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第59.5話 ヴァスティナからの物体X
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3.裏切りのリクトビア
戦妃リクトビア。その名で呼ばれた彼女は、南ローミリアに生まれた奇跡と伝えられている。
無敵にして不敗の武神。常に戦を勝利に導く、戦に愛されし戦いの女神。彼女を前にし、多くの兵が、猛将が、軍馬が、魔物が、要塞や攻城兵器に至るまで、完膚なきまでに薙ぎ払われた。
後世の歴史家の中には、南ローミリア平定を成し遂げたリクトビアこそ、当時膠着状態に陥っていたローミリア大戦に変化をもたらし、大戦を終結に導いた英雄だと考える者もいる。もし時代が、生まれ出る国が違ったなら、彼女の手によって大陸全土が統一されたとも考えられていた。
いや、南ローミリアを平定した時点で、リクトビアはローミリア大陸全土統一を目指す事も可能だった。それだけの力を、当時の彼女は持っていたのである。
これは、戦妃と呼ばれた一人の女性が、まだ名も無き国で巻き起こす旋風の、ほんの一つの物語。
「突然ですが、この中に裏切者がいるそうです」
新設された軍事演習場にて整列する兵を前に、壇上へと上がった背の高いその女は、高らかに宣言して見せた。
長い黒髪を風になびかせる、彼女の眼前に広がるのは、彼女と共に戦い、南ローミリア統一を果たした最強の軍団。彼女の手足となって動く兵士達と、彼女に絶対の忠誠を誓う幹部一同の前で、その一言は全員に疑心暗鬼をもたらした。
「まだ名前を考え中なので、仮に我が国をラング国と呼称します。ラング国は現在各国に国土を狙われ、水面下では熾烈な諜報合戦が行なわれてます。私の言いたい事もう分かった人!?」
庶民が着るブラウスとスカートを身に纏い、その上に軽装の防具を装着する彼女は、空へと高く右手を上げ、兵士達に挙手を促すが、手を挙げる者は誰もいない。相手にされず落ち込むも、金色に輝く宝石のような瞳で兵士達を見つめ、彼女は更に言葉を続けた。
「つ・ま・り! この中の誰かがラング国ではないものに成り代わって、国外に情報を流している可能性があります。なので皆さん、頑張って裏切り者を捜してみましょう!」
高らかに、そして和やかに言い放ったこの女性こそ、後に戦妃と呼ばれ伝説となる、リクトビア・フローレンスその人である。
「リクトビア、君って奴は⋯⋯⋯。早まった真似はしないでって、ついさっき僕が頼んだの忘れた?」
「忘れた」
「素直かつ正直で大変素晴らしい」
「褒められちゃった」
「怒られてるの分かってる?」
南ローミリア統一を成した英雄ラングは、城の書庫で資料を漁りながら、惚けるばかりのリクトビアに溜め息を吐く事しかできなかった。若白髪で髪の半分が白く染まった童顔のこの男は、彼女のせいで苦労する前から白髪の多い苦労人であった。
争いの絶えなかった南ローミリアを、ラングは志を同じくする者達と共に、武力を持って統一した。彼らが今いる城は、南ローミリアで一番の大国だった国に聳え立っていた、旧王城である。戦いによって勝ち取ったこの城を、ラングは新たな国家建国のための中心地としたのだ。
元はただの村人であり、着慣れた農民服姿で日々を送る男だが、今や彼は戦争の英雄で、しかも一国の主となった。故に、勉強しなくてはならない事が山積みであり、処理すべき仕事量も膨大だ。
この城だって、戦闘によって多くが破壊されたために、現在改築工事の真っ最中なのである。ラングはこの工事の対応にも追われていた。付け加えると、この城が大きく損壊した原因は、城攻めの際に攻城兵器の集中運用を指示したリクトビアにある。
リクトビアは、加減を知らない大胆な面があり、即断即決即行動が強みでもある。城攻めの際も、防衛側の抵抗が激しく、攻略が困難になると予想できた瞬間、攻城兵器による徹底的な攻撃を命じ、城の各所を破壊させた。
計画では、城の破壊は最小限に留めて攻略するはずだった。だが彼女は、このままでは敵の抵抗で自軍に大きな損害が出ると予想し、計画に則った攻略を即時中止したのである。
