78 / 214
☆第1章☆貿易都市(ルート)
1ー73★トーレ再び
しおりを挟む
『今回のお話では奴隷制度についてではなく、従属のトゥリングについてですよね?』
『はい、そうです』
『それでは従属のリングを必要とする場合ということで説明させていただきます』
『分かりました』
『先程の手の指にまつわる思いというのはご理解いただけましたでしょうか?』
『もちろんです』
『それは良かったです。この効果を有効利用することにより、先人たちは様々な困難に立ち向かっていったらしいです。そして効果をもっと有効利用するために今まで以上に研究などが盛んに行われるようになったと聞いております』
『そうでしょうね』
『研究が進むにつれて指の効果というのは様々な応用が出来るのが分かってきました。そして研究が進むにつれて…いつの時代・あらゆる分野において善からぬことを考える者というのはいるようです』
『何か対策というか、取り締まりというのはされなかったんですか?』
『もちろん多くの取り締まりなどが行われたようです。ですが、そういった連中も色々と考え、研究の対象を手の指から足の指に切り替えたと言います』
『足の指……??』
『はい、足の指です。連中の研究は取り締まりの目を上手く欺けたということなのでしょう。もう言わないでも分かりますよね?』
『これが従属のトゥリングの始まりということですか?』
『そういうことらしいです』
『それで従属のトゥリングというのは具体的に、どういった手順を踏むのでしょうか?』
『先程、私は右手の小指には安穏無事の効果と伝えましたよね?』
『はい、聞きました』
『手の指の場合は、左右が別々で数えることになるのですが、足の場合は両足セットで考えることになります』
『ということは手は10個の効果で、足は5個の効果ですか?』
『手も足も効果は複数の効果が確認されているようですが…仮に一種類と考えるとそうなります』
『あっ…すいません。つい自分勝手に解釈してしまいました』
『いえ、いいんですよ。ここでは1種類とした方が理解しやすいと思います。それでは話を先に進めましょう』
『はい』
『そうだ、ここからは実際に見ながらの方が理解しやすいのかもしれません。すいません。少し席を外しますが、すぐに戻ります』
そうトラボンは言うと俺が返事をする前に、どこかにいってまった。
幸い青透明の領域は崩れていないので、スキルの範囲外というほどの遠くに離れたわけではないようだ。
『いやー、ナカノ様、お待たせして申し訳ありません』
そう言いながら待つこと数分ほどでトラボンは戻ってきた。
横には、以前ショックを受けた相手、トーレを連れている。
『ナカノ様、以前は申し訳ありませんでした』
彼女は右手で小綺麗なメイド服のスカートの端を持ちながら可愛らしいお辞儀をしてきた。
前回の衝撃知っている者とすると雲泥の印象を受ける。
だが、今回はトラボンがわざわざ連れてきた存在だ。
何か意味があるに違いない。
『連れてきて言うのも何ですが…ここから先はトーレもいた方が理解しやすいと思います。宜しいでしょうか?』
『俺の方としては、外に誤解を招くようなことにならないのであれば問題ないですよ』
『それは勿論、私のほうでも徹底させますので、トーレ!大丈夫だよな?』
『はい、ナカノ様、旦那様の不利益になるようなことは一切しないと誓います』
今度は、両腕を前に出した。
左手があれば両方の手が揃っている礼儀正しい一礼のように見えたはずだ。
『大丈夫です。トラボンさんのことは信用していますから』
『そう言っていただけるのであれば、何よりです。ではトーレ、素足になって私の横の椅子にかけてくれ』
『はい、畏まりました』
トーレはトラボンから指示を受けると俯き、トラボンの後ろの方へ移動した。
俺の位置からでは、何をやっているのかハッキリとは確認がとれない。
だが、トラボンの指示の内容からすると靴を脱いでいるとか、そんな感じのことなのだろう。
そしてトーレは準備ができたようで、素足のままトラボンの隣に座った。
『ナカノ様、トーレの足を見て何か気づくことはございませんか?』
トラボンが優しい表情で俺に聞いてきた。
『足ですか?えっと…細くて綺麗な足ですよね…』
俺は、どれだけ馬鹿なのだろうか!
彼はそう言うことを聞いてきたのではないだろう。
失敗したと思いながら前を確認すると…
トラボンは笑いを堪えるような表情だったのに対し…
トーレの目つきは何とも冷めたものだった…
『ナカノ様、出来れば視線の方を足全体から、足の指辺りに集中させていただけると宜しいのですが』
『あっ…そうですよね。さっき手の時も指それぞれに効果があるみたいな感じの話でしたからね…』
言われた通り、俺は自分の視線を足全体から足の指へと落としてみた。
すると…トーレの足の異変に気づく。
トーレの足の指が4本しかないのだ。
いや…待て!
