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☆第1章☆貿易都市(ルート)
1ー64★ヘンリーとラゴス
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『はーい、アンテロ~これね!』
風魔法の力をうまく使い木に登ったエルメダが枝を切りアンテロの方へ落としてやる。
『ありがとうございます!お嬢様』
アンテロはエルメダから受け取った枝の先端部分、葉が繁っている部分に予め用意していたスライムの粘液を振りかけた。
アンテロが準備をした頃合いを見計らってセアラが枝を受け取り黒い霧の中に入る。
黒い霧の中に入ったセアラは一心不乱に枝を振り続けた。
やがて枝の先端部分には黒い霧の原因となっている無数の虫達がこびりついてくる。
枝の先端部分に虫達が限界までこびりついた頃にセアラは一度、黒い霧の外に出た。
こんなことをひたすら繰り返した頃、黒い霧から何やら山のようなものが現れる。
『ようやく出てきたか!』
『あれは…何でしょうか…?』
セアラが待ち望んでいたものと言う様子で喋る一方で、アンテロは不思議そうに訪ねた。
『あれはラゴスの土魔法で作った防御壁のはず。恐らく、あの中にヘンリーとラゴスが隠れてると思う』
『なるほど、お二人とも冷静なんですね。安心しました』
とりあえずはヘンリーとラゴスは無事なようだ。
非常的な手段をとっているようだが、なんとかなりそうな気がしてアンテロとエルメダは嬉しそうにお互いの顔を見合う。
それから数度…
エルメダ、アンテロ、セアラの三名の連係プレーで虫をほぼ完璧に駆除することに成功した。
『虫は粗方片付けたし、後は山だけだね』
『はい、でもここからどうするんですか?』
『まー、こんな感じのピンチは今回が初めてじゃないから大丈夫だよ。後はコチラから合図を送ってやればOKっと…』
『合図ですか?』
アンテロが不思議そうにしている横で、セアラは盛り上がった山を叩き出した。
コンコンコン…
セアラは数回叩くと黙って山を見つめていた。
コツコツコツ…
今度は山の奥の方から何やら鈍い音がする。
セアラがニヤっと笑うと山に再び近寄り叩き出した。
それに合わせてまた数度山の奥から鈍い音がしたかと思うと…
ドォーーーーン!!!!
いきなり山が破裂して辺り一面が砂煙にまみれた。
突発的な爆発にアンテロとエルメダがビックリして悲鳴をあげる。
エルメダに至っては敵からの攻撃だと思ったようで、なんとかアンテロを盾にしようと後ろに隠れようとしていた。
だが二人が驚く中でセアラだけは余裕の表情で立っている。
それもそのはずで爆発を仕掛けたのはヘンリーとラゴスで中から問題の二人が現れたからだ。
『あー、セアラ様が叩いてたのって予め決めておいた合図か何かってことなんですか?』
『そう!そういうこと!複雑な会話をするのは無理だけど、簡単な合図くらいなら事前に決めておけるからね』
『なるほど!そういうことも事前に決めておいた方がいいんですね。勉強になります』
アンテロが丁寧にお辞儀をしている前でヘンリーとラゴスが照れ臭そうな顔をしていた。
『いやー、みなさんには申し訳ないです…』
『面目ない…少し油断してしまって…』
『少し油断?どうみたって少しじゃないでしょ…コッチはコッチで大変だったんだからね』
『まー、まー、セアラ様、今は責めるときではありません。危機はまだ残っているのですから』
『たしかにそうだね』
ヘンリーとラゴスの謝罪など受け付けませんと言うようにセアラが捲し立てるように突っかかってきたのをアンテロがなだめる。
確かに今は悪魔の樹との戦闘の真っ最中だ。
この場所では虫達の驚異は取り除くことが出来た。
だが少し遠くに目をやるとソフィアが悪魔の樹に火を付けようと何か細工をしているようだ。
先ずは周囲の状況を知り最善の行動をとらなければいけない。
『よし!それじゃー、ソフィアはあそこだね。多分、一人でなんとかなると思うんだけど…後はナカノさんはどこかな?』
ヘンリーが状況の確認のためにセアラ、エルメダ、アンテロの三人に確認をとった。
『えーっと、確かおばさんと一緒に行動するって言ってた気が…』
『はい、お嬢様の言う通り、ナカノ様は気になることがあるからとソフィア様と…』
エルメダが思い出すようにヘンリーに答え、アンテロが続いた。
『気になることがあるからとソフィアと一緒に行動して、今はソフィアが一人で行動ってことかな?』
『だとすると…その気になることが悪い方に当たってしまって一人で対処しているのかもしれんな』
ヘンリーの確認に続いて、ラゴスが考え深げに頷いている。
ラゴスの言葉にエルメダとアンテロが不安そうな表情を露にした。
『敵がいる可能性が大きいってことだね』
セアラがみんなに注意を呼び掛けるようにいってきた。
その瞬間、それぞれの顔がこわばり一様に息を飲む。
『ナカノさんの様子はここからは見えない。恐らく反対側にいるはず。とりあえずソフィアの邪魔はしたくはないから、悪魔の樹を反対側から回り込んでナカノさんを探そう!』
『他にも何かあるかわからないから慎重にね!』
『はい、分かりました』
『今度はいいところ見せんと!』
『私は上の方から探すね』
