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第三十八話 帝国の狂犬
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作戦会議を終えた櫂斗達は、明日のためにもう休もうと、自分達の天幕へと戻っていった。明日は日の出と共に動き出すため、朝は早い。万全の体調で戦いに臨むためにも、早く休む必要があった。
「いよいよ明日か⋯⋯⋯」
「あれ櫂斗、もしかしてビビっちゃってる?」
「ばっ、馬鹿言うんじゃない!俺には勇者の聖剣があるんだし、それに―――――――」
「あれだけ自信満々に任せろって言っておいてそれなの?みんなの前でカッコ付けちゃって」
「うるさいな⋯⋯⋯。いいだろ別に、俺だってカッコ付けたかったんだから」
天幕に戻る道中、先程の作戦会議での事を話していた櫂斗と悠紀。真夜と華夜、それにルークは二人の会話を聞きながら、二人と一緒に歩みを進めていた。
「あの王子様が頭まで下げて頼んだから、自信あるように見せたんでしょ?指揮なんて出来るわけないのに」
「やる前から出来ない認定かよ⋯⋯⋯⋯」
「櫂斗ってさ、自分じゃいつも解決できないくせに、昔から困ってる人を放っておけないよね」
「かっ、解決してるだろ。半分くらい⋯⋯⋯⋯」
「あとの半分はいつも私が解決させられてるの。今回は私でも解決できないんだからね」
「わかってるよ、それくらい⋯⋯⋯⋯。でも、あそこでああ言わなきゃ王子様が可哀想じゃないかよ」
あの場で櫂斗は、いつもの憧れと無知から、自信満々にやると宣言したわけではない。あの場で彼は、頭を下げたアリオンの面子を守るため、要請を承諾したのである。
幼馴染の悠紀は知っている。よく櫂斗は馬鹿だと言われるが、彼女自身も馬鹿だと言うが、本当に彼は馬鹿で優しいのだ。困っている人、助けを求めている人を放ってはおけず、彼女が言う通り解決できる力も術も持たずに、誰であっても助けようとしてしまうのである。
今回もそうだと直ぐに気付いた悠紀は、あの場で彼を止める事も出来た。それをしなかったのは、どんな状況でも、どんな相手でも、困ってる人間を救おうと我武者羅な彼が、昔から好きだったから⋯⋯⋯⋯⋯。
「馬鹿だけどそういうところはかっこいいんだから」
「おお櫂斗、馬鹿のくせにカッコいいところあるじゃんかよ」
「そうね。馬鹿だけど少し見直したわ」
「馬鹿⋯⋯⋯⋯⋯」
「あのー、皆さん。馬鹿は余計なんでやめてもらえませんか⋯⋯⋯⋯」
櫂斗と悠紀の会話のお陰で、五人の勇者達の間に笑いが起こる。真夜の傍で華夜も小さく笑っていた。
明日は大きな戦いになる。実戦慣れしているルークですら、これだけの規模の戦いは初めてだ。五人共、明日の戦いに緊張していたのである。彼らの間に起こった笑いによって、戦いへの緊張は少し和らいだ。
「取り敢えず、櫂斗を揶揄うのはこれくらいにして⋯⋯⋯⋯⋯」
「これくらいって⋯⋯⋯⋯」
「真面目な話、明日は今まで以上に大変になると思う。王子様は無茶を言ってきたけど、ぶっちゃけあんな奴の命令に忠実に従いたくない」
櫂斗やルークと違い、悠紀や真夜はアリオンの事を嫌っている。憎んでいるとさえ言っていい。自分達が今こんな目に遭っているのも、全て彼のせいであるからだ。
「早水さんの言う通りね。いざとなったら、自分達の命を優先して逃げてしまっていいと思うわ」
「そうですよ。あんな無責任で自分勝手な王子なんか―――――――」
「それは違います!!」
アリオンを嫌う悠紀の言葉を遮ったのは、いつの間にか彼女達の後ろにいたアニッシュであった。珍しく彼は声を荒げ、悠紀の発言を全力で否定したのである。
「アニッシュ君!?びっくりした⋯⋯⋯⋯」
「すみません、皆さんがとても緊張なさっているようだったので、心配になって後を追ってきたんです」
「それは分かったけど⋯⋯⋯⋯、どうしてあんな奴を庇うの?」
アニッシュとアリオンは友人などの関係ではない。互いに違う国で生まれ育った他人である。しかも、アニッシュは騎士で、アリオンは王族だ。生まれた国も違えば、生まれ育った環境も違う。互いに会話をした事すらないのである。
だがアニッシュは、アリオンに対しての悠紀の言葉を無視できなかった。故に、自分でも驚いてしまうほど、声を荒げて否定してしまったのである。
「アリオン王子は以前、チャルコとへスカルを救って下さったんです」
「えっ⋯⋯⋯⋯?」
「あれはまだ、オーデル王国が存在していた頃の話です。チャルコとへスカルの騎士団が合同で盗賊団の討伐に出陣したのですが、騎士団は盗賊と間違えて、オーデルの商人を弓で射殺してしまったんです」
独裁国家ジエーデル国に滅ぼされた、滅亡した国家オーデル王国。アニッシュが語るこの話は、オーデル王国がまだ存在していた頃の、四年以上前の話になる。
「この事故をオーデル王国は許さず、チャルコとへスカルはオーデルと緊張状態になってしまいました。あのままの状態が続いていたら、戦争にまで発展していたかもしれません」
「それが王子様とどう関係があるの?」
「アリオン王子は正義感が強く、ローミリアの平和を心から願っています。平和のために祈りを捧げるグラーフ教を信奉する国同士、決して争ってはならないと、王子はオーデル王を説得しました」
北の大国の王子が、南の大国と小国の揉め事に口を出す。互いにグラーフ教を信奉している事以外、何の関係もない国同士だ。それにも関わらずアリオンは、偶然自分の耳に入ったこの事件を、一滴の血も流す事なく解決したいと考えた。
何の見返りも求めず、ローミリア大陸の秩序と平和を願い、己の正義を信じて⋯⋯⋯。
「ホーリスローネ王国王子の言葉。それにグラーフ教の名を出されてしまっては、オーデル王も説得を無視するわけにはいかなかった。オーデル王はアリオン王子の説得に折れ、チャルコとへスカルを許しました」
「話を聞く限り、チャルコとへスカルが王子様に恩を感じる気持ちは分かったわ。でも、アニッシュ君が王子様にそんなにも熱くなる理由ってなんなの?」
この話は四年も前の国の危機であり、アニッシュ個人に関係している話ではない。アリオンに恩を感じるのは尤もかもしれないが、そこまで熱くなっているのは何故か?その理由を悠紀は彼に問うた。
「⋯⋯⋯⋯賊と間違えて商人を射殺してしまったのは、僕の父なんです」
「⋯⋯⋯⋯!」
「オーデル王は商人を殺した者の処刑を求めていました。あのままだったら、父は命を絶たなくてはならなかった。平和を願う王子の行動のお陰で、僕の父は救われたんです」
アニッシュにとって、自分の父親は最後の肉親である。母親は彼が幼い時にこの世を去り、祖父も祖母も亡くなっている。彼をここまで立派に育て上げたのは、父であるユルだった。
ユルは男手一つで彼を育て、アニッシュは幼い時から彼の背中を見続けて育った。アニッシュにとってユルは、世界でたった一人の親であり、自分が尊敬する偉大な父なのだ。そんな父を救ってくれたアリオンに、アニッシュは深い恩義を感じているのである。
「王子は僕の父を救うためではなく、他国の争いを止めるためにオーデル王を説得した。もちろんそれは分かっていますが、結果として僕のたった一人の家族を救ってくれた。だから今度は、僕が王子を御助けする番なんです」
「アニッシュ君⋯⋯⋯⋯」
