72 / 78
出発前にて
しおりを挟む
急遽、土壇場でネームドにすることにしたゴブ、トゴブ。
外見的な特徴はゴブの方は俺よりも若干だけ身長が低い茶色い肌のスキンヘッド、トゴブの方は俺よりも一回り大きく金髪のモヒカンで、ゴブよりも若干だけ黒目の肌でどちらもかなり筋肉質の体格が印象的だ。
軽い挨拶を済ませた感じゴブリンのままだと、あまり気にならないかったのだがネームドになり人化を使ってもらうと、粗末な腰簑一枚という状態が非常に気になった。
俺が気になるということは、恐らく女性も気にするはず。
少なくとも粗末な腰簑一枚で、山の中を彷徨く人間なんて絶対いないと思う。
ただ気になると言っても、既に準備万端の人を任せている状態だけに、あまりゆっくりしている暇など無い。
なので、とりあえずはゴブリンダンジョンから持ってきた衣類の中からサイズの合う物を見つけてもらい各自で着てもらうことにした。
着替えの最中、ゴブリンという種族について聞いてみたのだが、ゴブリンというのは元々、妖精になるらしい。
なので人化をした場合、亜人のカテゴリー的には妖精人の扱いになるんだとか。
この事を聞いたとき、俺の中でゴブリンのイメージというと鬼や悪魔とか人間に対して敵役な感じのイメージが強かっただけに、若干だがショックを受けてしまった。
ただショックを受けたとは言っても、今日これからのスケジュールというのは、溢れ出しそうな位に詰まっている。
干渉に浸っている暇など無いので、とりあえず着替えの終わった二人には、護身用に大きめの盾をそれぞれ一枚ずつ渡して、女性三人が待つ教会の方へ移動してもらう。
ぶつけ本番で人間とのコミュニケーション、大丈夫なんだろうか…
★☆★☆
「はい。それでコチラがゴブさんで、コッチの金色の髪の方がトゴブさんです。二人は最初、ゴブリンダンジョンの方の管理をしてもらう予定でしたが、昨日フローラさんから話を聞いて、ダンジョン要員として連れていくことにしましたので宜しくお願いします」
「ゴブです。宜しくお願いします」
「自分、トゴブっす。お願いします」
俺の紹介の後、一歩前に出て丁寧にお辞儀をする二人。
元が略奪系のモンスターというイメージのあるゴブリンだけに、若干不自然な感じがするが、とりあえず余計なことを言わないことにひと安心だ。
「どうもレントと言います。宜しくお願いします」
「初めまして、フローラと言います。宜しくお願いします。ちなみに、お二人もダンジョン要員ということですが、やはりタカヒロさんのクランに所属するのでしょうか?」
でっかい男がいきなりの初対面。
これに臆してしまったのか、ミンネがレントとフローラの影に隠れるような感じで様子を見ていた。
「「えっ…?」クラン?」
ゴブとトゴブが何を言っているのか分からないという感じで、お互いの顔を見ながら答える。
ヤバい…
打ち合わせをしていないのが、さっそく裏目に出てしまいそうだ。
ここはもう正直に言おう。
「元々はリンゴと一緒にゴブリンの管理をしてもらうつもりだった二人なので、ダンジョンのことどころかクランについても何も話していませんよ」
「それで大丈夫なのですか?」
フローラの顔が若干キツくなった気がする。
「えーっと…大丈夫とはどういうことでしょうか?」
「街の方のダンジョンも管理されているとはいえ、モンスターの済むダンジョンに他なりません。どのような形にしろモンスターと戦うことになります。そうすると本人の心構えというのがとても大切なのですが、それを話さないというのは…」
あー…なるほど。
予定と違う危険なことをさせるつもりなら、予め話しておけということか。
フローラさん、結構いい人だなぁ。
まさかそんな心優しい配慮、自分を拐ったヤツラに向けているとは本人、夢にも思わないだろうな。
「あー。すいません。フローラさん、お気遣いありがとうございます。でも多分、大丈夫だと思いますよ。リンゴかカロリー辺りが、それなりには話しているとは思いますので、なぁ…?」
「はい。リンゴさんから別なところで戦うとは聞いてます」
「自分も聞いてるっす。大丈夫っす」
「でしたら良かったです。自分の早とちりだったようで、申し訳ありませんでした。ちなみにお二人そう言った経験はおありなのでしょうか…?」
俺の質問に対して、迷い無く答えるゴブとトゴブを見て安心するフローラ。
でも、そうすると…
やっぱり、どのくらいの実力かって気になりますよね。
「多分、二人とも3年位で実力的には☆2位かな…」
「えっ…3年で☆2…?」
何気なく答えた瞬間、気がついた。
俺はやらかしてしまったのだ。
俺の中で3年で☆2というのは大したことがない感覚と思って普通に答えてしまったのだが…
「☆2って強いのか?」
「いや、兄貴やカロリーの姐さん、コロンさんとか俺らより全然つよい方ゴロゴロいるしなぁ…全然だろ?」
そう!
