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20 気まずい
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雨足が強くなり、辺りは雨が地面に当たる音で包まれているはずなのにこの空間は静かでいたたまれない。
どうしてこうなったんだ。
なんて、考えてもむだだろう。
雨除けが遮ってくれるのは空から落ちる冷たい水だけで俺と王子を遮ってくれない。
雨除けに居るのは王子と一般人。そして後ろからは黒髪の美丈夫。こんな異様な光景が他にあるのだろうか。
「ーー…………」
「ー……………」
気まずいなんてもんじゃない。
予想通りの無言大会は居心地があまりよろしくなかった。でも仕方ない。だって王族との会話の仕方なんて習ったことあるはずがないんだから。
小さい頃からの会話は大切?そんなこと言わないでくれ。俺は友達が少ないんだよ。
というか、まずまず、口を開いても王子との会話なんて絶対成り立つはずがない。
ポツポツとなる雨音は余計静かさを際立たせる。
「…おい」
「ーうぇっ?!」
せっかく空からふる水滴の落ちる音に耳を済ませて気を紛らわせよう足していたのに。いきなりそんな威圧的な声出されたらびっくりするじゃないか。
王子は横にいる俺に顔を向けるが、身長の低い俺のせいで見下げる感じなった。
「ーおまえは……………名をなんという。」
「ー……名前…ですか?」
何を言い出すのかとおもえば王子は名前を求めてきた。俺の名前なんてしってどうするんだ。
「俺はレイっていいます。」
「…レイ……レイ……」
俺の名前を確認するように呟いたかと思えば少し歩みが遅くなった。舌に馴染ませるように名前を繰り返さられる。
どうしたのだろうと顔を上げると今度はこちらを凝視していた。
「…レイ……俺はソルだ。」
…え。あ。うんうん。
……しってるよ、もちろん知ってるとも。
国の王子であろう人物の名前を知らないはずがない。
ただ、そんな凝視しながら自己紹介されても…
目を合わせるのも、王子の顔に圧倒され俺の視線は彷徨ってしまう。
「……レイ、好きな………食べ物はなんだ。」
「…へ?」
聞いてきたのは予想だにもしない質問で少し阿呆けたが、俺が言葉を切り出す前に質問してくれたので少し助かった。
「えと、パンがすきです…」
「…パン……」
また確認するようにしてつぶやいた。と思えば今度は好きなパンについて聞いてきた。
「…レイ……どんなパンが好きなんだ……。」
「……外がカリッとしてて中がモチッてしてるやつ好きです。」
俺は何を言わされているんだ。
パンの種類なんて気になるのか。
かといい、無理矢理質問を繰り出してるようにも見えない。
庶民の趣向がきになるのか?まあ、こんな街に何回も視察(多分)に来るくらいだし。
なかなか進まない歩みを気にしつつも質問に答えていく。
「…そうか。…レイ………」
「………」
さっきから気になっていたが、なぜ王子はこんなにも文頭に「レイ」とつけるのか。
「…レイは、…」
……ーー~~んんっ!
レイ。レイってなんども真顔で連呼するもんだから恥ずかしいったらありゃしない。
だったら少し高圧的でもいいから、おまえって読んでくれた方がまだましだ。
だから今度は王子が質問をしてくる前に、話を遮っておれから話しかけた。
「パンはお好きですか?」
「……嫌いじゃない」
話を遮ったおれに少し不満げにして言った。というか少し怪しげになんでそんな事聞くんだみたいな顔して。
「どんなパンが好きなんですか?」
「考えたことはない」
「…じゃあ、柔らかいパンは?」
「……嫌いじゃない」
「カリカリのパンは?」
「……嫌いじゃない」
この王子、絶対好きなんて言葉は使わない捻くれ者だ。
全部嫌いじゃない。なんて、好きってことなのか?
