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第四話 リクトビア・フローレンス
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日が暮れようとしている。間もなく、今日は夜を迎えることになり、多くの人々は仕事を終えて、家路を急ぐ。家族と共に過ごす者、家に帰らず、そのまま酒場に向かう者たちなど、夜の過ごし方は様々だ。
しかし、そんなことは関係ないと、今日を終えようとしない者もいる。
「流石に撃ちすぎたかな・・・・・。整備しないと」
帝国軍新兵器開発実験場。この場所には今、一人の姿しかない。
ここに一人でいるのは、小国チャルコから来た、女の子にしか見えない男の子、飛び道具使いのイヴ・ベルトーチカである。
今日は午後から、ここでずっと射撃の練習をしていた。用意した弾を使い切り、何度シャランドラのもとへ、新しい弾を取りに行ったことか。何故か彼女が、悲鳴を上げて逃げまわっていた時もあったが・・・・・・。
実験場には空薬莢が散乱し、彼女が狙った全ての的の中心は、綺麗に撃ち抜かれている。自分でも何十発撃ったかわからず、回収するように言われている、空薬莢を拾うのが、本当に面倒くさいことになっていた。
恐らく百発は軽く超えているのだ。回収には苦労する。
(拾うのは明日でいいかな。もう日が暮れるし)
日が暮れてしまえば、辺り一面は夜の闇に支配される。その中での空薬莢回収は、至難であるからだ。
薬莢回収もしなければならないが、イヴが今考えていることは、相棒である狙撃銃の整備のことである。リックから貰って以来、ずっと撃ち続けているため、流石に整備の必要性を感じていたのだ。 この銃を作ったシャランドラ曰く、中身は頑丈な作りで、頻繁な整備はいらないという話だが、今日まで使用した弾薬量から考えると、恐らく整備は必要である。
銃も武器であるから、整備を怠れば故障の原因になり、暴発の危険もあるのだ。製作者であるシャランドラからも、銃の取り扱いに関しての注意を受けている。そのため、整備するまで狙撃銃の使用を控えると決め、銃を地面に置く。
だが、彼の射撃練習はこれで終わらない。腰に装着されていたホルスターから、拳銃を取り出す。
拳銃は銀色に輝くリボルバー。銃身は短く、取りまわし易いように作られている。威力はそれ程高くはないのだが、命中精度はいい。
今度はこの銃で的を狙う。辺りが暗くなり始め、的を狙うのが困難になりつつあるのだが、彼には関係ない。寧ろ暗くなるのなら好都合で、夜間でも射撃が出来るようにするための、良い訓練になる。
彼の今日は、まだ終わりそうにない。
「やっぱりここにいたのか」
「リック君?」
イヴが今まさに射撃しようとした時、現れたのは、仕事を終えたリックであった。
射撃姿勢を解いて、的を狙うのを止める。
「どうしたの、僕に用事?」
「もう日が暮れるからな。一緒に夕食でもと思っただけだ」
確かにお腹は空いている。昼食に食べたのはパン一つだけで、射撃に集中している時は気にならなかったが、今になってお腹が鳴った。
パンを一つしか食べなかったのは、一刻も早く射撃練習をしたかったためである。ちなみに午前中は、演習場でレイナとクリスの監視下にあったため、練習できなかったのだ。二人がいつも通りの喧嘩を始めた隙をついて、監視下から抜け出し、午後はここにずっといた。
「リック君は不用心だよね」
「なんでだ?」
「僕がどこかの国の間者なら、この瞬間に殺せちゃうよ」
参謀長でありながらも、こんなところを一人で出歩くのだ。彼の命を狙う、他国の間者がいれば、これは絶好の機会であろう。不用心と言わなくて、何と言えばいいのだろうか。
