贖罪の救世主

水野アヤト

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第三十八話 帝国の狂犬

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 グラーフ同盟軍の盟主ホーリスローネ王国の軍勢は、ハートライト王国、チャルコ国、へスカル国の三国の戦力と合流し、真っ直ぐ大陸中央を目指して進軍していた。
 現在王国軍らは、彼らの大陸中央への到着を遅らせるべく現れた、ボーゼアス義勇軍奇襲部隊の攻撃を受けている。敵の目的は、同盟軍よりも早く、各地に分散していた自軍の戦力が結集するための時間稼ぎであった。
 しかし敵は、奇襲に対して即座に防衛行動を取った、精強なる兵を有するハートライト王国軍によって、見事返り討ちにされてしまったのである。ハートライト王国軍と、高い士気を維持しているチャルコとへスカルの両騎士団は、敵の奇襲を跳ね除けて反撃に移り、奇襲部隊を敗走させたのだった。
 
「すげぇ⋯⋯⋯、圧勝かよ」

 ホーリスローネ王国軍本隊の中心部には、最高指揮官である王子アリオンと、将軍であるギルバートの他に、選ばれし勇者たる櫂斗達の姿があった。
 アリオンのもとに駆け寄った伝令は、戦況が自軍に優勢であり、敵は敗走していると彼に報告した。共にその報告を聞いていた櫂斗は、今回の戦いの結果に感動と興奮を覚えていた。

「聞いたかよ悠紀?俺達の圧勝らしいぜ」
「言われなくても聞こえてた。今回は私達の出番なさそうね」
 
 興奮している櫂斗とは対照的に、悠紀は安堵の息を吐いている。今回は自分達が戦わなくてもいい。その事実に安心し、緊張の糸を解いているのだ。
 勝利に興奮している彼も、内心では悠紀と同じように安堵していた。前回戦闘で味わった恐怖は、今も彼の心に残り続けている。戦わなくてよくなれば、あの恐怖をまた味わう事はない。そう思い、彼もまた緊張感を緩めていた。

「今回は私達の圧勝⋯⋯⋯。華夜を戦わせずに済んだけど、戦場では今も彼が戦ってる」
「お姉ちゃん⋯⋯⋯」
「私達の分まで戦ってくれていると思うと、素直に喜べない。歳上である私達が、彼の代わりに戦わないといけないのに⋯⋯⋯」

 戦いの結果に耳を傾けていたのは、櫂斗と悠紀だけではない。二人の傍にいた真夜と華夜も、自軍の勝利の報を聞いていた。
 自軍の圧倒的な勝利の報に、周りの兵士達がざわつく中、浮かない表情を見せているのは真夜である。自分達を後方へ残し、自らは恐れる事なく戦場へと向かって行った、少年騎士アニッシュの事を気にしているのだ。
 
「珍しいね、お姉ちゃん」
「えっ?」
「華夜じゃない誰かを心から心配する事なんて、普段ないから⋯⋯⋯⋯」

 真夜はアニッシュの無事を祈り、それと同時に自分の無力さと情けなさを痛感している。自分よりも歳下で、純粋無垢なあのような少年を、自分達の代わりに戦わせてしまっている事実。責任感が強い彼女の性格的に、それは自分を許せない行為と言えた。
 しかもアニッシュは彼女にとって、ただの味方の騎士ではない。彼女が立派な男と認めた、特別な少年でもある。同じ戦場に立っていなければ、一層彼の無事を考えてしまうのも無理はない。
 これは常に真夜の傍にいる、妹の華夜からすればとても珍しい事である。華夜に対して非常に過保護で、他人にあまり興味を示さない真夜が、今はアニッシュの事ばかりを気にかけている。華夜からすれば、これは非常に稀な状態で、いつもの姉の姿ではなかった。故に、普段自分から口を開く事がない彼女は、つい真夜に向けて言葉を発してしまった。