結果、早期による彼女の決断によって、城は大きく破壊されたものの、兵の損失は作戦計画の想定を下回った。彼女によって大勢の兵の命が救われたわけだが、城の損害は想定を遥かに超え、改築費も計画の三倍に及ぶ費用が必要となった。
後世の歴史から見れば、リクトビアの判断は称賛されるだろう。しかし、当時彼女と共に戦っていたラング達は、攻城兵器の威力に魅了されたリクトビアが、つい楽しくなって必要以上の攻撃を命じた事を、とてもよく知っている。
このような性格の彼女の耳に、「他国による侵攻の兆し在り」などという知らせが飛び込めば、何か仕出かすに決まっている。そこでラングは前もって釘を刺したわけだが、リクトビアはこれを無視して早速行動したのである。
この行動が、兵を前にしての裏切り者捜索宣言である。侵攻を企てる敵国に、この国の情報を流す者がおり、その者、もしくはその者達を、兵達に調査させるのが狙いだ。
「ラング君優しいから、みんなを疑いたくないって気持ちは分かるよ。けどね、やっぱりこういう時は厳しくいかないと駄目だって思う訳よ」
「正しい順序を踏んでくれって言ってるんだ。君のせいで兵士達に無用な動揺が広がってる」
「攻めてくるのはゼロリアスなんでしょ? この程度で動揺してるようじゃ、どうせ勝負にならない」
南ローミリア侵攻を計画しているのは、北方の大国ゼロリアス帝国の可能性が高い。現在ゼロリアス帝国は、宿敵ホーリスローネ王国との決着が付かず、戦局は泥沼の一途を辿っており、事態の好転を画策しているためだ。
ゼロリアス帝国内では、泥沼と化した戦局に対して、王国との停戦交渉を唱える声が日々大きくなっている。際限なく消費される莫大な軍事費と、墓地が溢れ返る程の戦死者数。長き大戦での度重なる増税や、戦争による物価の向上によって、大陸最強の軍事力を誇る帝国もまた、疲弊し切っていた。
各国と同じく疲弊した帝国内で、停戦の声が上がるのは必然だった。停戦派と戦争継続派に分かれた帝国で、ゼロリアス皇帝もまた決断に揺れている。しかし、失うばかりである国民の心は、確実に停戦へと傾いていた。
時間が経てば、いずれゼロリアス帝国はホーリスローネ王国との停戦に乗り出す。戦争継続派はそれを阻止すべく、最後の攻勢を開始しようとしていた。
大陸中央にまで伸びた植民地と同盟国を利用し、平定されて間もない南ローミリアへと侵攻。電撃的に進軍する事で各地を制圧。その後、仮名称ラング国へと一気に侵攻して、南ローミリアの中枢を陥落させる。
ただでさえ平定したばかりのこの地に、大国ゼロリアスが侵攻してきたとなれば、その混乱は計り知れない。南ローミリアが万全の状態になる前ならば、混乱を利用し、短期での侵略が可能というのが、戦争継続派の計画だと考えられている。
ラング国を陥落させられなくとも、南ローミリアの一部を手に入れさえすれば、戦争継続の望みは繋がる。極北の地であるゼロリアス帝国にとって、南ローミリアの肥沃な大地は、喉から手が出る程に欲するものだからだ。
温暖で豊かな地を求めるからこそ、帝国は奪うための軍事力を身に付けた。その研ぎ上げた刃で肥沃の大地を手に入れる事が、長年の悲願なのである。
これらの理由から、ゼロリアス帝国が侵攻を開始する可能性大と考え、ラングやリクトビアは行動を始めている。相手がゼロリアス帝国となれば、如何に南ローミリアでは最強を誇る軍隊でも、これまでのように勝つ事は困難であるからだ。
しかも、帝国が一体何処から進軍してくるのか、それすら分かっていないのである。対してこちら側の戦力や作戦の情報が敵に漏れているとするなら、益々勝機は薄くなってしまう。
裏切りを見つけようとするリクトビアの行動は正しいが、疑心暗鬼は寧ろ敵の思う壺である。順序を飛ばすなというラングの言葉は尤もだが、リクトビアは悪びれる様子もなく、その金色の瞳に彼の姿を映し、凛として言葉を続ける。
「ラング君と私で、争いばっかりのこの世界に平和な国を創る。人々がずっと穏やかで、助け合い、愛し合って生きて行ける楽園のような国。私達の夢は、誰にも奪わせはしない」
「わかってる。その楽園を創ることが、君との約束なんだから」
ラングとリクトビアが交わし合った約束は、遂に南ローミリアの統一を成し、この地から戦争を無くさせた。やっと手に入れたこの平和を、北の大国などに壊させるつもりはない。
二人はやり方こそ違えど、国と人々を守るため戦うという意志は同じである。ラングは交渉にて会議の場で戦うが、リクトビアは武器を手に戦場で戦う。
「約束は守らなくちゃね。それじゃあ私は、帝国軍撃退作戦でも考えるとしますか」
「戦はいつも通り君に任せる。僕は帝国との停戦交渉に向けた準備をしておくよ」
「ありがと。私の愛しい旦那様」
都合の良い時だけ愛の言葉を口にするリクトビアに、羞恥を覚える前に最早呆れてしまうラングだが、薔薇の花すら美しいと思えなくなる、絶世の美女たる彼女に見つめられると、いつも弱い。
リクトビアもそれを知っているから、揶揄うように言って見せる。だが素直で正直な彼女に、嘘偽りの気持ちはない。
扉を開き、書庫を後にしたリクトビアを待ち構えていたのは、翠色を基調とした軍服を身に纏い、腰に一振りの剣を差した、銀の髪色をした髪の短い女剣士であった。
足取り軽く書庫から遠ざかっていくリクトビア。その女剣士は、当然のように彼女の傍に付き従って、歩幅を同じくして通路を歩く。常に前髪で右眼を隠した女剣士は、リクトビアに勝るとも劣らぬ整った顔立ちと共に彼女を見つめ、その足取りから結果を悟った。
「リクトビア様。先陣は私に御命じ下さい」
「張り切ってるわね、レン。帝国に親でも殺された?」
「例えそうであったとしても、私が貴女様の剣であるに変わりはありません。親の仇であろうと無かろうと、貴女様が斬れと命じたものを斬るまでのこと」
「忠誠心は大いに結構。でも風の剣士の血筋だからって、固くなり過ぎなくてもいいのよ?」
強敵の戦いを前に、先陣の権利を得ようとする彼女の名は、レン・シャオ。伝説の六剣の一人、風の剣士ジン・シャオの血を引く彼女は、リクトビアの右腕として傍に控える女剣士である。
過去にリクトビアに対して敗北したレンは、生涯の忠誠を彼女へと誓い、南ローミリアにおける数々の戦いで、忠誠を誓った彼女と共に戦場を駆けた。伝説の六剣の名に恥じぬ実力者で、リクトビア以外で彼女に勝った者はいない。
忠誠心の厚いレンは、リクトビア唯一の近衛と呼ばれている。リクトビアを守護し、彼女が命じた敵を斬るために生きる、最強の剣なのだ。
大陸最強の軍隊と戦えと言われようが、レンの忠誠は揺るがない。もしもリクトビアが皇帝を討って来いと命令すれば、忽ち彼女は戦支度を整え、帝国に向けて出陣してしまうだろう。
「それよりも我が君。このような時期に、本当に間者など捜す御積りですか?」
「こんな時期だからでしょ? 心配しなくてもレンのことを疑ったりしないわよ」
「私を疑わしいと思うことあれば、是非貴女様の手で我が心の臓を抉り出して頂いて構いません」
「重い重い重い。忠誠心重いって」
命じられれば、自らの命を絶つ事すら厭わない。命を捧げたレンの忠誠は、リクトビアに取っては迷惑を通り越して恐怖であった。だからこそ彼女が自分を裏切るなど、天地が引っ繰り返ってもあり得ないと思える。
レンが危惧する通り、このような状況下で裏切り者探しを公に宣言するなど、無用な混乱を招くだけとも言える。それでも尚リクトビアが宣言した以上、レンが彼女を止める事はない。
行動は止めないが、リクトビアの真意は理解したい。考えを探ろうとするレンを、やはりリクトビアは笑顔で誤魔化すばかりであり、真意を悟らせようとはしなかった。
「レンは私の剣なんでしょ? 剣は考えないものよ」
「都合の良い時だけ剣扱いをなさる⋯⋯⋯」
「じゃあ、キスしてあげるから都合の良い剣になってよ」
「⋯⋯⋯」
顔色一つ変えず無言になったレンではあるが、リクトビアは知っている。レンの内心は揺れに揺れており、二つの相反する感情がせめぎ合っているのだ。
結局レンから返事がないまま、二人は城の中庭を通りかかった。城内の至る所が修復中の現在、この中庭も例外ではなく、朝から修繕が行なわれている。
修繕に当たる作業者達と、半壊した状態の中庭の光景を目にしたリクトビアの足が止まり、レンもまた同じく足を止めた。粛々と作業進める男達に向かい、先程までの軽い態度が嘘のように、リクトビアは凛とした佇まいで口を開く。
「ここは今よりも沢山の花を植えておいて。ラング君は土いじりが好きだから、絶対に喜んでくれる」