ヘンリーの指示にセアラ、アンテロ、ラゴス、エルメダが、自分の役割を再認識するように返事をしていく。
風魔法の力をうまく使い木に登ったエルメダが枝を切りアンテロの方へ落としてやる。
『ありがとうございます!お嬢様』
アンテロはエルメダから受け取った枝の先端部分、葉が繁っている部分に予め用意していたスライムの粘液を振りかけた。
アンテロが準備をした頃合いを見計らってセアラが枝を受け取り黒い霧の中に入る。
黒い霧の中に入ったセアラは一心不乱に枝を振り続けた。
やがて枝の先端部分には黒い霧の原因となっている無数の虫達がこびりついてくる。
枝の先端部分に虫達が限界までこびりついた頃にセアラは一度、黒い霧の外に出た。
こんなことをひたすら繰り返した頃、黒い霧から何やら山のようなものが現れる。
『ようやく出てきたか!』
『あれは…何でしょうか…?』
セアラが待ち望んでいたものと言う様子で喋る一方で、アンテロは不思議そうに訪ねた。
『あれはラゴスの土魔法で作った防御壁のはず。恐らく、あの中にヘンリーとラゴスが隠れてると思う』
『なるほど、お二人とも冷静なんですね。安心しました』
とりあえずはヘンリーとラゴスは無事なようだ。
非常的な手段をとっているようだが、なんとかなりそうな気がしてアンテロとエルメダは嬉しそうにお互いの顔を見合う。
それから数度…
エルメダ、アンテロ、セアラの三名の連係プレーで虫をほぼ完璧に駆除することに成功した。
『虫は粗方片付けたし、後は山だけだね』
『はい、でもここからどうするんですか?』
『まー、こんな感じのピンチは今回が初めてじゃないから大丈夫だよ。後はコチラから合図を送ってやればOKっと…』
『合図ですか?』
アンテロが不思議そうにしている横で、セアラは盛り上がった山を叩き出した。
コンコンコン…
セアラは数回叩くと黙って山を見つめていた。
コツコツコツ…
今度は山の奥の方から何やら鈍い音がする。
セアラがニヤっと笑うと山に再び近寄り叩き出した。
それに合わせてまた数度山の奥から鈍い音がしたかと思うと…
ドォーーーーン!!!!
いきなり山が破裂して辺り一面が砂煙にまみれた。
突発的な爆発にアンテロとエルメダがビックリして悲鳴をあげる。
エルメダに至っては敵からの攻撃だと思ったようで、なんとかアンテロを盾にしようと後ろに隠れようとしていた。
だが二人が驚く中でセアラだけは余裕の表情で立っている。
それもそのはずで爆発を仕掛けたのはヘンリーとラゴスで中から問題の二人が現れたからだ。
『あー、セアラ様が叩いてたのって予め決めておいた合図か何かってことなんですか?』
『そう!そういうこと!複雑な会話をするのは無理だけど、簡単な合図くらいなら事前に決めておけるからね』
『なるほど!そういうことも事前に決めておいた方がいいんですね。勉強になります』
アンテロが丁寧にお辞儀をしている前でヘンリーとラゴスが照れ臭そうな顔をしていた。
『いやー、みなさんには申し訳ないです…』
『面目ない…少し油断してしまって…』
『少し油断?どうみたって少しじゃないでしょ…コッチはコッチで大変だったんだからね』
『まー、まー、セアラ様、今は責めるときではありません。危機はまだ残っているのですから』
『たしかにそうだね』
ヘンリーとラゴスの謝罪など受け付けませんと言うようにセアラが捲し立てるように突っかかってきたのをアンテロがなだめる。
確かに今は悪魔の樹との戦闘の真っ最中だ。
この場所では虫達の驚異は取り除くことが出来た。
だが少し遠くに目をやるとソフィアが悪魔の樹に火を付けようと何か細工をしているようだ。
先ずは周囲の状況を知り最善の行動をとらなければいけない。
『よし!それじゃー、ソフィアはあそこだね。多分、一人でなんとかなると思うんだけど…後はナカノさんはどこかな?』
ヘンリーが状況の確認のためにセアラ、エルメダ、アンテロの三人に確認をとった。
『えーっと、確かおばさんと一緒に行動するって言ってた気が…』
『はい、お嬢様の言う通り、ナカノ様は気になることがあるからとソフィア様と…』
エルメダが思い出すようにヘンリーに答え、アンテロが続いた。
『気になることがあるからとソフィアと一緒に行動して、今はソフィアが一人で行動ってことかな?』
『だとすると…その気になることが悪い方に当たってしまって一人で対処しているのかもしれんな』
ヘンリーの確認に続いて、ラゴスが考え深げに頷いている。
ラゴスの言葉にエルメダとアンテロが不安そうな表情を露にした。
『敵がいる可能性が大きいってことだね』
セアラがみんなに注意を呼び掛けるようにいってきた。
その瞬間、それぞれの顔がこわばり一様に息を飲む。
『ナカノさんの様子はここからは見えない。恐らく反対側にいるはず。とりあえずソフィアの邪魔はしたくはないから、悪魔の樹を反対側から回り込んでナカノさんを探そう!』
『他にも何かあるかわからないから慎重にね!』
『はい、分かりました』
『今度はいいところ見せんと!』
『私は上の方から探すね』
ヘンリーの指示にセアラ、アンテロ、ラゴス、エルメダが、自分の役割を再認識するように返事をしていく。
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