目の前のフローラというのは確か、アビリティーを授かって3年のキャリア。
その3年のキャリアの中で☆2どころか、今☆1のレベル9とかその辺だったはずだ。
なのに、ゴブとトゴブが二人で何か言い合っている。
そんな言い方したら、今目の前にいる人は…
「嘘でしょ!?みんな☆2なの?ねぇ!何で?ホント?嘘でしょ?ちょっっっっっとぉ…」
フローラが呆然とした表情で立ち尽くしてしまった。
あー…ミスった…
多分、発端は俺の一言なんだろうなぁ。
一般の冒険者や探索者がどの位のペースでどの位強くなるのかサッパリ分からないや…
ちょっと事態を収集できないと判断した俺は、レントにガイアス様を呼んで来てもらうように頼んだ。
外見的な特徴はゴブの方は俺よりも若干だけ身長が低い茶色い肌のスキンヘッド、トゴブの方は俺よりも一回り大きく金髪のモヒカンで、ゴブよりも若干だけ黒目の肌でどちらもかなり筋肉質の体格が印象的だ。
軽い挨拶を済ませた感じゴブリンのままだと、あまり気にならないかったのだがネームドになり人化を使ってもらうと、粗末な腰簑一枚という状態が非常に気になった。
俺が気になるということは、恐らく女性も気にするはず。
少なくとも粗末な腰簑一枚で、山の中を彷徨く人間なんて絶対いないと思う。
ただ気になると言っても、既に準備万端の人を任せている状態だけに、あまりゆっくりしている暇など無い。
なので、とりあえずはゴブリンダンジョンから持ってきた衣類の中からサイズの合う物を見つけてもらい各自で着てもらうことにした。
着替えの最中、ゴブリンという種族について聞いてみたのだが、ゴブリンというのは元々、妖精になるらしい。
なので人化をした場合、亜人のカテゴリー的には妖精人の扱いになるんだとか。
この事を聞いたとき、俺の中でゴブリンのイメージというと鬼や悪魔とか人間に対して敵役な感じのイメージが強かっただけに、若干だがショックを受けてしまった。
ただショックを受けたとは言っても、今日これからのスケジュールというのは、溢れ出しそうな位に詰まっている。
干渉に浸っている暇など無いので、とりあえず着替えの終わった二人には、護身用に大きめの盾をそれぞれ一枚ずつ渡して、女性三人が待つ教会の方へ移動してもらう。
ぶつけ本番で人間とのコミュニケーション、大丈夫なんだろうか…
★☆★☆
「はい。それでコチラがゴブさんで、コッチの金色の髪の方がトゴブさんです。二人は最初、ゴブリンダンジョンの方の管理をしてもらう予定でしたが、昨日フローラさんから話を聞いて、ダンジョン要員として連れていくことにしましたので宜しくお願いします」
「ゴブです。宜しくお願いします」
「自分、トゴブっす。お願いします」
俺の紹介の後、一歩前に出て丁寧にお辞儀をする二人。
元が略奪系のモンスターというイメージのあるゴブリンだけに、若干不自然な感じがするが、とりあえず余計なことを言わないことにひと安心だ。
「どうもレントと言います。宜しくお願いします」
「初めまして、フローラと言います。宜しくお願いします。ちなみに、お二人もダンジョン要員ということですが、やはりタカヒロさんのクランに所属するのでしょうか?」
でっかい男がいきなりの初対面。
これに臆してしまったのか、ミンネがレントとフローラの影に隠れるような感じで様子を見ていた。
「「えっ…?」クラン?」
ゴブとトゴブが何を言っているのか分からないという感じで、お互いの顔を見ながら答える。
ヤバい…
打ち合わせをしていないのが、さっそく裏目に出てしまいそうだ。
ここはもう正直に言おう。
「元々はリンゴと一緒にゴブリンの管理をしてもらうつもりだった二人なので、ダンジョンのことどころかクランについても何も話していませんよ」
「それで大丈夫なのですか?」
フローラの顔が若干キツくなった気がする。
「えーっと…大丈夫とはどういうことでしょうか?」
