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第二十話 揃いし力
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「うおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」
「うるせぇぞ!!少しは黙って戦えねぇのか!?」
旧ラムサスの街跡地。
ここでは今、ヴァスティナ帝国軍所属の部隊が、この地に住み着いてしまった魔物と戦闘状態にあった。街の復興のために、魔物討伐計画を実行に移した帝国軍は、まずは様子見として、威力偵察のために部隊を展開したのである。
部隊の指揮官は、帝国参謀長の左腕であり、帝国一の剣士クリスティアーノ・レッドフォード。部隊は彼が鍛えている剣士達で構成されており、威力偵察だけでなく、彼らの訓練も兼ねられていた。
その構成の中で、先程から一際目立つ存在が一人いる。何が目立つのかと聞かれれば、とにかく声が騒音レベルで五月蠅いのだ。
「くらええええええええええええっ!!」
雄叫びを上げて魔物達へ突撃する、とにかく叫ぶこの男。まだ帝国軍に来て日が浅く、所属や役職も決まっていないため、取りあえず魔物討伐に従軍させ、その実力を計ろうとしたのだが・・・・・・。
「でやあ!!」
気合と共に振った拳が、体長六十センチ程度の昆虫型の魔物を殴る。その威力は中々のものであり、一発でその魔物を殴り殺して見せた。だが彼は、何も考えずに魔物の群れの中へ突撃したため、周りを他の魔物に囲まれてしまう。
「はあ!せい!やあああああああああ!!!」
殴り、蹴り、また叫ぶ。しかし、たった一人では数で勝る魔物が有利だ。一人、魔物に囲まれながらも奮闘しているが、確実に彼は追い詰められている。囲まれてしまったために逃げ場もない。
「奔れ、雷光!」
「!?」
奮闘する彼の周りに、突然何本もの雷が落ち、魔物達を感電死させていく。これは、クリスが放つ雷属性の魔法攻撃である。
彼の周りを囲んでいた魔物達は、雷魔法で一網打尽となり、そのほとんどが感電死してしまった。魔物のほとんどは、大小様々な種類の昆虫型である。この程度の魔物ならば、魔法攻撃だけで一撃で死ぬ。クリスからすれば、害虫駆除のようなものだろう。簡単な仕事だ。
それでも、常に素手で戦う彼にとっては、無駄に苦労する仕事と言えるだろう。
「この特攻馬鹿!勝手に突っ走るのもいい加減にしやがれ!!」
「助かったぜクリス!」
雷魔法に助けられ、再度突撃を開始しようとしているこの男。
彼の名はライガ・イカルガ。最近になって帝国軍の一人となった、自称正義の味方である。
「オレはまだ負けてない!いくぞおおおおおおおおお!!」
「だから一人で突っ走んなって言ってんだろうが!!」
クリスの制止も聞かず、再度魔物の群れに突撃をかけたライガ。
結果は予想通り・・・・・・・。
「くっそおおおおおおお!また囲まれたか!!」
本日彼は、このノリで五回はこうなっている。その度にクリスが手助けしているのだが、流石の彼も我慢の限界だった。
しかし、ライガを助けろと言う命令を、クリスは自分の愛する男に命令されている以上、助けないわけにはいかなかった。
「はあ・・・・・・、勘弁してくれ・・・・・・」
「うるせぇぞ!!少しは黙って戦えねぇのか!?」
旧ラムサスの街跡地。
ここでは今、ヴァスティナ帝国軍所属の部隊が、この地に住み着いてしまった魔物と戦闘状態にあった。街の復興のために、魔物討伐計画を実行に移した帝国軍は、まずは様子見として、威力偵察のために部隊を展開したのである。
部隊の指揮官は、帝国参謀長の左腕であり、帝国一の剣士クリスティアーノ・レッドフォード。部隊は彼が鍛えている剣士達で構成されており、威力偵察だけでなく、彼らの訓練も兼ねられていた。
その構成の中で、先程から一際目立つ存在が一人いる。何が目立つのかと聞かれれば、とにかく声が騒音レベルで五月蠅いのだ。
「くらええええええええええええっ!!」
雄叫びを上げて魔物達へ突撃する、とにかく叫ぶこの男。まだ帝国軍に来て日が浅く、所属や役職も決まっていないため、取りあえず魔物討伐に従軍させ、その実力を計ろうとしたのだが・・・・・・。
「でやあ!!」
気合と共に振った拳が、体長六十センチ程度の昆虫型の魔物を殴る。その威力は中々のものであり、一発でその魔物を殴り殺して見せた。だが彼は、何も考えずに魔物の群れの中へ突撃したため、周りを他の魔物に囲まれてしまう。
「はあ!せい!やあああああああああ!!!」
殴り、蹴り、また叫ぶ。しかし、たった一人では数で勝る魔物が有利だ。一人、魔物に囲まれながらも奮闘しているが、確実に彼は追い詰められている。囲まれてしまったために逃げ場もない。
「奔れ、雷光!」
「!?」
奮闘する彼の周りに、突然何本もの雷が落ち、魔物達を感電死させていく。これは、クリスが放つ雷属性の魔法攻撃である。
彼の周りを囲んでいた魔物達は、雷魔法で一網打尽となり、そのほとんどが感電死してしまった。魔物のほとんどは、大小様々な種類の昆虫型である。この程度の魔物ならば、魔法攻撃だけで一撃で死ぬ。クリスからすれば、害虫駆除のようなものだろう。簡単な仕事だ。
それでも、常に素手で戦う彼にとっては、無駄に苦労する仕事と言えるだろう。
「この特攻馬鹿!勝手に突っ走るのもいい加減にしやがれ!!」
「助かったぜクリス!」
雷魔法に助けられ、再度突撃を開始しようとしているこの男。
彼の名はライガ・イカルガ。最近になって帝国軍の一人となった、自称正義の味方である。
「オレはまだ負けてない!いくぞおおおおおおおおお!!」
「だから一人で突っ走んなって言ってんだろうが!!」
クリスの制止も聞かず、再度魔物の群れに突撃をかけたライガ。
結果は予想通り・・・・・・・。
「くっそおおおおおおお!また囲まれたか!!」
本日彼は、このノリで五回はこうなっている。その度にクリスが手助けしているのだが、流石の彼も我慢の限界だった。
しかし、ライガを助けろと言う命令を、クリスは自分の愛する男に命令されている以上、助けないわけにはいかなかった。
「はあ・・・・・・、勘弁してくれ・・・・・・」
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