしまった。
そして、一晩たっても自分の中で答えが見いだせていない。
お陰でと言うのも変なのかもしれないが…
俺は明らかに寝不足の表情を隠せずにいたのだ。
『あのー、ナカノ様…すいません。私のせいですよね』
『あっ、気にしないでいいよ!寝不足って言ってもそんな…多少だから。それに別に考えていたのは、他の事も考えていたわけだし!』
アンテロは俺が寝不足になった原因は自分にあると思い頭を下げてきた。
まー、確かに考えるきっかけと言うのは彼女からの言葉だったのは明白なのだが…
それでもいつやめるかと言うのは俺の自己責任というやつなのだと思う。
なので、俺はアンテロには少しでも責任を感じてほしくないので、他の事も考えたと伝えることにした。
二人目はフィリア。
俺は昨日、ノルドの小屋に戻ってきたときにフィリアの提案からノルド自作のシャツを彼女に預けた。
と言うのも一日着ていて汗と埃にまみれたそれを、いくら効果が高いとはいえ二日連続で着るのは抵抗があったからだ。
彼女はシャツを俺から受け取り綺麗洗ってくれた。
結構丁寧に洗ってくれていて、俺もその最中は目撃している。
かなり丁寧な仕事だったと思う。
では、何故そんな彼女が何度も謝罪する事態になったのかというと…
彼女はシャツを洗った後、それをどこに干すのかを考えたらしい。
夕方以降の時間だと、睡眠時間などを考えたりする必要もある。
その間に雨など降ったら大変だというのだろう。
俺も彼女の話を聞いたときに、なるほどと納得した。
そして、ノルドやフェン、エルメダなどと話し合いをした結果、夕方以降は雨を降らないという結論にいたり、彼女は俺の洗ったシャツを小屋の外に干すことにしたのだが…
彼女は朝露という存在を考えていなかったのだ…
朝になって俺は洗って貰ったシャツを着ようと所在を訪ねた時、彼女は俺に待つように言って自分は小屋の外に走っていった。
その後、たかがシャツを取りに行くという行動だけのはずなのに5分待っても10分待っても戻ってこない。
明らかに違和感を感じた俺は、外に出て彼女の所在を確かめた結果。
物干しスペースでシャツに手をかけたまま、大量の冷や汗をかきながら固まる彼女の姿を見かけてしまった。
『本当に申し訳ございません。まさか、こんなことになるなんて…』
『いやー、別にいいですよ。それでも、俺が昨日来ていた状態よりは、ずっと綺麗だと思うんですけど』
そう思って、朝露にまみれたシャツを触ると、思いっきり濡れている。
臭いを嗅いでみると…
臭いのか、臭くないのか正直、今の状態では分からない。
(でも…こういうのって乾くと臭ったりするんだよな…)
『本来の水魔法を使える状態ならこんなことにはならなかったのですが…』
『でもそれは…いいですよ気にしないでください。って…水魔法ってそんなことできるんですか?』
『はい、服についた水分とかを何処かに飛ばしたりできるので、洗濯などに非常に便利なのです』
(洗濯のために魔法って…贅沢じゃないのか…?)
『へー、そうなんですか。それってとっても便利ですよね!』
『はい。そうなんです』
『あー、いた。ナカノさん。って、三人いたの?フェンさんが早めに準備しないとって言ってたよぉ。昼には出発するんでしょ?』
俺は前の日から、フェンたちには今日の昼過ぎから出発することを伝えていた。
精神回復薬を始めとした備品の引き渡しを、先にやっておきたいという彼の考えなのだろう。
『あー、そう。呼んでた?それなら早めに行かないとね。ということでフィリアさん、それはそんなに気にしなくてもいいですからね?』
『あー…。はい…』
『ねー。なに?気にしなくてもいいって…』
項垂れるような表情で明らかに落ち込むフィリアを見て、エルメダは若干気になったらしい。
彼女はフィリアに理由を訪ねてきた。
『ん?出発お昼でしょ?それならもう一回洗えば?』
フィリアが、ここまでの顛末を話すとエルメダがよく分からないことを言い出す。
『えっ…今から洗うって…それは…』
『えっ…だって、そのまま乾かしたら何か嫌じゃん。気分的に…』
『確かにそうですけど…でも洗っても乾かせないと…』
『それなら、私がやるから大丈夫!水魔法、使えないけど風魔法にも同じようなのがあるし!』
『えっ?!そんな事ができるの?』
『うん、昨日は疲れてたからやりたくなかったけど、今日はさっきみんなと話し合ったら私やることあまり無いみたいだから、やってもいいよ!』
一瞬、なんだそりゃ…
と思ってしまった俺だが、どうやらエルメダのお陰で昼からは気分よく行動することができそうだと胸を撫で下ろした。
今日から俺たちは、それぞれの役割に向けて本格的に動くことになる。
中でも俺の役割は、自分でも結構重要な役割と思っていて、絶対にミス無く取りこぼさずやっていきたい。
なので、ここは気持ちよくノルドの小屋を離れたいと思っているのだが…
現実は、そう甘いものではなかった。