「王子の力になりたいと思っているのは僕だけじゃありません。チャルコ騎士団もヘスカル騎士団も、王子に深く感謝しています。二つの騎士団が真っ直ぐ大陸中央を目指さず、先に王国軍に合流したのは、一刻も早くアリオン王子の力になりたかったからなんです」
アニッシュの言う通り、チャルコの騎士達もへスカルの騎士達も、オーデルとの戦争を止めてくれたアリオンに、今でも深く感謝している。彼がいなければ、大国であったオーデル王国に国は焼かれ、多くの民が殺されていたかもしれない。騎士達が最も恐れる悲劇を、アリオンは止めたのだ。
その恩義に報いるために、騎士団はまずホーリスローネ王国軍と合流した。四年も前の事であっても、報いらなくてはならない大恩がある。王国軍を率いているのがアリオンだと知り、彼らは全力で馬を走らせ、南ローミリアから遥々馳せ参じたのだ。
「アニッシュ君の気持ちは分かった。けどごめん⋯⋯⋯、それでも私はあいつが嫌い」
「ハヤミさん⋯⋯⋯⋯」
「でもね、あいつのことは嫌いだけど、アニッシュ君達の力になりたいとは思ったよ。だから今夜はもう許して」
アニッシュ達の気持ちは理解できても、アリオンの事を許す事は出来ない。その心が変わらない悠紀は、この話を止めようとしていた。これ以上アニッシュがアリオンを庇うと、憎くない彼までも嫌いになってしまいそうになるからだ。
俯きながらそう口にした悠紀の言葉で、アニッシュは彼女の気持ちを察して口を閉じた。誰も口を開かない、沈黙の時間がゆっくりと流れていく。皆がどうしていいか分からず、誰も何も口を開けずにいた。
そんな中、アニッシュが語り出してから、表情に影を落としている人物が一人いる。その人物とはルークであった。彼はアニッシュの言葉で大切な記憶を呼び覚まし、その瞳に深い悲しみを浮べていた。
ただ一人、悲しみに暮れるルークの様子に、気付いた者は誰もいなかった。その様子に気付ける精神の余裕は、今の彼らには無かったのである。
「いよいよ明日か⋯⋯⋯」
「あれ櫂斗、もしかしてビビっちゃってる?」
「ばっ、馬鹿言うんじゃない!俺には勇者の聖剣があるんだし、それに―――――――」
「あれだけ自信満々に任せろって言っておいてそれなの?みんなの前でカッコ付けちゃって」
「うるさいな⋯⋯⋯。いいだろ別に、俺だってカッコ付けたかったんだから」
天幕に戻る道中、先程の作戦会議での事を話していた櫂斗と悠紀。真夜と華夜、それにルークは二人の会話を聞きながら、二人と一緒に歩みを進めていた。
「あの王子様が頭まで下げて頼んだから、自信あるように見せたんでしょ?指揮なんて出来るわけないのに」
「やる前から出来ない認定かよ⋯⋯⋯⋯」
「櫂斗ってさ、自分じゃいつも解決できないくせに、昔から困ってる人を放っておけないよね」
「かっ、解決してるだろ。半分くらい⋯⋯⋯⋯」
「あとの半分はいつも私が解決させられてるの。今回は私でも解決できないんだからね」
「わかってるよ、それくらい⋯⋯⋯⋯。でも、あそこでああ言わなきゃ王子様が可哀想じゃないかよ」
あの場で櫂斗は、いつもの憧れと無知から、自信満々にやると宣言したわけではない。あの場で彼は、頭を下げたアリオンの面子を守るため、要請を承諾したのである。
幼馴染の悠紀は知っている。よく櫂斗は馬鹿だと言われるが、彼女自身も馬鹿だと言うが、本当に彼は馬鹿で優しいのだ。困っている人、助けを求めている人を放ってはおけず、彼女が言う通り解決できる力も術も持たずに、誰であっても助けようとしてしまうのである。
今回もそうだと直ぐに気付いた悠紀は、あの場で彼を止める事も出来た。それをしなかったのは、どんな状況でも、どんな相手でも、困ってる人間を救おうと我武者羅な彼が、昔から好きだったから⋯⋯⋯⋯⋯。
