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第二十八話 激動
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「なあ、同志大尉殿。これは一体・・・・・・」
「黙って食え。それと、私を同志と呼ぶな、駄犬」
彼は今、自分でも理解できない状況に置かれていた。
目が覚めると、そこには木製のテーブルがあった。彼の体は椅子に座った状態で、両手には手錠がかけられていたのである。
目覚めた彼は辺りを見渡し、状況を確認しようとした。そうして理解できたのは、ここが室内である事と、何故か彼女がいた事だけだった。国家保安情報局大尉、ヴィヴィアンヌ・アイゼンリーゼ。何故か彼女が、彼の目の前にいたのである。
彼の名は、ヴァスティナ帝国軍参謀長、リクトビア・フローレンス。親しい者は彼をリックと呼ぶ。現在彼は、中立国アーレンツの特別収容所に捕らわれていたはずだった。しかし、今彼がいる室内は、いつもの特別収容所の一室ではない。間違いなくここは、どこかの家の中であった。
テーブルや椅子などの家具の数々と、調理器具が並ぶ台所。目が覚めた時、彼女は台所で刃物を使い、食パンを切っていた。今彼の目の前には、彼女が切り分けた食パンが一枚、皿の上に載せられ置かれている状態なのである。
「昼食はまだだろう。不服か?」
「いやまあ、何の説明もなくバターすら塗られてない生の食パン一枚出されたら、文句の一つも言いたくなるよ。ってかお前、これやたら薄く切ってあるんだけど・・・・・・、もしかして嫌がらせ?」
「黙って食えと言った」
不機嫌オーラ全開のヴィヴィアンヌは、不満も文句も許さない。仕方なく、空腹を少しでも満たすため、彼は手錠のかけられた手でパンを掴み、それを口にする。食べなくてもわかる、薄く切られたただの食パンの味であった。
「・・・・・あのさ、ここはどこなんだ?さっきまで収容所にいたはずなんだけど」
「一時的だが、貴様を運び出した。暫くはここで監禁する」
「ここって誰かの家なんじゃないのか?もしかして、お前の家とか?」
「そうだ」
簡単すぎる説明だが、ここがヴィヴィアンヌの自宅だと知って、リックは驚愕する。まさか、自分が眠っている間に、彼女の家に運び込まれていたのだと聞かされれば、誰だって驚く。いや、正確には眠っていたのではなく、眠らされていたのである。
眠ってしまう前の記憶を、リックはどうにか思い出せた。収容所に監禁されていたリックのもとに、突然ヴィヴィアンヌがやって来て、何も言わずに、彼を殴って気絶させたのである。
「俺を無理やり気絶させて、何でまたお前の家に?」
「・・・・・・」
「まさか、強硬派の魔の手が迫ってたとか?」
彼女は何も答えなかったが、理由はこれだとリックは確信する。それ以外に収容所を移動しなければならない理由が、他に存在しなかったからである。
強硬派にリックの存在が見つかれば、彼の身だけでなく、穏健派も危険に晒されてしまう。それを阻止するべく、自分を移動させたのだと気付いたリックは、「理由を話してくれれば協力したのに・・・・・、何で殴るんだろうこの子・・・・・」と思わずにはいられなかった。
「・・・・まあいいや。それより、どうしてお前の家なんだ?」
「あの男の眼を誤魔化すならば、ここが最適だと考えたまでだ」
「あの男?強硬派の誰かの事か?」
「・・・・話す必要はないと思ったが、警告のために教えてやろう。強硬派のルドルフ・グリュンタールが貴様を狙っている」
「そのルドルフって奴は、そんなに危険なのか?」
「暴豹という異名を持つ、情報局大佐。奴に捕まれば最後、待つのは地獄のような拷問と死だけだ。死にたくなければ、ここで大人しくしている事だな」
暴豹ルドルフ。その男が彼女にとって、何かしらの因縁があるのではと、この時リックは察した。何故なら彼女は、ルドルフについて語り始めた瞬間、急に眼付きを変えたからである。
「ヴィヴィアンヌ、そいつとお前は一体どんな関係にあるんだ?」
「貴様に話す事などない。質問ばかり繰り返すな」
ルドルフについての危険性は教えたが、それ以外の事には答えない。彼女はリックに自分のペースを崩されないよう、必要ない事以外は話さないよう注意しているのだ。
二人の関係性に興味を持ったリックだが、彼女は沈黙を続けているため、これ以上情報を引き出す事は出来なかった。そこで彼は戦法を変えて、彼女の口を開かせようと動く。
「サザランドの街でお前が戦ったイヴの持っていた狙撃銃は、シャランドラが作った試作品の一つだ」
「!」
「有効射程は六百メートル、装弾数は七発。七・六二ミリ口径のライフル弾をボルトアクション機構で撃ち出す。イヴがこれを使って敵を狙ったら、確実に相手は脳天を撃ち抜かれて死ぬ」
帝国軍一の狙撃手イヴ・ベルトーチカが持つ、帝国軍発明家シャランドラ試作の狙撃銃について、突然リックは語り出したのである。
何度も尋問を繰り返し、それでも手に入れられなかったこの情報の断片を、突然彼は口にした。ヴィヴィアンヌは唖然とし、一瞬思考が停止してしまった。
「きっ、貴様!?一体どういうつもりだ!」
「質問ばっかりじゃ悪いと思って、交換条件なら話してくれるかもと思っただけだ。ほら、こっちは銃について話したんだから、次はお前の番だぞ?」
リックが求めているのは、ヴィヴィアンヌとルドルフの関係である。それを聞き出すために彼は、話しても問題ない程度の情報を口にした。
一方的に交換条件を突き付けられ、どう対処していいか彼女は迷ったが、すぐに思考を止めた。この男の突拍子もない発言や行動に、真剣に考え込むだけ無駄だとわかっているからだ。彼女にある選択肢は、知りたい事に答えるか、黙るかの二択だけである。
「・・・・・血染めの夜については知っているな?」
「それって確か、お前が初めて実戦に出て活躍したっていう、クーデター阻止の話だろ?」
「その時作戦指揮権を持っていたのがルドルフ・グリュンタールだ。奴は特別処理実行部隊を使い、クーデターを未然に防ぎ、首謀者を捕縛した」
ヴィヴィアンヌは答える事を選択した。自分とルドルフの関係性について話すだけで、銃の情報が得られるのであれば安いものだと、そう判断したからである。
「その首謀者って、本当はお前の両親だったんだろ?」
「そうだ。奴は捕縛した影武者から情報を引き出し、あの二人が真の首謀者だと突き止めた」
「・・・・・恨んでいるのか?」
「いや、寧ろ反乱分子を見破ってくれた事には感謝している。私が気に入らないのは、そこではない」
ヴィヴィアンヌがルドルフの事をよく思っていないのは、彼女の発言と態度から明白であった。その理由がこれから語られるかと思いきや、彼女はそれ以上言葉を続けなかった。
続きを聞きたいリックは、彼女の顔を見て、黙ってしまった理由を察した。彼が口にした情報では、ここまでしか話せないという事である。
「・・・・・わかったよ。俺の持ってた銃はリボルバーと言ってな、連続して射撃ができる護身用の銃器だ」
「他には?」
「装弾数は六発で、撃ちまくればすぐに弾切れになる。でもこいつはシャランドラお手製のマグナムで、世界一強力な拳銃なんだ。お前さんのドタマなんて一発で吹っ飛ぶぜ。楽にあの世まで行けるんだ。運が良ければな」
真面目に話しつつ、彼女にはわかるわけもない冗談も口にしていたが、一応拳銃についての情報は話した。ふざけるなと言わんばかりに、眉を顰めたヴィヴィアンヌだが、一応は情報を得たため、仕方なく話を続ける。
「奴は祖国のためではなく、己の野心のために行動している。このまま奴が更なる権力を得れば、この国を滅びに向かわせる事は明白だ」
「なるほど。一人の愛国者として、それは許せないってわけか」
