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第三話 集う力
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第三話 集う力
剣と魔法の世界、ローミリア大陸。
未だ、その全貌は誰も知らず、大陸全土を旅できた者はいないという。故に、この大陸には昔から、不思議な噂が絶えない。
空を自在に飛びまわる竜を、馬を飼い慣らすかのように使役する。そんな人々が暮らす砦。
人間の身体能力を超越している、生まれながらの戦闘民族の生活する里。
東の果てにある、見たこともない凶悪な魔物が、無数に生息するという謎の島。
数えきれない程の不思議な噂があり、その多くは事実ではないとされている。何故ならば、到底信じられる内容ではないからだ。
しかし、極稀に噂が真実である場合がある。探究心に駆られ、冒険者や研究者が大陸を旅し、真実を確かめようと、困難な道のりを歩んでいく。そういった者たちが、噂の真実を確かめるのだ。
「・・・・・腹・・・減った・・・・・・」
ここにも一人、噂の真実を確かめようとする者がいる。噂を確かめようとしているこの男は、力なく地面に仰向けで倒れてはいるが、一応これでも旅人なのだ。
男の名は長門宗一郎。だが今は、通りすがりの旅人改め、救国の英雄リックである。
「もう無理・・・・腹減って動けない・・・・・」
もう一度言うが、一応これでも救国の英雄である。
旅を始めて何日もの時が流れ、現在のリックの状況は、道に迷った挙句の果てに、手持ちの食料を全て消費し、とある森林の中で倒れ込んでいる、と言う状況だ。
もう一度だけ言うが、一応これでも救国の英雄なのだ・・・・。
彼が何故、このような状況に陥ったかと言えば、大陸の不思議な噂を確かめようと、一人で旅に出たからに他ならない。
力を持った戦士たちを集め、目的を達成したリックが、ヴァスティナ帝国へと帰還して一週間経った。新たな力を求めた彼は、ある噂に惹かれ、目的を達成して間もないにもかかわらず、再び帝国を旅立った。
噂の内容は、とある隠れ里では、誰も見たことのない、謎の武器を使う人々がいるというものだ。
人員だけでなく、戦争に勝利するための、強力な武器を欲したリック。この噂に惹かれたために、帝国を後にし、今こうして絶望的な状況に陥っている。
(やっぱり、誰かと一緒に来るべきだったな・・・・・)
前回同様、自身を鍛えるために、一人で旅立ったことを、今更ながら後悔している。
元々この噂は、リックが従えた鉄血部隊の面々が、トロスクスの街で活動していた時に、仕入れた情報である。
根拠がある噂ではなかった。しかし、情報を話した旅人が拾ったという、ある物がリックを動かしたのだ。
旅人からそれを譲って貰い、物を見た鉄血部隊の面々には、それがただの、小さな鉄の塊にしか見えなかった。だがリックだけは、その小さな鉄の塊を、ただの鉄屑だとは考えなかった。
一部の人間には、旅立つことを伝えはしたが、修行のためという理由と、確実な情報でなかったために、旅の供を付けることをしなかった。絶賛後悔中ではあるが、全て自分のせいなので、仕方がないことだ。
忠誠を誓うと宣言したリックの両腕、槍士レイナと剣士クリスティアーノならば、彼が旅立つと言えば、返事一つで供を買って出ただろう。わかってはいたのだが、二人には帝国軍全体の戦力調査等を頼んでいたため、そちらに専念した欲しかった。
頭の中に思い浮かぶ鉄血部隊の面々と、忠誠を誓うレイナとクリスの姿。今頃は、犬猿の仲であるレイナとクリスが、喧嘩しながら仕事に取り掛かっていることだろう。頭に血が昇り過ぎて、決闘にでも発展していそうだ・・・・・。十中八九、仕事を忘れて、戦闘を起こしていることだろう。
「こんなとこでなにやっとん?腹でも下したんか?」
あまりの空腹に、幻聴が聞こえているようだ。こんなことなら、旅の食料を多めに用意するべきだった。
今、彼らの姿を思い出すのは、走馬灯のようなものなのかも知れない。
「大丈夫かいな。アメちゃんいるか?」
「飴っ?!飴でもなんでもいいから食い物くれ!」
幻聴に飴を進められ、空腹で冷静な判断ができず、すぐに飛びつこうとする。
驚いたことに、さっきと今の言葉は幻聴ではなく、いつの間にか傍に立っていた、少女のものであった。
少女は眼鏡をかけ、歳は十代後半に見える。何故か口調は関西弁のようで、その手には・・・・。
「ははっ・・・・・。やっと見つけた」
「なんや一体?」
鉄血部隊が、情報源の旅人より手に入れたもの。この世界の人間には、それはただの、小さな鉄の塊にしか見えないだろう。しかしリックだけは、その物の正体を知っている。
塊に僅かに残る火薬の香り。その塊は、火薬の力によって、驚くべき速さで撃ち出された物のはずだ
そして、少女の手に握られている得物が、彼の考えの正しさを証明した。
「君の里に案内してくれ。・・・・あと、アメちゃん一つくれないか?」
小さな鉄の塊の正体は、撃ち出された後の一発の弾丸。