「街の方のダンジョンも管理されているとはいえ、モンスターの済むダンジョンに他なりません。どのような形にしろモンスターと戦うことになります。そうすると本人の心構えというのがとても大切なのですが、それを話さないというのは…」
あー…なるほど。
予定と違う危険なことをさせるつもりなら、予め話しておけということか。
フローラさん、結構いい人だなぁ。
まさかそんな心優しい配慮、自分を拐ったヤツラに向けているとは本人、夢にも思わないだろうな。
「あー。すいません。フローラさん、お気遣いありがとうございます。でも多分、大丈夫だと思いますよ。リンゴかカロリー辺りが、それなりには話しているとは思いますので、なぁ…?」
「はい。リンゴさんから別なところで戦うとは聞いてます」
「自分も聞いてるっす。大丈夫っす」
「でしたら良かったです。自分の早とちりだったようで、申し訳ありませんでした。ちなみにお二人そう言った経験はおありなのでしょうか…?」
俺の質問に対して、迷い無く答えるゴブとトゴブを見て安心するフローラ。
でも、そうすると…
やっぱり、どのくらいの実力かって気になりますよね。
「多分、二人とも3年位で実力的には☆2位かな…」
「えっ…3年で☆2…?」
何気なく答えた瞬間、気がついた。
俺はやらかしてしまったのだ。
俺の中で3年で☆2というのは大したことがない感覚と思って普通に答えてしまったのだが…
「☆2って強いのか?」
「いや、兄貴やカロリーの姐さん、コロンさんとか俺らより全然つよい方ゴロゴロいるしなぁ…全然だろ?」
そう!
目の前のフローラというのは確か、アビリティーを授かって3年のキャリア。
その3年のキャリアの中で☆2どころか、今☆1のレベル9とかその辺だったはずだ。
なのに、ゴブとトゴブが二人で何か言い合っている。
そんな言い方したら、今目の前にいる人は…
「嘘でしょ!?みんな☆2なの?ねぇ!何で?ホント?嘘でしょ?ちょっっっっっとぉ…」
フローラが呆然とした表情で立ち尽くしてしまった。
あー…ミスった…
多分、発端は俺の一言なんだろうなぁ。
一般の冒険者や探索者がどの位のペースでどの位強くなるのかサッパリ分からないや…
ちょっと事態を収集できないと判断した俺は、レントにガイアス様を呼んで来てもらうように頼んだ。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
異世界のんびり冒険日記
リリィ903
ファンタジー
牧野伸晃(マキノ ノブアキ)は30歳童貞のサラリーマン。
精神を病んでしまい、会社を休職して病院に通いながら日々を過ごしていた。
とある晴れた日、気分転換にと外に出て自宅近くのコンビニに寄った帰りに雷に撃たれて…
================================
初投稿です!
最近、異世界転生モノにはまってるので自分で書いてみようと思いました。
皆さん、どうか暖かく見守ってくださいm(._.)m
感想もお待ちしております!
ダンマス(異端者)
AN@RCHY
ファンタジー
幼女女神に召喚で呼び出されたシュウ。
元の世界に戻れないことを知って自由気ままに過ごすことを決めた。
人の作ったレールなんかのってやらねえぞ!
地球での痕跡をすべて消されて、幼女女神に召喚された風間修。そこで突然、ダンジョンマスターになって他のダンジョンマスターたちと競えと言われた。
戻りたくても戻る事の出来ない現実を受け入れ、異世界へ旅立つ。
始めこそ異世界だとワクワクしていたが、すぐに碇石からズレおかしなことを始めた。
小説になろうで『AN@CHY』名義で投稿している、同タイトルをアルファポリスにも投稿させていただきます。
向こうの小説を多少修正して投稿しています。
修正をかけながらなので更新ペースは不明です。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる