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第五十四話 崩壊の序曲
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両脚を撃ち抜かれたヴィヴィアンヌが、反乱軍の兵士によって自由を奪われ、無惨に連行されていく姿を、スコープ越しにずっと見ていた者がいる。彼女の脚を撃った張本人は、スコープから目を離し、うつ伏せの射撃体勢より立ち上がって、大事そうに自らの愛銃を抱えた。
「ねえ⋯⋯⋯、約束は守ったよ?」
振り向いたその狙撃手は、怒りと憎悪に歪んだ表情で、自分を背後から監視していた兵士達を睨みつける。すると、兵の指揮官らしき男が、満足気に下卑た笑みを浮かべて見せる。狙撃手が言う「約束」というのは、どうやら守られたと判断されたらしい。
「死ね⋯⋯⋯」
狙撃手の怒りは尋常ではなかった。何故なら、たった今味方を撃つよう命令され、しかも自分が撃ったその味方は、反乱軍の手に落ちてしまったからだ。仲間想いのこの狙撃手からすれば、自分を殺してしまいたくなる程の怒りが湧く。
「このクソ野郎。僕、お前を絶対殺すから⋯⋯⋯」
ヴィヴィアンヌを撃った狙撃手の名は、イヴ・ベルトーチカ。
無慈悲な堕天使の異名を持つ彼は今、仲間達を裏切り、反乱軍に加担する事になってしまっていた。
ミルアイズに集まった六つの国の軍隊。彼らの目的は、この地に逃げ込んだはずの人物を捕らえ、反乱を成功させる事にあった。
探している人物とは勿論、ヴァスティナ帝国将軍リクトビア・フローレンスである。しかし、炎上する屋敷や防衛陣地を幾ら探しても、彼の姿はおろか、存在した痕跡すら見つからない。
自分達が謀られたと気付くのに、長い時間は必要としなかった。六つの国の軍隊を纏めて指揮する、ブラウブロワの軍の将軍は、消火活動が行われ始めた炎上する屋敷を眺め、謀った本人が運ばれてくるのを待っている。
程なくして、命令通り謀を企んだ張本人が、二人の兵に腕を担がれ無理矢理連れて来られた。
「ふん。無様だな、番犬よ」
「⋯⋯⋯ブラウブロワ軍将軍ザンバ・バッテンリングと見た。将軍自ら、こんなところまでご苦労なことだ」
「ほう? 一目で俺を弟のジルバでなく兄ザンバと見抜いたか。噂通り優秀な奴だな」
双子の弟ジルバでないと直ぐに見抜いた彼女に、敵ながら関心を覚えたザンバは、元アーレンツ情報局員の能力に驚きを隠せなかった。
ザンバ達が捕らえた相手、帝国国防軍親衛隊隊長ヴィヴィアンヌ・アイゼンリーゼは、彼らの手に落ちた。撃たれて動けない両脚はそのままで、抵抗できないよう両手には手枷が嵌められている。彼女の両腕を二人の兵が抱え、周りにも十人以上の兵が待機し、化け物と呼ばれている彼女が暴れ出さぬよう、相手が負傷していても尚警戒している。
脚を負傷し、両手を拘束され、抵抗を封じられても尚相手を威圧するヴィヴィアンヌ。対してザンバは、鎧甲冑を纏っていても見て分かる、自慢の屈強な体格でゆっくりと彼女の目の前に近付き、恐れず彼女の顔を覗き込んだ。
「単刀直入に聞くが、狂犬は今何処だ? 少なくとも、ミルアイズにいないのだけはもう分かっている」
「⋯⋯⋯知らんな。貴様達の探し方が悪いだけだろう?」
挑発するヴィヴィアンヌの頬を、ザンバの張り手が容赦なく打ち付ける。殴られた痛みに声一つ上げず、一瞬で腫れた頬の痛みなど気にせず、再び彼女はザンバを睨みつけた。
「さてはお前、ブラドからの移動の途中で狂犬と別れたな? 奴を何処へ向かわせた?」
「人に聞くばかりでなく、自分の頭で考えてみたらどうだ? 部下に低能が知れるぞ」
またも挑発するヴィヴィアンヌの、あまりにも恐れ知らずの言葉に、ザンバは怒りを露わにするどころか、大声で笑い出した。釣られたようにヴィヴィアンヌも笑うが、周りの兵士達は全員、顔が真っ青になって緊張している。
「ぶわっはははははは!! だから糞生意気な女は嫌いなんだ!」
抵抗できないヴィヴィアンヌの腹に、力を込めたザンバの拳が撃ち込まれる。内臓を押し潰されるような衝撃に、耐え切れず苦痛の声が漏れ、表情も苦し気に歪む。苦しむ彼女の姿を愉しむザンバは、右手で彼女の髪を乱暴に掴んで顔を上げさせ、左手で彼女の首を鷲掴んで締め上げる。
「リクトビアの居場所なぞ、お前に聞かずとも直に判明する。お前の抵抗は無駄な努力なんだよ」
「ぐっ⋯⋯⋯! ううっ⋯⋯⋯!」
「命乞いどころか悲鳴の一つも上げんのか。これは後で愉しめそうだ」
口ではそう言いつつも、まだ殺すわけにはいかないため、ザンバはヴィヴィアンヌから手を離す。この男が予想する通り、リクトビアは最初からミルアイズにはいない。今頃彼は、ヴィヴィアンヌが信頼するレイナ達と共に、安全な場所に到着している頃だ。
反乱軍を撃滅する作戦は失敗したものの、第一目標であるリクトビアの安全確保には成功している。これから自分がどんな目に遭うか分かっていても、リクトビアが無事であるならば、それだけでヴィヴィアンヌはこの先に待つ地獄にも耐えられる。
「おい、この女の怪我はちゃんと治療しておけ。折角の楽しみを出血で死なせては面白くなくなる」
ザンバの命令を受けた兵士達によって、再びヴィヴィアンヌは怪我の治療をするべく連行される。
これが、真面に休める最後の時間と彼女は思う。一先ず役目を終えた事で、眠っていないせいもあって一気に疲れが出たのだ。
ザンバの言葉を恐れもせずに彼女は、兵士達に連れていかれる中で、その意識を闇の中へと落としていく。再び目が覚めた時、自分が地獄に落とされているのだと知りながら⋯⋯⋯。
ミルアイズでの戦いが終結した同時刻。帝国国防軍将軍リクトビアことリックは、リリカ達と共にエステラン国にその身を寄せていた。
彼らがいるのは、エステラン城内のとある離宮である。この離宮はかつて、エステラン国第二王子メロースが、側室を住まわせていたものであった。メロース亡き後、この離宮は客人用のものとなり、今はリック達一行が通されている。
離宮とはいえ、その造りは主城にも劣らぬ立派なもので、滞在に何不自由はない。ブラドの宮殿よりは小さいが、寝室のベッドを始めとした家具は、どれも高級なものばかりであった。
リックがいる寝室は、かつてメロースが使っていた部屋という事もあり、離宮内でも家具の質は群を抜いている。しかしリックは、そんな家具には目も向けず、夜空の月明かりを頼りに、窓から見える離宮の庭園を眺めていた。
「また花ばかり眺めて⋯⋯⋯。そろそろ休む時間だよ」
「すみません、でももうちょっとだけ⋯⋯⋯」
「我儘な子だね。薬のために水を汲んでくるから、この部屋で大人しくしているんだよ。レイナ、少し任せるね」
「はい、リリカ様」
寝室にはリックの世話をするリリカと、彼の警護を担当しているレイナの姿がある。同じく警護を担当しているクリスは、侵入者を警戒して、今は離宮内を巡回中である。
水を汲みに行くべく、リリカが寝室を後にすると、部屋にはリックとレイナだけが残された。二人きりとなった室内で、窓の外を眺めるリックを見つめているレイナが、不安気な彼の表情に気が付く。
「⋯⋯⋯何か、心配事でも?」
「⋯⋯⋯ヴィヴィアンヌさんのことです。俺達の囮になってくれると言って別れましたが、本当に大丈夫か心配で」
リックが心配する思いは、レイナとて同じであった。
ヴィヴィアンヌの作戦は、ブラド公国を護衛部隊と共に脱出した後、道中でリック達と秘かに別れ、彼女達は囮となって行動する事であった。作戦は成功し、道中襲撃を受ける事もなくリック達一行は、本来の目的地であるエステラン国に到着できたのである。
リックの他に同行しているのはリリカと、傍で彼を警護するレイナとクリスに加え、十数人の兵士のみである。これは、リック達の居場所を敵に察知されぬよう、最低限の人数に戦力を絞った結果である。
リックが無事エステラン国に到着できるよう、ヴィヴィアンヌ達囮部隊は、レイナとクリス旗下の戦力を借り受け、親衛隊も置く事で、彼がそこにいるよう敵に思わせる策だった。
その作戦のために、レイナとクリスがいるとは言え、リックを守る戦力は、非常に少ない数となってしまった。対策としてヴィヴィアンヌは、教導任務のため今は南ローミリアにいるヘルベルトと、指揮下の鉄血部隊に連絡を取った。
鉄血部隊には直ちにエステラン国へ向かえと要請され、リック達は彼らの到着を待ち、この国を発つ予定だ。鉄血部隊が護衛に加われば、数百の味方を得るのと同じである。鉄血部隊という護衛戦力が整うまでの間は、この地より動かず、部隊と合流でき次第、南ローミリアを目指して再出発するのだ。
ただ、自分達は良くても、囮役となっているヴィヴィアンヌ達には、敵の注意が全て向く事になってしまう。そんな事は、記憶を失っているリックにも分かる、危険な作戦行動であった。
だからこそ彼女の身が心配なのだが、レイナまでもが彼と同じであってはいけない。不安の色を顔から消したレイナが、少しでも安心させようと薄く笑みを浮かべる。
「御安心下さい閣下。ヴィヴィアンヌは私やクリスを凌ぐ実力者です。親衛隊や第三戦闘団の精鋭に、我が隊まで同行しているのですから、敵に負けるはずなど絶対にありませんよ」
「レイナさん⋯⋯⋯」
「それに、計画では新設の第四戦闘団が彼女達に合流します。第四もいれば、どんな敵も恐れるに足りません」
ヴィヴィアンヌが言う通り、第四戦闘団さえ加われば、ヴィヴィアンヌに敗北はあり得ない。
作戦が漏れるのを防ぐべく、無線封鎖が行われている関係で、ヴィヴィアンヌ達が今どのような状況にあるか、レイナ達はまだ知り得ない。魔法石を基にする似たような連絡手段を、もし何処かで敵が使用していた場合、連絡を傍受される危険があるため、無線の使用は禁止されている。
作戦説明の際、ヴィヴィアンヌはこうした理由で無線を禁止したが、真の理由は、帝国国防軍内の裏切り者を警戒しての事であると、レイナは察している。つまり、無線封鎖の本当の目的は、敵ではなく味方を警戒してのものだった。
ブラド公国での一件は、ホーリスローネ王国を利用した真の黒幕がおり、それは味方の中にいるかもしれないというのが、ヴィヴィアンヌの出した仮説である。真相がどうであれ、情報漏れの警戒に万全を期すという点もあり、レイナは無線封鎖を良しとしている。本心では裏切りなど信じたくはないが、万が一の事態を彼女は警戒しているのだ。
「レイナさんも⋯⋯⋯、ヴィヴィアンヌさんが心配なんですね」
「⋯⋯⋯!」
「考えていることが顔に出るからすぐにわかります。俺を安心してくれようとしたのに、すみません」
リックの言葉がレイナの胸に突き刺さり、彼女を驚愕させる。これをクリスやヴィヴィアンヌに言われるなら分かるが、記憶を失ったはずのリックに言われるとは、思っても見なかったからだ。
自分の悪いところを見抜かれ、レイナは何も言えずに俯いてしまう。そんな彼女の姿を見て、「しまった」と思ったリックが、慌てて彼女へと言葉を続ける。
「ごっ、ごめんなさい! 落ち込ませるつもりは全然なくて⋯⋯⋯!」
「いえ⋯⋯⋯、私が未熟なばかりにこんな⋯⋯⋯」
「わかりやすいのは悪いことばかりじゃありません。レイナさんってすぐ顔に出るから、なんだか可愛くって好きです」
「!?」
気を遣って励まそうとするリックの言葉が、レイナの頬を羞恥で朱に染める。恥ずかしげもなくそんな事が言えるのは、記憶を失っても変わらないのだと、改めてレイナは思う。
愛した者、共に戦ってきた仲間の事を憶えていなくとも、彼は紛れもなくリックなのではないか。そう考えてしまうと、自分達が何を恐れ、何のために彼の記憶が戻るのを願っているのか、彼女には分からなくなりそうに思えた。
「⋯⋯⋯私は、貴方にそんな風に言われるのが、正直苦手です」
「そっ、そうですよね⋯⋯⋯。好きだなんて、女の子の前で軽々しく言ったら―――」
「でも⋯⋯⋯、貴方がそう言ってくれるのが、本当は嬉しい」
何も憶えていなくとも、別人のようになってしまっても、レイナの目の前にいるのは、誰でもないリックなのである。
仲間達は皆、リックの記憶が一日でも早く戻るのを願い続けている。そして彼は、口には出さない皆の思いを悟り、本当は必死に思い出そうとしている。
その証拠に、今もこうして窓の外から花を眺めている。花には、女王ユリーシアとの思い出が詰まっている。花を見ると懐かしい気持ちになるから、彼はずっと花を見つめ続けるのだ。そうすれば、忘れてしまった大切な日々を、きっと取り戻せると信じて⋯⋯⋯。
一人で抱え込んでしまうのは、彼の悪い癖だ。だが、大切な仲間達のためにと思う優しさは、記憶がなくても変わらない。だからこそ、彼がこの先どうなろうとも、彼女が進むべき道は決して変わらない。
「閣下は私のことを、どう思っておいでですか?」
「俺が、レイナさんのことを⋯⋯⋯?」
「貴方が私のことをどう思っていようと、この忠誠は変わりはしません。けれども、貴方にとって私は何なのか、それだけは知りたいんです」
二人きりの場。普段のリックには聞けない事を聞く、絶好の機会だった。
記憶の有無に関わらず、変わらないリック。しかし今の方が、いつもより正直に答えてくれるだろう。彼にとって自分の存在とは何であるか、それを教えてもらえたらなら、度し難い己の欲深な想いを断ち切れる。
気付き始めてしまったこの感情。忠に尽くすだけの、ただの槍ではいられなくなる想い。もし彼が、自分を大切な仲間だと考えているだけならば、こんなものは全て捨て去れる。
「俺にとって、レイナさんは――――」
彼女が望む通りにしようと、リックが言葉を開きかける。だがそれを、突然扉をノックする音が遮ってしまう。ノックの後にすぐ扉が開かれ、巡回から戻って来たクリスが、驚いている二人の様子に怪訝な顔をして見せた。
「人が見回りから帰ってきただけで、幽霊でも見たのかってくらい驚きやがって。まさか⋯⋯⋯⋯⋯⋯、本当に出たんじゃねえだろうな⋯⋯⋯!?」
「あっ、いやその、急に入って来たからびっくりしただけです⋯⋯⋯。ねぇ、レイナさん?」
「⋯⋯⋯破廉恥剣士、ノックするなら許可も取ってから入れ」
「めんどくせぇんだよ。どうせリックと俺達しかいねぇんだから、別に問題ねぇだろ」
ある意味絶妙な瞬間に現れたクリスに、不機嫌になったレイナの睨みが飛ぶ。また面倒な事考えてたのかと、二人の様子から何となく察したクリスは、見回りついでに調達した酒瓶をリックに見せる。
「見ろよリック。離宮の地下で酒蔵を見つけてよ、年代物のいい奴を持って来たんだ。一緒に飲もうぜ」
「気持ちは嬉しいんですが、そろそろ薬を飲んで寝るところで⋯⋯⋯」
「連れねぇこと言うなよ。一杯くらい付き合えって」
「いやでも、今飲んだらきっとリリカさんに怒られ⋯⋯⋯」
断ろうと言いかけたリックが、自分に詰め寄ってきたクリスの背後を見て、恐怖で固まってしまう。こういう時も察しのいいクリスは、背後から伝わる怒りのオーラに気が付いて、恐る恐る振り返った。
クリスが振り向いた真後ろには、水を入れた瓶を片手に、口が笑っているが目が全く笑っていない、明らかに御立腹なリリカの姿があった。
「クリス。嫌がっているリックに無理やりなんて、感心しないね」
「ごっ、誤解だぜリリカ姉さん⋯⋯⋯。俺はリックを元気付けようと――――」
「夜一人で眠れなくなる恐い話を延々と聞かせてあげようか?」
「なななななに言ってんだだだだだ。おおおおおおおれがそんなんにびびびびびるわけ――――」
「実は私達がいるこの離宮はね、夜な夜なエステラン王族を呪って死んだ侍従の怨念が――――」
「頼むから慈悲をくれよ!! 全部俺が悪かったって!!!」
今にも泣き出しそうにしながら、必死に許しを請うクリスの姿を、妖艶な笑みを浮かべて眺めるリリカ。そんな二人の様子を、苦笑いしながら見ているリックの視界の外で、レイナは拳を強く握り締めて俯いてしまう。
(馬鹿か私は⋯⋯⋯。もし望む答えでなかったら、どうにもできないくせに)
その夜、一人苦悩するレイナの想いは変わらないまま、彼らは眠りについた。
そして、未だ彼らは、自分達が気付かぬ間に危機に陥りつつある事を、まだ知る由もない。
「ねえ⋯⋯⋯、約束は守ったよ?」
振り向いたその狙撃手は、怒りと憎悪に歪んだ表情で、自分を背後から監視していた兵士達を睨みつける。すると、兵の指揮官らしき男が、満足気に下卑た笑みを浮かべて見せる。狙撃手が言う「約束」というのは、どうやら守られたと判断されたらしい。
「死ね⋯⋯⋯」
狙撃手の怒りは尋常ではなかった。何故なら、たった今味方を撃つよう命令され、しかも自分が撃ったその味方は、反乱軍の手に落ちてしまったからだ。仲間想いのこの狙撃手からすれば、自分を殺してしまいたくなる程の怒りが湧く。
「このクソ野郎。僕、お前を絶対殺すから⋯⋯⋯」
ヴィヴィアンヌを撃った狙撃手の名は、イヴ・ベルトーチカ。
無慈悲な堕天使の異名を持つ彼は今、仲間達を裏切り、反乱軍に加担する事になってしまっていた。
ミルアイズに集まった六つの国の軍隊。彼らの目的は、この地に逃げ込んだはずの人物を捕らえ、反乱を成功させる事にあった。
探している人物とは勿論、ヴァスティナ帝国将軍リクトビア・フローレンスである。しかし、炎上する屋敷や防衛陣地を幾ら探しても、彼の姿はおろか、存在した痕跡すら見つからない。
自分達が謀られたと気付くのに、長い時間は必要としなかった。六つの国の軍隊を纏めて指揮する、ブラウブロワの軍の将軍は、消火活動が行われ始めた炎上する屋敷を眺め、謀った本人が運ばれてくるのを待っている。
程なくして、命令通り謀を企んだ張本人が、二人の兵に腕を担がれ無理矢理連れて来られた。
「ふん。無様だな、番犬よ」
「⋯⋯⋯ブラウブロワ軍将軍ザンバ・バッテンリングと見た。将軍自ら、こんなところまでご苦労なことだ」
「ほう? 一目で俺を弟のジルバでなく兄ザンバと見抜いたか。噂通り優秀な奴だな」
双子の弟ジルバでないと直ぐに見抜いた彼女に、敵ながら関心を覚えたザンバは、元アーレンツ情報局員の能力に驚きを隠せなかった。
ザンバ達が捕らえた相手、帝国国防軍親衛隊隊長ヴィヴィアンヌ・アイゼンリーゼは、彼らの手に落ちた。撃たれて動けない両脚はそのままで、抵抗できないよう両手には手枷が嵌められている。彼女の両腕を二人の兵が抱え、周りにも十人以上の兵が待機し、化け物と呼ばれている彼女が暴れ出さぬよう、相手が負傷していても尚警戒している。
脚を負傷し、両手を拘束され、抵抗を封じられても尚相手を威圧するヴィヴィアンヌ。対してザンバは、鎧甲冑を纏っていても見て分かる、自慢の屈強な体格でゆっくりと彼女の目の前に近付き、恐れず彼女の顔を覗き込んだ。
「単刀直入に聞くが、狂犬は今何処だ? 少なくとも、ミルアイズにいないのだけはもう分かっている」
「⋯⋯⋯知らんな。貴様達の探し方が悪いだけだろう?」
挑発するヴィヴィアンヌの頬を、ザンバの張り手が容赦なく打ち付ける。殴られた痛みに声一つ上げず、一瞬で腫れた頬の痛みなど気にせず、再び彼女はザンバを睨みつけた。
「さてはお前、ブラドからの移動の途中で狂犬と別れたな? 奴を何処へ向かわせた?」
「人に聞くばかりでなく、自分の頭で考えてみたらどうだ? 部下に低能が知れるぞ」
またも挑発するヴィヴィアンヌの、あまりにも恐れ知らずの言葉に、ザンバは怒りを露わにするどころか、大声で笑い出した。釣られたようにヴィヴィアンヌも笑うが、周りの兵士達は全員、顔が真っ青になって緊張している。
「ぶわっはははははは!! だから糞生意気な女は嫌いなんだ!」
抵抗できないヴィヴィアンヌの腹に、力を込めたザンバの拳が撃ち込まれる。内臓を押し潰されるような衝撃に、耐え切れず苦痛の声が漏れ、表情も苦し気に歪む。苦しむ彼女の姿を愉しむザンバは、右手で彼女の髪を乱暴に掴んで顔を上げさせ、左手で彼女の首を鷲掴んで締め上げる。
「リクトビアの居場所なぞ、お前に聞かずとも直に判明する。お前の抵抗は無駄な努力なんだよ」
「ぐっ⋯⋯⋯! ううっ⋯⋯⋯!」
「命乞いどころか悲鳴の一つも上げんのか。これは後で愉しめそうだ」
口ではそう言いつつも、まだ殺すわけにはいかないため、ザンバはヴィヴィアンヌから手を離す。この男が予想する通り、リクトビアは最初からミルアイズにはいない。今頃彼は、ヴィヴィアンヌが信頼するレイナ達と共に、安全な場所に到着している頃だ。
反乱軍を撃滅する作戦は失敗したものの、第一目標であるリクトビアの安全確保には成功している。これから自分がどんな目に遭うか分かっていても、リクトビアが無事であるならば、それだけでヴィヴィアンヌはこの先に待つ地獄にも耐えられる。
「おい、この女の怪我はちゃんと治療しておけ。折角の楽しみを出血で死なせては面白くなくなる」
ザンバの命令を受けた兵士達によって、再びヴィヴィアンヌは怪我の治療をするべく連行される。
これが、真面に休める最後の時間と彼女は思う。一先ず役目を終えた事で、眠っていないせいもあって一気に疲れが出たのだ。
ザンバの言葉を恐れもせずに彼女は、兵士達に連れていかれる中で、その意識を闇の中へと落としていく。再び目が覚めた時、自分が地獄に落とされているのだと知りながら⋯⋯⋯。
ミルアイズでの戦いが終結した同時刻。帝国国防軍将軍リクトビアことリックは、リリカ達と共にエステラン国にその身を寄せていた。
彼らがいるのは、エステラン城内のとある離宮である。この離宮はかつて、エステラン国第二王子メロースが、側室を住まわせていたものであった。メロース亡き後、この離宮は客人用のものとなり、今はリック達一行が通されている。
離宮とはいえ、その造りは主城にも劣らぬ立派なもので、滞在に何不自由はない。ブラドの宮殿よりは小さいが、寝室のベッドを始めとした家具は、どれも高級なものばかりであった。
リックがいる寝室は、かつてメロースが使っていた部屋という事もあり、離宮内でも家具の質は群を抜いている。しかしリックは、そんな家具には目も向けず、夜空の月明かりを頼りに、窓から見える離宮の庭園を眺めていた。
「また花ばかり眺めて⋯⋯⋯。そろそろ休む時間だよ」
「すみません、でももうちょっとだけ⋯⋯⋯」
「我儘な子だね。薬のために水を汲んでくるから、この部屋で大人しくしているんだよ。レイナ、少し任せるね」
「はい、リリカ様」
寝室にはリックの世話をするリリカと、彼の警護を担当しているレイナの姿がある。同じく警護を担当しているクリスは、侵入者を警戒して、今は離宮内を巡回中である。
水を汲みに行くべく、リリカが寝室を後にすると、部屋にはリックとレイナだけが残された。二人きりとなった室内で、窓の外を眺めるリックを見つめているレイナが、不安気な彼の表情に気が付く。
「⋯⋯⋯何か、心配事でも?」
「⋯⋯⋯ヴィヴィアンヌさんのことです。俺達の囮になってくれると言って別れましたが、本当に大丈夫か心配で」
リックが心配する思いは、レイナとて同じであった。
ヴィヴィアンヌの作戦は、ブラド公国を護衛部隊と共に脱出した後、道中でリック達と秘かに別れ、彼女達は囮となって行動する事であった。作戦は成功し、道中襲撃を受ける事もなくリック達一行は、本来の目的地であるエステラン国に到着できたのである。
リックの他に同行しているのはリリカと、傍で彼を警護するレイナとクリスに加え、十数人の兵士のみである。これは、リック達の居場所を敵に察知されぬよう、最低限の人数に戦力を絞った結果である。
リックが無事エステラン国に到着できるよう、ヴィヴィアンヌ達囮部隊は、レイナとクリス旗下の戦力を借り受け、親衛隊も置く事で、彼がそこにいるよう敵に思わせる策だった。
その作戦のために、レイナとクリスがいるとは言え、リックを守る戦力は、非常に少ない数となってしまった。対策としてヴィヴィアンヌは、教導任務のため今は南ローミリアにいるヘルベルトと、指揮下の鉄血部隊に連絡を取った。