「馬鹿だけどそういうところはかっこいいんだから」
「おお櫂斗、馬鹿のくせにカッコいいところあるじゃんかよ」
「そうね。馬鹿だけど少し見直したわ」
「馬鹿⋯⋯⋯⋯⋯」
「あのー、皆さん。馬鹿は余計なんでやめてもらえませんか⋯⋯⋯⋯」
櫂斗と悠紀の会話のお陰で、五人の勇者達の間に笑いが起こる。真夜の傍で華夜も小さく笑っていた。
明日は大きな戦いになる。実戦慣れしているルークですら、これだけの規模の戦いは初めてだ。五人共、明日の戦いに緊張していたのである。彼らの間に起こった笑いによって、戦いへの緊張は少し和らいだ。
「取り敢えず、櫂斗を揶揄うのはこれくらいにして⋯⋯⋯⋯⋯」
「これくらいって⋯⋯⋯⋯」
「真面目な話、明日は今まで以上に大変になると思う。王子様は無茶を言ってきたけど、ぶっちゃけあんな奴の命令に忠実に従いたくない」
櫂斗やルークと違い、悠紀や真夜はアリオンの事を嫌っている。憎んでいるとさえ言っていい。自分達が今こんな目に遭っているのも、全て彼のせいであるからだ。
「早水さんの言う通りね。いざとなったら、自分達の命を優先して逃げてしまっていいと思うわ」
「そうですよ。あんな無責任で自分勝手な王子なんか―――――――」
「それは違います!!」
アリオンを嫌う悠紀の言葉を遮ったのは、いつの間にか彼女達の後ろにいたアニッシュであった。珍しく彼は声を荒げ、悠紀の発言を全力で否定したのである。
「アニッシュ君!?びっくりした⋯⋯⋯⋯」
「すみません、皆さんがとても緊張なさっているようだったので、心配になって後を追ってきたんです」
「それは分かったけど⋯⋯⋯⋯、どうしてあんな奴を庇うの?」
アニッシュとアリオンは友人などの関係ではない。互いに違う国で生まれ育った他人である。しかも、アニッシュは騎士で、アリオンは王族だ。生まれた国も違えば、生まれ育った環境も違う。互いに会話をした事すらないのである。
だがアニッシュは、アリオンに対しての悠紀の言葉を無視できなかった。故に、自分でも驚いてしまうほど、声を荒げて否定してしまったのである。
「アリオン王子は以前、チャルコとへスカルを救って下さったんです」
「えっ⋯⋯⋯⋯?」
「あれはまだ、オーデル王国が存在していた頃の話です。チャルコとへスカルの騎士団が合同で盗賊団の討伐に出陣したのですが、騎士団は盗賊と間違えて、オーデルの商人を弓で射殺してしまったんです」
独裁国家ジエーデル国に滅ぼされた、滅亡した国家オーデル王国。アニッシュが語るこの話は、オーデル王国がまだ存在していた頃の、四年以上前の話になる。
「この事故をオーデル王国は許さず、チャルコとへスカルはオーデルと緊張状態になってしまいました。あのままの状態が続いていたら、戦争にまで発展していたかもしれません」
「それが王子様とどう関係があるの?」
「アリオン王子は正義感が強く、ローミリアの平和を心から願っています。平和のために祈りを捧げるグラーフ教を信奉する国同士、決して争ってはならないと、王子はオーデル王を説得しました」
北の大国の王子が、南の大国と小国の揉め事に口を出す。互いにグラーフ教を信奉している事以外、何の関係もない国同士だ。それにも関わらずアリオンは、偶然自分の耳に入ったこの事件を、一滴の血も流す事なく解決したいと考えた。
何の見返りも求めず、ローミリア大陸の秩序と平和を願い、己の正義を信じて⋯⋯⋯。
「ホーリスローネ王国王子の言葉。それにグラーフ教の名を出されてしまっては、オーデル王も説得を無視するわけにはいかなかった。オーデル王はアリオン王子の説得に折れ、チャルコとへスカルを許しました」
「話を聞く限り、チャルコとへスカルが王子様に恩を感じる気持ちは分かったわ。でも、アニッシュ君が王子様にそんなにも熱くなる理由ってなんなの?」