トーレは以前の会話で猫人族だと言っていた。
と言うことは…猫人族の特徴っていうのは指が4本なのか?
いやっ…
でも無い指は中指…
真ん中がないというのは変な気がする…
それもちぎれているような形で…
ん?何かがおかしくないか?
俺はトーレの足の指を見ながら自分の考えが混乱していくのを止めることができなかった。
『はい、そうです』
『それでは従属のリングを必要とする場合ということで説明させていただきます』
『分かりました』
『先程の手の指にまつわる思いというのはご理解いただけましたでしょうか?』
『もちろんです』
『それは良かったです。この効果を有効利用することにより、先人たちは様々な困難に立ち向かっていったらしいです。そして効果をもっと有効利用するために今まで以上に研究などが盛んに行われるようになったと聞いております』
『そうでしょうね』
『研究が進むにつれて指の効果というのは様々な応用が出来るのが分かってきました。そして研究が進むにつれて…いつの時代・あらゆる分野において善からぬことを考える者というのはいるようです』
『何か対策というか、取り締まりというのはされなかったんですか?』
『もちろん多くの取り締まりなどが行われたようです。ですが、そういった連中も色々と考え、研究の対象を手の指から足の指に切り替えたと言います』
『足の指……??』
『はい、足の指です。連中の研究は取り締まりの目を上手く欺けたということなのでしょう。もう言わないでも分かりますよね?』
『これが従属のトゥリングの始まりということですか?』
『そういうことらしいです』
『それで従属のトゥリングというのは具体的に、どういった手順を踏むのでしょうか?』
『先程、私は右手の小指には安穏無事の効果と伝えましたよね?』
『はい、聞きました』
『手の指の場合は、左右が別々で数えることになるのですが、足の場合は両足セットで考えることになります』
『ということは手は10個の効果で、足は5個の効果ですか?』
『手も足も効果は複数の効果が確認されているようですが…仮に一種類と考えるとそうなります』
『あっ…すいません。つい自分勝手に解釈してしまいました』
『いえ、いいんですよ。ここでは1種類とした方が理解しやすいと思います。それでは話を先に進めましょう』
『はい』
『そうだ、ここからは実際に見ながらの方が理解しやすいのかもしれません。すいません。少し席を外しますが、すぐに戻ります』
そうトラボンは言うと俺が返事をする前に、どこかにいってまった。
幸い青透明の領域は崩れていないので、スキルの範囲外というほどの遠くに離れたわけではないようだ。
『いやー、ナカノ様、お待たせして申し訳ありません』
そう言いながら待つこと数分ほどでトラボンは戻ってきた。
横には、以前ショックを受けた相手、トーレを連れている。
『ナカノ様、以前は申し訳ありませんでした』
彼女は右手で小綺麗なメイド服のスカートの端を持ちながら可愛らしいお辞儀をしてきた。
前回の衝撃知っている者とすると雲泥の印象を受ける。
だが、今回はトラボンがわざわざ連れてきた存在だ。
何か意味があるに違いない。
『連れてきて言うのも何ですが…ここから先はトーレもいた方が理解しやすいと思います。宜しいでしょうか?』
『俺の方としては、外に誤解を招くようなことにならないのであれば問題ないですよ』
『それは勿論、私のほうでも徹底させますので、トーレ!大丈夫だよな?』
『はい、ナカノ様、旦那様の不利益になるようなことは一切しないと誓います』
今度は、両腕を前に出した。
左手があれば両方の手が揃っている礼儀正しい一礼のように見えたはずだ。
『大丈夫です。トラボンさんのことは信用していますから』
『そう言っていただけるのであれば、何よりです。ではトーレ、素足になって私の横の椅子にかけてくれ』
『はい、畏まりました』
トーレはトラボンから指示を受けると俯き、トラボンの後ろの方へ移動した。
俺の位置からでは、何をやっているのかハッキリとは確認がとれない。
だが、トラボンの指示の内容からすると靴を脱いでいるとか、そんな感じのことなのだろう。
そしてトーレは準備ができたようで、素足のままトラボンの隣に座った。
『ナカノ様、トーレの足を見て何か気づくことはございませんか?』
トラボンが優しい表情で俺に聞いてきた。
『足ですか?えっと…細くて綺麗な足ですよね…』
俺は、どれだけ馬鹿なのだろうか!