ラングは花を愛でる趣味があり、植物を育てるのが大好きである。彼の好きな花々がいつでも見られるよう、中庭を花で埋め尽くしたいというリクトビアの考えだ。
彼女がラングの名を口にし、彼好みに中庭を作り変えようとしていると知って、レンの眉が一瞬動く。その反応をリクトビアは見逃さなかったが、敢えて何も言わなかった。
レンはリクトビアに忠誠を誓っているのであって、ラングに対しての忠誠心は皆無である。寧ろラングの事を、リクトビアを惑わせる邪魔な存在とさえ考えている。
レンは特別ラングを嫌っているが、彼女のようにリクトビアのみに忠誠心を抱き、今日まで付き従っている者は大勢いる。それだけ勝利の女神リクトビアの持つ魅力が、多くの強者達の心を魅了したのである。
つまりそれは、ラングによる南ローミリアの統治が、リクトビアの力に大きく頼っている事を意味している。風の剣士レン・シャオを始めとした英雄達は、ラングではなくリクトビアの命令だけを守り、戦場を戦い抜いてきた。
女神が持つ求心力が失われてしまったら。もしもリクトビアが戦死するような事があれば、今のラングに英雄達を繋ぎ止める力はなく、彼らは離れていくばかりであるはずだ。
この問題の解決もまた、ラングを守りたいと願うリクトビアの課題になっている。だからと言って、戦場という危険から自分を遠ざけるわけにはいかない。忠臣達は戦うリクトビアに魅了されたからだ。
「ねぇ、レン。好きな花とかある?」
「花に興味などありません」
「私も全然。取り敢えず百合とか植えとけばいいかな?」
「確か百合は毒を持ちますが、宜しいのですか?」
「綺麗なら何でもいいでしょ。後は竜胆でも植えさせといて」
町娘リクトビアはラングとは対照的で、趣味は武芸全般、好きなものは喧嘩に戦という、どうして町娘に生まれてしまったのか理解に苦しむ人物であった。
軍人の家系にでも生まれていれば良かったのだろうが、彼女を知る多くの者達は、生まれてくる時と地を間違えた女だと思っている。天の悪戯なのか運命なのか、実際彼女は物心付いた時から戦う事に興味を持ち、両親に頼んで武芸を学ばせて貰っていたのだから、そもそもこんな世では、女に生まれたのが間違いだったとも言えるだろう。
リクトビアは絶大な才能を秘めており、ラングとの出会いや、南ローミリアでの数々の戦いを経て覚醒した。武神と化した彼女は向かうところ敵なしで、常勝不敗を誇る事になる。
一例を挙げると、以前リクトビアは撤退戦に救援として駆け付け、友軍を追撃する敵を迎え撃った事がある。その時彼女は、「戦って言うのは負け戦の方が面白いのよ」と言って、単騎で敵軍に突撃していった。
遅れて味方が彼女を追って突撃した時には、既に百を超える敵がリクトビアに蹴散らされていた。そしてリクトビアは、敵軍の中を愛馬と共に一気に駆け抜け、敵軍の指揮官を一人で討ってしまったのだ。
この撤退戦は、指揮官を失った敵が撤退した事によって、まさかの勝利に終わる。一人の力が数の力を圧倒した戦闘として、歴史家には創作ではないかと疑われている戦いだが、現実にリクトビアは一騎当千の力を発揮し、犠牲になるはずだった大勢の味方の命を救ったのだ。
このようにリクトビアという女は、武神と呼ばれるに相応しく、戦うために生まれてきた女である。逆に言えば、戦闘に関連する事以外は興味がなく、女らしいところは外見だけと言われる有様だ。
だがリクトビアは、戦いを好むものの、戦いを望んでいるわけではない。信じられない話だが、これでも彼女は、ゼロリアス帝国との戦争が話し合いで解決できるなら、是非そうして欲しいと願っている。
リクトビアは「闘争」が好きなのであり、「殺人」を好んでいるわけではない。しかし戦場で戦う限り、殺し合いは避けられぬ結果である。レンを始めとした忠臣達は、これこそリクトビア最大の矛盾であり、生涯に渡り彼女を苦悩させ続けたと、後に語る。
「我が君の口から花の名が聞けるとは思いませんでした」
「この前ラング君が教えてくれたの。あの人って本当に花が好きだから、名前だけなら鈴蘭とか野苺とかも――――」
揶揄ったつもりでいたレンだが、失敗したと気付いた時には、リクトビアの惚気話が始まってしまった。これが始まると長いため、後悔しながらレンは、憎き男の名と話題を延々と聞かされる羽目になった。