「奴は穏健派の敵ではなく、愛すべき我が祖国の敵だ。いいか、リクトビア・フローレンス。もし貴様が奴に味方するような事があれば、私は貴様を殺す」
これは警告だ。穏健派から強硬派に寝返れば、絶対に容赦しないという警告である。
ヴィヴィアンヌにとってルドルフは、親の仇というわけではなく、祖国の敵。彼女にとってそれは不変であり、彼のせいで自分が親を殺してしまった事など、取るに足らない事だった。
「わかったよ。俺もお前の敵にはなりたくないし、ルドルフって奴には気を付ける」
「暫くの間はこの家で大人しくしていろ。ここに居れば見つかる事はない」
「はいはい、暴れず大人しくしてればいいんだろ。そういうんだったら、俺の飯ケチらないでくれるか?」
手に持っていた食パンに視線を落し、ひもじさに溜息を吐いたリックの腹の虫が鳴る。するとヴィヴィアンヌは、無言で新たに食パンを切り分け、また一枚皿の上に置いた。しかしその食パンは、やはり薄く切られていた。
「・・・・・俺の事が嫌いなのはわかってるんだけど、せめて焼くとかジャム塗るとかできない?」
「自分の立場を考えろ。食事が出るだけありがたいと思え」
「せっかくヴィヴィアンヌの家に招かれたわけだし、お前の手料理をご馳走になりたいんだけどなあ~」
「・・・・・・」
「もしかして、料理できないとか?」
ヴィヴィアンヌは無言のままだった。その反応を見て、リックは顔をにやりとさせる。彼女について、また新たに知れた事が嬉しいのと同時に、彼の悪戯心が刺激されたからだ。
「そっかぁ~、情報局自慢の鬼才も料理は苦手ってわけか。別に馬鹿にしてるわけじゃないぞ?ヴィヴィアンヌは料理より任務が好きだもんな」
「・・・・・・」
「最強の番犬様にも弱点はあるもんだな。いや~、また一つお前の人間らしい一面が見れて良かったよ」
「駄犬め・・・・・」
眉を顰め、リックを駄犬と呼ぶヴィヴィアンヌは、体から不機嫌オーラを発して、パンを切り分けるのに使ったナイフを彼に向ける。その切っ先は、リックの口元に向けられていた。
彼女の眼はこう語っている。「次に私を馬鹿にしたら、その舌を切り落としてやる」と。
「今日はこれ以上揶揄ったら殺される」。そう思ったリックは、内心かなりの恐怖を感じ、咳払いして気持ちを切り替えた。
「そっ、そう言えば、ちょっと聞いておきたい事があるんだけど」
「何だ?」
「ここに来て結構経つんだけど、帝国はどうなってるのかなと思ってさ」
リックが彼女に拉致されてから、既に二週間以上の月日が流れている。その間リックは、現在の大陸状況を全く知らない。自分の帰るべき国の事も、敵国の事も、何も情報を得ていないのである。帝国参謀長である彼にとっては、常に知っておきたい情報であった。
「諜報員の報告によれば、帝国軍が動き出したようだ。進軍目標は不明だが、この国を目指しているのは間違いない」
「そうか・・・・・」
「貴様一人助け出すために、大規模な部隊を動かすとはな。理解に苦しむ」
たった一人の人間を救い出すために、帝国は大部隊を動かした。確かにリックの存在は、帝国にとって重要な存在であり、救国の英雄でもある。彼の存在なくして、この先帝国が臨もうとしている戦争に、勝利はない。
しかし、アーレンツは帝国軍の軍事力を上回る、大陸中央の強国の一つである。帝国が戦争を仕掛けて、確実に勝利できる保証はない。正面からぶつかれば、アーレンツの方が軍事力で上回る以上、敗北する可能性の方が高いだろう。
敗北の可能性が高い危険な戦いになる。それをわかっていながら、帝国軍はアーレンツに戦争を仕掛けようとしている。全ては、たった一人の参謀長を救い出すためだ。
リックを救うには、多くの犠牲を払う事は間違いない。果たしてそれが、どんな犠牲を払ってでも救うだけの、その価値があるのかと、彼女は言いたいのだ。アーレンツの人間から見れば、帝国は愚かに見えてしまう。だが帝国からすれば、これは当然の行動なのである。