「もしかして、お姉ちゃんをあいつに取られたって妬いてるのか?」
「⋯⋯⋯⋯!」

 華夜の言葉を嫉妬と考えた櫂斗が、冗談交じりに問いかける。すると華夜は、天敵に怯えた小動物の様に、震えながら真夜の背に隠れてしまう。大切な妹怯えさせた事で、真夜の鋭い視線が櫂斗に向けられた。

「先輩を怒らせるなんて、ほんと馬鹿ね」
「馬鹿ってなんだよ!俺なにもしてないぞ!」
「あんたが馬鹿みたいに揶揄おうとするから、華夜ちゃんがびっくりして怯えちゃったのよ」
「って言ったって、ちょっと話しかけただけだぞ?」

 華夜は極度の人見知りで、臆病で内気な性格である。それはこの世界に来ても変わらず、櫂斗達に対しての反応も全く変化がない。同じ境遇の仲間同士であっても、華夜の反応は今日も通常営業であった。

「有馬君、華夜に謝って」
「せっ、先輩!目が、目が怖いですって!」
「謝りなさい」
「はっ、はい!ごっ、ごめんなさい!!」

 氷の如し真夜の冷たく鋭い瞳が、櫂斗を震え上がらせた。これ以上彼女を怒らせてはいけないと、急いで全力で華夜に謝る櫂斗。その全力さに驚き、またも彼女は怯えてしまった。

「有馬君⋯⋯⋯⋯」
「櫂斗、あんたってほんと救いようがない馬鹿ね」
「っんなこと言われたって、俺はどうすりゃいいんだよおおおおおおおおっ!!」

 戦いの勝利が分かり、緊張が解けて会話が盛り上がる櫂斗達。戦闘の結果を知るまでは四人共、一言も発する事なく緊張していたが、今は普段の調子を取り戻していた。
 そんな彼らに、戦闘の勝利を確信したアリオンが、会話している四人の傍に歩み寄る。前回の戦闘以来、思い詰めたような顔をしていたアリオンだが、勝利の報は彼の顔にも笑みをもたらしていた。

「皆さん、お疲れ様です。後は前線の兵達に任せてゆっくり休んでください」
「お疲れて言ったって、今日は何もしてないんだけど」
「皆さんはグラーフ同盟軍の象徴であり切り札です。こうして戦場に立ってくださるだけで、兵達の士気が高まります。それに、このような小規模の戦いで、皆さんを疲労させるわけにはいきません」

 異世界より召喚されし、選ばれし勇者達。それが櫂斗達であり、彼らは選ばれし者だけがその力を解放できる、伝説の秘宝に選ばれた存在でもある。
 言うなれば櫂斗達四人の勇者は、伝説が顕現した奇跡の存在なのだ。四人は奇跡の存在であり、ローミリ大陸の秩序と平和を守る、正義の象徴。存在自体が絶対的な正義であるこの四人が、ボーゼアス教討伐のための軍勢に加わっている。そうなれば、ボーゼアス教は大陸を脅かす異教徒と断定し、同盟軍は大義を掲げる事が出来るのだ。
 四人がいるからこそ、自分達こそが正義だと、自分達こそが正しいのだと、そう兵士達は信じられる。伝説の勇者がいるのだから、この戦争に必ず勝利できると信じられるのだ。その自覚がなくとも、四人は同盟軍の精神的支えであり、戦意を維持するための象徴なのである。
 もちろん、伝説の秘宝が持つ強力な力は、同盟軍の切り札と言っても過言ではない。戦闘面に於いても四人の存在は重要である。しかし一番重要なのは、全体の士気を維持する象徴としての存在だ。万が一の事を考えるのであれば、四人は最前線に出すべきではないのである。
 四人の代わりに、彼らの保護者的立場である勇者ルークが、最前線に近い場所で待機している。もしもの時、四人に代わって戦場で暴れられるよう、彼は一人ここを離れているのだ。
 
「勇者の力の見せ場はこんな戦場ではありません。今はまだ、異教徒との決戦に備えるべき時です」
「決戦ね。相手との決戦の前に、この前みたいなやられ方しなきゃいいけど」
「ハヤミさん、それは⋯⋯⋯⋯」
「はーはっはっはっ!!これは耳が痛いお言葉ですな」

 皮肉を口にする悠紀に対して、アリオンが口籠ってしまっていると、彼を助けようとするためか、王国軍将軍ギルバートが笑いながら彼らの傍にやってきた。
 
「確かにこの前は敵にやられてしまいましたが、二度も同じ手にはかかりません。現に今、敵の奇襲に対して我々は勝利している」
「そうみたいね。最初から将軍さんが指揮を執ってくれてれば、この前みたいなことはなかったのかも」
「⋯⋯⋯⋯⋯」

 悠紀も兵達も、皆分かっている。分かっていないのは櫂斗くらいのものだ。
 前回はアリオンが自ら作戦指揮を執り、彼の作戦が失敗して窮地に陥った。それを救ったのは、当初から彼の作戦に反対していたギルバートだった。
 アリオンの行動も言葉も、悠紀は全く信用していない。彼女からすればアリオンは、嘘ばかり口にする詐欺師と変わらないのである。アリオンがいる前で、悠紀がギルバートにそう話してしまうのは、彼への嫌悪の表われなのだ。

「ふーむ、ハヤミ殿は手厳しいですな」
「ハヤミさんの気持ちは理解しているつもりです。次は絶対に間違えません」
「口ではなんとでも言えるわよ」
「口だけではないと証明してみせます。僕のせいで、帝国やジエーデルに後れを取るわけにはいきませんから⋯⋯⋯⋯」

 間違えない。その言葉は、アリオンの決意を言葉にしたものだ。
 もう兵達を無駄死にはさせない。必ずや異教徒を討伐し、この戦争に勝利して見せる。そんな強い意志がアリオンから感じられる。だが悠紀は、頼もしいはずの彼の強い決意が、同時に危うさを孕んでいると見抜いた。
 アリオンから視線を外した悠紀は、ギルバートの方へと視線だけを向ける。彼女の視線に気付いたギルバートは、やれやれといった反応を見せた。彼の反応を見て、自分と同じ考えだと理解した悠紀は、少しだけ安心感を抱く。少なくともアリオンの手綱を、彼が放す事はないと分かったからだ。

「ところで将軍さん、他の二国は私達と無事に合流できるのかしら?」
「おおクジョウ殿、良いところに気が付きましたな。ゼロリアス帝国軍もジエーデル国軍も、敵の攻撃を尽く粉砕し、敵軍を撃滅したと知らせがきたばかりです」
「私達とは大違いね。話に聞くその二国、どれほどの実力なのか教えて欲しいわ」

 グラーフ同盟軍の盟主はホーリスローネ王国軍だが、王国軍の戦力だけでは、大軍であるボーゼアス義勇軍の撃破は絶望的である。同盟軍の主力は王国軍と、大陸最強の軍事力を有するゼロリアス帝国に加え、独裁国家ジエーデル国の戦力が担っているのだ。
 この三国の軍隊が合流して、初めてグラーフ同盟軍は完成する。真夜はそれを理解しているため、他の二国の動向や実力を気にかけているのだ。

「報告では、ゼロリアスとジエーデルの討伐軍は我が軍の作戦を無視し、独自の行動を取っていたようです。そんな彼らに打撃を与えようと敵は攻撃を仕掛けた」
「それで、返り討ちに遭ったというわけ?」
「その通り。ゼロリアス帝国の討伐軍を率いているのは、帝国第四皇女アリステリア・レイ・サラス・ゼロリアス。第四皇女旗下の女将軍、風将クラリッサ・グルーエンバーグが兵を率い、敵を残らず討ち果たしたとか」

 ゼロリアス帝国が送り込んだ討伐軍は、帝国第四皇女アリステリアが率いる精鋭である。戦場に赴く彼女を守護するのは、氷将と風将と呼ばれる無敗の二大将軍。第四皇女に絶対の忠誠を誓い、彼女に勝利を約束する無敵の軍勢。それが第四皇女旗下の、「アリステリア戦闘旅団」なのである。
 帝国を出撃したアリステリア戦闘旅団は、ボーゼアス義勇軍分散に対してアリオンが立てた作戦計画を無視し、独自の進軍ルートを進んでいた。対してボーゼアス義勇軍は、帝国軍に大損害を与える当初の作戦が失敗し、直ちに部隊を帝国軍攻撃に向かわせたのである。
 本来であれば、自分達を撃破するために向かってくる帝国軍を待ち受け、奇襲部隊と伏兵部隊で迎え撃ち、壊滅的な打撃を与える作戦であった。その作戦が失敗した事で、部隊はアリステリア戦闘旅団を追いかけた。どうにか追いついた彼らは、休む間もなくアリステリア戦闘旅団と激突したのである。
 攻撃を仕掛けたボーゼアス義勇軍部隊を、アリステリア戦闘旅団は正面から叩き潰した。風将クラリッサが先頭に立ち、極北の王者の力を見せつけるかの如く、圧倒的な武勇と精強なる兵士達で、戦場の大地を真っ赤に染め上げ、敵兵が重なってできた屍の山を築いたのである。
 攻撃を行なったボーゼアス義勇軍部隊は、クラリッサ達の活躍によって全滅させられた。旅団の損害は微々たるもので終わり、ボーゼアス義勇軍の作戦は失敗に終わったのである。

「ジエーデル国軍もまた同様に敵を全滅させたそうです。ジエーデル側の討伐軍を率いているのは、名将ドレビン・ルヒテンドルクの息子だそうですが、親だけでなく子までも名将と言う事ですかな」

 ァリステリア戦闘旅団と同じく、ジエーデル軍もアリオンの作戦計画を無視し、ボーゼアス義勇軍部隊と戦闘になった。討伐軍を率いているのは、ジエーデル軍の英雄にして名将たるドレビンの息子である。彼の息子は巧みな作戦指揮で自軍を操り、伏兵や挟撃で敵を罠にかけ、全滅にまで追い込んだのである。
 ジエーデル側の損害も同様に軽微に終わり、ボーゼアス義勇軍の作戦を失敗させた。ゼロリアスもジエーデルも、各国が敵に敗北する中、緒戦を勝利で飾っていたのである。

「こっちと違って、合流する予定の二国は随分強いのね」
「お恥ずかしい話、我が軍とあの二国では兵の練度が違うのです。もっと言えば、実戦での経験にも差がありましてね」
「やっぱり、合流する予定の軍隊はその二国以外、私達と同じように大きな被害を受けてしまったということね⋯⋯⋯⋯⋯」
 
 ゼロリアスとジエーデルは緒戦を勝利で飾っても、同盟軍全体の緒戦で受けた損害は、非常に厳しいものであった。兵の損失だけでなく、全軍の士気の低下も深刻であり、決戦を行なうには不十分な状態なのである。
 真夜は同盟軍の状況をよく分析しており、このままでは勝算がない戦いなると気付いている。戦争での敗北とは、彼女からすれば大切な妹を危険に晒す結果となる。ギルバートから話を聞く事で、敗北を阻止する方法を彼女自身も考えているのだ。

「落ち込む事はありません。実はもう一国、敵を容易く撃滅してしまった国があるようです」
「どういう事?今聞いた二国以外に、強い軍隊を持つ国があるというの?」
「ええ、あります。南ローミリア最強の軍隊を持つ国が、同盟軍への参加を求めて進軍中なのです」

