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第三十二話 悪夢の終わりと、彼女の望み
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アーレンツへと侵攻したヴァスティナ帝国軍の戦力は、戦争の勝利後、アーレンツの占領を着々と進めていた。その指揮は軍師エミリオ・メンフィスを筆頭に、軍師ミュセイラ・ヴァルトハイムが補佐する形で、戦後処理は順調に進んでいる。
エミリオとミュセイラのもとには、帝国軍の精鋭でもあるゴリオンとライガの姿もあった。彼らは戦いで重傷を負い、この地で治療を受けた後、二人を守るために残ったのである。
そう、この地に残っているのは、アーレンツに侵攻した戦力の大半と、エミリオ達だけだった。共に戦った他の仲間達は、彼らを残してこの地を離れた。その理由は、帝国参謀長リクトビアを、治療のために帝国へと運ぶためだ。
護衛の部隊を付け、馬車によって彼はアーレンツから運び出された。あの戦いで瀕死の重傷を負って以来、彼は目を覚まさない。ミュセイラの使う回復魔法のお陰で、どうにか一命を取り留めたが、戦いのために使った大量の薬物が原因なのか、彼は眠り続けたままである。
薬物の事に関しては、帝国メイド部隊の一人であるノイチゴが詳しいと分かり、エミリオはリクトビアを帝国へ移動させた。リクトビアを心配し、帝国へ運ばれる彼の傍には、レイナ、クリス、シャランドラ、イヴ、アングハルト、リンドウ、そして帝国宰相リリカの姿もあった。
それだけではない。驚くべき事に、彼を瀕死の重傷にまで追い込んだ彼女もまた、同行を望んだのである。国家保安情報局大尉、ヴィヴィアンヌ・アイゼンリーゼ。リクトビアと死闘を演じた彼女は、帝国軍の治療を受けて拘束されていたが、彼が帝国へ運ばれると知ると、「共に行きたい・・・・・」と願った。
誰もが反対した。クリスは猛反対し、シャランドラは怒り狂い、イヴは彼女を今すぐ殺すと叫んだ。皆の反対を押し切り、もしもの時は自分が全ての責任を取ると言って、彼女を同行させたのはレイナであった。レイナの強い意志に、あのリリカまでもが同行を認め、ヴィヴィアンヌもリクトビア達と行動を共にする事となったのである。
手には手枷をかけられ、拘束されたままヴィヴィアンヌは同行した。道中彼女は、ほとんど喋る事はなく、俯き沈黙していた。彼女の見張りは終始レイナが担当していたが、シャランドラとイヴもまた、彼女がおかしな行動を起こさない様、終始殺気を放って見張りを行なっていたのである。
しかし、今のヴィヴィアンヌに見張りなど、本当に必要がない。彼女にはもう、戦う理由もなければ、愛国心もないのである。心を取り戻して人間に戻った彼女は、自分が生きる理由すらわからなくなっていた。だが彼女は、リクトビアの傍にいたいと願った。そうしなければならないと、自分の心に突き動かされたからだ。その理由は、彼女自身もよくわかっていない。
リクトビアの身を案じる者達と、意外な人物を同行させ、彼を乗せた馬車と護衛部隊は、まずはエステラン国へ到着し、そこで補給を済ませて帝国を目指した。帝国に着けば、絶対に彼を助けられると信じ、彼らは帰国を急いだのである。
エミリオとミュセイラのもとには、帝国軍の精鋭でもあるゴリオンとライガの姿もあった。彼らは戦いで重傷を負い、この地で治療を受けた後、二人を守るために残ったのである。
そう、この地に残っているのは、アーレンツに侵攻した戦力の大半と、エミリオ達だけだった。共に戦った他の仲間達は、彼らを残してこの地を離れた。その理由は、帝国参謀長リクトビアを、治療のために帝国へと運ぶためだ。
護衛の部隊を付け、馬車によって彼はアーレンツから運び出された。あの戦いで瀕死の重傷を負って以来、彼は目を覚まさない。ミュセイラの使う回復魔法のお陰で、どうにか一命を取り留めたが、戦いのために使った大量の薬物が原因なのか、彼は眠り続けたままである。
薬物の事に関しては、帝国メイド部隊の一人であるノイチゴが詳しいと分かり、エミリオはリクトビアを帝国へ移動させた。リクトビアを心配し、帝国へ運ばれる彼の傍には、レイナ、クリス、シャランドラ、イヴ、アングハルト、リンドウ、そして帝国宰相リリカの姿もあった。
それだけではない。驚くべき事に、彼を瀕死の重傷にまで追い込んだ彼女もまた、同行を望んだのである。国家保安情報局大尉、ヴィヴィアンヌ・アイゼンリーゼ。リクトビアと死闘を演じた彼女は、帝国軍の治療を受けて拘束されていたが、彼が帝国へ運ばれると知ると、「共に行きたい・・・・・」と願った。
誰もが反対した。クリスは猛反対し、シャランドラは怒り狂い、イヴは彼女を今すぐ殺すと叫んだ。皆の反対を押し切り、もしもの時は自分が全ての責任を取ると言って、彼女を同行させたのはレイナであった。レイナの強い意志に、あのリリカまでもが同行を認め、ヴィヴィアンヌもリクトビア達と行動を共にする事となったのである。
手には手枷をかけられ、拘束されたままヴィヴィアンヌは同行した。道中彼女は、ほとんど喋る事はなく、俯き沈黙していた。彼女の見張りは終始レイナが担当していたが、シャランドラとイヴもまた、彼女がおかしな行動を起こさない様、終始殺気を放って見張りを行なっていたのである。
しかし、今のヴィヴィアンヌに見張りなど、本当に必要がない。彼女にはもう、戦う理由もなければ、愛国心もないのである。心を取り戻して人間に戻った彼女は、自分が生きる理由すらわからなくなっていた。だが彼女は、リクトビアの傍にいたいと願った。そうしなければならないと、自分の心に突き動かされたからだ。その理由は、彼女自身もよくわかっていない。
リクトビアの身を案じる者達と、意外な人物を同行させ、彼を乗せた馬車と護衛部隊は、まずはエステラン国へ到着し、そこで補給を済ませて帝国を目指した。帝国に着けば、絶対に彼を助けられると信じ、彼らは帰国を急いだのである。
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