「まあそうだよな。俺一人を救出するために、皆ここへやってくる。お前からしたらあり得ない事だよな」
「・・・・・何故だ。何故、帝国軍は総力を挙げて貴様を救出しようとしている?」
「それは・・・・・、皆が優しいからじゃないか?」
「そんな理由で、自分達の命を危険に晒すのというのか?」
彼女には、いや多くの人間には理解の出来ない話だ。帝国軍を率いる立場の主だった者達は、リックの存在こそが、生きる希望そのものなのである。彼を失えば、皆が全てを失ってしまう。故に帝国軍は、総力を挙げてアーレンツに向かっている。
「大切な何かのために自分を犠牲にする。お前だって、俺の仲間達と似たようなもんだ」
「なに?」
「お前は自分の国のために戦っている。国を守るためなら、どんな手段も犠牲も厭わないだろ?」
「・・・・・・そうだ」
ヴィヴィアンヌは国家保安情報局で、祖国に絶対の忠誠を誓う兵士として教育された。リックの言う通り、彼女もまた、大切な何かのために自分を犠牲にする人間だ。
「俺や、帝国の皆もそうだ。守りたいものためなら、手段も犠牲も厭わない」
「・・・・・・」
「まあ、似ているようで、俺達はお前とは違うけどな」
そう言ってリックは、手錠をかけられた両手を動かし、その右手を自分の左胸にそっと当てた。彼は自分の胸元に視線を下ろし、自分の左胸と右手を見つめたまま、言葉を続ける。
「心の底から守りたいって、そう思える存在が俺達にはある。でも、お前の守りたいものって、そうじゃないだろ?」
「・・・・・・どういう意味だ」
「この国を守りたいなんて、本当の気持ちに嘘を吐いているだけだ。お前には、心から守りたいと思えるものなんて、何もない」
祖国を愛し、祖国のために忠を尽くす、そんなヴィヴィアンヌの生き方を、彼は否定する。
別にリックは、彼女の全てを知っているわけではない。「貴様に私の何がわかる!」と、そう怒鳴られても仕方がない。だがリックは、それをわかっていながら、彼女の生き方を否定しようとしている。
(あの時と一緒だ・・・・・。この子を見てると、ユリーシアを思い出す・・・・・)
リックにとって、生きる希望そのものだった存在、ユリーシア・ヴァスティナ。彼女は、そのか弱く幼い体に、ヴァスティナ帝国の全てを背負って生きていた。
リックが彼女と初めて出会った時、帝国は滅びの運命を辿ろうとしていた。彼女は国を守るため、自分の命を犠牲にしようとしていた。しかしそれは、彼女の本心ではない。
彼女は生きたいと願っていた。まだ死ねないと、そうリックに言った。あの時彼は、その願いを叶えるために、滅びの運命と戦ったのである。
ユリーシアが自分を犠牲にし、他者のために自分の全てを捧げようとする姿が、リックは許せなかった。彼女に自由はなく、その身に一国を治める重圧を背負い、国と民のために生きていた。投げ出す事も出来たのに、彼女は優し過ぎたのだ。リックはそれが納得できなかったのである。
自分を中心にせず、他者を優先し、その身を犠牲にし続ける。それしか生き方を知らないと、あの時の少女の背中は、そう語っているようだった。今リックの目の前いる少女の背中も、同じ言葉を語っている。国を優先し、己の自由を捨て、自分を犠牲にし続ける。自分の命が果てるまで、彼女はその身を国のために捧げるだろう。
もっと自由に生きればいい。自分の思うまま、人生を歩んでもいいはずなのに、彼女はそれを選ばない。彼女はユリーシアよりも、自由を選ぶ事ができるというのに・・・・・・。
(国に命を捧げる・・・・・。この命はそのためにあると、自分に言い聞かせ続けて・・・・・)
ヴィヴィアンヌはユリーシアと似ているかもしれない。だがヴィヴィアンヌの生き方は、リックからすれば無理をしている様にしか見えない。
ユリーシアがその身を犠牲にし続けたのは、大切な者達を守るためだった。では、ヴィヴィアンヌは何のためにその身を犠牲にし続けているのか・・・・・・?