今、俺の前には二人の女性がいて、二人とも暗い雰囲気で俺を見つめ、さんざん謝罪の言葉を繰り返すばかりだ。
一人目はアンテロ。
アンテロからの問い[旅の理由]。
これについて、俺は一晩中考えることになってしまった。
そして、一晩たっても自分の中で答えが見いだせていない。
お陰でと言うのも変なのかもしれないが…
俺は明らかに寝不足の表情を隠せずにいたのだ。
『あのー、ナカノ様…すいません。私のせいですよね』
『あっ、気にしないでいいよ!寝不足って言ってもそんな…多少だから。それに別に考えていたのは、他の事も考えていたわけだし!』
アンテロは俺が寝不足になった原因は自分にあると思い頭を下げてきた。
まー、確かに考えるきっかけと言うのは彼女からの言葉だったのは明白なのだが…
それでもいつやめるかと言うのは俺の自己責任というやつなのだと思う。
なので、俺はアンテロには少しでも責任を感じてほしくないので、他の事も考えたと伝えることにした。
二人目はフィリア。
俺は昨日、ノルドの小屋に戻ってきたときにフィリアの提案からノルド自作のシャツを彼女に預けた。
と言うのも一日着ていて汗と埃にまみれたそれを、いくら効果が高いとはいえ二日連続で着るのは抵抗があったからだ。
彼女はシャツを俺から受け取り綺麗洗ってくれた。
結構丁寧に洗ってくれていて、俺もその最中は目撃している。
かなり丁寧な仕事だったと思う。
では、何故そんな彼女が何度も謝罪する事態になったのかというと…
彼女はシャツを洗った後、それをどこに干すのかを考えたらしい。
夕方以降の時間だと、睡眠時間などを考えたりする必要もある。
その間に雨など降ったら大変だというのだろう。
俺も彼女の話を聞いたときに、なるほどと納得した。
そして、ノルドやフェン、エルメダなどと話し合いをした結果、夕方以降は雨を降らないという結論にいたり、彼女は俺の洗ったシャツを小屋の外に干すことにしたのだが…
彼女は朝露という存在を考えていなかったのだ…
朝になって俺は洗って貰ったシャツを着ようと所在を訪ねた時、彼女は俺に待つように言って自分は小屋の外に走っていった。
その後、たかがシャツを取りに行くという行動だけのはずなのに5分待っても10分待っても戻ってこない。
明らかに違和感を感じた俺は、外に出て彼女の所在を確かめた結果。
物干しスペースでシャツに手をかけたまま、大量の冷や汗をかきながら固まる彼女の姿を見かけてしまった。
『本当に申し訳ございません。まさか、こんなことになるなんて…』
『いやー、別にいいですよ。それでも、俺が昨日来ていた状態よりは、ずっと綺麗だと思うんですけど』
そう思って、朝露にまみれたシャツを触ると、思いっきり濡れている。
臭いを嗅いでみると…
臭いのか、臭くないのか正直、今の状態では分からない。
(でも…こういうのって乾くと臭ったりするんだよな…)
『本来の水魔法を使える状態ならこんなことにはならなかったのですが…』
『でもそれは…いいですよ気にしないでください。って…水魔法ってそんなことできるんですか?』
『はい、服についた水分とかを何処かに飛ばしたりできるので、洗濯などに非常に便利なのです』
(洗濯のために魔法って…贅沢じゃないのか…?)
『へー、そうなんですか。それってとっても便利ですよね!』
『はい。そうなんです』
『あー、いた。ナカノさん。って、三人いたの?フェンさんが早めに準備しないとって言ってたよぉ。昼には出発するんでしょ?』
俺は前の日から、フェンたちには今日の昼過ぎから出発することを伝えていた。
精神回復薬を始めとした備品の引き渡しを、先にやっておきたいという彼の考えなのだろう。
『あー、そう。呼んでた?それなら早めに行かないとね。ということでフィリアさん、それはそんなに気にしなくてもいいですからね?』
『あー…。はい…』
『ねー。なに?気にしなくてもいいって…』
項垂れるような表情で明らかに落ち込むフィリアを見て、エルメダは若干気になったらしい。
彼女はフィリアに理由を訪ねてきた。
『ん?出発お昼でしょ?それならもう一回洗えば?』
フィリアが、ここまでの顛末を話すとエルメダがよく分からないことを言い出す。
『えっ…今から洗うって…それは…』
『えっ…だって、そのまま乾かしたら何か嫌じゃん。気分的に…』
『確かにそうですけど…でも洗っても乾かせないと…』
『それなら、私がやるから大丈夫!水魔法、使えないけど風魔法にも同じようなのがあるし!』
『えっ?!そんな事ができるの?』
『うん、昨日は疲れてたからやりたくなかったけど、今日はさっきみんなと話し合ったら私やることあまり無いみたいだから、やってもいいよ!』
一瞬、なんだそりゃ…
と思ってしまった俺だが、どうやらエルメダのお陰で昼からは気分よく行動することができそうだと胸を撫で下ろした。
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