…ーなんか対抗心沸いてきたな。
レイって呼ばれるのが恥ずかしくて話を晒したはずなのに、どこからかフツフツと王子に勝ちたいという欲が湧いてきた。何に勝ちたいのかはわからないけど。
とりあえず好きなパンの種類を当ててやろう。
「…ーふ~ん、パン好きなんですね。」
「…嫌いじゃないと言ってるだろ……」
王子は俺を怪しげな顔で見てくる。
「甘いパンは好きですか?」
「…嫌いじゃない。」
「…へー…じゃあ、甘いのとしょっぱいのどっちが好きですか?」
「…甘いやつだ。」
意外な事実。
ふーん?王子甘党なんだ。
「…カリカリと、フワフワは?」
「…柔らかい方だ。…………おまえ、そんなこと聞いてどうする。」
「いえ、別に。」
俺は意味深な笑みを浮かべてしまった。
なにかを企むような顔を浮かべた俺は王子にさぞかし気持ち悪く見えただろう。
ほーん。わかったぞ。だいたい。王子柔らかくて甘いパン好きなんだな。
へー。
…意外だな。
たしかこないだのパンはリスにあげるように、ほんのり
甘めの柔らかいの作ったんだよな。
ーー聞いてみよ。
「…あの、こないだの、俺が口に突っ込んだやつ。あれって、どうでした?」
「…嫌いじゃ、」
また嫌いじゃないって言おうとしたのか?
無言の圧で予防線を貼り言えないようにする。
「美味しかったですか?」
「…っあぁ。悪くなかった。」
勝った。
これは俺の勝ちと言っても過言ではない。
俺が貼った予防線が功を成し、流石の王子でも察したのか違う返答が帰ってきた。
その返答が、悪くない。
これには思わず笑みが溢れる。
なぜか勝手に勝った気である俺に、王子は困惑しているのか目を見開いた。
いよし。ここで追い討ちをかけよう。
「ですよね!おいしいですよね!」
俺が共感を求めるめるために詰めるようにして元気よく聞いた。
すると、コクっと少し首をふり肯定してくれた。
……嬉しい。
いつの間にか王子の好きな種類を当てるという目標は、パンを悪くないといったこに満足してどうでも良くなっていた。
俺が作ったパンだし。
勝ったのもうれしいが、俺のパンを悪くないっていってくれたことも結構喜ばしかった。
ふーん。
王子このぱん。
気に入ってくれたんだ。
その事実は俺をじわじわ嬉しくさせた。
……俺が作ったパンを、王族が……
王子が普段食べてるような一流コックが作った訳じゃないけど、パンのうまさをわかるやつだったのか。
……なんだ。思ったより悪いやつじゃないじゃんか。なんか、こないだよりもトゲトゲしてないし。
どうしてこうなったんだ。
なんて、考えてもむだだろう。
雨除けが遮ってくれるのは空から落ちる冷たい水だけで俺と王子を遮ってくれない。
雨除けに居るのは王子と一般人。そして後ろからは黒髪の美丈夫。こんな異様な光景が他にあるのだろうか。
「ーー…………」
「ー……………」
気まずいなんてもんじゃない。
予想通りの無言大会は居心地があまりよろしくなかった。でも仕方ない。だって王族との会話の仕方なんて習ったことあるはずがないんだから。
小さい頃からの会話は大切?そんなこと言わないでくれ。俺は友達が少ないんだよ。
というか、まずまず、口を開いても王子との会話なんて絶対成り立つはずがない。
ポツポツとなる雨音は余計静かさを際立たせる。
「…おい」
「ーうぇっ?!」
せっかく空からふる水滴の落ちる音に耳を済ませて気を紛らわせよう足していたのに。いきなりそんな威圧的な声出されたらびっくりするじゃないか。
王子は横にいる俺に顔を向けるが、身長の低い俺のせいで見下げる感じなった。
「ーおまえは……………名をなんという。」
「ー……名前…ですか?」
何を言い出すのかとおもえば王子は名前を求めてきた。俺の名前なんてしってどうするんだ。
「俺はレイっていいます。」
「…レイ……レイ……」
俺の名前を確認するように呟いたかと思えば少し歩みが遅くなった。舌に馴染ませるように名前を繰り返さられる。
どうしたのだろうと顔を上げると今度はこちらを凝視していた。
「…レイ……俺はソルだ。」
…え。あ。うんうん。
……しってるよ、もちろん知ってるとも。
国の王子であろう人物の名前を知らないはずがない。
ただ、そんな凝視しながら自己紹介されても…
目を合わせるのも、王子の顔に圧倒され俺の視線は彷徨ってしまう。
「……レイ、好きな………食べ物はなんだ。」
「…へ?」
聞いてきたのは予想だにもしない質問で少し阿呆けたが、俺が言葉を切り出す前に質問してくれたので少し助かった。
「えと、パンがすきです…」
「…パン……」
また確認するようにしてつぶやいた。と思えば今度は好きなパンについて聞いてきた。
「…レイ……どんなパンが好きなんだ……。」
「……外がカリッとしてて中がモチッてしてるやつ好きです。」
俺は何を言わされているんだ。
パンの種類なんて気になるのか。
かといい、無理矢理質問を繰り出してるようにも見えない。
庶民の趣向がきになるのか?まあ、こんな街に何回も視察(多分)に来るくらいだし。
なかなか進まない歩みを気にしつつも質問に答えていく。
「…そうか。…レイ………」
「………」
さっきから気になっていたが、なぜ王子はこんなにも文頭に「レイ」とつけるのか。
「…レイは、…」
……ーー~~んんっ!
