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第十四話 贖罪
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参謀長命令により、密かに行動を開始したエミリオ。
彼は今、リックが呼び集めるように言った者たちの所へと、急ぎ足で向かっている最中である。
そんな中、命令を下したリックは、エミリオには頼まなかった、ある少女を呼ぶために、彼女の寝室前に訪れていた。この少女だけは、リック自身が連れて行かなければならない。その責任がある。
「メイファ、部屋にいるな」
扉をノックして、中にいるはずの少女に呼びかける。返事はやはりなかった。
「入るぞ」
許しを得ず、勝手に少女の寝室へと入ったリックは、部屋の中を見まわして、少女を探す。
リックの専属メイド、メイファの姿はそこにあった。ベッドの上に足を崩して座り、気力を失くして俯いている。彼女もまた、リックと同じように絶望の底にいるのだ。
「来い。話がある」
「・・・・・・ご主人様・・・・・?」
光を失った目をして、部屋に無断で入室したリックを見て、彼女は呟いた。
信じられないものを見たかのような、そんな表情をしている。彼女の目は、どうしてここに貴方がいるのだと、そう言っていた。
「立ち直ったんですね・・・・・・」
リックもメイファも、酷い顔をしている。泣き腫らした表情を隠そうともせず、リックの瞳を彼女は見つめた。
彼の瞳は死んでいる。にもかかわらず、瞳の奥底には怒りの炎が灯っている。
「女王を死なせてしまった、自分への怒りで立ち直った。そんなところですか・・・・・」
「・・・・・・」
「ご主人様のように立ち直るなんて、私には無理です。いっそこのまま死んで逃げ出したい。もう、私の事は放っておいてください・・・・・」
ここまで弱り切った彼女は、今まで見た事がない。
初めて出会った時も、メイファは希望の光を失っていた。しかし今の彼女は、出会った時よりも酷く苦しんでいる。最早、生きる気力も失いかけていた。
「死ぬのは許さない。お前には、果たすべき責任がある」
「何を言って―――――」
「マストール宰相から、全部聞いた」
「・・・・・!?」
マストール。今は亡き、帝国の偉大な宰相の名前だ。
帝国のために己の人生を全て捧げ、最後の瞬間まで女王に忠義を尽くした、老人の名前。
リックが苦手とし、同時に尊敬していた、女王ユリーシアの真の忠臣。
彼が死の間際にリックへと託した、帝国の隠された真実。その鍵を握るのは、この少女である。
「無理やりにでも連れて行く。これは、お前と帝国の未来が懸かった話だ」
「・・・・・・好きにしてください」
少女の手を引いて、彼はメイファを部屋から連れ出した。
自分で言った通り、彼女は文句の一つも言わなかった。
彼は今、リックが呼び集めるように言った者たちの所へと、急ぎ足で向かっている最中である。
そんな中、命令を下したリックは、エミリオには頼まなかった、ある少女を呼ぶために、彼女の寝室前に訪れていた。この少女だけは、リック自身が連れて行かなければならない。その責任がある。
「メイファ、部屋にいるな」
扉をノックして、中にいるはずの少女に呼びかける。返事はやはりなかった。
「入るぞ」
許しを得ず、勝手に少女の寝室へと入ったリックは、部屋の中を見まわして、少女を探す。
リックの専属メイド、メイファの姿はそこにあった。ベッドの上に足を崩して座り、気力を失くして俯いている。彼女もまた、リックと同じように絶望の底にいるのだ。
「来い。話がある」
「・・・・・・ご主人様・・・・・?」
光を失った目をして、部屋に無断で入室したリックを見て、彼女は呟いた。
信じられないものを見たかのような、そんな表情をしている。彼女の目は、どうしてここに貴方がいるのだと、そう言っていた。
「立ち直ったんですね・・・・・・」
リックもメイファも、酷い顔をしている。泣き腫らした表情を隠そうともせず、リックの瞳を彼女は見つめた。
彼の瞳は死んでいる。にもかかわらず、瞳の奥底には怒りの炎が灯っている。
「女王を死なせてしまった、自分への怒りで立ち直った。そんなところですか・・・・・」
「・・・・・・」
「ご主人様のように立ち直るなんて、私には無理です。いっそこのまま死んで逃げ出したい。もう、私の事は放っておいてください・・・・・」
ここまで弱り切った彼女は、今まで見た事がない。
初めて出会った時も、メイファは希望の光を失っていた。しかし今の彼女は、出会った時よりも酷く苦しんでいる。最早、生きる気力も失いかけていた。
「死ぬのは許さない。お前には、果たすべき責任がある」
「何を言って―――――」
「マストール宰相から、全部聞いた」
「・・・・・!?」
マストール。今は亡き、帝国の偉大な宰相の名前だ。
帝国のために己の人生を全て捧げ、最後の瞬間まで女王に忠義を尽くした、老人の名前。
リックが苦手とし、同時に尊敬していた、女王ユリーシアの真の忠臣。
彼が死の間際にリックへと託した、帝国の隠された真実。その鍵を握るのは、この少女である。
「無理やりにでも連れて行く。これは、お前と帝国の未来が懸かった話だ」
「・・・・・・好きにしてください」
少女の手を引いて、彼はメイファを部屋から連れ出した。
自分で言った通り、彼女は文句の一つも言わなかった。
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