眼鏡少女の手に握られている得物は、鉄製の狙撃銃であった。
剣と魔法の世界、ローミリア大陸。
未だ、その全貌は誰も知らず、大陸全土を旅できた者はいないという。故に、この大陸には昔から、不思議な噂が絶えない。
空を自在に飛びまわる竜を、馬を飼い慣らすかのように使役する。そんな人々が暮らす砦。
人間の身体能力を超越している、生まれながらの戦闘民族の生活する里。
東の果てにある、見たこともない凶悪な魔物が、無数に生息するという謎の島。
数えきれない程の不思議な噂があり、その多くは事実ではないとされている。何故ならば、到底信じられる内容ではないからだ。
しかし、極稀に噂が真実である場合がある。探究心に駆られ、冒険者や研究者が大陸を旅し、真実を確かめようと、困難な道のりを歩んでいく。そういった者たちが、噂の真実を確かめるのだ。
「・・・・・腹・・・減った・・・・・・」
ここにも一人、噂の真実を確かめようとする者がいる。噂を確かめようとしているこの男は、力なく地面に仰向けで倒れてはいるが、一応これでも旅人なのだ。
男の名は長門宗一郎。だが今は、通りすがりの旅人改め、救国の英雄リックである。
「もう無理・・・・腹減って動けない・・・・・」
もう一度言うが、一応これでも救国の英雄である。
旅を始めて何日もの時が流れ、現在のリックの状況は、道に迷った挙句の果てに、手持ちの食料を全て消費し、とある森林の中で倒れ込んでいる、と言う状況だ。
もう一度だけ言うが、一応これでも救国の英雄なのだ・・・・。
彼が何故、このような状況に陥ったかと言えば、大陸の不思議な噂を確かめようと、一人で旅に出たからに他ならない。
力を持った戦士たちを集め、目的を達成したリックが、ヴァスティナ帝国へと帰還して一週間経った。新たな力を求めた彼は、ある噂に惹かれ、目的を達成して間もないにもかかわらず、再び帝国を旅立った。
噂の内容は、とある隠れ里では、誰も見たことのない、謎の武器を使う人々がいるというものだ。
人員だけでなく、戦争に勝利するための、強力な武器を欲したリック。この噂に惹かれたために、帝国を後にし、今こうして絶望的な状況に陥っている。
(やっぱり、誰かと一緒に来るべきだったな・・・・・)
前回同様、自身を鍛えるために、一人で旅立ったことを、今更ながら後悔している。
元々この噂は、リックが従えた鉄血部隊の面々が、トロスクスの街で活動していた時に、仕入れた情報である。
根拠がある噂ではなかった。しかし、情報を話した旅人が拾ったという、ある物がリックを動かしたのだ。
旅人からそれを譲って貰い、物を見た鉄血部隊の面々には、それがただの、小さな鉄の塊にしか見えなかった。だがリックだけは、その小さな鉄の塊を、ただの鉄屑だとは考えなかった。
一部の人間には、旅立つことを伝えはしたが、修行のためという理由と、確実な情報でなかったために、旅の供を付けることをしなかった。絶賛後悔中ではあるが、全て自分のせいなので、仕方がないことだ。
忠誠を誓うと宣言したリックの両腕、槍士レイナと剣士クリスティアーノならば、彼が旅立つと言えば、返事一つで供を買って出ただろう。わかってはいたのだが、二人には帝国軍全体の戦力調査等を頼んでいたため、そちらに専念した欲しかった。
頭の中に思い浮かぶ鉄血部隊の面々と、忠誠を誓うレイナとクリスの姿。今頃は、犬猿の仲であるレイナとクリスが、喧嘩しながら仕事に取り掛かっていることだろう。頭に血が昇り過ぎて、決闘にでも発展していそうだ・・・・・。十中八九、仕事を忘れて、戦闘を起こしていることだろう。
「こんなとこでなにやっとん?腹でも下したんか?」
あまりの空腹に、幻聴が聞こえているようだ。こんなことなら、旅の食料を多めに用意するべきだった。
今、彼らの姿を思い出すのは、走馬灯のようなものなのかも知れない。
「大丈夫かいな。アメちゃんいるか?」
「飴っ?!飴でもなんでもいいから食い物くれ!」
幻聴に飴を進められ、空腹で冷静な判断ができず、すぐに飛びつこうとする。
驚いたことに、さっきと今の言葉は幻聴ではなく、いつの間にか傍に立っていた、少女のものであった。
少女は眼鏡をかけ、歳は十代後半に見える。何故か口調は関西弁のようで、その手には・・・・。
「ははっ・・・・・。やっと見つけた」
「なんや一体?」
鉄血部隊が、情報源の旅人より手に入れたもの。この世界の人間には、それはただの、小さな鉄の塊にしか見えないだろう。しかしリックだけは、その物の正体を知っている。
塊に僅かに残る火薬の香り。その塊は、火薬の力によって、驚くべき速さで撃ち出された物のはずだ
そして、少女の手に握られている得物が、彼の考えの正しさを証明した。
「君の里に案内してくれ。・・・・あと、アメちゃん一つくれないか?」
小さな鉄の塊の正体は、撃ち出された後の一発の弾丸。
眼鏡少女の手に握られている得物は、鉄製の狙撃銃であった。
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