「レイナちゃんたちは僕のこと疑ってるんだよ?あと、あの恐い騎士団長の人もさ」
「もちろんわかってる」
イヴがメシアと出会ったのは、帝国に着いたその日である。出会ったと言っても、クリスたち相手に圧倒的な力を振るった後の、疲れ知らずで、凛と立っていた彼女を見ただけだ。
その次の日であった、リックがイヴのことを、彼女に紹介したのは。
イヴが他の銃にも興味を示し、銃が欲しいとリックに頼みに行ったのだが、彼と二人で一緒にいた時に、偶然通りかかったメシアと再会した。
リックは彼女と会話を始め、その中でイヴのことを紹介した。可愛い顔をしているが、これでも男なのだと紹介されても、全く動揺を見せず、ただ一言「そうか」と言っただけで、彼女への紹介は終わった。
その時の彼女の目を、イヴははっきりと覚えている。傍にいたリックは気付かなかったのだが、彼女の鋭い目は、明らかに警戒の目であった。
「皆がお前を疑ってるのはわかってる。でも俺は、お前が気に入ってるんだ」
「射撃が上手いから?シャランドラちゃんから聞いたけど、リック君は銃を求めて旅をしたんだよね。銃が最強の武器だと信じて」
「そうだ。女王陛下の力とするためにな」
「銃に懸けてるリック君からしたら、銃を使いこなそうとしてる僕は、とっても嬉しい存在だよね」
「ああ。お前みたいに華奢な身体でも、反動に慣れて扱えるようになれば、誰でも扱える証明になるからな。
お前が使ってくれれば、銃の力を皆に示せる」
このローミリア大陸において、銃は未知の存在である。
この世界では、剣や魔法が一般的な武器であり、飛び道具と聞かれれば、弓や弩しか答えられない。銃がいくら強力であると教えても、全く知らない未知のものには、誰しも最初は抵抗があるものだ。
しかし、華奢な身体のイヴが銃を使いこなす姿は、この武器が女であろうとも、簡単に扱うことの出来る武器だという、良い宣伝になる。誰にでも扱うことが出来るということは、人を選ばない武器ということだ。
つまり、誰でも扱えるのなら、どんな兵士であっても、高い戦闘力を持たせることが可能ということである。女性の兵士であろうと、剣の扱いが苦手であろうとも関係ない。ある意味兵士たちからすれば、夢の武器と言えるだろう。
「それが僕を気に入ってくれる理由でしょ。銃が使えなきゃ、僕に価値なんてない」
「そんな風に思ってるのか?」
「違うの?」
「いや、半分位違わない。だけど、銃のことだけがお前を気に入ってる理由じゃないぞ。俺が人を気に入る時、理由は一つじゃないからな」
嘘を言っている風ではない。
彼は正直にものを言う。普通ならここで、「そんなことはない」と嘘でも言うはずだ。だが彼は、「違わないと」言って、全てを否定しなかった。イヴの言った理由に、間違いはないのだ。
本当に彼は正直で、嘘を言わない。
「じゃあ、他の理由も教えてよ。僕の何がそんなに気に入ってるの?」
「可愛いところだ」
「・・・・・・冗談?」
「いや、大真面目だ」
「そりゃあ僕は可愛いよ。可愛さなら誰にも負けない自信あるし」
「自分で可愛いっていうのか・・・・・・」
「でも、そんな理由なの?僕は男の子なんだよ?」
「関係ないな」
「それって、自分は特殊な性癖の持ち主ですって宣言してるようなものだよね」
「・・・・・・・・はっ!?」
地に膝をつき、己の発言を思い出して、自分が変態的発言をしてしまったことに、多大なショックを受けるリック。その姿が面白くて、つい吹き出してしまったイヴ。
男の子であると知られても、可愛いと言ってくれたのはリックだけだ。イヴが商売のために近付いた者たちは、大抵その可愛さに騙されてしまう。そうやって騙され、人気のないところに連れて行かれ、男であると知った瞬間、大抵は怒って帰っていくのだが、その時イヴは、気付かれない内に懐から金を盗む。
