70 / 78
出発前夜
しおりを挟む
吸血樹の効果により魔力を得た代わりに、それなりにダメージを受けてしまった。
少しは体力を回復させた方が良いかなと思ったところで、ちょうどカロリーが夕食の準備が整ったということで呼びにくる。
彼女に連れられて外に出ると、ちょうど日が沈みかけて一面が綺麗なオレンジ色の風景に包まれる中で、うっすらとだが遠くでバーベキューのような物が始まろうとしているのが見えた。
バーベキュー用のコンロなんて、なかった筈なのにと一瞬思ったがどうやら灰色の煉瓦を左右に並べ真ん中で火をおこし上に網を敷くことでコンロの代わりにしているように見える。
真ん中にコロンが立ち網の上に野菜や肉が並べられていることから、そう言えばレンガの材料って石とか土なんだっけと思い出す。
多分だが、レンガの方は彼女が用意をしたのだろう。
「お兄ちゃんお仕事終わった?食べるでしょ?はいこれ」
「うん。だいたい終わったよ。ありがとうね」
俺が側まで近寄ると、ミンネが近寄ってきて肉や野菜が盛られているお皿を手渡してくれた。
お礼を言って俺はお皿を受けとる。
その後、みんなまで料理が行き渡ったのを確認した後、全員で食事を開始した。
食事はそこそこ長い時間、恐らくは4時間ちょっと?いやもしかしたらもう少し長い時間続いたのかもしれない。
食事を食べ始めた時は、何だか早い時間だなと思っていたが、始まるとみんなは何だかんだで雑談をしながら食事をしていたので、食事が粗方終了した頃には、きっちり日も沈みスッカリ夜も遅くなっていた。
そしてそんな雑談のお陰で、俺はこの世界のことが色々と知れた。
先ず俺がいた元の世界では成人の年齢というのは基本的には20歳をさしていたが、この世界で成人年齢というと15歳をさすらしい。
であれば「その前後の年齢まで教育などがあるのか?」なんてことを思っていたのだが、どうやらこの世界では教育というのは一部の上流階級に属する人々が受けるもので、大多数の庶民はみんな働きながら人生の経験として覚えていくのが普通なんだとか。
なのでミンネなんかは今、年齢が9歳というかなり幼い年齢なのだが、既に働き先が決まっているらしい。
確か日本でも江戸時代辺りに丁稚奉公とかいう似たような仕組みがあった気がする。
そんな彼女、食事の最中にふと俺に「リンちゃんは?」と聞いてきた。
俺は何も考えずに「用事でいないよ」と答えたら、なんと「まだ遊びたかったのに」と答えたのだ。
これには俺はビックリ、というか俺だけではない、カロリーもコロンも耳を疑うような顔をしてミンネに何度も聞き返していた。
彼女がリンに出会ったのは昨日が初めてで、今朝の未明から身動きがとれない状態である。
更にいうと彼女は昨日、助け出されてからほとんどの時間寝て過ごしているはずだ。
そこから考えると彼女がリンと接していたのは、恐らく夕飯のわずかな時間しかないはずなのだが、そんな短い時間で彼女はリンとコミュニケーションをとったことになる。
これまでリンと初見でコミュニケーションに成功した人間は俺しかいなかったために、カロリーやコロンにとっては衝撃だったようだ。
特にコロンは昨日そこそこ長い時間、行動を共にしていたにも関わらず、一切の言葉を交わさなかったことに、非常にショックを受けていた。
そんなコロンが今、俺と一緒に結界の外に出て土を弄っている。
なんの為に土を弄っているのかというと、別にいじけているとかではもちろんない。
どうやら彼女、自身のスキル土壌操作を使い、腐葉土と呼ばれる農業や園芸などに適した土を作っているらしい。
明日、俺たちはミンネ、レント、フローラと一緒にコーネリアと呼ばれる街を目指すことになる。
当初は三人を置いたらトンボ返りを考えていた俺だが、どうやらそうは問屋が卸さずに、様々な理由から金策を考える必要が出てきた。
なのでコーネリアについた際に換金できそうなものは何かと答えるとレントが色々と教えてくれた。
その色々なものの中で、最も大量に取引を行えそうなものが、この腐葉土である。
「結構、作ったね」
「そんだが?んなら先ずはこんくれーにしとっか」
目の前には軽い丘ににも思えるほどの大量の土の山。
これらは全てコロンが作った腐葉土である。
本来であれば、これらの腐葉土はコロンのもう一つのスキル不思議な壺にて運んでもらいたかったのだが、彼女の能力には重量か容積か分からないが、そういった制限があるらしい。
なのであまり重いものや大きいものを運ぶことができない。
なので、今回は俺がアイテム欄に取り込んで持っていく。
ちなみにそうなると『拠点の方はどうするのか?』という問題が出てくるのだが、拠点の方は明日出発前にホムンクルスを作成しておき、夜など時間が出来たときに小まめに様子を伺うことにした。
また場合によってはダンジョン関連の能力が必要な場合も出てくるかもしれない。
だが今回そういった場合については、ガイアス様の方でも協力してくれるということなので、今回はその好意に甘えることにした。
少しは体力を回復させた方が良いかなと思ったところで、ちょうどカロリーが夕食の準備が整ったということで呼びにくる。
