贖罪の救世主

水野アヤト

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第三十五話 参戦計画

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第三十五話 参戦計画






 ここは、剣と魔法の世界ローミリア大陸。かつて、伝説の六剣士が世界を救ったのをきっかけに、この世界はそう呼ばれている。

 長き戦争ローミリア大戦を経て、この世界は今、新たな戦争の兆しを感じさせていた。その兆しを生み出したのは、大陸中央で国力を拡大し続けた、独裁国家ジエーデル国である。
 ジエーデル国の支配者、総統バルザック・ギム・ハインツベント。彼がジエーデルの絶対的支配者となった瞬間、ジエーデルは周辺地域に軍隊を派遣し、領土拡大のための侵略戦争を開始した。ジエーデル軍の電撃的侵攻作戦によって、ジエーデル国は急速に領土を拡大し、国力を増大させていったのである。その結果、ジエーデル国は大陸中央の大国となり、他の大国に並ぶ国力を手にしつつあった。

 そんな独裁国家の存在を、自国の脅威と感じている大国がある。それは、ゼロリアス帝国とホーリスローネ王国であった。
 極北の大国、ゼロリアス帝国。大陸最強の軍事力を誇る、最大の大国である。
 ゼロリアス帝国は、ジエーデル国のこれ以上の領土拡大を、当然の事ながら良しとはしていない。そのためゼロリアス帝国は、ジエーデル国への全面戦争も視野に入れた、彼の国への対応を検討中である。しかし、ジエーデル国に対して何らかの行動を起こすには、大きな障害が存在する。それが、ホーリスローネ王国だ。

 北の大国、ホーリスローネ王国。古くから大陸に存在する、北の王政国家。ゼロリアス帝国とホーリスローネ王国は、長い歴史の中で対立している、ローミリア大陸の二大大国である。
 国力と軍事力はゼロリアス帝国に劣るが、ホーリスローネ王国には二大中立組織である、グラーフ教会と勇者連合の本部が置かれている。どちらの組織も、大陸内では大きな影響力を持つ組織であり、王国との戦争は、二つの組織を敵にまわす可能性を持つ。
 帝国がどんなに王国を邪魔だと考えても、下手に手を出せば、二つの大組織を敵にしてしまい、大陸中が帝国の敵に変わってしまう。帝国はジエーデルに対し軍事行動を起こしたいのだが、それがきっかけで王国と戦端を開くのを恐れているのだ。

 現在この三大国は、野望や障害を抱えながら、互いの様子を探り合う膠着状態を続けている。三大国は大陸中に諜報員を派遣し、来るべき時に備え、情報収集に努めていた。
 そんな中、大陸全土を脅かす大事件が発生したのである⋯⋯⋯。
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