レイ。レイってなんども真顔で連呼するもんだから恥ずかしいったらありゃしない。
だったら少し高圧的でもいいから、おまえって読んでくれた方がまだましだ。
だから今度は王子が質問をしてくる前に、話を遮っておれから話しかけた。
「パンはお好きですか?」
「……嫌いじゃない」
話を遮ったおれに少し不満げにして言った。というか少し怪しげになんでそんな事聞くんだみたいな顔して。
「どんなパンが好きなんですか?」
「考えたことはない」
「…じゃあ、柔らかいパンは?」
「……嫌いじゃない」
「カリカリのパンは?」
「……嫌いじゃない」
この王子、絶対好きなんて言葉は使わない捻くれ者だ。
全部嫌いじゃない。なんて、好きってことなのか?
…ーなんか対抗心沸いてきたな。
レイって呼ばれるのが恥ずかしくて話を晒したはずなのに、どこからかフツフツと王子に勝ちたいという欲が湧いてきた。何に勝ちたいのかはわからないけど。
とりあえず好きなパンの種類を当ててやろう。
「…ーふ~ん、パン好きなんですね。」
「…嫌いじゃないと言ってるだろ……」
王子は俺を怪しげな顔で見てくる。
「甘いパンは好きですか?」
「…嫌いじゃない。」
「…へー…じゃあ、甘いのとしょっぱいのどっちが好きですか?」
「…甘いやつだ。」
意外な事実。
ふーん?王子甘党なんだ。
「…カリカリと、フワフワは?」
「…柔らかい方だ。…………おまえ、そんなこと聞いてどうする。」
「いえ、別に。」
俺は意味深な笑みを浮かべてしまった。
なにかを企むような顔を浮かべた俺は王子にさぞかし気持ち悪く見えただろう。
ほーん。わかったぞ。だいたい。王子柔らかくて甘いパン好きなんだな。
へー。
…意外だな。
たしかこないだのパンはリスにあげるように、ほんのり
甘めの柔らかいの作ったんだよな。
ーー聞いてみよ。
「…あの、こないだの、俺が口に突っ込んだやつ。あれって、どうでした?」
「…嫌いじゃ、」
また嫌いじゃないって言おうとしたのか?
無言の圧で予防線を貼り言えないようにする。
「美味しかったですか?」
「…っあぁ。悪くなかった。」
勝った。
これは俺の勝ちと言っても過言ではない。
俺が貼った予防線が功を成し、流石の王子でも察したのか違う返答が帰ってきた。
その返答が、悪くない。
これには思わず笑みが溢れる。
なぜか勝手に勝った気である俺に、王子は困惑しているのか目を見開いた。
いよし。ここで追い討ちをかけよう。
「ですよね!おいしいですよね!」
俺が共感を求めるめるために詰めるようにして元気よく聞いた。
すると、コクっと少し首をふり肯定してくれた。
……嬉しい。
いつの間にか王子の好きな種類を当てるという目標は、パンを悪くないといったこに満足してどうでも良くなっていた。
俺が作ったパンだし。
勝ったのもうれしいが、俺のパンを悪くないっていってくれたことも結構喜ばしかった。
ふーん。
王子このぱん。
気に入ってくれたんだ。
その事実は俺をじわじわ嬉しくさせた。
……俺が作ったパンを、王族が……
王子が普段食べてるような一流コックが作った訳じゃないけど、パンのうまさをわかるやつだったのか。
……なんだ。思ったより悪いやつじゃないじゃんか。なんか、こないだよりもトゲトゲしてないし。
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