彼女に連れられて外に出ると、ちょうど日が沈みかけて一面が綺麗なオレンジ色の風景に包まれる中で、うっすらとだが遠くでバーベキューのような物が始まろうとしているのが見えた。
バーベキュー用のコンロなんて、なかった筈なのにと一瞬思ったがどうやら灰色の煉瓦を左右に並べ真ん中で火をおこし上に網を敷くことでコンロの代わりにしているように見える。
真ん中にコロンが立ち網の上に野菜や肉が並べられていることから、そう言えばレンガの材料って石とか土なんだっけと思い出す。
多分だが、レンガの方は彼女が用意をしたのだろう。
「お兄ちゃんお仕事終わった?食べるでしょ?はいこれ」
「うん。だいたい終わったよ。ありがとうね」
俺が側まで近寄ると、ミンネが近寄ってきて肉や野菜が盛られているお皿を手渡してくれた。
お礼を言って俺はお皿を受けとる。
その後、みんなまで料理が行き渡ったのを確認した後、全員で食事を開始した。
食事はそこそこ長い時間、恐らくは4時間ちょっと?いやもしかしたらもう少し長い時間続いたのかもしれない。
食事を食べ始めた時は、何だか早い時間だなと思っていたが、始まるとみんなは何だかんだで雑談をしながら食事をしていたので、食事が粗方終了した頃には、きっちり日も沈みスッカリ夜も遅くなっていた。
そしてそんな雑談のお陰で、俺はこの世界のことが色々と知れた。
先ず俺がいた元の世界では成人の年齢というのは基本的には20歳をさしていたが、この世界で成人年齢というと15歳をさすらしい。
であれば「その前後の年齢まで教育などがあるのか?」なんてことを思っていたのだが、どうやらこの世界では教育というのは一部の上流階級に属する人々が受けるもので、大多数の庶民はみんな働きながら人生の経験として覚えていくのが普通なんだとか。
なのでミンネなんかは今、年齢が9歳というかなり幼い年齢なのだが、既に働き先が決まっているらしい。
確か日本でも江戸時代辺りに丁稚奉公とかいう似たような仕組みがあった気がする。
そんな彼女、食事の最中にふと俺に「リンちゃんは?」と聞いてきた。
俺は何も考えずに「用事でいないよ」と答えたら、なんと「まだ遊びたかったのに」と答えたのだ。
これには俺はビックリ、というか俺だけではない、カロリーもコロンも耳を疑うような顔をしてミンネに何度も聞き返していた。
彼女がリンに出会ったのは昨日が初めてで、今朝の未明から身動きがとれない状態である。
更にいうと彼女は昨日、助け出されてからほとんどの時間寝て過ごしているはずだ。
そこから考えると彼女がリンと接していたのは、恐らく夕飯のわずかな時間しかないはずなのだが、そんな短い時間で彼女はリンとコミュニケーションをとったことになる。
これまでリンと初見でコミュニケーションに成功した人間は俺しかいなかったために、カロリーやコロンにとっては衝撃だったようだ。
特にコロンは昨日そこそこ長い時間、行動を共にしていたにも関わらず、一切の言葉を交わさなかったことに、非常にショックを受けていた。
そんなコロンが今、俺と一緒に結界の外に出て土を弄っている。
なんの為に土を弄っているのかというと、別にいじけているとかではもちろんない。
どうやら彼女、自身のスキル土壌操作を使い、腐葉土と呼ばれる農業や園芸などに適した土を作っているらしい。
明日、俺たちはミンネ、レント、フローラと一緒にコーネリアと呼ばれる街を目指すことになる。
当初は三人を置いたらトンボ返りを考えていた俺だが、どうやらそうは問屋が卸さずに、様々な理由から金策を考える必要が出てきた。
なのでコーネリアについた際に換金できそうなものは何かと答えるとレントが色々と教えてくれた。
その色々なものの中で、最も大量に取引を行えそうなものが、この腐葉土である。
「結構、作ったね」
「そんだが?んなら先ずはこんくれーにしとっか」
目の前には軽い丘ににも思えるほどの大量の土の山。
これらは全てコロンが作った腐葉土である。
本来であれば、これらの腐葉土はコロンのもう一つのスキル不思議な壺にて運んでもらいたかったのだが、彼女の能力には重量か容積か分からないが、そういった制限があるらしい。
なのであまり重いものや大きいものを運ぶことができない。
なので、今回は俺がアイテム欄に取り込んで持っていく。
ちなみにそうなると『拠点の方はどうするのか?』という問題が出てくるのだが、拠点の方は明日出発前にホムンクルスを作成しておき、夜など時間が出来たときに小まめに様子を伺うことにした。
また場合によってはダンジョン関連の能力が必要な場合も出てくるかもしれない。
だが今回そういった場合については、ガイアス様の方でも協力してくれるということなので、今回はその好意に甘えることにした。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
異世界へ全てを持っていく少年- 快適なモンスターハントのはずが、いつの間にか勇者に取り込まれそうな感じです。この先どうなるの?