それがイヴの稼ぎ方なのだ。商売というより泥棒なのだが・・・・・・。
最初は可愛いだの何だのと言う男たちは、イヴが男だと知った瞬間、手の平を返す。男のくせに気持ち悪いと言われるのが定番だった。
だが、リックの面白いところとは、男だと知っても尚、気持ち悪いと言って避けないところである。寧ろ積極的に話しかけてくるのだ。可愛いとまで言う。
こんな人間との出会いは、生まれて初めてであった。
「リック君って、もしかして変態さん?」
「たぶんそうかも知れないけど否定したい・・・・・」
「ふふ、そこは全力で否定しようよ。ほんとに正直だよね」
イヴ自身も、この参謀長とは思えない変な男を、気に入ってしまっていた。参謀長のくせに帝国の外を出歩き、正確な素性も不明なイヴに無警戒で、参謀長のくせに事務仕事が苦手。
にもかかわらず、この男のもとには人が集まる。皆が彼を信頼し、忠誠を誓う。
リックには間違いなく、天性の才能がある。カリスマ性という名の、天性の才能だ。それが彼のもとに、多くの人間が集まる理由の一つだが、それだけではないと、イヴは気付く。
正直な言葉を話し、変なところもあるが面白い。この魅力に、自分が惹かれてしまったのだと気付いた。
「まあとりあえず、この話は置いといてだ。どうする、一緒に夕食行くか?」
「せっかくだけど遠慮するね。まだ拳銃の練習が残ってるから」
「そうか。邪魔して悪かったな」
「また誘ってよ。リック君の誘いなら僕嬉しい♪」
また誘うさと言い残し、実験場を後にするリックの背中を見送る。
再び拳銃を構え、設置された的を狙った。
「また誘ってよ、か・・・・・」
イヴは思う。自分は一体何を言ってるのだろうと。
そして、こんなところで何をしているのだろうと・・・・・。
(ほんと、なに言ってんだか・・・・・)
握る銃の引き金に指をかける。狙うは的の中心点、引き金はゆっくりと引かれた。
銃声が鳴り響く。続いて二発目、三発目の銃声が鳴った。
的にはしっかりと命中し、全てが真ん中を撃ち抜いている。命中したというのに、何故だか彼は、空しいと感じた。
しかし、そんなことは関係ないと、今日を終えようとしない者もいる。
「流石に撃ちすぎたかな・・・・・。整備しないと」
帝国軍新兵器開発実験場。この場所には今、一人の姿しかない。
ここに一人でいるのは、小国チャルコから来た、女の子にしか見えない男の子、飛び道具使いのイヴ・ベルトーチカである。
今日は午後から、ここでずっと射撃の練習をしていた。用意した弾を使い切り、何度シャランドラのもとへ、新しい弾を取りに行ったことか。何故か彼女が、悲鳴を上げて逃げまわっていた時もあったが・・・・・・。
実験場には空薬莢が散乱し、彼女が狙った全ての的の中心は、綺麗に撃ち抜かれている。自分でも何十発撃ったかわからず、回収するように言われている、空薬莢を拾うのが、本当に面倒くさいことになっていた。
恐らく百発は軽く超えているのだ。回収には苦労する。
(拾うのは明日でいいかな。もう日が暮れるし)
日が暮れてしまえば、辺り一面は夜の闇に支配される。その中での空薬莢回収は、至難であるからだ。
薬莢回収もしなければならないが、イヴが今考えていることは、相棒である狙撃銃の整備のことである。リックから貰って以来、ずっと撃ち続けているため、流石に整備の必要性を感じていたのだ。 この銃を作ったシャランドラ曰く、中身は頑丈な作りで、頻繁な整備はいらないという話だが、今日まで使用した弾薬量から考えると、恐らく整備は必要である。
銃も武器であるから、整備を怠れば故障の原因になり、暴発の危険もあるのだ。製作者であるシャランドラからも、銃の取り扱いに関しての注意を受けている。そのため、整備するまで狙撃銃の使用を控えると決め、銃を地面に置く。