「本当は国なんてどうでもいいんだろ?ヴィヴィアンヌ、お前は--------」
「黙れっ!」
「本心から逃げるな。でないとお前は-------」
「それ以上何も言うな!次に口を開けば、今この場で貴様の首を刎ねる!」
憤怒に歪めた顔で、ヴィヴィアンヌはリックを睨み付けている。刃物を持つ手を握りしめ、その切っ先をリックへと向けている彼女の眼は、ただ怒りだけが終え上がっていた。
(そうやって熱くなるって事は、やっぱりお前は・・・・・・)
憤怒に顔を歪めたヴィヴィアンヌの、怒りに満ちた眼を見つめ返す、リックのその顔は、悲痛に歪んでいる。彼女がその身を国に捧げ続ける、その本当の理由に気付いたリックにとって、今の彼女の姿を見るのは、あまりにも辛かったのだ。
「黙って食え。それと、私を同志と呼ぶな、駄犬」
彼は今、自分でも理解できない状況に置かれていた。
目が覚めると、そこには木製のテーブルがあった。彼の体は椅子に座った状態で、両手には手錠がかけられていたのである。
目覚めた彼は辺りを見渡し、状況を確認しようとした。そうして理解できたのは、ここが室内である事と、何故か彼女がいた事だけだった。国家保安情報局大尉、ヴィヴィアンヌ・アイゼンリーゼ。何故か彼女が、彼の目の前にいたのである。
彼の名は、ヴァスティナ帝国軍参謀長、リクトビア・フローレンス。親しい者は彼をリックと呼ぶ。現在彼は、中立国アーレンツの特別収容所に捕らわれていたはずだった。しかし、今彼がいる室内は、いつもの特別収容所の一室ではない。間違いなくここは、どこかの家の中であった。
テーブルや椅子などの家具の数々と、調理器具が並ぶ台所。目が覚めた時、彼女は台所で刃物を使い、食パンを切っていた。今彼の目の前には、彼女が切り分けた食パンが一枚、皿の上に載せられ置かれている状態なのである。
「昼食はまだだろう。不服か?」
「いやまあ、何の説明もなくバターすら塗られてない生の食パン一枚出されたら、文句の一つも言いたくなるよ。ってかお前、これやたら薄く切ってあるんだけど・・・・・・、もしかして嫌がらせ?」
「黙って食えと言った」
不機嫌オーラ全開のヴィヴィアンヌは、不満も文句も許さない。仕方なく、空腹を少しでも満たすため、彼は手錠のかけられた手でパンを掴み、それを口にする。食べなくてもわかる、薄く切られたただの食パンの味であった。
「・・・・・あのさ、ここはどこなんだ?さっきまで収容所にいたはずなんだけど」
「一時的だが、貴様を運び出した。暫くはここで監禁する」
「ここって誰かの家なんじゃないのか?もしかして、お前の家とか?」
「そうだ」
簡単すぎる説明だが、ここがヴィヴィアンヌの自宅だと知って、リックは驚愕する。まさか、自分が眠っている間に、彼女の家に運び込まれていたのだと聞かされれば、誰だって驚く。いや、正確には眠っていたのではなく、眠らされていたのである。
眠ってしまう前の記憶を、リックはどうにか思い出せた。収容所に監禁されていたリックのもとに、突然ヴィヴィアンヌがやって来て、何も言わずに、彼を殴って気絶させたのである。
「俺を無理やり気絶させて、何でまたお前の家に?」
「・・・・・・」
「まさか、強硬派の魔の手が迫ってたとか?」
彼女は何も答えなかったが、理由はこれだとリックは確信する。それ以外に収容所を移動しなければならない理由が、他に存在しなかったからである。
強硬派にリックの存在が見つかれば、彼の身だけでなく、穏健派も危険に晒されてしまう。それを阻止するべく、自分を移動させたのだと気付いたリックは、「理由を話してくれれば協力したのに・・・・・、何で殴るんだろうこの子・・・・・」と思わずにはいられなかった。
「・・・・まあいいや。それより、どうしてお前の家なんだ?」
「あの男の眼を誤魔化すならば、ここが最適だと考えたまでだ」
「あの男?強硬派の誰かの事か?」
「・・・・話す必要はないと思ったが、警告のために教えてやろう。強硬派のルドルフ・グリュンタールが貴様を狙っている」
「そのルドルフって奴は、そんなに危険なのか?」
「暴豹という異名を持つ、情報局大佐。奴に捕まれば最後、待つのは地獄のような拷問と死だけだ。死にたくなければ、ここで大人しくしている事だな」