戦妃リクトビア。その名で呼ばれた彼女は、南ローミリアに生まれた奇跡と伝えられている。
無敵にして不敗の武神。常に戦を勝利に導く、戦に愛されし戦いの女神。彼女を前にし、多くの兵が、猛将が、軍馬が、魔物が、要塞や攻城兵器に至るまで、完膚なきまでに薙ぎ払われた。
後世の歴史家の中には、南ローミリア平定を成し遂げたリクトビアこそ、当時膠着状態に陥っていたローミリア大戦に変化をもたらし、大戦を終結に導いた英雄だと考える者もいる。もし時代が、生まれ出る国が違ったなら、彼女の手によって大陸全土が統一されたとも考えられていた。
いや、南ローミリアを平定した時点で、リクトビアはローミリア大陸全土統一を目指す事も可能だった。それだけの力を、当時の彼女は持っていたのである。
これは、戦妃と呼ばれた一人の女性が、まだ名も無き国で巻き起こす旋風の、ほんの一つの物語。
「突然ですが、この中に裏切者がいるそうです」
新設された軍事演習場にて整列する兵を前に、壇上へと上がった背の高いその女は、高らかに宣言して見せた。
長い黒髪を風になびかせる、彼女の眼前に広がるのは、彼女と共に戦い、南ローミリア統一を果たした最強の軍団。彼女の手足となって動く兵士達と、彼女に絶対の忠誠を誓う幹部一同の前で、その一言は全員に疑心暗鬼をもたらした。
「まだ名前を考え中なので、仮に我が国をラング国と呼称します。ラング国は現在各国に国土を狙われ、水面下では熾烈な諜報合戦が行なわれてます。私の言いたい事もう分かった人!?」
庶民が着るブラウスとスカートを身に纏い、その上に軽装の防具を装着する彼女は、空へと高く右手を上げ、兵士達に挙手を促すが、手を挙げる者は誰もいない。相手にされず落ち込むも、金色に輝く宝石のような瞳で兵士達を見つめ、彼女は更に言葉を続けた。
「つ・ま・り! この中の誰かがラング国ではないものに成り代わって、国外に情報を流している可能性があります。なので皆さん、頑張って裏切り者を捜してみましょう!」
高らかに、そして和やかに言い放ったこの女性こそ、後に戦妃と呼ばれ伝説となる、リクトビア・フローレンスその人である。
「リクトビア、君って奴は⋯⋯⋯。早まった真似はしないでって、ついさっき僕が頼んだの忘れた?」
「忘れた」
「素直かつ正直で大変素晴らしい」
「褒められちゃった」
「怒られてるの分かってる?」
南ローミリア統一を成した英雄ラングは、城の書庫で資料を漁りながら、惚けるばかりのリクトビアに溜め息を吐く事しかできなかった。若白髪で髪の半分が白く染まった童顔のこの男は、彼女のせいで苦労する前から白髪の多い苦労人であった。
争いの絶えなかった南ローミリアを、ラングは志を同じくする者達と共に、武力を持って統一した。彼らが今いる城は、南ローミリアで一番の大国だった国に聳え立っていた、旧王城である。戦いによって勝ち取ったこの城を、ラングは新たな国家建国のための中心地としたのだ。
元はただの村人であり、着慣れた農民服姿で日々を送る男だが、今や彼は戦争の英雄で、しかも一国の主となった。故に、勉強しなくてはならない事が山積みであり、処理すべき仕事量も膨大だ。
この城だって、戦闘によって多くが破壊されたために、現在改築工事の真っ最中なのである。ラングはこの工事の対応にも追われていた。付け加えると、この城が大きく損壊した原因は、城攻めの際に攻城兵器の集中運用を指示したリクトビアにある。
リクトビアは、加減を知らない大胆な面があり、即断即決即行動が強みでもある。城攻めの際も、防衛側の抵抗が激しく、攻略が困難になると予想できた瞬間、攻城兵器による徹底的な攻撃を命じ、城の各所を破壊させた。
計画では、城の破壊は最小限に留めて攻略するはずだった。だが彼女は、このままでは敵の抵抗で自軍に大きな損害が出ると予想し、計画に則った攻略を即時中止したのである。
結果、早期による彼女の決断によって、城は大きく破壊されたものの、兵の損失は作戦計画の想定を下回った。彼女によって大勢の兵の命が救われたわけだが、城の損害は想定を遥かに超え、改築費も計画の三倍に及ぶ費用が必要となった。