だが、彼の射撃練習はこれで終わらない。腰に装着されていたホルスターから、拳銃を取り出す。
拳銃は銀色に輝くリボルバー。銃身は短く、取りまわし易いように作られている。威力はそれ程高くはないのだが、命中精度はいい。
今度はこの銃で的を狙う。辺りが暗くなり始め、的を狙うのが困難になりつつあるのだが、彼には関係ない。寧ろ暗くなるのなら好都合で、夜間でも射撃が出来るようにするための、良い訓練になる。
彼の今日は、まだ終わりそうにない。
「やっぱりここにいたのか」
「リック君?」
イヴが今まさに射撃しようとした時、現れたのは、仕事を終えたリックであった。
射撃姿勢を解いて、的を狙うのを止める。
「どうしたの、僕に用事?」
「もう日が暮れるからな。一緒に夕食でもと思っただけだ」
確かにお腹は空いている。昼食に食べたのはパン一つだけで、射撃に集中している時は気にならなかったが、今になってお腹が鳴った。
パンを一つしか食べなかったのは、一刻も早く射撃練習をしたかったためである。ちなみに午前中は、演習場でレイナとクリスの監視下にあったため、練習できなかったのだ。二人がいつも通りの喧嘩を始めた隙をついて、監視下から抜け出し、午後はここにずっといた。
「リック君は不用心だよね」
「なんでだ?」
「僕がどこかの国の間者なら、この瞬間に殺せちゃうよ」
参謀長でありながらも、こんなところを一人で出歩くのだ。彼の命を狙う、他国の間者がいれば、これは絶好の機会であろう。不用心と言わなくて、何と言えばいいのだろうか。
「レイナちゃんたちは僕のこと疑ってるんだよ?あと、あの恐い騎士団長の人もさ」
「もちろんわかってる」
イヴがメシアと出会ったのは、帝国に着いたその日である。出会ったと言っても、クリスたち相手に圧倒的な力を振るった後の、疲れ知らずで、凛と立っていた彼女を見ただけだ。
その次の日であった、リックがイヴのことを、彼女に紹介したのは。
イヴが他の銃にも興味を示し、銃が欲しいとリックに頼みに行ったのだが、彼と二人で一緒にいた時に、偶然通りかかったメシアと再会した。
リックは彼女と会話を始め、その中でイヴのことを紹介した。可愛い顔をしているが、これでも男なのだと紹介されても、全く動揺を見せず、ただ一言「そうか」と言っただけで、彼女への紹介は終わった。
その時の彼女の目を、イヴははっきりと覚えている。傍にいたリックは気付かなかったのだが、彼女の鋭い目は、明らかに警戒の目であった。
「皆がお前を疑ってるのはわかってる。でも俺は、お前が気に入ってるんだ」
「射撃が上手いから?シャランドラちゃんから聞いたけど、リック君は銃を求めて旅をしたんだよね。銃が最強の武器だと信じて」
「そうだ。女王陛下の力とするためにな」
「銃に懸けてるリック君からしたら、銃を使いこなそうとしてる僕は、とっても嬉しい存在だよね」
「ああ。お前みたいに華奢な身体でも、反動に慣れて扱えるようになれば、誰でも扱える証明になるからな。
お前が使ってくれれば、銃の力を皆に示せる」
このローミリア大陸において、銃は未知の存在である。
この世界では、剣や魔法が一般的な武器であり、飛び道具と聞かれれば、弓や弩しか答えられない。銃がいくら強力であると教えても、全く知らない未知のものには、誰しも最初は抵抗があるものだ。
しかし、華奢な身体のイヴが銃を使いこなす姿は、この武器が女であろうとも、簡単に扱うことの出来る武器だという、良い宣伝になる。誰にでも扱うことが出来るということは、人を選ばない武器ということだ。
つまり、誰でも扱えるのなら、どんな兵士であっても、高い戦闘力を持たせることが可能ということである。女性の兵士であろうと、剣の扱いが苦手であろうとも関係ない。ある意味兵士たちからすれば、夢の武器と言えるだろう。