暴豹ルドルフ。その男が彼女にとって、何かしらの因縁があるのではと、この時リックは察した。何故なら彼女は、ルドルフについて語り始めた瞬間、急に眼付きを変えたからである。
「ヴィヴィアンヌ、そいつとお前は一体どんな関係にあるんだ?」
「貴様に話す事などない。質問ばかり繰り返すな」
ルドルフについての危険性は教えたが、それ以外の事には答えない。彼女はリックに自分のペースを崩されないよう、必要ない事以外は話さないよう注意しているのだ。
二人の関係性に興味を持ったリックだが、彼女は沈黙を続けているため、これ以上情報を引き出す事は出来なかった。そこで彼は戦法を変えて、彼女の口を開かせようと動く。
「サザランドの街でお前が戦ったイヴの持っていた狙撃銃は、シャランドラが作った試作品の一つだ」
「!」
「有効射程は六百メートル、装弾数は七発。七・六二ミリ口径のライフル弾をボルトアクション機構で撃ち出す。イヴがこれを使って敵を狙ったら、確実に相手は脳天を撃ち抜かれて死ぬ」
帝国軍一の狙撃手イヴ・ベルトーチカが持つ、帝国軍発明家シャランドラ試作の狙撃銃について、突然リックは語り出したのである。
何度も尋問を繰り返し、それでも手に入れられなかったこの情報の断片を、突然彼は口にした。ヴィヴィアンヌは唖然とし、一瞬思考が停止してしまった。
「きっ、貴様!?一体どういうつもりだ!」
「質問ばっかりじゃ悪いと思って、交換条件なら話してくれるかもと思っただけだ。ほら、こっちは銃について話したんだから、次はお前の番だぞ?」
リックが求めているのは、ヴィヴィアンヌとルドルフの関係である。それを聞き出すために彼は、話しても問題ない程度の情報を口にした。
一方的に交換条件を突き付けられ、どう対処していいか彼女は迷ったが、すぐに思考を止めた。この男の突拍子もない発言や行動に、真剣に考え込むだけ無駄だとわかっているからだ。彼女にある選択肢は、知りたい事に答えるか、黙るかの二択だけである。
「・・・・・血染めの夜については知っているな?」
「それって確か、お前が初めて実戦に出て活躍したっていう、クーデター阻止の話だろ?」
「その時作戦指揮権を持っていたのがルドルフ・グリュンタールだ。奴は特別処理実行部隊を使い、クーデターを未然に防ぎ、首謀者を捕縛した」
ヴィヴィアンヌは答える事を選択した。自分とルドルフの関係性について話すだけで、銃の情報が得られるのであれば安いものだと、そう判断したからである。
「その首謀者って、本当はお前の両親だったんだろ?」
「そうだ。奴は捕縛した影武者から情報を引き出し、あの二人が真の首謀者だと突き止めた」
「・・・・・恨んでいるのか?」
「いや、寧ろ反乱分子を見破ってくれた事には感謝している。私が気に入らないのは、そこではない」
ヴィヴィアンヌがルドルフの事をよく思っていないのは、彼女の発言と態度から明白であった。その理由がこれから語られるかと思いきや、彼女はそれ以上言葉を続けなかった。
続きを聞きたいリックは、彼女の顔を見て、黙ってしまった理由を察した。彼が口にした情報では、ここまでしか話せないという事である。
「・・・・・わかったよ。俺の持ってた銃はリボルバーと言ってな、連続して射撃ができる護身用の銃器だ」
「他には?」
「装弾数は六発で、撃ちまくればすぐに弾切れになる。でもこいつはシャランドラお手製のマグナムで、世界一強力な拳銃なんだ。お前さんのドタマなんて一発で吹っ飛ぶぜ。楽にあの世まで行けるんだ。運が良ければな」
真面目に話しつつ、彼女にはわかるわけもない冗談も口にしていたが、一応拳銃についての情報は話した。ふざけるなと言わんばかりに、眉を顰めたヴィヴィアンヌだが、一応は情報を得たため、仕方なく話を続ける。
「奴は祖国のためではなく、己の野心のために行動している。このまま奴が更なる権力を得れば、この国を滅びに向かわせる事は明白だ」
「なるほど。一人の愛国者として、それは許せないってわけか」
「奴は穏健派の敵ではなく、愛すべき我が祖国の敵だ。いいか、リクトビア・フローレンス。もし貴様が奴に味方するような事があれば、私は貴様を殺す」
これは警告だ。穏健派から強硬派に寝返れば、絶対に容赦しないという警告である。