この話は四年も前の国の危機であり、アニッシュ個人に関係している話ではない。アリオンに恩を感じるのは尤もかもしれないが、そこまで熱くなっているのは何故か?その理由を悠紀は彼に問うた。
「⋯⋯⋯⋯賊と間違えて商人を射殺してしまったのは、僕の父なんです」
「⋯⋯⋯⋯!」
「オーデル王は商人を殺した者の処刑を求めていました。あのままだったら、父は命を絶たなくてはならなかった。平和を願う王子の行動のお陰で、僕の父は救われたんです」
アニッシュにとって、自分の父親は最後の肉親である。母親は彼が幼い時にこの世を去り、祖父も祖母も亡くなっている。彼をここまで立派に育て上げたのは、父であるユルだった。
ユルは男手一つで彼を育て、アニッシュは幼い時から彼の背中を見続けて育った。アニッシュにとってユルは、世界でたった一人の親であり、自分が尊敬する偉大な父なのだ。そんな父を救ってくれたアリオンに、アニッシュは深い恩義を感じているのである。
「王子は僕の父を救うためではなく、他国の争いを止めるためにオーデル王を説得した。もちろんそれは分かっていますが、結果として僕のたった一人の家族を救ってくれた。だから今度は、僕が王子を御助けする番なんです」
「アニッシュ君⋯⋯⋯⋯」
「王子の力になりたいと思っているのは僕だけじゃありません。チャルコ騎士団もヘスカル騎士団も、王子に深く感謝しています。二つの騎士団が真っ直ぐ大陸中央を目指さず、先に王国軍に合流したのは、一刻も早くアリオン王子の力になりたかったからなんです」
アニッシュの言う通り、チャルコの騎士達もへスカルの騎士達も、オーデルとの戦争を止めてくれたアリオンに、今でも深く感謝している。彼がいなければ、大国であったオーデル王国に国は焼かれ、多くの民が殺されていたかもしれない。騎士達が最も恐れる悲劇を、アリオンは止めたのだ。
その恩義に報いるために、騎士団はまずホーリスローネ王国軍と合流した。四年も前の事であっても、報いらなくてはならない大恩がある。王国軍を率いているのがアリオンだと知り、彼らは全力で馬を走らせ、南ローミリアから遥々馳せ参じたのだ。
「アニッシュ君の気持ちは分かった。けどごめん⋯⋯⋯、それでも私はあいつが嫌い」
「ハヤミさん⋯⋯⋯⋯」
「でもね、あいつのことは嫌いだけど、アニッシュ君達の力になりたいとは思ったよ。だから今夜はもう許して」
アニッシュ達の気持ちは理解できても、アリオンの事を許す事は出来ない。その心が変わらない悠紀は、この話を止めようとしていた。これ以上アニッシュがアリオンを庇うと、憎くない彼までも嫌いになってしまいそうになるからだ。
俯きながらそう口にした悠紀の言葉で、アニッシュは彼女の気持ちを察して口を閉じた。誰も口を開かない、沈黙の時間がゆっくりと流れていく。皆がどうしていいか分からず、誰も何も口を開けずにいた。
そんな中、アニッシュが語り出してから、表情に影を落としている人物が一人いる。その人物とはルークであった。彼はアニッシュの言葉で大切な記憶を呼び覚まし、その瞳に深い悲しみを浮べていた。
ただ一人、悲しみに暮れるルークの様子に、気付いた者は誰もいなかった。その様子に気付ける精神の余裕は、今の彼らには無かったのである。
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*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
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