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第四話 リクトビア・フローレンス
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参謀長の両腕である、武術家二人を退け、脱出を急ぐイヴであったが、その目の前には、又も立ち塞がる人影があった。
城の兵士たちではない。レイナとクリスが、追い付いて来たわけでもなく、立ち塞がる影は、巨体の男。
二メートルを軽く超える身長の、その男は、胸に大きな鎧を身に付け、その手には、信じられない大きさの斧が握られていた。この斧が、頭から人間に振り落とされれば、間違いなく、真っ二つどころかぐちゃぐちゃにされてしまうだろう。そう思わせる程の、巨大で凶悪な斧である。
常人が扱えないであろう大きさと、持ち上げる事すら出来ない重さの斧を、この巨体の男は軽々と持ち上げている。
「今ならまだ間に合うだよ。降伏するだよ」
「ゴリオン君・・・・・・」
巨体の男は、帝国軍屈指の腕力と屈強な体を持つ、リック配下のゴリオンであった。
手に持つ斧は、ゴリオン用の装備として、リックがシャランドラに作らせた、巨大バトルアックスである。全て鉄製で、重さが百キロを超えるこの斧は、シャランドラの自信作だ。
ゴリオンの巨体では、並みの武器では小さ過ぎるため、彼が扱えるような武器は存在しなかった。ゴリオンの巨体が、通常の剣や槍を持つと、子供の玩具に見えてしまう。それ故、今まで彼には武器が無かったのである。
ゴリオン専用装備として、ようやく完成したのがこの斧で、どんな敵であろうと粉砕するという考えのもと、発明家シャランドラと技術者連合によって生み出された、特注の一品であった。
「見逃してよゴリオン君。でないと怪我するよ?」
「オラは怪我してもいいだよ。でも、怪我はさせたくないんだな」
「・・・・そんなんじゃ死ぬよ?」
狙撃銃をゴリオンへと構える。勿論ゴリオンも、銃の性能や威力を教わっており、その脅威は理解していた。
如何に巨体であろうと、人間である以上は、銃弾を跳ね返す皮膚など持ち合わせていない。弾丸を受ければ、死ぬことに変わりはないのだ。
それでもゴリオンは、恐れることなく前に出る。城の通路を完全に塞ぎ、ここから先へは進ませないという気迫が見える。
「無事に脱出・・・・・・出来そうにないかも」
イヴが引き金を引いて弾丸が放たれ、戦いの火蓋は切って落とされた。
城の兵士たちではない。レイナとクリスが、追い付いて来たわけでもなく、立ち塞がる影は、巨体の男。
二メートルを軽く超える身長の、その男は、胸に大きな鎧を身に付け、その手には、信じられない大きさの斧が握られていた。この斧が、頭から人間に振り落とされれば、間違いなく、真っ二つどころかぐちゃぐちゃにされてしまうだろう。そう思わせる程の、巨大で凶悪な斧である。
常人が扱えないであろう大きさと、持ち上げる事すら出来ない重さの斧を、この巨体の男は軽々と持ち上げている。
「今ならまだ間に合うだよ。降伏するだよ」
「ゴリオン君・・・・・・」
巨体の男は、帝国軍屈指の腕力と屈強な体を持つ、リック配下のゴリオンであった。
手に持つ斧は、ゴリオン用の装備として、リックがシャランドラに作らせた、巨大バトルアックスである。全て鉄製で、重さが百キロを超えるこの斧は、シャランドラの自信作だ。
ゴリオンの巨体では、並みの武器では小さ過ぎるため、彼が扱えるような武器は存在しなかった。ゴリオンの巨体が、通常の剣や槍を持つと、子供の玩具に見えてしまう。それ故、今まで彼には武器が無かったのである。
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「見逃してよゴリオン君。でないと怪我するよ?」
「オラは怪我してもいいだよ。でも、怪我はさせたくないんだな」
「・・・・そんなんじゃ死ぬよ?」
狙撃銃をゴリオンへと構える。勿論ゴリオンも、銃の性能や威力を教わっており、その脅威は理解していた。
如何に巨体であろうと、人間である以上は、銃弾を跳ね返す皮膚など持ち合わせていない。弾丸を受ければ、死ぬことに変わりはないのだ。
それでもゴリオンは、恐れることなく前に出る。城の通路を完全に塞ぎ、ここから先へは進ませないという気迫が見える。
「無事に脱出・・・・・・出来そうにないかも」
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