ヴィヴィアンヌにとってルドルフは、親の仇というわけではなく、祖国の敵。彼女にとってそれは不変であり、彼のせいで自分が親を殺してしまった事など、取るに足らない事だった。
「わかったよ。俺もお前の敵にはなりたくないし、ルドルフって奴には気を付ける」
「暫くの間はこの家で大人しくしていろ。ここに居れば見つかる事はない」
「はいはい、暴れず大人しくしてればいいんだろ。そういうんだったら、俺の飯ケチらないでくれるか?」
手に持っていた食パンに視線を落し、ひもじさに溜息を吐いたリックの腹の虫が鳴る。するとヴィヴィアンヌは、無言で新たに食パンを切り分け、また一枚皿の上に置いた。しかしその食パンは、やはり薄く切られていた。
「・・・・・俺の事が嫌いなのはわかってるんだけど、せめて焼くとかジャム塗るとかできない?」
「自分の立場を考えろ。食事が出るだけありがたいと思え」
「せっかくヴィヴィアンヌの家に招かれたわけだし、お前の手料理をご馳走になりたいんだけどなあ~」
「・・・・・・」
「もしかして、料理できないとか?」
ヴィヴィアンヌは無言のままだった。その反応を見て、リックは顔をにやりとさせる。彼女について、また新たに知れた事が嬉しいのと同時に、彼の悪戯心が刺激されたからだ。
「そっかぁ~、情報局自慢の鬼才も料理は苦手ってわけか。別に馬鹿にしてるわけじゃないぞ?ヴィヴィアンヌは料理より任務が好きだもんな」
「・・・・・・」
「最強の番犬様にも弱点はあるもんだな。いや~、また一つお前の人間らしい一面が見れて良かったよ」
「駄犬め・・・・・」
眉を顰め、リックを駄犬と呼ぶヴィヴィアンヌは、体から不機嫌オーラを発して、パンを切り分けるのに使ったナイフを彼に向ける。その切っ先は、リックの口元に向けられていた。
彼女の眼はこう語っている。「次に私を馬鹿にしたら、その舌を切り落としてやる」と。
「今日はこれ以上揶揄ったら殺される」。そう思ったリックは、内心かなりの恐怖を感じ、咳払いして気持ちを切り替えた。
「そっ、そう言えば、ちょっと聞いておきたい事があるんだけど」
「何だ?」
「ここに来て結構経つんだけど、帝国はどうなってるのかなと思ってさ」
リックが彼女に拉致されてから、既に二週間以上の月日が流れている。その間リックは、現在の大陸状況を全く知らない。自分の帰るべき国の事も、敵国の事も、何も情報を得ていないのである。帝国参謀長である彼にとっては、常に知っておきたい情報であった。
「諜報員の報告によれば、帝国軍が動き出したようだ。進軍目標は不明だが、この国を目指しているのは間違いない」
「そうか・・・・・」
「貴様一人助け出すために、大規模な部隊を動かすとはな。理解に苦しむ」
たった一人の人間を救い出すために、帝国は大部隊を動かした。確かにリックの存在は、帝国にとって重要な存在であり、救国の英雄でもある。彼の存在なくして、この先帝国が臨もうとしている戦争に、勝利はない。
しかし、アーレンツは帝国軍の軍事力を上回る、大陸中央の強国の一つである。帝国が戦争を仕掛けて、確実に勝利できる保証はない。正面からぶつかれば、アーレンツの方が軍事力で上回る以上、敗北する可能性の方が高いだろう。
敗北の可能性が高い危険な戦いになる。それをわかっていながら、帝国軍はアーレンツに戦争を仕掛けようとしている。全ては、たった一人の参謀長を救い出すためだ。
リックを救うには、多くの犠牲を払う事は間違いない。果たしてそれが、どんな犠牲を払ってでも救うだけの、その価値があるのかと、彼女は言いたいのだ。アーレンツの人間から見れば、帝国は愚かに見えてしまう。だが帝国からすれば、これは当然の行動なのである。
「まあそうだよな。俺一人を救出するために、皆ここへやってくる。お前からしたらあり得ない事だよな」
「・・・・・何故だ。何故、帝国軍は総力を挙げて貴様を救出しようとしている?」
「それは・・・・・、皆が優しいからじゃないか?」
「そんな理由で、自分達の命を危険に晒すのというのか?」
彼女には、いや多くの人間には理解の出来ない話だ。帝国軍を率いる立場の主だった者達は、リックの存在こそが、生きる希望そのものなのである。彼を失えば、皆が全てを失ってしまう。故に帝国軍は、総力を挙げてアーレンツに向かっている。
