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魔力化
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「イダ様、リン様。お味の方はいかがでしょうか?」
午前中だけで集まった魔石は12個。
昨日は1日かけて6個という成果だったので、そこから考えると雲泥の差と言える。
そこで俺とリンは一度お昼休憩にしようという話になり、ホムンクルスを小屋まで戻して、カロリーの作ったお昼ご飯を食べているのだが、これが美味しい。
「うん。美味しい。流石、調理が得意な方は違うね」
「そんな、得意だなんて。多少できる程度でございます。ですが、ありがとうございます」
カロリーは丁寧に頭を下げ、リンも満足そうな顔を浮かべている。
この世界に来て日は浅く、まだ全ての状況が掴めていない。
なので詳しいことは分からないが、少なくともこの小屋にいる段階では、電気の存在が全く見られない。
一部のお湯を沸かす器具などがあったので、最初は電気があるのかと思ったのだが、どうやらこれらは魔道具と言われる類いの道具だと分かった。
そこで、問題となったのが俺の料理技術である。
俺は異世界に来る前にも独り暮らしだけあって、普通に料理などをしていたのだが、こっちに来てからは電気がないので思うようにできなくなった。
先ず炊飯器が使えないので、お米が炊けない。
これは日本人である俺にとってはかなり深刻な問題だ。
昔、ネットなんかで見た記憶はあるのだが、時間の管理があったり、蒸らしたりする手間などがあったはずで、細かいことまでは分からない。
色々と試行錯誤してというのもいいのだが、食べ物を無駄にするのも気が引けてしまう。
初日に食べたご飯はお湯で温めるレトルトご飯だ。
二回目以降はメニューから取り出せば簡単ではあるのだが、どうせ今回カロリーがいるということでお米や味噌、醤油など基本的な食材を渡して料理をしてもらったところ、これが普通に美味しいご飯を作ってくれた。
やっぱり炊きたてご飯を食べるとテンションが上がる!
午後もこれで元気にゴブリン狩りが頑張れそうだ!
そう若干、物騒な事を思っていると…
「あのー、イダ様。見たところ、ゴブリンか何かを相手にしているようですが、武器として使用しているのはあちらにある棒でございますか?」
「うん、ゴブリンを相手に魔石を集めてて、武器はあの棒を使ってるよ」
カロリーには詳しくは話してはいないが、魔石をそれなりに持っている俺とリン。
そして棒を持ったホムンクルスがいることから、なにやら物騒な事をしているのだろうなというのは、恐らく誰でも想像できるのではないかと思う。
「でしたら、武器として使用するのは、刃物などの方が良いのではないかと思います」
「えっ…?刃物?」
彼女には朝渡した物の中に包丁も渡した。
なので、俺が普通に刃物も用意できる人間だと思えたのだろう。
「んー…、刃物も確かにいいとは思うんだけど。ただ刃物って、多分手入れが必要なんだよね。俺、刃物の磨ぎ方とかが分からないし、刃物のストックとかも豊富にあるわけじゃないからね。」
獲物を狩る時は棒で殴るよりも、刃物で斬りつけた方が狩りの効率が良いのは、誰でも想像ができることだとは思うし、俺も想像をした。
ただ、刃物の場合は刃が欠けたり血や脂などで切れなくなるらしい。
確か昔のお侍さんの刀なんかは、3~4人ほど斬ると切れ味が鈍ってしまうというのをネットで見た記憶がある。
本日、リンとの成果がゴブリン12匹である。
ここで俺がアイテムからカロリーに渡していない包丁を持ち出しゴブリン狩りに使用していたとして、成果が16匹に増えていたとしても、午後に使用する際には洗ったり、刃物を磨いだりというメンテナンス作業が必要になってくる。
洗うくらいは出来るとしても、俺はこれまで刃物を磨いだことがない。
アイテム内には、まだ何本か包丁はあるが、数は多くないので、なるべくであれば今の段階では取っておきたいものだ。
なので、消去法的にメンテナンスが緩い棒の方が使い勝手がよいという結論に達した。
「普通の刃物であれば、確かに手入れの手間があり大変だと思います。それでしたら、リン様のダンジョン能力をご使用してはいかがでしょうか?」
「ダンジョン能力?」
多分、メニューのことだと思うのだが…
「はい、確かダンジョン様の能力の中に魔力の付加価値を付ける能力があったはずでございます」
「えっ…?魔力の付加価値?」
彼女が言っている言葉がよく分からなかったので、そのまま自分の視線をリンに向けた。
リンは一瞬、何かを考えるように斜め上を見た後、すぐに俺の方に近寄ってきて、メニューを操作した。
「こーれ?」
「ん?魔力化?なんだこれ?」
彼女が見せてくれたのは、錬金の一つ魔力化というものだった。
「対象物に魔力を纏わせるかー。へー、こんなのがあるんだ」
俺はそう言いながら自分のアイテムから、カロリーに渡していない包丁を取り出して、リンに渡す。
リンは俺の包丁を受け取ると直ぐに彼女の目の前から消えた。
恐らく、彼女のアイテム欄にでも取り入れたのだろう。
そこから彼女の操作を見ていると
『包丁に対して魔力化を行いますか?
