俺様王子から逃げられない

ダヨ

文字の大きさ
上 下
2 / 21

1 いつもの森

しおりを挟む
はぁぁぁああ、つ、疲れた。。



朝5時から母のパン屋を手伝っていたのだが、今日はやけに忙しい。まぁ、仕方ないことだ、母の焼いたパンは世界一美味しいのだから。







俺(レイ)が住んでいる街はそこまで大きくはないが、みんな暖かく平和で楽しいとこだ。パン屋の息子として、女手一つで育てられた俺は周りから愛され成長した。
母の経営しているパン屋は昔から忙しかったため小さい頃から手伝っている。自分の時間こそ取れないが、接客やお客さんたちと話すのはとても楽しい。そこでみかねたご近所さんたちは、大変そうねぇと言いながら時々手伝いにきてくれる、とても暖かい人たちだ。小さい頃から遊ぶ時間が少なかったため友達は数少ない。だが、その数少ない友達も今日は手伝いに来てくれた。

「レイ?疲れたんだったら休憩はいりな、」

「いや、フランに悪いよ」

「でも、朝から入ってるんだろ?いいから」

机に突っ伏したままだらしない格好をして大きなため息をついたレイ。それをみかねたフランは休憩しろと、声を掛けてきた。さすがに手伝いに来てくれた友達を置いて休憩するのは気が引けるので断ったが、倒れたら困ると後押ししてくるので一息休むことにした。

おれが休憩する場所はいつも決まっている。家から少し離れた森だ。いつも森の中にある小屋の近くで休憩している。あまり長く休憩してもよくないと思い、店の中で休もうとしたが、森へ行ってこいとフランに追い出されてしまった。



森へ着くと早速レイは小屋の近くの池に行った。動物好きなレイはいつもここで動物達と遊んでる。最近の楽しみは友達(リス)に餌をやったり、遊んだりすることだ。いつも森へ行くとどこからともなくこのリスがやってくるのだ。リスと言っても本当にリスなのかわからない、リスもどきだ。
体はリスほどの大きさだと思うが、真っ白な体にふわふわとした体毛そしてまんまるとした体は小さな猫にも見える。ちょこんと生えた耳は猫のような三角形で、中はピンク色。生えた尻尾は体に対して少し大きめでフワフワだ。
どうしてこんなにも可愛い生き物がいるのだろう。
初めて森で会った時から人懐っこく俺がパンの匂いを漂わせていたせいか、リスの方から寄ってきた。パンを分け与えてやると、小さなほっぺを膨らませながらモグモグと一生懸命食べるのだ。どうしようもなく可愛い。

今日もいつものようにパンを持ってやってきたのだがリスの姿がみつからない。いつもどこからともなくやってくるリスは少し自由気ままのようだ。

自然に囲まれたこの池は休憩に丁度いい。新鮮な空気に綺麗な景色。すごく落ち着く。いつもリスと共に休憩するのだが仕方ない。今日は1人で休憩しようと池の縁に座ろうとした時、あのリスが少し先に見えた。こちらに気づいていないようで、何かの周りをぐるぐる回っていた。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

そばにいてほしい。

15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。 そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。 ──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。 幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け 安心してください、ハピエンです。

美形な幼馴染のヤンデレ過ぎる執着愛

月夜の晩に
BL
愛が過ぎてヤンデレになった攻めくんの話。 ※ホラーです

勇者よ、わしの尻より魔王を倒せ………「魔王なんかより陛下の尻だ!」

ミクリ21
BL
変態勇者に陛下は困ります。

毒/同級生×同級生/オメガバース(α×β)

ハタセ
BL
βに強い執着を向けるαと、そんなαから「俺はお前の運命にはなれない」と言って逃げようとするβのオメガバースのお話です。

虐げられた王の生まれ変わりと白銀の騎士

ありま氷炎
BL
十四年前、国王アルローはその死に際に、「私を探せ」と言い残す。 国一丸となり、王の生まれ変わりを探すが見つからず、月日は過ぎていく。 王アルローの子の治世は穏やかで、人々はアルローの生まれ変わりを探す事を諦めようとしていた。 そんな中、アルローの生まれ変わりが異世界にいることがわかる。多くの者たちが止める中、騎士団長のタリダスが異世界の扉を潜る。 そこで彼は、アルローの生まれ変わりの少年を見つける。両親に疎まれ、性的虐待すら受けている少年を助け、強引に連れ戻すタリダス。 彼は王の生まれ変わりである少年ユウタに忠誠を誓う。しかし王宮では「王」の帰還に好意的なものは少なかった。 心の傷を癒しながら、ユウタは自身の前世に向き合う。 アルローが残した「私を探せ」の意味はなんだったか。 王宮の陰謀、そして襲い掛かる別の危機。 少年は戸惑いながらも自分の道を見つけていく。

白雪王子と容赦のない七人ショタ!

ミクリ21
BL
男の白雪姫の魔改造した話です。

姫を拐ったはずが勇者を拐ってしまった魔王

ミクリ21
BL
姫が拐われた! ……と思って慌てた皆は、姫が無事なのをみて安心する。 しかし、魔王は確かに誰かを拐っていった。 誰が拐われたのかを調べる皆。 一方魔王は? 「姫じゃなくて勇者なんだが」 「え?」 姫を拐ったはずが、勇者を拐ったのだった!?

イケメン大学生にナンパされているようですが、どうやらただのナンパ男ではないようです

市川パナ
BL
会社帰り、突然声をかけてきたイケメン大学生。断ろうにもうまくいかず……

処理中です...