鉄血部隊には直ちにエステラン国へ向かえと要請され、リック達は彼らの到着を待ち、この国を発つ予定だ。鉄血部隊が護衛に加われば、数百の味方を得るのと同じである。鉄血部隊という護衛戦力が整うまでの間は、この地より動かず、部隊と合流でき次第、南ローミリアを目指して再出発するのだ。
ただ、自分達は良くても、囮役となっているヴィヴィアンヌ達には、敵の注意が全て向く事になってしまう。そんな事は、記憶を失っているリックにも分かる、危険な作戦行動であった。
だからこそ彼女の身が心配なのだが、レイナまでもが彼と同じであってはいけない。不安の色を顔から消したレイナが、少しでも安心させようと薄く笑みを浮かべる。
「御安心下さい閣下。ヴィヴィアンヌは私やクリスを凌ぐ実力者です。親衛隊や第三戦闘団の精鋭に、我が隊まで同行しているのですから、敵に負けるはずなど絶対にありませんよ」
「レイナさん⋯⋯⋯」
「それに、計画では新設の第四戦闘団が彼女達に合流します。第四もいれば、どんな敵も恐れるに足りません」
ヴィヴィアンヌが言う通り、第四戦闘団さえ加われば、ヴィヴィアンヌに敗北はあり得ない。
作戦が漏れるのを防ぐべく、無線封鎖が行われている関係で、ヴィヴィアンヌ達が今どのような状況にあるか、レイナ達はまだ知り得ない。魔法石を基にする似たような連絡手段を、もし何処かで敵が使用していた場合、連絡を傍受される危険があるため、無線の使用は禁止されている。
作戦説明の際、ヴィヴィアンヌはこうした理由で無線を禁止したが、真の理由は、帝国国防軍内の裏切り者を警戒しての事であると、レイナは察している。つまり、無線封鎖の本当の目的は、敵ではなく味方を警戒してのものだった。
ブラド公国での一件は、ホーリスローネ王国を利用した真の黒幕がおり、それは味方の中にいるかもしれないというのが、ヴィヴィアンヌの出した仮説である。真相がどうであれ、情報漏れの警戒に万全を期すという点もあり、レイナは無線封鎖を良しとしている。本心では裏切りなど信じたくはないが、万が一の事態を彼女は警戒しているのだ。
「レイナさんも⋯⋯⋯、ヴィヴィアンヌさんが心配なんですね」
「⋯⋯⋯!」
「考えていることが顔に出るからすぐにわかります。俺を安心してくれようとしたのに、すみません」
リックの言葉がレイナの胸に突き刺さり、彼女を驚愕させる。これをクリスやヴィヴィアンヌに言われるなら分かるが、記憶を失ったはずのリックに言われるとは、思っても見なかったからだ。
自分の悪いところを見抜かれ、レイナは何も言えずに俯いてしまう。そんな彼女の姿を見て、「しまった」と思ったリックが、慌てて彼女へと言葉を続ける。
「ごっ、ごめんなさい! 落ち込ませるつもりは全然なくて⋯⋯⋯!」
「いえ⋯⋯⋯、私が未熟なばかりにこんな⋯⋯⋯」
「わかりやすいのは悪いことばかりじゃありません。レイナさんってすぐ顔に出るから、なんだか可愛くって好きです」
「!?」
気を遣って励まそうとするリックの言葉が、レイナの頬を羞恥で朱に染める。恥ずかしげもなくそんな事が言えるのは、記憶を失っても変わらないのだと、改めてレイナは思う。
愛した者、共に戦ってきた仲間の事を憶えていなくとも、彼は紛れもなくリックなのではないか。そう考えてしまうと、自分達が何を恐れ、何のために彼の記憶が戻るのを願っているのか、彼女には分からなくなりそうに思えた。
「⋯⋯⋯私は、貴方にそんな風に言われるのが、正直苦手です」
「そっ、そうですよね⋯⋯⋯。好きだなんて、女の子の前で軽々しく言ったら―――」
「でも⋯⋯⋯、貴方がそう言ってくれるのが、本当は嬉しい」
何も憶えていなくとも、別人のようになってしまっても、レイナの目の前にいるのは、誰でもないリックなのである。
仲間達は皆、リックの記憶が一日でも早く戻るのを願い続けている。そして彼は、口には出さない皆の思いを悟り、本当は必死に思い出そうとしている。