使用魔力10』
ここからリンが『はい』を選択すると、一瞬だけ彼女のメニューが輝きを放ちその直後、包丁が『魔力を帯びた包丁』へと変化する。
「はいこれ」
リンはそう言いながら、俺にうっすらと白っぽい光を放つ包丁をよこした。
光っているからだろうか、普通の包丁よりは見た目が神秘的に感じる包丁だ。
この包丁であれば、カロリーが言うようにメンテナンスの必要がないのだろうか。
午後は、この包丁を試しに使ってみようと思う。
午前中だけで集まった魔石は12個。
昨日は1日かけて6個という成果だったので、そこから考えると雲泥の差と言える。
そこで俺とリンは一度お昼休憩にしようという話になり、ホムンクルスを小屋まで戻して、カロリーの作ったお昼ご飯を食べているのだが、これが美味しい。
「うん。美味しい。流石、調理が得意な方は違うね」
「そんな、得意だなんて。多少できる程度でございます。ですが、ありがとうございます」
カロリーは丁寧に頭を下げ、リンも満足そうな顔を浮かべている。
この世界に来て日は浅く、まだ全ての状況が掴めていない。
なので詳しいことは分からないが、少なくともこの小屋にいる段階では、電気の存在が全く見られない。
一部のお湯を沸かす器具などがあったので、最初は電気があるのかと思ったのだが、どうやらこれらは魔道具と言われる類いの道具だと分かった。
そこで、問題となったのが俺の料理技術である。
俺は異世界に来る前にも独り暮らしだけあって、普通に料理などをしていたのだが、こっちに来てからは電気がないので思うようにできなくなった。
先ず炊飯器が使えないので、お米が炊けない。
これは日本人である俺にとってはかなり深刻な問題だ。
昔、ネットなんかで見た記憶はあるのだが、時間の管理があったり、蒸らしたりする手間などがあったはずで、細かいことまでは分からない。
色々と試行錯誤してというのもいいのだが、食べ物を無駄にするのも気が引けてしまう。
初日に食べたご飯はお湯で温めるレトルトご飯だ。
二回目以降はメニューから取り出せば簡単ではあるのだが、どうせ今回カロリーがいるということでお米や味噌、醤油など基本的な食材を渡して料理をしてもらったところ、これが普通に美味しいご飯を作ってくれた。
やっぱり炊きたてご飯を食べるとテンションが上がる!
午後もこれで元気にゴブリン狩りが頑張れそうだ!
そう若干、物騒な事を思っていると…
「あのー、イダ様。見たところ、ゴブリンか何かを相手にしているようですが、武器として使用しているのはあちらにある棒でございますか?」
「うん、ゴブリンを相手に魔石を集めてて、武器はあの棒を使ってるよ」
カロリーには詳しくは話してはいないが、魔石をそれなりに持っている俺とリン。
そして棒を持ったホムンクルスがいることから、なにやら物騒な事をしているのだろうなというのは、恐らく誰でも想像できるのではないかと思う。
「でしたら、武器として使用するのは、刃物などの方が良いのではないかと思います」
「えっ…?刃物?」
彼女には朝渡した物の中に包丁も渡した。
なので、俺が普通に刃物も用意できる人間だと思えたのだろう。
「んー…、刃物も確かにいいとは思うんだけど。ただ刃物って、多分手入れが必要なんだよね。俺、刃物の磨ぎ方とかが分からないし、刃物のストックとかも豊富にあるわけじゃないからね。」
獲物を狩る時は棒で殴るよりも、刃物で斬りつけた方が狩りの効率が良いのは、誰でも想像ができることだとは思うし、俺も想像をした。
ただ、刃物の場合は刃が欠けたり血や脂などで切れなくなるらしい。
確か昔のお侍さんの刀なんかは、3~4人ほど斬ると切れ味が鈍ってしまうというのをネットで見た記憶がある。
本日、リンとの成果がゴブリン12匹である。
ここで俺がアイテムからカロリーに渡していない包丁を持ち出しゴブリン狩りに使用していたとして、成果が16匹に増えていたとしても、午後に使用する際には洗ったり、刃物を磨いだりというメンテナンス作業が必要になってくる。
洗うくらいは出来るとしても、俺はこれまで刃物を磨いだことがない。
アイテム内には、まだ何本か包丁はあるが、数は多くないので、なるべくであれば今の段階では取っておきたいものだ。
なので、消去法的にメンテナンスが緩い棒の方が使い勝手がよいという結論に達した。
「普通の刃物であれば、確かに手入れの手間があり大変だと思います。それでしたら、リン様のダンジョン能力をご使用してはいかがでしょうか?」
「ダンジョン能力?」
多分、メニューのことだと思うのだが…
「はい、確かダンジョン様の能力の中に魔力の付加価値を付ける能力があったはずでございます」
「えっ…?魔力の付加価値?」
彼女が言っている言葉がよく分からなかったので、そのまま自分の視線をリンに向けた。
リンは一瞬、何かを考えるように斜め上を見た後、すぐに俺の方に近寄ってきて、メニューを操作した。
「こーれ?」
「ん?魔力化?なんだこれ?」
彼女が見せてくれたのは、錬金の一つ魔力化というものだった。
「対象物に魔力を纏わせるかー。へー、こんなのがあるんだ」
俺はそう言いながら自分のアイテムから、カロリーに渡していない包丁を取り出して、リンに渡す。
リンは俺の包丁を受け取ると直ぐに彼女の目の前から消えた。
恐らく、彼女のアイテム欄にでも取り入れたのだろう。
そこから彼女の操作を見ていると
『包丁に対して魔力化を行いますか?
使用魔力10』
ここからリンが『はい』を選択すると、一瞬だけ彼女のメニューが輝きを放ちその直後、包丁が『魔力を帯びた包丁』へと変化する。
「はいこれ」
リンはそう言いながら、俺にうっすらと白っぽい光を放つ包丁をよこした。
光っているからだろうか、普通の包丁よりは見た目が神秘的に感じる包丁だ。
この包丁であれば、カロリーが言うようにメンテナンスの必要がないのだろうか。
午後は、この包丁を試しに使ってみようと思う。
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