「それが僕を気に入ってくれる理由でしょ。銃が使えなきゃ、僕に価値なんてない」
「そんな風に思ってるのか?」
「違うの?」
「いや、半分位違わない。だけど、銃のことだけがお前を気に入ってる理由じゃないぞ。俺が人を気に入る時、理由は一つじゃないからな」
嘘を言っている風ではない。
彼は正直にものを言う。普通ならここで、「そんなことはない」と嘘でも言うはずだ。だが彼は、「違わないと」言って、全てを否定しなかった。イヴの言った理由に、間違いはないのだ。
本当に彼は正直で、嘘を言わない。
「じゃあ、他の理由も教えてよ。僕の何がそんなに気に入ってるの?」
「可愛いところだ」
「・・・・・・冗談?」
「いや、大真面目だ」
「そりゃあ僕は可愛いよ。可愛さなら誰にも負けない自信あるし」
「自分で可愛いっていうのか・・・・・・」
「でも、そんな理由なの?僕は男の子なんだよ?」
「関係ないな」
「それって、自分は特殊な性癖の持ち主ですって宣言してるようなものだよね」
「・・・・・・・・はっ!?」
地に膝をつき、己の発言を思い出して、自分が変態的発言をしてしまったことに、多大なショックを受けるリック。その姿が面白くて、つい吹き出してしまったイヴ。
男の子であると知られても、可愛いと言ってくれたのはリックだけだ。イヴが商売のために近付いた者たちは、大抵その可愛さに騙されてしまう。そうやって騙され、人気のないところに連れて行かれ、男であると知った瞬間、大抵は怒って帰っていくのだが、その時イヴは、気付かれない内に懐から金を盗む。
それがイヴの稼ぎ方なのだ。商売というより泥棒なのだが・・・・・・。
最初は可愛いだの何だのと言う男たちは、イヴが男だと知った瞬間、手の平を返す。男のくせに気持ち悪いと言われるのが定番だった。
だが、リックの面白いところとは、男だと知っても尚、気持ち悪いと言って避けないところである。寧ろ積極的に話しかけてくるのだ。可愛いとまで言う。
こんな人間との出会いは、生まれて初めてであった。
「リック君って、もしかして変態さん?」
「たぶんそうかも知れないけど否定したい・・・・・」
「ふふ、そこは全力で否定しようよ。ほんとに正直だよね」
イヴ自身も、この参謀長とは思えない変な男を、気に入ってしまっていた。参謀長のくせに帝国の外を出歩き、正確な素性も不明なイヴに無警戒で、参謀長のくせに事務仕事が苦手。
にもかかわらず、この男のもとには人が集まる。皆が彼を信頼し、忠誠を誓う。
リックには間違いなく、天性の才能がある。カリスマ性という名の、天性の才能だ。それが彼のもとに、多くの人間が集まる理由の一つだが、それだけではないと、イヴは気付く。
正直な言葉を話し、変なところもあるが面白い。この魅力に、自分が惹かれてしまったのだと気付いた。
「まあとりあえず、この話は置いといてだ。どうする、一緒に夕食行くか?」
「せっかくだけど遠慮するね。まだ拳銃の練習が残ってるから」
「そうか。邪魔して悪かったな」
「また誘ってよ。リック君の誘いなら僕嬉しい♪」
また誘うさと言い残し、実験場を後にするリックの背中を見送る。
再び拳銃を構え、設置された的を狙った。
「また誘ってよ、か・・・・・」
イヴは思う。自分は一体何を言ってるのだろうと。
そして、こんなところで何をしているのだろうと・・・・・。
(ほんと、なに言ってんだか・・・・・)
握る銃の引き金に指をかける。狙うは的の中心点、引き金はゆっくりと引かれた。
銃声が鳴り響く。続いて二発目、三発目の銃声が鳴った。
的にはしっかりと命中し、全てが真ん中を撃ち抜いている。命中したというのに、何故だか彼は、空しいと感じた。
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