彼はそう言うことを聞いてきたのではないだろう。
失敗したと思いながら前を確認すると…
トラボンは笑いを堪えるような表情だったのに対し…
トーレの目つきは何とも冷めたものだった…
『ナカノ様、出来れば視線の方を足全体から、足の指辺りに集中させていただけると宜しいのですが』
『あっ…そうですよね。さっき手の時も指それぞれに効果があるみたいな感じの話でしたからね…』
言われた通り、俺は自分の視線を足全体から足の指へと落としてみた。
すると…トーレの足の異変に気づく。
トーレの足の指が4本しかないのだ。
いや…待て!
トーレは以前の会話で猫人族だと言っていた。
と言うことは…猫人族の特徴っていうのは指が4本なのか?
いやっ…
でも無い指は中指…
真ん中がないというのは変な気がする…
それもちぎれているような形で…
ん?何かがおかしくないか?
俺はトーレの足の指を見ながら自分の考えが混乱していくのを止めることができなかった。
0
お気に入りに追加
77
あなたにおすすめの小説
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
異世界のんびり冒険日記
リリィ903
ファンタジー
牧野伸晃(マキノ ノブアキ)は30歳童貞のサラリーマン。
精神を病んでしまい、会社を休職して病院に通いながら日々を過ごしていた。
とある晴れた日、気分転換にと外に出て自宅近くのコンビニに寄った帰りに雷に撃たれて…
================================
初投稿です!
最近、異世界転生モノにはまってるので自分で書いてみようと思いました。
皆さん、どうか暖かく見守ってくださいm(._.)m
感想もお待ちしております!
転生料理人の異世界探求記(旧 転生料理人の異世界グルメ旅)
しゃむしぇる
ファンタジー
こちらの作品はカクヨム様にて先行公開中です。外部URLを連携しておきましたので、気になる方はそちらから……。
職場の上司に毎日暴力を振るわれていた主人公が、ある日危険なパワハラでお失くなりに!?
そして気付いたら異世界に!?転生した主人公は異世界のまだ見ぬ食材を求め世界中を旅します。
異世界を巡りながらそのついでに世界の危機も救う。
そんなお話です。
普段の料理に使えるような小技やもっと美味しくなる方法等も紹介できたらなと思ってます。
この作品は「小説家になろう」様及び「カクヨム」様、「pixiv」様でも掲載しています。
ご感想はこちらでは受け付けません。他サイトにてお願いいたします。
住所不定の引きこもりダンジョン配信者はのんびりと暮らしたい〜双子の人気アイドル配信者を助けたら、目立ちまくってしまった件〜
タジリユウ
ファンタジー
外の世界で仕事やお金や家すらも奪われた主人公。
自暴自棄になり、ダンジョンへ引きこもってひたすら攻略を進めていたある日、孤独に耐えられずにリスナーとコメントで会話ができるダンジョン配信というものを始めた。
数少ないリスナー達へ向けて配信をしながら、ダンジョンに引きこもって生活をしていたのだが、双子の人気アイドル配信者やリスナーを助けることによってだんだんと…
※掲示板回は少なめで、しばらくあとになります。
狙って追放された創聖魔法使いは異世界を謳歌する
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーから追放される~異世界転生前の記憶が戻ったのにこのままいいように使われてたまるか!
【第15回ファンタジー小説大賞の爽快バトル賞を受賞しました】
ここは異世界エールドラド。その中の国家の1つ⋯⋯グランドダイン帝国の首都シュバルツバイン。
主人公リックはグランドダイン帝国子爵家の次男であり、回復、支援を主とする補助魔法の使い手で勇者パーティーの一員だった。
そんな中グランドダイン帝国の第二皇子で勇者のハインツに公衆の面前で宣言される。
「リック⋯⋯お前は勇者パーティーから追放する」
その言葉にリックは絶望し地面に膝を着く。
「もう2度と俺達の前に現れるな」
そう言って勇者パーティーはリックの前から去っていった。
それを見ていた周囲の人達もリックに声をかけるわけでもなく、1人2人と消えていく。
そしてこの場に誰もいなくなった時リックは⋯⋯笑っていた。
「記憶が戻った今、あんなワガママ皇子には従っていられない。俺はこれからこの異世界を謳歌するぞ」
そう⋯⋯リックは以前生きていた前世の記憶があり、女神の力で異世界転生した者だった。
これは狙って勇者パーティーから追放され、前世の記憶と女神から貰った力を使って無双するリックのドタバタハーレム物語である。
*他サイトにも掲載しています。
没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる