俺様王子から逃げられない

ダヨ

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1 いつもの森

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はぁぁぁああ、つ、疲れた。。



朝5時から母のパン屋を手伝っていたのだが、今日はやけに忙しい。まぁ、仕方ないことだ、母の焼いたパンは世界一美味しいのだから。







俺(レイ)が住んでいる街はそこまで大きくはないが、みんな暖かく平和で楽しいとこだ。パン屋の息子として、女手一つで育てられた俺は周りから愛され成長した。
母の経営しているパン屋は昔から忙しかったため小さい頃から手伝っている。自分の時間こそ取れないが、接客やお客さんたちと話すのはとても楽しい。そこでみかねたご近所さんたちは、大変そうねぇと言いながら時々手伝いにきてくれる、とても暖かい人たちだ。小さい頃から遊ぶ時間が少なかったため友達は数少ない。だが、その数少ない友達も今日は手伝いに来てくれた。

「レイ?疲れたんだったら休憩はいりな、」

「いや、フランに悪いよ」

「でも、朝から入ってるんだろ?いいから」

机に突っ伏したままだらしない格好をして大きなため息をついたレイ。それをみかねたフランは休憩しろと、声を掛けてきた。さすがに手伝いに来てくれた友達を置いて休憩するのは気が引けるので断ったが、倒れたら困ると後押ししてくるので一息休むことにした。

おれが休憩する場所はいつも決まっている。家から少し離れた森だ。いつも森の中にある小屋の近くで休憩している。あまり長く休憩してもよくないと思い、店の中で休もうとしたが、森へ行ってこいとフランに追い出されてしまった。



森へ着くと早速レイは小屋の近くの池に行った。動物好きなレイはいつもここで動物達と遊んでる。最近の楽しみは友達(リス)に餌をやったり、遊んだりすることだ。いつも森へ行くとどこからともなくこのリスがやってくるのだ。リスと言っても本当にリスなのかわからない、リスもどきだ。
体はリスほどの大きさだと思うが、真っ白な体にふわふわとした体毛そしてまんまるとした体は小さな猫にも見える。ちょこんと生えた耳は猫のような三角形で、中はピンク色。生えた尻尾は体に対して少し大きめでフワフワだ。
どうしてこんなにも可愛い生き物がいるのだろう。
初めて森で会った時から人懐っこく俺がパンの匂いを漂わせていたせいか、リスの方から寄ってきた。パンを分け与えてやると、小さなほっぺを膨らませながらモグモグと一生懸命食べるのだ。どうしようもなく可愛い。

今日もいつものようにパンを持ってやってきたのだがリスの姿がみつからない。いつもどこからともなくやってくるリスは少し自由気ままのようだ。

自然に囲まれたこの池は休憩に丁度いい。新鮮な空気に綺麗な景色。すごく落ち着く。いつもリスと共に休憩するのだが仕方ない。今日は1人で休憩しようと池の縁に座ろうとした時、あのリスが少し先に見えた。こちらに気づいていないようで、何かの周りをぐるぐる回っていた。



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