 南ローミリア。その言葉がギルバートから出た瞬間、アリオンは誰かの姿を探して周りを見回した。探した存在がいなかった事に安心し、彼は安堵の息を吐いて口を開く。

「⋯⋯⋯⋯ここに勇者ルークはいない。皆さんにも、あの国の事を知っておいて貰う方がいいだろう」
 
 アリオンが探した人物は、大剣の勇者ルークであった。彼がいる前では話し辛い内容なのか、ルークがいない事で了承を得たギルバートが、話の続きを語り出す。

「南ローミリアの盟主。その名はヴァスティナ帝国」
「ヴァスティナ、帝国⋯⋯⋯⋯?帝国ってゼロリアス以外にもあるのか?」
「幼き女王が統治する南ローミリアの国家。帝国とは名ばかりの小国が、ヴァスティナという国でした」

 この世界の情勢は学んでいるものの、大陸の南の方がどうなっているのかは、櫂斗達もまだ知らない内容であった。櫂斗が疑問を口にしたように、帝国と呼ばれる国はゼロリアスだけなのだと、四人はそう認識していたのである。
 だが実際、帝国と呼ばれている国は、極北だけでなく南にも存在する。さらに説明を続けるべく、ギルバートに代わって今度はアリオンが、四人に語って聞かせるために口を開いた。

「そう、ヴァスティナは南ローミリアの小国でした。しかし彼の国は、大国であったオーデル王国やジエーデル国の侵攻を退け、エステラン国との戦いに勝利しただけでなく、中立国家アーレンツへ侵攻を行なったのです」
「ジエーデルって、さっきの話で言ってた名将がいる国だろ?滅茶苦茶強いはずのそんな国が、小国に負けたって言うのか?」
「ええ、その通りです。詳しくは知りませんが、彼の国は見た事もない兵器を用いて、敵対する国々を蹂躙していったのです。それらは、ジエーデルから悪魔の兵器と呼ばれているとか」
「悪魔の兵器⋯⋯⋯」

 いつの間にか、アリオンが語るヴァスティナ帝国の話に、四人は興味津々となっていた。小国と呼ばれていたはずの国が、未知の力を用いて大国に勝利しているなど、物語の中だけの話にしか思えない。この世界で実際に戦争を経験している四人は、特にそう思ってしまう。
 しかし、現実には物語のような話が存在しているのだ。今の彼らがその話に興味を持ってしまうのは、必然と言えるだろう。

「今やヴァスティナは、南ローミリア最大の軍事国家であり、大陸中央まで進出を果たした大国です。それを実現したのは、一人の参謀長だと聞きました」
「一人で国を変えちゃうなんて⋯⋯⋯。ねえ王子様、その人って一体何者なの?」
「その参謀長の名は、リクトビア・フローレンス。またの名を、帝国の狂犬」

 それこそが、小国ヴァスティナ帝国を変えた者の名だった。
 自国を救うため、アリオンは大陸の情勢についてを日夜調べ、自国が今後取るべき道を研究している。王族の一人として、王子として、彼は自分なりのやり方で、その責務を果たそうと努力しているのだ。ヴァスティナ帝国の事は、その過程で知った話である。

「狂犬ってなんか危なっかしいわね。そんなのが参謀っておかしくない?」
「僕もそう思いました。噂によれば、戦場で狂った笑い声を上げて容赦なく敵を虐殺する事から、いつしか狂犬と呼ばれるようになったとか」
「なにそれ、恐っ⋯⋯⋯⋯⋯」
「マジかよ。少年漫画の悪役みたいだ」
「人を人とも思わず、邪悪な笑みを浮かべて殺しまわる帝国女王の飼い犬。それが自ら軍を率い、我々と合流を果たそうとしているのです」

 話を聞く限りでは非常に頼もしく、とても恐ろしい存在。四人が聞いた話は、危険な香りしかしない内容だった。
 話にあった帝国の狂犬を悠紀達が恐れる中、櫂斗は一人こう思っていた。
 「そんなヤバい奴と戦場で会うのは御免だ」と⋯⋯⋯⋯。
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