「大切な何かのために自分を犠牲にする。お前だって、俺の仲間達と似たようなもんだ」
「なに?」
「お前は自分の国のために戦っている。国を守るためなら、どんな手段も犠牲も厭わないだろ?」
「・・・・・・そうだ」
ヴィヴィアンヌは国家保安情報局で、祖国に絶対の忠誠を誓う兵士として教育された。リックの言う通り、彼女もまた、大切な何かのために自分を犠牲にする人間だ。
「俺や、帝国の皆もそうだ。守りたいものためなら、手段も犠牲も厭わない」
「・・・・・・」
「まあ、似ているようで、俺達はお前とは違うけどな」
そう言ってリックは、手錠をかけられた両手を動かし、その右手を自分の左胸にそっと当てた。彼は自分の胸元に視線を下ろし、自分の左胸と右手を見つめたまま、言葉を続ける。
「心の底から守りたいって、そう思える存在が俺達にはある。でも、お前の守りたいものって、そうじゃないだろ?」
「・・・・・・どういう意味だ」
「この国を守りたいなんて、本当の気持ちに嘘を吐いているだけだ。お前には、心から守りたいと思えるものなんて、何もない」
祖国を愛し、祖国のために忠を尽くす、そんなヴィヴィアンヌの生き方を、彼は否定する。
別にリックは、彼女の全てを知っているわけではない。「貴様に私の何がわかる!」と、そう怒鳴られても仕方がない。だがリックは、それをわかっていながら、彼女の生き方を否定しようとしている。
(あの時と一緒だ・・・・・。この子を見てると、ユリーシアを思い出す・・・・・)
リックにとって、生きる希望そのものだった存在、ユリーシア・ヴァスティナ。彼女は、そのか弱く幼い体に、ヴァスティナ帝国の全てを背負って生きていた。
リックが彼女と初めて出会った時、帝国は滅びの運命を辿ろうとしていた。彼女は国を守るため、自分の命を犠牲にしようとしていた。しかしそれは、彼女の本心ではない。
彼女は生きたいと願っていた。まだ死ねないと、そうリックに言った。あの時彼は、その願いを叶えるために、滅びの運命と戦ったのである。
ユリーシアが自分を犠牲にし、他者のために自分の全てを捧げようとする姿が、リックは許せなかった。彼女に自由はなく、その身に一国を治める重圧を背負い、国と民のために生きていた。投げ出す事も出来たのに、彼女は優し過ぎたのだ。リックはそれが納得できなかったのである。
自分を中心にせず、他者を優先し、その身を犠牲にし続ける。それしか生き方を知らないと、あの時の少女の背中は、そう語っているようだった。今リックの目の前いる少女の背中も、同じ言葉を語っている。国を優先し、己の自由を捨て、自分を犠牲にし続ける。自分の命が果てるまで、彼女はその身を国のために捧げるだろう。
もっと自由に生きればいい。自分の思うまま、人生を歩んでもいいはずなのに、彼女はそれを選ばない。彼女はユリーシアよりも、自由を選ぶ事ができるというのに・・・・・・。
(国に命を捧げる・・・・・。この命はそのためにあると、自分に言い聞かせ続けて・・・・・)
ヴィヴィアンヌはユリーシアと似ているかもしれない。だがヴィヴィアンヌの生き方は、リックからすれば無理をしている様にしか見えない。
ユリーシアがその身を犠牲にし続けたのは、大切な者達を守るためだった。では、ヴィヴィアンヌは何のためにその身を犠牲にし続けているのか・・・・・・?
「本当は国なんてどうでもいいんだろ?ヴィヴィアンヌ、お前は--------」
「黙れっ!」
「本心から逃げるな。でないとお前は-------」
「それ以上何も言うな!次に口を開けば、今この場で貴様の首を刎ねる!」
憤怒に歪めた顔で、ヴィヴィアンヌはリックを睨み付けている。刃物を持つ手を握りしめ、その切っ先をリックへと向けている彼女の眼は、ただ怒りだけが終え上がっていた。
(そうやって熱くなるって事は、やっぱりお前は・・・・・・)
憤怒に顔を歪めたヴィヴィアンヌの、怒りに満ちた眼を見つめ返す、リックのその顔は、悲痛に歪んでいる。彼女がその身を国に捧げ続ける、その本当の理由に気付いたリックにとって、今の彼女の姿を見るのは、あまりにも辛かったのだ。
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