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三度目の遭遇

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ホブゴリンとの二回目の戦闘から三日ほどが経過した。

ヤツを逃がしてしまった当初は、もうどうしようもないくらいに落ち込んでしまったが、今ではスッカリ立ち直っている。
当初はこれから先、暗雲が立ち込めすぎていて絶望の未来しか想像できなかったが、ガイアス様やリンたちが想像以上にポジティブだったこともあり、次の日には何とか気分を持ち直す事ができた。

恐らく自分一人ではかなりきつかったと思う。

あの時、ヤツが受けたダメージは自力で逃げたことから考えて間違いなく致命傷ではなかったはずだ。
だが、そこそこのダメージでもあったようで、あれ以来まだヤツの姿をみていない。

そのお陰でコチラの方もゴブリン狩りに精を出すことができてレベルを8から15まであげることができた。

タカヒロ・イダ(26☆1)
種族     人
レベル  8→15
体力    33→54
魔力      0
力        29→52
俊敏    29→46
器用    29→61
適性     内政E 戦闘E+ 生産E
スキル 言語(パッシブ)

最初にホブゴブリンと出会った時のステータスと数値だけをみると、約倍ほどの数値が確認できる。
わずか数日という観点から考えると、非常に満足ができる値だとは思うのだが、ただ過去二回の対戦から考えるとこれでも数値的には弱いと思う。
何と言ってもあの時は片手でポイと簡単に投げ飛ばされたのだ…

まだまだステータスを確保していきたいとは思うのだが、初戦でリンの魔法がヒットした腕が、二戦目では傷が完治しているように見えたことから、回復のスピードはかなり早いと思う。

そうなるとそろそろ傷を治して行動を開始する頃なのではないか。

出来れば会いたくはないのだが、お互いが同じ山に住んでいるのだから、そう言うわけにもいかないだろう。

この三日間で何とか友好的になれないかと様々な方法を考えてはみたのだが、どうも良い方法が見つからない。

幸いにしてアッチは俺がホムンクルスという存在であることを気づいていないはずだ。
なので俺としては、なんとか今の内にケリをつけたい。

今であれば何とか大勝負もしやすい。

そう思ったので、リンに空中からホブゴブリンを探してもらっている。

レントの方はガイアス様に監視をしてもらっているのでリンが羽を生やして空を飛んでいるのはみられていない。

そんな感じで過ごすこと三日。
ようやくリンが上空からホブゴブリンを見つけたようだ。

「あちあちのほう」
「あの大きい木のところか?」
「そう」

リンがホブゴブリンがいるであろうおおよその位置を教えてくれる。

「ありがとうな。じゃー、これまでの魔石をもってとりあえず小屋に戻って、カロリーにこのことを伝えてくれ」

リンは黙って頷くとすぐさま小屋に引き返していった。

俺も今から大勝負のために所定の位置につこうと思う。

★☆★☆

リンと話をしてから10分後、俺は結界からギリギリ外の位置についている。
少し待つとカロリーが結界の方から現れて、1台のタブレットを手渡した。

このタブレットは何の変哲もないというと変かもしれないが、俺が元の世界で使っていた普通のタブレットだ。

こっちの世界ではネットはもちろん、電気も通っていない。
なので使おうと思ってもたかが知れている。
そう思って今までアイテムの中にしまっていた物だ。

そんなどうでも良いタブレットをカロリーから受けとり彼女が小屋の方まで走り視界から見えなくなったのを確認すると、俺は電源を入れて起動させる。

タブレットが起動したらボリュームを最大にし、中に入っている曲を適当に再生。

すぐに辺り一面、異世界の山の中では明らかに不自然な音楽が大音量で流れた。

すると、音楽を聞き付けたのだろう1匹のゴブリンが草の影から一瞬だけ顔を出す。

恐らく偵察用のゴブリンなのだろう。

「違う。お前じゃない」

小さく呟いてヤツを追いかけたい気持ちを沈め、俺はその場で心を落ち着かせる。

そうしてそのままじっとしていると、音楽に気がついたのか、偵察用のゴブリンが呼び寄せたのかは定かではないが、1匹、2匹とゴブリンが続々と集まってきた。
声も数が増えるにつれて徐々に大きくなり、久し振りに聞いた俺の好きな音楽をほどよい感じで邪魔してくる。
実に深いな雑音だ。

だからといってまだ行動は開始しない。
俺はその様子を黙って見守る。

ゴブリンの方も今まで全く聞いたことがない音に、多少なりとも不安な気持ちがあるのか、もしくはホブゴブリンの指示なのかは知らないが、俺を見つけたからと言っていきなり襲ってくるような事はしてこなかった。
ただ俺と一定の距離を保ちながら、その数を3匹、4匹と増やしていくだけだ。

そして、その数が30匹を越えた頃に念願の獲物が現れた。

ホブゴブリンは木の影からユックリと姿を表すと、軽く俺を睨み付ける。
前回はここで隙が生まれたのだが、さすがに今回も同じようにはいかない。
若干、疑問に思った素振りは見せていたが、視線を俺からそらす様子が見られなかった。
そしてヤツは若干考えた後、軽い呻き声をあげながら右手を横にふる。

すると今まで適当に並んでいたであろうゴブリンたちは、お互いの顔を見合わせた後に、横に規則正しく並びだす。

どうやら俺を逃がさないように壁の代わりをしろと指示をだしたのだろう。

大丈夫。
俺も今回は逃げるつもりはない。

そんな俺の考えが分かったのか、ヤツはゴブリンを並ばせた後、自分は彼らの前にでて左足を半歩前に出し膝を曲げながらやや前傾の姿勢をとり、腰を落としながら右手でゆっくりと地面をタッチした。
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