その証拠に、今もこうして窓の外から花を眺めている。花には、女王ユリーシアとの思い出が詰まっている。花を見ると懐かしい気持ちになるから、彼はずっと花を見つめ続けるのだ。そうすれば、忘れてしまった大切な日々を、きっと取り戻せると信じて⋯⋯⋯。
一人で抱え込んでしまうのは、彼の悪い癖だ。だが、大切な仲間達のためにと思う優しさは、記憶がなくても変わらない。だからこそ、彼がこの先どうなろうとも、彼女が進むべき道は決して変わらない。
「閣下は私のことを、どう思っておいでですか?」
「俺が、レイナさんのことを⋯⋯⋯?」
「貴方が私のことをどう思っていようと、この忠誠は変わりはしません。けれども、貴方にとって私は何なのか、それだけは知りたいんです」
二人きりの場。普段のリックには聞けない事を聞く、絶好の機会だった。
記憶の有無に関わらず、変わらないリック。しかし今の方が、いつもより正直に答えてくれるだろう。彼にとって自分の存在とは何であるか、それを教えてもらえたらなら、度し難い己の欲深な想いを断ち切れる。
気付き始めてしまったこの感情。忠に尽くすだけの、ただの槍ではいられなくなる想い。もし彼が、自分を大切な仲間だと考えているだけならば、こんなものは全て捨て去れる。
「俺にとって、レイナさんは――――」
彼女が望む通りにしようと、リックが言葉を開きかける。だがそれを、突然扉をノックする音が遮ってしまう。ノックの後にすぐ扉が開かれ、巡回から戻って来たクリスが、驚いている二人の様子に怪訝な顔をして見せた。
「人が見回りから帰ってきただけで、幽霊でも見たのかってくらい驚きやがって。まさか⋯⋯⋯⋯⋯⋯、本当に出たんじゃねえだろうな⋯⋯⋯!?」
「あっ、いやその、急に入って来たからびっくりしただけです⋯⋯⋯。ねぇ、レイナさん?」
「⋯⋯⋯破廉恥剣士、ノックするなら許可も取ってから入れ」
「めんどくせぇんだよ。どうせリックと俺達しかいねぇんだから、別に問題ねぇだろ」
ある意味絶妙な瞬間に現れたクリスに、不機嫌になったレイナの睨みが飛ぶ。また面倒な事考えてたのかと、二人の様子から何となく察したクリスは、見回りついでに調達した酒瓶をリックに見せる。
「見ろよリック。離宮の地下で酒蔵を見つけてよ、年代物のいい奴を持って来たんだ。一緒に飲もうぜ」
「気持ちは嬉しいんですが、そろそろ薬を飲んで寝るところで⋯⋯⋯」
「連れねぇこと言うなよ。一杯くらい付き合えって」
「いやでも、今飲んだらきっとリリカさんに怒られ⋯⋯⋯」
断ろうと言いかけたリックが、自分に詰め寄ってきたクリスの背後を見て、恐怖で固まってしまう。こういう時も察しのいいクリスは、背後から伝わる怒りのオーラに気が付いて、恐る恐る振り返った。
クリスが振り向いた真後ろには、水を入れた瓶を片手に、口が笑っているが目が全く笑っていない、明らかに御立腹なリリカの姿があった。
「クリス。嫌がっているリックに無理やりなんて、感心しないね」
「ごっ、誤解だぜリリカ姉さん⋯⋯⋯。俺はリックを元気付けようと――――」
「夜一人で眠れなくなる恐い話を延々と聞かせてあげようか?」
「なななななに言ってんだだだだだ。おおおおおおおれがそんなんにびびびびびるわけ――――」
「実は私達がいるこの離宮はね、夜な夜なエステラン王族を呪って死んだ侍従の怨念が――――」
「頼むから慈悲をくれよ!! 全部俺が悪かったって!!!」
今にも泣き出しそうにしながら、必死に許しを請うクリスの姿を、妖艶な笑みを浮かべて眺めるリリカ。そんな二人の様子を、苦笑いしながら見ているリックの視界の外で、レイナは拳を強く握り締めて俯いてしまう。
(馬鹿か私は⋯⋯⋯。もし望む答えでなかったら、どうにもできないくせに)
その夜、一人苦悩するレイナの想いは変わらないまま、彼らは眠りについた。
そして、未だ彼らは、自分達が気付かぬ間に危機に陥りつつある事を、まだ知る由もない。
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