後世の歴史から見れば、リクトビアの判断は称賛されるだろう。しかし、当時彼女と共に戦っていたラング達は、攻城兵器の威力に魅了されたリクトビアが、つい楽しくなって必要以上の攻撃を命じた事を、とてもよく知っている。
このような性格の彼女の耳に、「他国による侵攻の兆し在り」などという知らせが飛び込めば、何か仕出かすに決まっている。そこでラングは前もって釘を刺したわけだが、リクトビアはこれを無視して早速行動したのである。
この行動が、兵を前にしての裏切り者捜索宣言である。侵攻を企てる敵国に、この国の情報を流す者がおり、その者、もしくはその者達を、兵達に調査させるのが狙いだ。
「ラング君優しいから、みんなを疑いたくないって気持ちは分かるよ。けどね、やっぱりこういう時は厳しくいかないと駄目だって思う訳よ」
「正しい順序を踏んでくれって言ってるんだ。君のせいで兵士達に無用な動揺が広がってる」
「攻めてくるのはゼロリアスなんでしょ? この程度で動揺してるようじゃ、どうせ勝負にならない」
南ローミリア侵攻を計画しているのは、北方の大国ゼロリアス帝国の可能性が高い。現在ゼロリアス帝国は、宿敵ホーリスローネ王国との決着が付かず、戦局は泥沼の一途を辿っており、事態の好転を画策しているためだ。
ゼロリアス帝国内では、泥沼と化した戦局に対して、王国との停戦交渉を唱える声が日々大きくなっている。際限なく消費される莫大な軍事費と、墓地が溢れ返る程の戦死者数。長き大戦での度重なる増税や、戦争による物価の向上によって、大陸最強の軍事力を誇る帝国もまた、疲弊し切っていた。
各国と同じく疲弊した帝国内で、停戦の声が上がるのは必然だった。停戦派と戦争継続派に分かれた帝国で、ゼロリアス皇帝もまた決断に揺れている。しかし、失うばかりである国民の心は、確実に停戦へと傾いていた。
時間が経てば、いずれゼロリアス帝国はホーリスローネ王国との停戦に乗り出す。戦争継続派はそれを阻止すべく、最後の攻勢を開始しようとしていた。
大陸中央にまで伸びた植民地と同盟国を利用し、平定されて間もない南ローミリアへと侵攻。電撃的に進軍する事で各地を制圧。その後、仮名称ラング国へと一気に侵攻して、南ローミリアの中枢を陥落させる。
ただでさえ平定したばかりのこの地に、大国ゼロリアスが侵攻してきたとなれば、その混乱は計り知れない。南ローミリアが万全の状態になる前ならば、混乱を利用し、短期での侵略が可能というのが、戦争継続派の計画だと考えられている。
ラング国を陥落させられなくとも、南ローミリアの一部を手に入れさえすれば、戦争継続の望みは繋がる。極北の地であるゼロリアス帝国にとって、南ローミリアの肥沃な大地は、喉から手が出る程に欲するものだからだ。
温暖で豊かな地を求めるからこそ、帝国は奪うための軍事力を身に付けた。その研ぎ上げた刃で肥沃の大地を手に入れる事が、長年の悲願なのである。
これらの理由から、ゼロリアス帝国が侵攻を開始する可能性大と考え、ラングやリクトビアは行動を始めている。相手がゼロリアス帝国となれば、如何に南ローミリアでは最強を誇る軍隊でも、これまでのように勝つ事は困難であるからだ。
しかも、帝国が一体何処から進軍してくるのか、それすら分かっていないのである。対してこちら側の戦力や作戦の情報が敵に漏れているとするなら、益々勝機は薄くなってしまう。
裏切りを見つけようとするリクトビアの行動は正しいが、疑心暗鬼は寧ろ敵の思う壺である。順序を飛ばすなというラングの言葉は尤もだが、リクトビアは悪びれる様子もなく、その金色の瞳に彼の姿を映し、凛として言葉を続ける。
「ラング君と私で、争いばっかりのこの世界に平和な国を創る。人々がずっと穏やかで、助け合い、愛し合って生きて行ける楽園のような国。私達の夢は、誰にも奪わせはしない」
「わかってる。その楽園を創ることが、君との約束なんだから」
ラングとリクトビアが交わし合った約束は、遂に南ローミリアの統一を成し、この地から戦争を無くさせた。やっと手に入れたこの平和を、北の大国などに壊させるつもりはない。
二人はやり方こそ違えど、国と人々を守るため戦うという意志は同じである。ラングは交渉にて会議の場で戦うが、リクトビアは武器を手に戦場で戦う。
「約束は守らなくちゃね。それじゃあ私は、帝国軍撃退作戦でも考えるとしますか」
「戦はいつも通り君に任せる。僕は帝国との停戦交渉に向けた準備をしておくよ」
「ありがと。私の愛しい旦那様」
都合の良い時だけ愛の言葉を口にするリクトビアに、羞恥を覚える前に最早呆れてしまうラングだが、薔薇の花すら美しいと思えなくなる、絶世の美女たる彼女に見つめられると、いつも弱い。
リクトビアもそれを知っているから、揶揄うように言って見せる。だが素直で正直な彼女に、嘘偽りの気持ちはない。
扉を開き、書庫を後にしたリクトビアを待ち構えていたのは、翠色を基調とした軍服を身に纏い、腰に一振りの剣を差した、銀の髪色をした髪の短い女剣士であった。
足取り軽く書庫から遠ざかっていくリクトビア。その女剣士は、当然のように彼女の傍に付き従って、歩幅を同じくして通路を歩く。常に前髪で右眼を隠した女剣士は、リクトビアに勝るとも劣らぬ整った顔立ちと共に彼女を見つめ、その足取りから結果を悟った。
「リクトビア様。先陣は私に御命じ下さい」
「張り切ってるわね、レン。帝国に親でも殺された?」
「例えそうであったとしても、私が貴女様の剣であるに変わりはありません。親の仇であろうと無かろうと、貴女様が斬れと命じたものを斬るまでのこと」
「忠誠心は大いに結構。でも風の剣士の血筋だからって、固くなり過ぎなくてもいいのよ?」
強敵の戦いを前に、先陣の権利を得ようとする彼女の名は、レン・シャオ。伝説の六剣の一人、風の剣士ジン・シャオの血を引く彼女は、リクトビアの右腕として傍に控える女剣士である。
過去にリクトビアに対して敗北したレンは、生涯の忠誠を彼女へと誓い、南ローミリアにおける数々の戦いで、忠誠を誓った彼女と共に戦場を駆けた。伝説の六剣の名に恥じぬ実力者で、リクトビア以外で彼女に勝った者はいない。
忠誠心の厚いレンは、リクトビア唯一の近衛と呼ばれている。リクトビアを守護し、彼女が命じた敵を斬るために生きる、最強の剣なのだ。
大陸最強の軍隊と戦えと言われようが、レンの忠誠は揺るがない。もしもリクトビアが皇帝を討って来いと命令すれば、忽ち彼女は戦支度を整え、帝国に向けて出陣してしまうだろう。
「それよりも我が君。このような時期に、本当に間者など捜す御積りですか?」
「こんな時期だからでしょ? 心配しなくてもレンのことを疑ったりしないわよ」
「私を疑わしいと思うことあれば、是非貴女様の手で我が心の臓を抉り出して頂いて構いません」
「重い重い重い。忠誠心重いって」
命じられれば、自らの命を絶つ事すら厭わない。命を捧げたレンの忠誠は、リクトビアに取っては迷惑を通り越して恐怖であった。だからこそ彼女が自分を裏切るなど、天地が引っ繰り返ってもあり得ないと思える。
レンが危惧する通り、このような状況下で裏切り者探しを公に宣言するなど、無用な混乱を招くだけとも言える。それでも尚リクトビアが宣言した以上、レンが彼女を止める事はない。
行動は止めないが、リクトビアの真意は理解したい。考えを探ろうとするレンを、やはりリクトビアは笑顔で誤魔化すばかりであり、真意を悟らせようとはしなかった。
「レンは私の剣なんでしょ? 剣は考えないものよ」
「都合の良い時だけ剣扱いをなさる⋯⋯⋯」
「じゃあ、キスしてあげるから都合の良い剣になってよ」
「⋯⋯⋯」
顔色一つ変えず無言になったレンではあるが、リクトビアは知っている。レンの内心は揺れに揺れており、二つの相反する感情がせめぎ合っているのだ。
結局レンから返事がないまま、二人は城の中庭を通りかかった。城内の至る所が修復中の現在、この中庭も例外ではなく、朝から修繕が行なわれている。
修繕に当たる作業者達と、半壊した状態の中庭の光景を目にしたリクトビアの足が止まり、レンもまた同じく足を止めた。粛々と作業進める男達に向かい、先程までの軽い態度が嘘のように、リクトビアは凛とした佇まいで口を開く。
「ここは今よりも沢山の花を植えておいて。ラング君は土いじりが好きだから、絶対に喜んでくれる」
ラングは花を愛でる趣味があり、植物を育てるのが大好きである。彼の好きな花々がいつでも見られるよう、中庭を花で埋め尽くしたいというリクトビアの考えだ。
彼女がラングの名を口にし、彼好みに中庭を作り変えようとしていると知って、レンの眉が一瞬動く。その反応をリクトビアは見逃さなかったが、敢えて何も言わなかった。
レンはリクトビアに忠誠を誓っているのであって、ラングに対しての忠誠心は皆無である。寧ろラングの事を、リクトビアを惑わせる邪魔な存在とさえ考えている。
レンは特別ラングを嫌っているが、彼女のようにリクトビアのみに忠誠心を抱き、今日まで付き従っている者は大勢いる。それだけ勝利の女神リクトビアの持つ魅力が、多くの強者達の心を魅了したのである。
つまりそれは、ラングによる南ローミリアの統治が、リクトビアの力に大きく頼っている事を意味している。風の剣士レン・シャオを始めとした英雄達は、ラングではなくリクトビアの命令だけを守り、戦場を戦い抜いてきた。
女神が持つ求心力が失われてしまったら。もしもリクトビアが戦死するような事があれば、今のラングに英雄達を繋ぎ止める力はなく、彼らは離れていくばかりであるはずだ。
この問題の解決もまた、ラングを守りたいと願うリクトビアの課題になっている。だからと言って、戦場という危険から自分を遠ざけるわけにはいかない。忠臣達は戦うリクトビアに魅了されたからだ。
「ねぇ、レン。好きな花とかある?」
「花に興味などありません」
「私も全然。取り敢えず百合とか植えとけばいいかな?」
「確か百合は毒を持ちますが、宜しいのですか?」
「綺麗なら何でもいいでしょ。後は竜胆でも植えさせといて」
町娘リクトビアはラングとは対照的で、趣味は武芸全般、好きなものは喧嘩に戦という、どうして町娘に生まれてしまったのか理解に苦しむ人物であった。
軍人の家系にでも生まれていれば良かったのだろうが、彼女を知る多くの者達は、生まれてくる時と地を間違えた女だと思っている。天の悪戯なのか運命なのか、実際彼女は物心付いた時から戦う事に興味を持ち、両親に頼んで武芸を学ばせて貰っていたのだから、そもそもこんな世では、女に生まれたのが間違いだったとも言えるだろう。
リクトビアは絶大な才能を秘めており、ラングとの出会いや、南ローミリアでの数々の戦いを経て覚醒した。武神と化した彼女は向かうところ敵なしで、常勝不敗を誇る事になる。
一例を挙げると、以前リクトビアは撤退戦に救援として駆け付け、友軍を追撃する敵を迎え撃った事がある。その時彼女は、「戦って言うのは負け戦の方が面白いのよ」と言って、単騎で敵軍に突撃していった。
遅れて味方が彼女を追って突撃した時には、既に百を超える敵がリクトビアに蹴散らされていた。そしてリクトビアは、敵軍の中を愛馬と共に一気に駆け抜け、敵軍の指揮官を一人で討ってしまったのだ。
この撤退戦は、指揮官を失った敵が撤退した事によって、まさかの勝利に終わる。一人の力が数の力を圧倒した戦闘として、歴史家には創作ではないかと疑われている戦いだが、現実にリクトビアは一騎当千の力を発揮し、犠牲になるはずだった大勢の味方の命を救ったのだ。
このようにリクトビアという女は、武神と呼ばれるに相応しく、戦うために生まれてきた女である。逆に言えば、戦闘に関連する事以外は興味がなく、女らしいところは外見だけと言われる有様だ。
だがリクトビアは、戦いを好むものの、戦いを望んでいるわけではない。信じられない話だが、これでも彼女は、ゼロリアス帝国との戦争が話し合いで解決できるなら、是非そうして欲しいと願っている。
リクトビアは「闘争」が好きなのであり、「殺人」を好んでいるわけではない。しかし戦場で戦う限り、殺し合いは避けられぬ結果である。レンを始めとした忠臣達は、これこそリクトビア最大の矛盾であり、生涯に渡り彼女を苦悩させ続けたと、後に語る。
「我が君の口から花の名が聞けるとは思いませんでした」
「この前ラング君が教えてくれたの。あの人って本当に花が好きだから、名前だけなら鈴蘭とか野苺とかも――――」
揶揄ったつもりでいたレンだが、失敗したと気付いた時には、リクトビアの惚気話が始まってしまった。これが始まると長いため、後悔しながらレンは、憎き男の名と話題を延々と聞かされる羽目になった。
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