初老の妄想
ファンタジー
17歳で死んだ俺は、神と名乗るものから「なんでも願いを一つかなえてやる」そして「望む世界に行かせてやる」と言われた。
俺の願いはシンプルだった『現世の全てを入れたストレージをくれ』、タダそれだけだ。
神は喜んで(?)俺の願いをかなえてくれた。
希望した世界は魔法があるモンスターだらけの異世界だ。
そう、俺の夢は銃でモンスターを狩ることだったから。
俺の旅は始まったところだが、この異世界には希望通り魔法とモンスターが溢れていた。
予定通り、バンバン撃ちまくっている・・・
だが、俺の希望とは違って勇者もいるらしい、それに魔竜というやつも・・・
いつの間にか、おれは魔竜退治と言うものに取り込まれているようだ。
神にそんな事を頼んだ覚えは無いが、勇者は要らないと言っていなかった俺のミスだろう。
それでも、一緒に居るちっこい美少女や、美人エルフとの旅は楽しくなって来ていた。
この先も何が起こるかはわからないのだが、楽しくやれそうな気もしている。
なんと言っても、おれはこの世の全てを持って来たのだからな。
きっと、楽しくなるだろう。
※異世界で物語が展開します。現世の常識は適用されません。
※残酷なシーンが普通に出てきます。
※魔法はありますが、主人公以外にスキル(?)は出てきません。
※ステータス画面とLvも出てきません。
※現代兵器なども妄想で書いていますのでスペックは想像です。
異世界のんびり冒険日記
リリィ903
ファンタジー
牧野伸晃(マキノ ノブアキ)は30歳童貞のサラリーマン。
精神を病んでしまい、会社を休職して病院に通いながら日々を過ごしていた。
とある晴れた日、気分転換にと外に出て自宅近くのコンビニに寄った帰りに雷に撃たれて…
================================
初投稿です!
最近、異世界転生モノにはまってるので自分で書いてみようと思いました。
皆さん、どうか暖かく見守ってくださいm(._.)m
感想もお待ちしております!
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
解体の勇者の成り上がり冒険譚
無謀突撃娘
ファンタジー
旧題:異世界から呼ばれた勇者はパーティから追放される
とあるところに勇者6人のパーティがいました
剛剣の勇者
静寂の勇者
城砦の勇者
火炎の勇者
御門の勇者
解体の勇者
最後の解体の勇者は訳の分からない神様に呼ばれてこの世界へと来た者であり取り立てて特徴らしき特徴などありません。ただひたすら倒したモンスターを解体するだけしかしません。料理などをするのも彼だけです。
ある日パーティ全員からパーティへの永久追放を受けてしまい勇者の称号も失い一人ギルドに戻り最初からの出直しをします
本人はまったく気づいていませんでしたが他の勇者などちょっとばかり煽てられている頭馬鹿なだけの非常に残念な類なだけでした
そして彼を追い出したことがいかに愚かであるのかを後になって気が付くことになります
そしてユウキと呼ばれるこの人物はまったく自覚がありませんが様々な方面の超重要人物が自らが頭を下げてまでも、いくら大金を支払っても、いくらでも高待遇を約束してまでも傍におきたいと断言するほどの人物なのです。
そうして彼は自分の力で前を歩きだす。
祝!書籍化!
感無量です。今後とも応援よろしくお願いします。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる